AIカメラ「Safie One」の分析データがもたらす接遇改善や店舗運営の効率化

貧困や環境問題といった様々な社会問題の解決に取り組んでいる「ボーダレス・ジャパン」。同グループで、バングラディシュの貧困解決のため革製品の製造・販売のビジネスを行っている「BUSINESS LEATHER FACTORY」。今回、八重洲店においてSafie Oneをテスト導入いただきましたので、使用感と今後の可能性などについてお話を伺いました。

(取材:2022年9月)

導入目的

  • POSデータではわからない来店者数や入店率の計測のため
  • 接客の向上や業務効率化のため
  • 店舗設計や商品陳列の最適化のため

導入した結果

  • 来店者数や店前通行者数に対する入店率が確認できた
  • 店内のエリアごとの滞留状況がわかった
  • 映像を接客向上のための教育に活用できた
  • 映像と音声で店舗のリアルを把握できた

「ボーダレス・ジャパン」は、貧困、差別・偏見、環境問題など様々な分野の社会問題を解決するソーシャルビジネスに挑まれています。また、同社は社会起業家が集い、ノウハウ、資金などを共有し、社会ソリューションを世界中に広げていくことで、より大きな社会のインパクトを共創する「社会起業家の共同体」でもあります。

同グループで、バングラディシュの貧困問題解決の1つとして、革製品の製造・販売ビジネスを展開している「BUSINESS LEATHER FACTORY」。今回、直営店舗の1つである八重洲店にエッジAIを搭載したクラウドカメラ「Safie One(セーフィー ワン)」をテスト導入していただきました。

データ分析を含めた使用感や今後の可能性ついて、店舗設計ディレクターの加藤さんに、データ分析を担当したSafie Oneビジネスオーナー日座さんを交えて伺いました。

バングラディシュの貧困解決のため、現地工場で製作した革製品を日本で販売

──BUSINESS LEATHER FACTORYのビジネスや、加藤さんのお仕事について教えてください。

加藤さん:ボーダレス・ジャパンは「社会問題を解決したい」という理念のもと、様々なソーシャルビジネスを展開しています。貧困問題や耕作放棄地問題、フードロス、自然エネルギーといった分野から、社会起業家の育成、教育事業、さらにはミャンマーで農業も展開しています。私が所属する「BUSINESS LEATHER FACTORY」はその中の1社で、バングラディシュで製造した革製品を、日本国内で販売するというビジネスを行っています。

バングラディシュは、世界の最貧困国ともいわれているほどで、失業率も高く、児童労働や教育の問題も抱えています。そんなバングラディシュの状況をなんとかしたいというところから私たちの事業は始まりました。

バングラディシュで作られた製品は、インターネットのほか、日本国内の直営16店舗、ポップアップショップなどで販売しています。

私の仕事を一言でいうと、「BUSINESS LEATHER FACTORY」のお店のハードもソフトも整える役割といったところでしょうか。新店をオープンする際のお店づくりや、店舗の運営管理といったお店に関わる業務と、スタッフの採用や研修、従業員の悩み相談といった人に関わる部分を担当しています。

手探りで行ってきた店舗運営。店舗の実情を客観的に把握したかった

──今回、Safie Oneをテスト導入していただくきっかけについて教えてください。

加藤さん:私たちは、元々小売りのノウハウがあった企業ではなく、バングラディシュ製の革製品を売りたいというプロダクトアウトの発送からスタートしました。1号店を作るときは、「何からすればいいの?」「製品の発注のタイミングは?」「棚卸ってどうやるの?」というような手探り状態から始まり、仕組みづくりよりも、まずは出店ありきで進めてきた部分があります。

そのため、店舗運営は店長をはじめとしたスタッフの経験などに依るところが多く、POSデータ以外の、例えば入店数のカウントや、店前を通る人のカウントといった客観的データを持っていません。

直営店も16店に増えた今、よりよい店舗運営のためには、店舗の状況をしっかりとカメラ映像やデータで把握したいという思いをもっていたところ、セーフィーさんからSafie Oneのテストのお話をいただいたのです。

──Safie Oneのテスト導入には、どのような狙いがあったのでしょうか?

