倉庫のセキュリティ課題と対策3選。カメラを使った事例と効果も

倉庫のセキュリティ課題と対策3選。カメラを使った事例と効果も

2021年に日立物流の倉庫で起きた放火事件では、損害額80億円という甚大な被害が報じられ、物流関係者にとどまらず広く世間の耳目を集めました。こうした大規模な事件に至らずとも、日頃から盗難などの被害に遭いやすい倉庫では、様々なリスクに備えたセキュリティ対策が求められていると言えます。

一方で、物流業界では、時間外労働の上限規制における猶予期間終了によって、利益の減少などが予想される「2024年問題」が間近に迫っています。これにより経営状態の悪化が見込まれる中、できるだけ安価で効果的なセキュリティ対策を求めている企業も多いでしょう。

そこで、この記事では、まず倉庫で対策が求められる主なセキュリティ課題を概観し、そうした課題に有効な3種類のセキュリティ対策を解説します。その上で、安価で導入しやすいクラウドカメラを使った倉庫セキュリティの事例として、モノタロウ様の倉庫管理の実例をご紹介します。倉庫の安全対策や倉庫DXを進める上で、ぜひ参考にしてください。

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倉庫のセキュリティのために対策が求められる安全上の課題

倉庫

冒頭で紹介したように、倉庫は盗難や放火など、実に多様なリスクに晒されています。

多くの倉庫は繁華街や住宅地から離れた人気の少ない場所にある上、高価なものが保管されています。さらに、敷地が広く死角も多いことに加え、人や物の出入りが多いためにゲートが開いたままになっていることもあり、頻繁に盗難のターゲットとなっています。

こうした金銭目的の盗難は主に外部からの侵入者によるものですが、日立物流の放火事件では、火を点けたのは倉庫で働いていた派遣社員でした。このように、倉庫で働いている人物や出入り業者が窃盗や不正行為を行う場合もあるため、倉庫では外部からの侵入に備えるだけでなく、内部で起こりうる事案への対策も必須です。

また、倉庫内の事務所やサーバールームには、従業員の個人情報や企業の機密情報が保管されていることが多いため、情報漏えいなど、データ管理に関わる課題も見過ごせません。サイバー攻撃など外部からのリスクに備えるだけでなく、従業員が故意や過失によって情報を漏えいしてしまうリスクにも、十分な対策が求められるでしょう。

倉庫の必須セキュリティ対策3選:防犯カメラや入退室管理、教育

それでは、倉庫で求められるこのような安全上の課題に対して、どのようなセキュリティ対策が有効なのでしょうか。

警備会社の駆けつけサービスを利用している企業も多いかもしれませんが、こうしたサービスでは、事件の発生から対応までにどうしてもタイムラグが生じます。侵入盗に慣れた犯人であれば、警備会社職員が到着する前に犯行を終えて逃げおおせることができますし、そもそも倉庫内での関係者の犯行や情報セキュリティに対しては効果がありません。したがって、こうした駆けつけ警備とは別の、自前のセキュリティ対策が必須と言えます。

ここからは、倉庫でまず検討したい3種類のセキュリティ対策を挙げ、それぞれを詳しく解説していきます。

対策1:防犯カメラ

ライティングレールに設置した防犯カメラ

倉庫で有効な基本のセキュリティ対策として、真っ先に挙げられるのが防犯カメラです。

防犯カメラを敷地の外側と倉庫内部の両方に設置すれば、外部からの侵入盗だけでなく、関係者による倉庫内での犯行や不正にも速やかに対応することができます。敷地外に防犯カメラを設置すれば、侵入者を威嚇する効果も得られますので、盗難のターゲットにされてしまうリスクを下げることができるでしょう。一方で、万一侵入されてしまった場合や、出入り業者を含む関係者による犯行に備えるために、倉庫内部の各所にも防犯カメラが必要です。

なお、カメラは一度設置すれば十分というわけではなく、倉庫内のレイアウトが変わった場合には、高価な物が置かれている区画や死角にしっかりと目が届くよう、カメラの場所も再考する必要が出てきます。その意味では、配線が複雑な大型のカメラではなく、移動しやすい作りのカメラを選んでおくのが良さそうです。

さらに、倉庫では放火によるものも含めて火災が発生するリスクがありますが、従来型のハードディスク型の防犯カメラだと、火災でデータごと焼失してしまう可能性があります。カメラの録画映像は事故の原因究明に役立つ重要なデータでもありますので、カメラ自体が燃えてしまってもデータが無くならない、クラウド型のカメラが安心です。

対策2:情報セキュリティ対策

情報セキュリティ

倉庫内の人の動きはカメラでおおよそ捕捉できますが、場所によって人の出入りを制限することができれば、さらに安全上のリスクを減らすことができます。倉庫自体の出入り口のほか、事務所やサーバールームの出入り口などで、入室できる人を絞った入退室管理を行うと良いでしょう。特に、指紋認証、あるいはカメラを使った顔認証など、生体認証に基づく入退室管理システムを導入すれば、本人以外が不正に侵入することができないため、安全性が高いと言えます。

事務所やサーバールームなどの情報セキュリティ対策としては、入退室制限だけでなく、端末の利用制限などもあわせて検討したいところです。指紋認証機能が付いたパソコンを使って起動できる人を制限する、あるいはパソコンのUSBポートが外部のUSBメモリに反応しないよう制限をかけるなど、情報の持ち出しを防ぐ対策を講じましょう。

