カメラ活用でガラス工場の作業効率が向上。
API連携でますます広がる映像活用の可能性

世界屈指の「素材メーカー」として多様な産業を支える「AGC株式会社」。同社のAGC横浜テクニカルセンターではSafieと自社システムとのAPI連携も実施し、設備モニタリングから計器計測、安全管理まで、Safieカメラを幅広くご利用くださっています。

(取材:2023年7月)

導入の決め手

  • 業務の様子が高画質な映像でクラウドに残り、活用範囲が広い
  • クラウドのセキュリティレベルが高い
  • APIで自社システムと連携できる

導入目的

  • 工場・倉庫の作業の効率化
  • 工場・倉庫の安全管理

導入した結果

  • 映像視聴で効率的に設備のモニタリングができる
  • 画像解析で計器データを自動取り込みし省力化・作業効率化
  • 不安全行動を映像で確認でき、的確な安全策を打てる
  • 現場の若手をカメラで遠隔支援し、ベテランの移動時間が軽減

ガラス、電子、化学品、セラミックスという4つの素材を中心とした「素材メーカー」として、世界中の産業と人々の暮らしを支えている「AGC株式会社」。世界トップクラスのシェアを誇る素材の開発・製造を数多く手がけ、建築・自動車・電子機器・医薬品など幅広い業界にソリューションを提供しています。

技術開発の中核拠点であるAGC横浜テクニカルセンター内には建築用ガラスの製造工場があり、APIも活用し、さまざまなシーンでSafieカメラをご利用くださっています。具体的な活用法や効果について、同社の「建築ガラス アジアカンパニー」に所属する菊池 純平さん、大脇 庸市さんにお話を伺いました。

建築ガラス製造現場の作業効率、安全強化に課題感

事業企画室 企画・戦略グループ DX戦略チームリーダーの菊池さん

──はじめに、お2人のお仕事についてお教えいただけますでしょうか。

菊池さん:私は建築用ガラスの製造販売をアジアで展開する「建築ガラス アジアカンパニー」という部門の事業企画室で、部門全体のDX推進に携わっています。

大脇さん:同じく建築ガラス アジアカンパニーの中で、私は技術・製造統括部のスマートファクトリーチームに所属しています。このチームは工場のDX推進に特化しており、工場における新しいデジタル技術の開発や導入を行っています。

──建築ガラス アジアカンパニーではSafieを導入いただいています。導入の経緯をお聞かせください。

倉庫の作業効率化にLTEルーター搭載の固定型カメラSafie GO 180を活用(写真左端)

菊池さん:導入のきっかけは、すでにセーフィーさんとお付き合いのある他部署から薦められたことでした。興味を持ち、まずはトライアルで現場の声を聞いてみようと、AGC横浜テクニカルセンター内にある建築ガラスの工場および倉庫で、ウェアラブルクラウドカメラの「Safie Pocket2(セーフィーポケットツー)」と固定設置型のクラウドカメラを導入しました。

──導入時、工場ではどのような課題に取り組んでいらしたのでしょうか? 

大脇さん:主に「作業効率」と「安全」の2軸で課題解決に取り組んでいました。少子化で働き手が減る中、作業の効率化は重要なテーマです。また、人員に余裕がなくても安全性を維持・向上させていく必要性についても、強い課題感を持っていました。

──トライアル開始から約3か月で本格導入いただきました。導入の決め手をお聞かせください。

技術・製造統括部 企画グループの大脇さん

大脇さん:大きく分けて3つあります。1つ目は、現場の情報を音声付きの映像できちんと残せることでした。そもそも映像は、写真より情報量が多いというアドバンテージがあります。Safieは、映像がクラウドに一定期間保存され、手軽にクリップ&ダウンロードできることが魅力です。特に「Safie Pocket2」はウェアラブルですが定点撮影もでき、持ち運んで電源のない場所でも使えて、固定カメラでは撮れなかった高所や狭所の映像も残せる点に惹かれました。

ウェアラブルカメラPocket2を設備監視に利用。限られたスペースへの設置もしやすい

決め手の2つ目はAPIサービスが備わっていたことです。私たちスマートファクトリーチームでは工場の業務をアシストする画像処理、AI解析などの開発も行っています。Safieが当社開発のシステムとAPI連携できる仕様だったことも、導入の大きな後押しになりました。

菊池さん:決め手の3つ目は、クラウドのセキュリティ品質です。当社は、外部クラウドシステムの活用にあたってセキュリティの確認が必要となっており、セーフィーさんが高セキュリティだったため、本格導入に至ることができました。

自社開発システムとのAPI連携で計測を省力化。
カメラによる設備監視や遠隔支援で効率アップ

APIを活用し、カメラで撮影した計器のスナップショットを自社システムで画像解析

──現在、工場や倉庫では、Safieをどのように活用いただいているのでしょうか?

