Safieカメラ活用で店舗の遠隔視察。
店舗オペレーションの大幅改善でレジ混雑緩和も実現
1978年に福岡県大野城市に第1号店をオープンして以来、九州で多くの支持を集めているホームセンターの「グッデイ」。現在は福岡、佐賀、大分、熊本、山口に64店舗を展開しています。
同社では2016年頃からデータ分析・活用を本格的に開始。現場の課題解決にデジタルを有効活用し、2022年6月には「第1回日本DX大賞」で大賞を受賞しました。Safieカメラは2018年からご利用いただいています。
今回取材した店舗は、1年の改装期間を経て2022年3月にリニューアルオープンした姪浜店。Safieカメラの導入を推進したシステム部の山田さんと、姪浜店で店長を務める松木さんにお話を伺いました。
導入の決め手
- どこからでもリアルタイムで映像が視聴可能だった
- 設置が簡単かつ料金が比較的安価だったため
- 使い勝手や操作性の良さ
導入目的
- 確認しやすく操作性の良い防犯カメラの導入
- レジ付近の混雑状況把握のため
導入した結果
- レジオペレーション円滑化による顧客満足度の向上
- POSデータだけではわからないお客様の定性データの取得が可能に
- 遠隔視察の実現で店舗視察の移動時間を大幅削減
INDEX
導入の決め手は操作性の良さと映像の確認しやすさ
──はじめに、山田さんと松木さんのお仕事を教えていただけますでしょうか。
山田さん:私は、株式会社グッデイを運営する嘉穂無線ホールディングスのシステム部で、グッデイ店舗へのシステム導入を推進しています。システム設計からプロトタイプ作りおよび開発における全体管理まで携わっています。システム導入にあたっては、デジタル活用によって既存のやり方をいかに効率化できるかを考えて取り組んでいます。
最近では、お客様が商品名やブランド名を画面に入力すると、店舗レイアウト上に商品場所が表示される商品検索システムを開発・導入しました。
松木さん:私はグッデイ姪浜店で店長として勤務しています。日々の店舗運営や売上改善、お客様対応に取り組んでいます。
──Safieカメラはどういった経緯で導入に至ったのでしょうか。
山田さん:きっかけは、とある展示会でセーフィーさんのブースを柳瀬(嘉穂無線ホールディングス株式会社 代表取締役社長)が見かけたことです。
それまで店舗で利用していた防犯カメラは、映像を確認できるのはバックヤードからのみで、操作ができる人も限られていました。防犯カメラの映像は警察からの協力要請や店舗内でのクレーム対応のために後から見返すことが多かったのですが、早送りや遡りなどがSafieカメラに比べて扱いづらく、見たい映像を探すのに時間がかかっていました。
Safieカメラは設置が簡単、しかも安価ということで、まずは使用感を確認するためにお試しで本社に設置しました。。その結果、いつでもどこでも現場の映像がブラウザで確認できて使いやすいと社内でも評判が良かったので、導入することにしました。
Safieカメラがレジの混雑緩和に貢献 映像を見直せば売上の解像度も上がる
──当初はどんな場面でSafieカメラの活用を想定されていましたか?
