防犯カメラの種類の一つ「PTZカメラ(ピーティーゼットカメラ)」は、遠隔操作で上下左右の首振り・拡大縮小機能を搭載し、レンズを遠隔操作できるカメラ。1台で広範囲を見守るPTZカメラは、防犯用途や施設・設備の見守りだけでなく、店舗運営の効率化やイベント配信など、屋内・屋外を問わずさまざまな用途での活用が可能です。
本記事では、PTZカメラの概要や機能、メリット・デメリットを解説します。企業様の導入事例もご紹介しますので防犯カメラ購入のご参考にしてください。
複数カメラもPC・スマホ1つで
本部や別店舗からも”リアルタイム”に確認
目次
PTZカメラとは?
「PTZカメラ」とは、遠隔でさまざまな操作ができる防犯カメラのことです。外観は半球状のドーム型をしており、内蔵されたカメラが上下左右に動くことができ、通常のカメラより広い範囲を撮影できます。
PTZとは、以下の表に挙げる3つの要素の頭文字を取ったものです。
名称 | 要素名称(日本語) | 意味(機能) |
---|---|---|
Panoramac | パン | 水平方向への移動 |
Tilt | ティルト(チルト) | 垂直方向への移動 |
Zoom | ズーム | ズームインとズームアウト |
PTZカメラの大きな特徴は、半球型・ドーム型の外観をしており、カメラのレンズの向きを自由に動かせることです。通常の防犯カメラはボックス型・バレット型をしており、基本的にはほとんど動かせません。
こうしたPTZカメラ特有の特徴により、これからご紹介するさまざまな導入メリットが得られるのです。
遠隔操作できるメリット5つ
PTZカメラ導入には、主に以下のような5つのメリットがあります。
- 撮影範囲・画角を360度方向に移動・回転が可能なため、1台で広範囲を見守ることができる
- パソコンやスマホアプリでリアルタイムの遠隔操作ができる
- 自動操作機能があるため、カメラ操作に慣れていなくても安心
- 光学ズームとデジタルズームで、多用途なズームができる
- クラウドタイプのPTZカメラが多く、導入・運用のハードルが低い
ここからは、それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
視点を360度方向に回転可能なため、1台で広範囲を見守れる
通常の防犯カメラはカメラの回転方向が制限されてしまいます。例えば、カメラの視点を前方から後方に変えようとしても、首振り機能がなかったり筐体に遮られたりするので、特定の方向しか「見える化」できません。
一方でPTZカメラは、上下左右へ自由に回転できるため、1台あれば360度方向を見守ることができます。そのため、固定式のカメラを複数台導入しないとならない場所でも、PTZカメラならわずか1台でカバーできるケースが多いです。
結果的に、カメラの管理やメンテナンスが行いやすくなるなど、運用面でも大きなメリットが得られます。
パソコンやスマホアプリでリアルタイムの遠隔操作ができる
PTZカメラは遠隔操作できることも魅力です。近年のPTZカメラでは、パソコンのソフトウエアやスマートフォンのアプリと連動し、リアルタイムで遠隔操作や録画などが行えます。
そのため、カメラが離れている場所にあっても、容易に全方位を見守ることができます。広い場所や危険な場所にカメラを設置する場合は、PTZカメラのメリットが最大限に発揮されるでしょう。
また、従来のPTZカメラは通信速度の限界から、どうしても操作と実際の動作にタイムラグが生じることがありました。しかし、5G(第5世代移動通信システム)のような高速通信技術の発展で、よりリアルタイムに近い操作感が実現できるようになりつつあります。
自動操作機能があるため、カメラ操作に慣れていなくても安心
カメラを常に手動でコントロールするのが難しいこともあるでしょう。そのような場合は、PTZカメラのプリセット機能や自動操作機能が便利です。製品によって搭載されている機能は異なりますが、ほとんどのPTZカメラで以下のような利便性が高い機能を利用できます。
名称例 | 機能 |
---|---|
プリセット機能 | あらかじめ設定した動作パターンの通りにカメラが自動的に動く |
オートスイング機能 | 複数のプリセットポジションを自動的に切り替える |
オートズーム機能 | カメラに捉えた対象物を自動的に拡大する |