また、パソコンにはウイルス対策ソフトが必須ですが、その他にも、許可されていないアプリケーションの使用を防ぐアプリケーションコントロールの利用なども検討すると良さそうです。

このように、情報セキュリティ対策では、まずは入室管理、次に情報端末を操作できる従業員の制限を行った上で、端末を操作する従業員が中のデータを危険に晒すことを防ぐための対策を行うというように、段階的に多様な対策を組み合わせる必要があります。

対策3:人材教育を含む安全管理体制の整備

倉庫の管理をしている人

防犯カメラや情報セキュリティ対策の解説からもお分かりいただけるとおり、どのようなセキュリティ対策も、最終的には人の行動を制限することに行き着きます。その意味では、従業員一人ひとりに危機感を持ってセキュリティ対策に貢献してもらえるよう、教育や研修を行って安全管理への意識を高めることも必須と言えるでしょう。

特に、従業員の悪気のないちょっとした行動やありがちな不注意がリスクにつながってしまうことも十分にありえるため、具体的にどんな行動がどんな安全上のリスクを引き起こしうるのかを伝え、自分の行動が工場や企業全体のセキュリティに関わるという認識をしっかりと持ってもらう必要がありそうです。

また、万一倉庫に誰かが侵入し、盗難の被害に遭った場合や、関係者による不正が行われた場合、あるいは重要な情報が漏えいしてしまった場合など、問題が起きてしまった時の対応を決めておくことも重要です。トラブルの種類に応じて確認すべき事項をリストアップし、誰から誰に連絡するのかを決めて緊急連絡先もまとめるなど、もしもの時に即座に適切な行動が取れるよう、マニュアルや安全管理体制を整備しておくことが重要です。

カメラを使ったモノタロウ様の倉庫セキュリティ|防災やDX効果も

倉庫セキュリティでまず検討したい方策の1つが防犯カメラの導入ですが、実は、カメラを使えば、防犯だけでなく防災やDXの効果も実現できます。そこで、この記事の締めくくりとして、製造や物流、工事現場などで使うあらゆる商品を扱うネットストア「モノタロウ」様の倉庫での、実際のカメラ活用事例を詳しくご紹介します。

モノタロウ様の倉庫

約1,000万点の商品を扱うモノタロウ様の倉庫は、延床面積約13,000坪と、東京ドームにほぼ匹敵する広大な倉庫です。大手警備会社や防犯カメラのメーカーを比較し、厳密にコストや利便性を評価した上で、セーフィーのクラウドカメラの導入が決まりました。今では、倉庫全体で実に100台以上のカメラが設置されています。

例えば、倉庫のエントランスや個人情報を扱う拠点、危険物を取り扱う倉庫では、カメラで人の出入りを確認しています。クラウドカメラを使えば、問題が発生した時にカメラ映像を介してリアルタイムで現場の状況を把握できるため、侵入や関係者の不正行為に迅速に気付き、対応することができます。

このように、クラウドカメラは倉庫の安全管理ツールとしても十分に効果を発揮しますが、モノタロウ様ではそれ以上に、広大な倉庫での業務改善を期待してカメラを導入したといいます。

モノタロウ様の物流センター管理本部では、全社員が倉庫内のカメラ映像を見られるようになっています。広大な倉庫を複数持つモノタロウ様では、カメラ映像で倉庫内の状況を確認することで、現場に行く手間を省きつつ、管理本部の全員で課題解決にあたっているのだといいます。

具体的な業務改善の例として、倉庫内の出庫拠点でカメラが日々役立てられています。出庫拠点では、サイズが大きく自動梱包できない商品を手作業で梱包しますが、注文が多い日は荷物がいっぱいになってしまうそう。荷物が滞留してしまうとお客様へのお届けが遅れてしまうため、そのようなことが起きないように、カメラで状況を確認して管理しているといいます。映像で状況を把握し、必要があれば倉庫の現場担当とすぐに連絡を取って応援人員を送るなど、カメラのおかげで柔軟な対応が可能となっています。

このようなモノタロウ様の事例は、倉庫のセキュリティ強化だけではなく、各業界で広がっているDXの流れに乗った「倉庫DX」も同時に実現する、カメラ活用の好例と言えるでしょう。ご担当者様が「カメラの数を倍以上に増やしたい」と語っているように、カメラの数が多いほど高い効果を期待できますが、まずは出入り口や高価な機器があるエリアなど、優先度の高い場所に少数のカメラを導入することから始めるのも良いでしょう。

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終わりに

昨今の倉庫は、外部からの侵入だけでなく、関係者による倉庫内での不正や情報漏えいなど、多様なリスクに自前で備える必要に迫られています。この記事では、想定される主要なセキュリティ課題に対して、防犯カメラ、情報セキュリティ対策、そして人材教育を含む安全管理体制の整備という、3種類のセキュリティ対策が望まれることを解説しました。

実際の倉庫セキュリティの事例として、クラウドカメラを使ったモノタロウ様の倉庫管理を詳しくご紹介しましたが、この事例に見られるように、カメラがもたらす効果は防犯だけにとどまりません。クラウドカメラを使って倉庫のDXを進めれば、コストを抑えながら、セキュリティ強化だけでなく防災や業務効率化も実現することができます。

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