山田さん:店舗内でワークショップを展開し始めている時期だったので、お客様がDIYを楽しんでいらっしゃるか現地に行かなくても確認できるようにしたかったのが目的です。
Safieカメラ導入前は、新店舗オープンやイベント開催のたびに店舗を管轄する部長や役職者が現地を訪問視察していました。福岡の本社からいちばん遠い山口の店舗までは片道2時間半かかりますが、イベント時にはやはり実際の様子を見ておきたいわけです。Safieカメラを導入してからは本社から店舗の様子をリアルタイムに見られるようになり、移動時間を大きく削減することができました。
──初回の導入以降、2020年には100台程度を追加で導入いただいています。これにはどんな背景があったのですか。
山田さん:この頃、新型コロナウイルスが流行し始めたことで、密を避ける必要があり、レジ付近の混雑状況を確認するために全店のレジ付近にカメラを設置したのです。
さらに、ただレジの混雑状況をSafieカメラで確認するだけでなく、POSレジとGoogle Chat、Safieカメラを連携して、レジ通過人数が一定時間内の設定数を超えたら、店長や社員にGoogle Chatで通知を飛ばす仕組みも作りました。通知にはレジ上のカメラの映像が添付されるようになっています。
松木さん:通知が飛んできたら添付された映像でレジの状況を確認して、必要があればすぐに応援スタッフを送る対応をとります。カメラ導入前は定期的に私が店内を巡回したり、混雑してきたらレジスタッフが自ら応援を呼ぶといった対応をとっていました。通知が飛ぶようになってからはバックヤードにいながら映像で状況を確認し、レジスタッフを追加する判断ができるようになったので助かっています。
──レジ付近以外での設置状況はどうなっているのでしょうか。
山田さん:カメラの設置にはネットワークインフラの整備が必要なため、レジ付近以外には導入できていない店舗が多いのが現状です。姪浜店含めインフラが整っている4つの店舗では、店内に30台ほどのカメラを設置しています。現場からは、レジ以外にもカメラを設置したいという声が多く聞かれますね。
──どのSafieカメラをどの場所に設置していただいていますか。
山田さん:屋内には「QBiC CC-2L」、屋外には「AXIS M2025-LE」と場所に合わせて適したカメラを選択しています。
──特によく使う機能はありますか。
山田さん:私は管理者なのでマネージャーツールのSafie Managerをよく使っています。現在導入している300台程度のカメラもラクに管理できるので助かっていますね。
現場ではムービークリップ機能がよく使われています。防犯対策や警察への協力で、日時を指定して映像を残すのに便利です。
──レジ混雑緩和以外では、どのようにカメラを活用されているのでしょうか。
山田さん:POSデータからはわからないデータを知るために使っています。例えば園芸コーナーやペットコーナーにどんなお客様が来られたかを知りたくても、レジのPOSデータからは購買記録しかわかりません。「来店されたお客様」と「購入いただいたお客様」の差を埋めるために、カメラというソリューションは有効活用できると考えました。
──POSデータからはわからないお客様の情報について、映像を見返して発見できることがあるのでしょうか。
松木さん:はい。「どんなお客様が何を購入したか」「お客様がどんな様子だったか」を映像で振り返ることで、新たな気づきを得られることもあります。
例えば姪浜店には職人さんはあまり来られないのですが、職人さんが使うような高額商品が突然売れることが時々あります。そんなときはその購買情報をジャーナルデータ(レジで取得したPOSデータを集約したもの)で確認し、商品が売れた時間帯の映像を見て、どんな方が買っていかれたかを確認します。さらに接客したスタッフにヒアリングをすると、「こういう商品があれば良いと言っていた」などの情報を得られることもあり、よりご満足いただけるような品揃えを考えるヒントにもなります。
また、映像からお客様の服装を見て「ツナギを着ているから職人さんかな」「スーツなのでサラリーマンの方かな」といったことまで推測できます。もし、ごく普通の服装の方が発電機を買っていたら、どんな用途で買ったのかとレジ担当者に確認するわけです。「イベントのために買った」などの会話が交わされていれば、そういう需要もあるという気づきが得られる。Safieカメラがなかったらそういった発見もできなかったと思います。
売場作り、店内環境の整備にSafieカメラをフル活用
──リアルタイムではどのようにSafieカメラを活用されていらっしゃいますか。