自動追尾機能 | 動きのある対象物の方向へ自動的にカメラが向く |
自動操作機能を活用すると、例えば、30秒前後で360度を見渡しつつも、不審なものを検知したら自動的に追尾するなど、さまざまな観点からカメラが自動的に見守ってくれます。そのため、担当者の業務負荷を軽減したい場合や、カメラの操作に慣れていない人が担当するときも安心です。
光学ズームとデジタルズームで、多用途なズームができる
PTZカメラには、「光学ズーム」と「デジタルズーム」の2種類のズーム機能が搭載されていることが一般的です。光学ズームはレンズを動かして物理的に拡大するため、解像度の高い映像になりますが、撮影できる範囲は狭くなります。一方で、デジタルズームは撮影した映像を拡大するので、解像度が低下して粗い映像になります。
光学ズームは人物の顔やナンバープレートなどの確認に向いており、デジタルズームは映像の一部を拡大する用途に最適です。それぞれ向き・不向きがあるので、どちらのズームも使えるPTZカメラであれば、いざというときに多用途なズームができます。
クラウドタイプのPTZカメラが多く、導入・運用のハードルが低い
近年のPTZカメラは、インターネットに接続できるクラウドタイプ(IPカメラ)が増えています。
具体的には、カメラ操作をパソコンやスマートフォン経由で行い、録画した映像はクラウドサーバー上に保存します。自社・自店舗で録画データを管理する必要がないため、データ保全やセキュリティの点でも安心です。
さらに、LANケーブルで電源を供給できる「PoE(Power over Ethernet)給電」に対応しているPTZカメラも多く、その場合は専用電源の敷設工事も必要ありません。これらの機能により、PTZカメラの導入と運用のハードルは、以前より格段に下がっているといえるでしょう。
PTZカメラのデメリット2つ
PTZカメラは多機能な一方で、以下のような2つのデメリットや注意点もあります。
- カメラが向いていない部分は撮影・録画ができない
- 通常の固定式カメラと比べて導入コストが高めになる
ここからは、それぞれのデメリット・注意点について詳しく見ていきましょう。
カメラが向いていない部分は撮影・録画ができない
PTZカメラは自由な方向に回転できることが魅力ですが、一度にすべての視点は撮影できません。カメラが向いていない場所は「死角」となるため、例えば、一定以上カメラの視点を移動させると、最初に撮影していた場所は見えなくなり、録画データにも残りません。
また、カメラの回転速度には限界があるため、不審者・不審物を検知したとしても、その方向にカメラが向くまでには若干のタイムラグがあります。
通常の固定式カメラと比べて導入コストが高めになる
PTZカメラは多機能なので、通常の防犯カメラや固定式カメラと比べると、導入コストが高めになります。レンズの可動範囲やスピード、画素数やズーム倍率などによっても価格は変動するため、導入時は「どれくらいのスペックが必要か」を検討しましょう。
一方で、1台で複数台の固定式カメラの役割を果たせることや、クラウドに対応していることも考えると「費用対効果は高い」といえます。
PTZカメラのおすすめ設置場所・シーン7選
PTZカメラはさまざまな場所・シーンで活用できます。続いては、PTZカメラの具体的な活用方法を、以下の7つの観点からご紹介します。
- 「AI」機能による店舗オペレーションの改善
- 各種イベントのライブ中継やYouTubeでの生配信
- 店舗や商業施設の見守りと防犯対策
- 店舗やオフィスでの従業員モニタリング
- 駐車場の見守りや利用者同士のトラブル対策
- 工場や発電所などの施設における従業員の安全確保
- 自然災害が発生したときの環境モニタリング
「AI」機能による店舗オペレーションの改善
PTZカメラと最新のAI技術を組み合わせれば、店舗オペレーションを効率化し、人的リソースの配置を効率化することも可能です。例えば、PTZカメラで店内全体の様子を撮影し、時間帯や座席エリアごとの混雑状況を見える化すると、店舗スタッフの配置最適化を検討する際に活かせます。
各種イベントのライブ中継やYouTubeでの生配信