把握したいことは、主に2つありました。1つ目は接客面の向上や業務効率化での活用です。接客の様子を映像で確認することで、スタッフが把握しきれていなかったお客様の動線や、効率化できる業務が発見できたり、上手な接客がわかるかもしれません。また、曜日や時間ごとの来店者数が把握できれば、スタッフのシフトなども適正化できると考えました

もう1つは、店舗設計への活用です。どの什器の前にお客様が滞在されているかがわかれば、店舗設計や商品陳列に役立てることができます。

映像やデータで、店舗の実力を客観的に把握できれば、売り上げの良い店舗のノウハウをほかの店舗に活かせるのではないかと思ったのです。

1日に何度も訪れるお客様も。データ分析でわかった購入率の高さ

──Safie Oneを設置しデータを分析した結果、わかったことについて教えてください

日座:今回、Safie Oneを設置させていただいたのは八重洲の店舗でした。来客数も多く売り上げも良い店舗と伺っていたので、人が行き交うことの多い八重洲という土地柄ならではの、不特定多数の方が訪れる店舗なのだろうと予想していました。

しかし実際に分析をしてみると、当初予想と少し違うことがわかったのです。まずはじめに、店前交通量と来店率に逆相関の傾向がありました。店前交通量が多い平日ではなく、交通量の少ない週末のほうが、来店率が高かったのです。

また、面白い傾向も見つかりました。それは、1日に同じお客様が何度も来店されるケースが多いということです。来店者のピークはお昼と夕方なのですが、お昼にいらっしゃったお客様が、夕方再び訪れているのです。さらに、購入率の高さも驚きでした。来店者数に対し、約3割が購入されているというとても高い購入率でした。

八重洲店の特徴として、目的をもってご来店される方が多いのではないかと推測されます。一度目の来店で商品を見たり触れたりしたあと、しっかり吟味された上で、ご購入されている方も多いのではないかと思います。

店舗のリアルな接客を認知。他の店舗の接客向上への活用に期待

──このような分析結果を受けて、どのようにお感じになりましたか?

加藤さん:これまで、店長をはじめとするスタッフの肌感覚で掴んでいた傾向が、数字ではっきりわかったことは、自信になったと感じています。

また、映像で八重洲店のリアルな接客の様子を掴めたことは、とても大きいと感じました。実際、映像の一部を他の店舗のスタッフに見せ、接客の向上につなげたこともあります。「こう行動をすればいいんだ」とよい気づきになったようです。

一方で、ディスプレイの改善による滞留率の変化については、もう少し検証が必要だと感じました。データをもとにディスプレイ什器や商品の陳列方法を変更し、再度取得したデータを分析すれば、店舗設計や商品陳列の改善に役立てることができると思います。

──今後のSafie Oneの活用の可能性について教えてください

加藤さん:まずは、接客技術の向上に役立てられると感じています。Safie Oneの映像と音声によるリアルな接客が把握できたことで、店舗の無自覚だった部分を気づくことができました。

また、これまで、接客の研修などはロールプレイングで行ってきましたが、映像はそのまま教材として利用することができ、好成績な店舗のノウハウや、クリスマスなどの繁忙期の接客を他の店舗に横展開できるようになると思います。

交通量や来客数といったデータは「スタッフは少ないのに売り上げが高い」といった、店舗の実情が把握でき、人員配置の最適化に活用できると思います。また、新店舗開発の際のデータの裏付けにもなると考えます。

Safie Oneは、店舗の接客の向上や運営の効率化に役立つものだと感じました。

お話を伺った方

株式会社ボーダレス・ジャパン
BUSINESS LEATHER FACTORY
店舗設計ディレクター/採用人事
加藤 千穂さん


セーフィー株式会社
第1ビジネスユニット 営業部 カスタマーサクセス&コンサルティンググループ
Safie Oneビジネスオーナー
日座 正和