山田さん:複数店舗を統括するエリアマネージャーは管轄する店舗の状況をアプリで見ていますし、バイヤーも移動時間等で日常的に店舗の様子を確認しています。
Safieカメラを売り場に入れている店舗では、特に新商品を入れたときや商品の陳列を変更したときに、お客様の反応を映像で確認しています。
松木さん:店舗運営においても、さまざまなシーンでカメラを活用しています。例えば店頭でお客様からのお呼び出しボタンが押されるとインカムでスタッフに伝えられるのですが、カメラ導入前はスタッフがなかなか来ずにクレームにつながることがありました。今ではお客様のところにスタッフが出向いたかを映像で確認でき、行っていなければすぐに私から指示を出せます。お客様がその場から離れてしまっている場合は、私がカメラを確認しながら、「このあたりにお客様がいます」「こんな服装をしています」と知らせることもできます。
松木さん:TableauのデータとSafieカメラを確認しながら、リアルタイムで売場作りに反映させることもあります。先日、台風が接近しているときにTableauで全店舗の売上を確認すると、他店舗では養生テープが売れているのに、姪浜店では売上が伸びていないといったことがありました。そこでカメラで売場を確認すると、台風対策コーナーが作られていないことがわかったため、すぐにコーナーを作るよう担当者に指示を出しました。
こうしたニュースや気象の影響を受けて、瞬間的にニーズが高まる商品の品出しや売場作りにもカメラは大変役に立っていますね。
松木さん:また、商品サイズが小さいものは万引きが起こりやすいので、万引きによるロスが多い商品が陳列されている場所には防犯対策でカメラを活用しています。
──姪浜店では現在30台ほどのカメラを設置していただいていますが、見たいところは網羅できていますか。
松木さん:正直なところ、もっとたくさんあれば売場の維持管理がよりスムーズにできると感じています。例えば観葉植物売場はジャングルをイメージして作っているのですが、そのボリュームをキープするのは簡単ではありません。植物売場に複数台カメラがあれば、いろいろな角度から見え方を確認できて売場作りに活かせると思います。
また、春には植物がかなり売れるので、いちばん売れやすい場所に商品が補充されていないといった状況も発生します。空きができている場所をカメラで確認できれば、すばやく補充できますし、売場イメージを下げずに済みますよね。
──Safieカメラを活用したことで業務改善に結びついた例があれば教えてください。
松木さん:先ほども触れましたが、レジのオペレーションが大きく改善されました。以前はピークタイムである11時台からの2時間と、15時台からの2時間は常に3台のレジを稼働させていました。カメラ導入後は基本的にレジ稼働数を2台とし、映像を確認しながら混んできたら稼働台数を増やしたり、余裕があればレジスタッフが他の作業をしたりと柔軟に対応できています。
エンド(メイン通路に面している陳列棚の端)の状況確認にも役立っています。エンドは目につきやすく売上も発生しやすい場所なので、ここでの機会損失は避けたいわけです。直接売場に行かなくても素早くエンドの状況をチェックできて、こまめに手直しの指示を出せるのは大きいですね。
接客面では、リフォームの洗面台コーナーで10分くらい悩まれているお客様に映像で気づき、スタッフに指示を出してお声掛けした結果、工事のご成約につながった例もありました。
Safieカメラを活用してより良い店舗文化や新サービスを作っていきたい
──今後、Safieカメラを使って試してみたいことや実現したいことはありますか?
山田さん:お客様との双方向コミュニケーションにもっとカメラを活用していきたいですね。具体的には、カメラを活用した遠隔での接客やワークショップが考えられると思います。
グッデイには園芸のエキスパートもいるので、カメラを活用しながらスタッフが全店舗で活躍できればいいなと。お客様のいらっしゃる店舗とエキスパートスタッフを精度の良い大画面カメラでつなげば、お客様側のカメラからスタッフの手元を確認でき、工具の使い方や寄せ植えの方法などもレクチャーできますよね。お互いがその場にいるような距離感であれば、質問にもお答えしやすいと思います。オンラインでありつつも、リアルを感じられる体験をお客様に提供していきたいです。
松木さん:姪浜店は新しい店舗で、スタッフの育成も含めこれから良い文化を作っていくことが重要です。Safieカメラの導入で、店長業務は大きく変わりました。業務効率化で新しく生み出された時間を活用して、従業員教育やきめ細かいフォローを行っていきたいと考えています。
お話を伺った方
嘉穂無線ホールディングス株式会社
システム部 山田智也さん
株式会社グッデイ
姪浜店店長 松木要治さん