PTZカメラはインターネットに接続できるため、イベントのライブ中継や生配信にも活用できます。プロ用のカメラを使用する場合は、受信や映像変換などに専用の機材が必要になります。また、カメラも複数台必要になるため、人的リソースでもコスト面でも悩ましい点があるでしょう。
しかし、クラウドタイプのPTZカメラの場合は、撮影から録画データの取り込み・配信までパソコンから簡単に行えます。ホームページやSNS・YouTubeなどでライブ配信を行えば、自社や店舗のブランディングにもつながり、高い集客効果が期待できます。
店舗や商業施設の見守りと防犯対策
近年では、さまざまな場所で防犯対策の必要性が高まっており、店舗や商業施設はその筆頭です。
PTZカメラを天井に設置しておけば、1台で広範囲の見守りをカバーできます。レジやATMなどの周囲を撮影し、不審な人物を特定して事件やトラブルの発生を未然に防ぎやすくなるでしょう。
また、ハイスペックなPTZカメラは画素数やズーム倍率が高いため、重要な映像を正確に残すことができます。
店舗やオフィスでの従業員モニタリング
店舗やオフィスにおいて、店舗運用がマニュアル通りに実行されているか確認したいこともあるでしょう。レジ入金ミスの確認や、備品の破損はもちろん、近年では「バイトテロ」のような、店舗運営者が予期せぬトラブルが起こる事例もあります。
PTZカメラを導入することで、安全な店舗運用に活用いただくことができ、また、トラブル発生の抑止にも役立ちます。
駐車場の見守りや利用者同士のトラブル対策
PTZカメラは、駐車場の防犯やトラブル対策にも役立ちます。駐車場は不特定多数の人が利用し、関係者以外も容易に侵入できるため、防犯対策が欠かせません。通常の防犯カメラでは、広範囲をカバーするために複数台のカメラが必要ですが、PTZカメラなら1台でも十分な役割を果たせます。
さらに、不正駐車などの証拠を残すためには、人物の顔や車のナンバーの特定が必要です。PTZカメラは光学ズームで高解像度の映像を撮影できるので、重要な情報を逃しにくくなります。また、カメラを遠隔で操作できるため、万一のときも担当者の安全性を確保しやすいこともポイントです。
工場や発電所などの施設における従業員の安全確保
PTZカメラは遠隔で操作できるため、工場やプラントなどの安全確保にも適しています。例えば、高所は危険なので作業員が状況を確認しにくいことがあるでしょう。そんなときは、事前に防水防塵対応のPTZカメラを設置しておくことで、遠隔操作で現場の状況を安全に確認できます。
また、工場の製造ラインにおいては、品質管理や事故再発防止などさまざまな用途にも活用できます。
自然災害が発生したときの環境モニタリング
PTZカメラは、自然災害が発生したときの環境モニタリングや、安全性の確保にも活用できます。例えば、海岸や河川の周辺に屋外対応のPTZカメラを設置しておくと、台風や地震などの自然災害が発生したときに現地の状況を安全にモニタリングできます。録画した映像のアーカイブ化や一般公開などにより、公共の利益に貢献することもできるでしょう。
SafieのPTZカメラを活用
遠隔操作で上下左右の首振り・拡大縮小ができる「PTZカメラ」の特徴とメリット・デメリット、おすすめの導入場所をご紹介してきました。
PTZカメラは広い範囲の見守り用途に最適ですが、さまざまな製品が販売されているため、「どれを選べば良いか分からない」こともあるでしょう。 そこでおすすめなのが、クラウド録画サービス「Safie(セーフィー)」です。
Safie対応のPTZカメラを導入することで、パソコンやスマートフォンからどこでもカメラを遠隔操作し、高画質な映像を確認できます。取り付けも簡単で低価格、さらにセキュリティレベルも高いため、さまざまな用途での「見える化」に最適です。
実際にSafieは防犯以外の用途、特に先進的な機能が求められるビジネスシーンでの導入が進んでいます。
「Safie」の導入事例3選
Safieのクラウド録画サービスと、Safie対応のPTZカメラの代表的な導入事例をご紹介します。
「ベンチャー支援施設」の見守り!|「株式会社きらぼし銀行」様
株式会社きらぼし銀行では、創業支援を行うインキュベーション施設「KicSpace(キックスペース)」で、セキュリティ対策のためのSafieのPTZカメラを導入しました。Safieは先進的な機能を備えており、高解像度の映像を記録できるので、会員やスタッフが安心して過ごせる空間になりました。