大脇さん:工場での活用法の1つは、不具合が懸念される設備のモニタリングです。該当箇所に「Safie Pocket2」を置き、撮影した映像を振り返り視聴して原因究明などを行っています。もう1つの活用法はAPIを利用した計器データの取り込みです。常時確認をする計器については、備え付けのセンサーでデータを取っているのですが、常時確認ではなく不具合が懸念される計器には「Safie Pocket2」を使っています。APIを使って画像解析を行う当社システムに一定の間隔でスナップショットを送り、数値データに変換しモニタリングしています。

次に、工場と倉庫の双方で実施している活用法が、安全管理と現場の若手の遠隔支援です。安全管理は、工場では「Safie Pocket2」、倉庫では全体を俯瞰できる固定カメラの「Safie GO 180(セーフィーゴーワンエイティー)」を使うことが多く、映像で不安全行動をチェックして改善策を講じます。遠隔支援では、工場の若手が「Safie Pocket2」で撮影し、オフィスにいるベテランがPCなどでライブ映像を見ながらカメラの通話機能を使ってサポートします。ほか、高いスキルを要する作業や点検の様子を撮影し、技能伝承など教育にも使っています。

──多くのシーンでご活用いただいていますが、使い勝手はいかがでしょうか?

大脇さん:「Safie Pocket2」は、三脚やアームでいろいろなところに設置ができ、広い用途で使えるのがいいですね。一時的に撮影が必要な場合にも大変便利です。

ビューアーのダッシュボード機能で複数のカメラ映像を一覧表示

菊池さん:ビューアーもUIが整っていますし、見たい映像をダッシュボードに一覧表示でき、大変使いやすいです。カメラ自体も直感で操作でき、不明点があった際は問い合わせれば迅速に対応してくださるので、現場への浸透は早かったですね。

──Safie導入で感じていらっしゃるメリットをお聞かせください。

大脇さん:作業効率化への高い効果を感じています。まず、現場への移動時間が軽減されました。AGC横浜テクニカルセンターは敷地が広く、最大で現場と約1km離れているケースもあるので、移動の手間が省けるインパクトは大きいです。

設備のモニタリングや計器の数値データ取り込みでは、現場で設備監視したり、メモを取ったりしていた作業員の工数負担も大幅に減りました。特に設備のモニタリングでは、突発的な不具合を待って現場に居続けるのはとてつもなく非効率的ですが、映像で振り返ると効率よくキャッチできて助かります。結果的に不具合を早期に改善でき、不良品などのロスを減らすことにも役立っています。

菊池さん:安全面でもカメラ導入のメリットは大きいです。クラウドに残る映像で不安全行動の前後のプロセスなどを何度も見返せるおかげで、原因特定や防止策がいっそう的確になりました。

設備のモニタリングを映像で行うことで、不具合の早期改善や不良品の削減に繋がっている

インシデント防止から品質向上まで、
APIでさらに高度な映像活用へ

──今後、映像を活用してチャレンジしてみたいことがございましたらお聞かせください。

大脇さん:SafieのAPIを駆使して、より高度な映像活用を実現したいです。安全面では、ヒトやモノの動きの解析で不安全行動の検知・アラート発報を行い、インシデントを未然に防ぐ体制を強化したいです。

作業効率や品質に寄与する活用法も、まだまだ多くあると思います。不良品チェックを目視からカメラに切り替えられれば効率が上がりますし、ガラスの製造工程の映像を解析し、各工程の品質への影響を分析するのも今後の品質向上に役立つと考えています。

菊池さん:導入した現場から、活用アイデアが続々と上がってくるのがSafieのすごいところだと思います。正直言いますと、最初は「映像を手軽に見られる防犯カメラ」というイメージでしたが、その認識をはるかに上回る可能性を感じます。今後はデータサイエンス部門とも連携して映像解析を駆使したソリューションを磨き込み、産業と生活の発展に寄与する素材を安定的に提供し続けたいと思います。

今後はデータサイエンス部門との連携で、映像解析ソリューションにさらに磨きをかけたい意気込み

※本記事に掲載している企業情報、所属及びインタビュー内容はページ公開当時のものです。

お話を伺った方

AGC株式会社
建築ガラス アジアカンパニー


事業企画室
企画・戦略グループ
DX戦略チーム
リーダー
菊池 純平さん


技術・製造統括部
企画グループ
大脇 庸市さん