クラウドカメラで現場の死角をカバー。
安全性が向上し、移動時間削減や若手育成にも寄与

スーパーゼネコンの1社として多くの名建築を世に送り出している「株式会社竹中工務店」。同社の広島支店では、セーフィーのクラウドカメラをご活用いただいています。業界の未来を変えるべく、現場DXを推進する同支店のみなさんに、Safieカメラ導入の背景や効果について伺いました。

(取材:2023年3月)

導入の決め手

  • 高画質で拡大しても鮮明
  • 録画映像がクラウドに自動保存される
  • コンパクトでフレキシブルに使える(Safie Pocket2)
  • カメラ単体で撮影も通話もできる(Safie Pocket2)

導入目的

  • 移動時間減による業務効率化
  • 現場の安全担保、事故防止
  • 遠隔からカメラ映像を確認することで管理密度を上げる
  • 熟練者の遠隔指導による若手教育の充実

導入した結果

  • 管理密度が上がり、品質向上に寄与
  • 熟練者の暗黙知を伝承でき、若手の成長がスピードアップ
  • カメラによる死角のカバー、安全意識向上で事故が減少

「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」という経営理念のもと、建築専業の事業展開を貫き、数多の名建築を生み出している「株式会社竹中工務店」。建設業界の人員不足が深刻化するといわれる2024年問題に向け、早期から現場DXを推進してきたスーパーゼネコンの1社です。

同社の広島支店では、セーフィーのクラウドカメラをご利用いただいています。カメラ映像を使った「現場の見える化」で感じていらっしゃる手応えを、みなさんに伺いました。

労働環境・管理密度・安全管理・若手育成など
現場DXで慢性的な課題を解決

左から管理部長の尾﨑さん、広島支店長の古川さん、支店長付の甲野さん、生産統括部技術グループ長の貞永さん

──はじめに、皆様のお仕事についてお教えいただけますでしょうか。

古川さん:私は広島支店の支店長として、工事全般および支店運営の最終責任を担っています。

甲野さん:作業所の責任者である作業所長を長年担当していました。今は支店長付のポジションで、作業所での指導や遠隔後方支援などの若手育成に力を入れています。

二宮さん:私は作業所長をしており、Safieカメラを導入している宮島口の作業所などを担当しています。

尾﨑さん:広島支店の総務・人事・経理部門を統括する管理部長を務めています。2024年問題への対応にも携わり、Safieカメラ導入の社内調整も行いました。

貞永さん:生産統括部の技術グループ長をしています。作業所の統括管理と支援、技術開発の推進などに従事し、業務全般の生産性向上に取り組んでいます。

──建設業における現場DXをどのように捉えていらっしゃるか、お聞かせください。

古川さん:現場DXは、時間外労働の上限規制が厳しくなる2024年問題を乗り越えるために不可欠な取り組みです。ただ、単なる数字上の効率化をゴールとせず、DXによって、建設業を働きがいのある魅力的な業界として伸展させることが大切だと考えています。

建設業における現場DXの重要性を語る古川さん

──広島支店の現場DX推進の背景には、どのような課題があるのでしょうか?

古川さん:まず挙げられるのは「労働環境」です。広島支店は管轄エリアが広く、移動に片道3~4時間かかる遠方の作業所も少なくありません。その結果、社内でも時間外労働がかなり多い支店になっていることが大きな課題であると考えています。

次は「管理密度」です。作業所長は複数の作業所を担当しており、1カ所に張り付いて管理することはできません。作業所の安全巡回は実施しますが毎日ではないですし、若手による巡回は着眼点や情報量が甘い可能性もあります。そのため、DXでベテランの目線をしっかりと行き届かせ、遠隔から指導も行うことで、工事の品質・安全性を向上させたいと考えていました。

管理密度に付随し、「事故防止」「教育」という課題もありました。残念ながら建設現場では、ごくまれに重大災害が発生してしまうことがあります。その原因をICTツールなどで究明し、再発防止策の精度を高めたいと思っていました。また教育面では、経験豊富なベテランが持つ貴重な暗黙知を、若手にどう伝承するかに頭を悩ませていました。

「現場主義だったが、このカメラならいける」
遠隔から確認するための欲しい機能を備えたSafie Pocket2

巡回や製品検査などの際に若手スタッフはSafie Pocket2で撮影、遠隔からベテランの指示を仰ぐ

──広島支店では、セーフィーのウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2」(セーフィー ポケットツー)、屋外向けクラウドカメラ「Safie Go」(セーフィー ゴー)をご活用いただいています。導入の経緯をお聞かせください。

貞永さん:当社は現在「竹中新生産システム」と銘打ち、BIMなどの先端デジタル技術を活用した設計・施工のプロセス改革に取り組んでいます。ただ、支店ごとに工事環境の諸条件が異なるため、現場のICTツール選定は支店の裁量に任せられています。