また、施設への来場が難しい経営層とも鮮明な映像で情報共有を行ったり、Safieの先進的なサービスで施設のコンセプトを体現できたりするなど、さまざまな導入効果が得られています。
「イベント配信」と「Web集客」を実現!|「富士急行株式会社」様
富士急行株式会社では、「富士芝桜まつり」の魅力を伝えるために、SafieのPTZカメラを1台導入しました。Safieは高画質なライブ配信ができるため、イベントの雰囲気をよりリアルに伝えることができ、開花や富士山の状況なども伝えやすくなりました。
YouTubeチャンネルでライブ配信を行ったところ、自社サイト「フジヤマNAVI」のアクセス数も増加。結果的に、富士芝桜まつりの魅力を伝えるだけではなく、自社のアピールにもつながりました。
このように、すぐに導入できてコストが優れていることもSafieの魅力です。PTZカメラを活用したイベント配信やライブ配信、Web集客についてご検討中の場合は、ぜひご参考にしてください。
遠隔操作での見守り・見える化におすすめのPTZカメラ
クラウド録画サービス「Safie」対応のPTZカメラなら、低コストで高機能・高画質のカメラを導入でき、録画データもセキュリティレベルが高いクラウド上に保管できるので安心です。
モデル | 画像 | 価格 | 屋内/屋外 | 販売/レンタル | 特長 |
---|---|---|---|---|---|
AXIS M5074 PTZ | ¥113,080(税込) | 屋内用 | 販売 | 手のひらサイズ | |
AXIS M5525-E PTZ | お問い合わせください | 屋外用 | 販売 | IP66防水防塵 | |
Safi GO PTZ | お問い合わせください | 屋外用 | レンタル | AC電源・DC電源 | |
Safi GO PTZ Plus | お問い合わせください | 屋外用 | レンタル | 位置情報機能 | |
Safi GO PTZ AI | お問い合わせください | 屋外用 | レンタル | エッジAI搭載 |
屋内向け、手のひらサイズのお手軽PTZカメラ
AXIS
M5074 PTZ
レンズの向きを操作できる光学5倍ズーム搭載の高性能カメラ
¥113,080 (税込)
外形 | Ø130 x 63 mm |
重さ | 380 g |
防水性能 | IP51 |
ネットワーク接続 | 有線LAN |
PoE給電 | 対応 |
画角 | ⽔平14°‒71° 垂直8°‒40° |
ズーム | 光学ズーム 5倍 |
マイク(音声入力) | あり |
スピーカー(音声出力) | なし |
暗所撮影 | – |
5倍光学ズームを備えた手のひらサイズの筐体。また、オートフォーカス機能により、ピントを被写体に自動的に合わせることができます。
光学10倍ズーム、屋外でも使えるハイエンドカメラ
AXIS
M5526-E PTZ
お問い合わせください
光学10倍ズームとパン・チルトを搭載したハイエンドモデル。IP66防水防塵で屋外に設置できます。
建設・製造現場向けLTEカメラ
アプリから遠隔でPTZ操作が可能です。見たい場所をピンポイントで撮影できます。
位置情報機能付きLTEカメラ
Safie GO PTZ Plus
アプリから遠隔でPTZ操作が可能です。見たい場所をピンポイントで撮影できます。GPSを搭載しているのでカメラの設置位置も確認できます。
エッジAI搭載LTEカメラ
Safie GO PTZ AI
エッジAI搭載で高度な人物検出が可能です。PTZ操作によるピンポイント撮影や、GPSによるカメラ設置位置の確認にも対応しています。
PTZで広範囲を見守り、さまざまな活用する
PTZカメラを導入することで、1台で広範囲を見守ることができ、遠隔操作で必要な場面を注視できます。店舗やオフィスの見守りはもちろん、店舗運営やライブ配信などさまざまな用途で活用できます。。
さまざまな利用シーンで活躍するPTZカメラの導入をご検討される際は、ぜひSafieまでご相談ください。導入前の個別相談をはじめ、無料デモのご提供、セミナー開催なども行っています。
- クラウド録画サービス Safie(セーフィー)
- パソコンやスマートフォンでいつでもどこでも、インターネットで映像が見られる手軽なカメラ。