取材させていただいた作業現場を統括する作業所長の二宮さん

二宮さん:広島支店では、遠隔から確認できるネットワークカメラが課題解決に有効との考えから、2010年頃に他社のカメラを導入しました。ところが画質が悪く、結局、作業所に行かないと状況がわからないなど不都合な点がありました。

古川さん:そんなとき、関連会社が導入したSafieカメラを知り、「高画質」「クラウド録画」といったスペックが効果的なソリューションになると直感しました。

──本格導入前にトライアルでご利用いただきました。そのときの感想をお聞かせください。

Safie Viewerを活用し同一作業所内のカメラ映像を一覧化

甲野さん:拡大しても鮮明な画質の良さに驚きました。Safie Pocket2に関しては充電式で、電源の心配をしなくていいことも魅力的でした。ウェアラブルカメラですが、三脚などいろいろな方法で固定撮影もでき、現場でフレキシブルに使えて非常に良かったです。通話可能で「危ないよー!」といった声かけもできるので、離れていても、まさに作業所にいるかのようです。私は現場主義でカメラに対しては懐疑的でしたが、Safie Pocket2は欲しかった機能が多くあり、これなら作業所に行く回数を減らせると思いました。

二宮さん:録画映像が自動的にクラウド保存され、再生・編集・共有が容易な点も好感が持てました。既設カメラは録画・再生の操作性が悪く、実質的に録画機能を活用できていなかったので、これは大きな違いです。

尾﨑さん:Safie Pocket2はウェアラブルなので両手が空き、安全面のメリットも大きいです。操作がシンプルなこと、屋外での耐久性が高いことも本格導入の後押しになりました。

──導入いただいたSafieカメラは、どのように活用くださっていますか?

固定型カメラは状況によって、パン・チルト・ズームができるSafie GO PTZと180度の広角撮影が可能なSafie GO 180を使い分け

二宮さん:作業所の中でスペースを俯瞰したいところには固定型のSafie GOを設置し、不安全行動がないかモニタリングしています。一方、巡回や製品検査などの際は作業所の若手スタッフがSafie Pocket2をネックマウントなどで装着して撮影します。その映像は甲野や私が事務所など遠隔から視聴し、通話機能を使ってリアルタイムでサポートします。

クレーンのフックにsafie Pocket2を固定し玉掛け・揚重作業時の安全確認に活用

貞永さん:Safie Pocket2は事故回避の目的で、人が入りにくい危険なスペース、死角スペースなどの固定撮影にも使っています。例えば、吊ったモノの落下事故防止を目的に、クレーンのフックまわりに真下が撮影できるようにセットし、玉掛け(重い荷物をクレーンで持ち上げる際、フックに荷物を掛けたり外したりする作業のこと)の様子を確認・録画しています。普通なら間近の目視はもちろんのこと、固定カメラの設置も不可能な場所です。しかしSafie Pocket2は小さくて電源不要なので簡単に設置・撮影ができ、大変便利です。

「Safie Pocket2はの安全担当のイチ作業員」
管理密度が向上し、事故防止・教育による若手の成長に寄与

──現場のみなさんの反応はいかがでしたか?

「日々の業務にSafie Pocket2は欠かせない」と語る若手スタッフ

甲野さん:最初はカメラの運用に少し抵抗感もあったようです。けれど、「このカメラは作業所の安全担当です。みなさんが回れないところをチェックするイチ作業員と捉えてください」と、導入の意図を丁寧に伝えたところ、今は前向きに活用してくれています。

──カメラの導入効果をお聞かせください。

古川さん:管理密度がぐっと濃くなったと感じます。カメラで死角が減った上、クラウドでいつでもどこでも、かつ、ライブでも録画でも映像を見られるので、多くの人が作業所を確認できるようになったおかげです。現段階ではまだ、時間外労働の削減効果はさほど大きくないのが実情ですが、今までやりたかったけれどできていなかった多くのことを実現でき、仕事がしやすくなりました。

甲野さん:管理密度の向上による安全効果はとても大きいです。4カ月間のトライアル期間中にカウントされたリスク回避の件数は、約500件にのぼっています。さらに、多くの場合、本人は自身の不安全行動に無自覚ですが、危険だったシーンのクラウド録画映像を見せるとすぐに納得して意識が変わり、事故が減ったと実感しています。

尾﨑さん:教育面では、遠隔OJTでベテランが直接指導することで、現場の若手の成長がスピードアップしました。適切な教育は離職防止にも有効ですので、そういった見地からの意義も大きいです。

──最後に、カメラ活用における今後の展望をお聞かせください。

古川さん:カメラによる現場の「見える化」を有効活用し、建設業界の継続と発展を成し遂げられたらこんなにうれしいことはありません。理想的な形で次世代に引き継ぐため、今後は協力会社への展開にも力を入れ、現場の未来を変えるDXをますます推進したいと思います。

お話を伺った方

株式会社竹中工務店


広島支店長
古川 英樹さん


支店長付
甲野 裕之さん


管理部長
尾﨑 浩二さん


作業所長
二宮 剛章さん


生産統括部
技術グループ長
貞永 誠さん