大正区のまちづくりを牽引する「タグボート大正」で
集客人数の計測から、河川の見守りまでSafieカメラをフルに活用
株式会社RETOWN岡野正太郎×セーフィーCEO佐渡島隆平 対談

「食」を中心として、「飲食業の運営」に留まらず、「まちづくり」事業、「飲食人材のキャリア育成」事業など、多岐に渡るビジネスを展開している、株式会社RETOWN。
同社が手掛ける「タグボート大正」では、Safie対応カメラをご導入いただいています。

(取材:2020年10月)

導入の決め手

  • カメラで来場人数カウントをしたかったので、その条件に適合する製品があった
  • 映像がパソコンやスマートフォンで確認でき、便利だった
  • 今後、さまざまなシーンで活用できそうだった

導入目的

  • 来場者数の人数カウント
  • 館内の状況確認
  • 河川の水位状況の確認

導入した結果

  • 来客人数のカウントを自動で行えている
  • 来客人数データを、大正区やテナントに提供している
  • 館内の様子を遠隔で確認できている
  • 河川状況を外部からも確認できている

2020年1月、大阪府大正区を流れる尻無川の水辺空間に、街づくりを牽引する役割を期待された複合施設「タグボート大正」がオープンしました。
「タグボート大正」はフードホール、台船レストランなどの飲食店とライブステージ、リバークルーズの川の駅が、集結。
今後、水上ホテルやワークショップ・物販エリアなども計画される注目の施設です。
「タグボート大正」での、Safieカメラの活用について、運営会社である株式会社RETOWN 執行役員 社長室 室長 岡野正太郎さんと、広報戦略室 大城こなみさんにお話を伺いました。

「食」をキーワードとして、大正区の魅力を活用し、恒常的賑わいを創出する場をつくる

佐渡島: いつもありがとうございます。まずは御社のビジネスについて教えてください。

岡野さん: 当社は、2004年に創業、飲食店の立ち上げを皮切りに、現在「食」をキーワードとして、フランチャイズも含めた「飲食業の運営」ビジネス、飲食店で働く職人を育てる「飲食人大学」の運営や、人材の紹介といった「飲食人材キャリア」ビジネスを行っています。
さらに、社名の「RE (再生)」「TOWN(まち)」につながる、行政と一緒になって施設やエリア、産地などがもっているポテンシャルを活かし新しい価値をつくる「まちづくり」ビジネスを行っています。
この「タグボート大正」は、まちづくりビジネスの1つとして、計画段階から当社が取り組んでいる事業です。

佐渡島: この「タグボート大正」について教えてください。

岡野さん: まず、この場所である大正区についてお話させていただきます。
大正区は大阪24区のなかでも最小の人口で、さらには近年、人口減少が大きい区の1つです。
一方で、大阪の中心地であるキタやミナミからも10分程度とアクセス良好であるにも関わらず、実は「地価が日本で最も割安」だというデータがある区なのです。

実は、すぐ近くに京セラ大阪ドームがあり、年間約500万人もの人が訪れ、多くの人が大正駅を利用するものの、若い世代の受け皿となる飲食店が少ない。
コンサートやイベントで訪れた人がそのまま素通りしてしまい、大正区にお金が落ちないという状況がありました。
いわば、ポテンシャルはあるものの、それを活かしきれていない区だったのです。

そのような中、大正区が恒常的な賑わいを創出できないかと、尻無川の河川広場を特区としての利用を申請しました。
それが認められ「Taisho リバービレッジ」という実証実験が行われたのです。
その後、この河川敷の活用が事業化されることとなったタイミングで、当社が手を挙げさせていただき、平成31年に大正区と包括連携協定を結び、このプロジェクトがスタートしました。

佐渡島: 大正区と御社が手を取り合い、大正区を活性化させようというプロジェクトなのですね。

岡野さん: そのとおりです。 現在この「タグボート大正」にはRETOWNの直営店が2店舗、残り14店舗はテナントとして入っていただいているお店で構成されています。 「大正区や大阪を盛り上げる」ために、地元や大正区、さらには大阪市内で頑張っておられる、大手さんではない「街の美味しいごはん屋さん」にご入居いただくというスタイルにこだわっています。

また、この建物も大手ゼネコンに一括発注するのではなく、分離発注で、地元業者を含む60社以上のご協力をいただきました。
内装も地元のアーティストとコラボして創り上げています。

工事会社の取りまとめや管理には手間がかかるものの、地元と一緒に作り上げた施設は、地元に愛される施設であると思いますし、「つくるが交わる」というこの施設のコンセプトを体現することにもなりました。

佐渡島: 「タグボート大正」には、様々なタイプの個性的なテナントさんが入っているなあと感じていますが、テナント運営で工夫されていることはありますか?

大城さん: 主体的で個性的なテナントさんが多いですね。
どんどん自分たちで新店舗を出されたり、各地でイベントを開催されている方など、多種多様なテナントさんに集まっていただいています。
テナント運営でも「つくるが交わる」というコンセプトに基づいて、運営コストを抑えながら、できることは皆さんで一緒にやっていくスタイルです。
清掃なども業者を入れずに皆さんでやっていただいていますし、営業中の見回りもRETOWNの直営店舗のスタッフとテナントの皆さんで一緒に行っています。

イベントをするにしても、皆さん積極的に企画から携わっていただいています。
我々としても心強いメンバーが揃っているなあと思っています。

オープン前から月に1度、各テナントが集まり「定例会」を開いて、皆さんで顔を合わせながら「つくるが交わる」を実践していたことも、今の雰囲気づくりに役立ったのかもしれません。

佐渡島: ここはテナントとして入っていただくというよりは、商店街であり、町内会といった感じで、みんな街の仲間といった感覚なんですね。

岡野さん: その通りですね。

集客人数の計測、遠隔での店舗見守り、河川水位の確認までカメラを活用

佐渡島: 現在「タグボート大正」では、どのようにSafieのカメラをご活用いただいているのでしょうか?

岡野さん: まず1つめが、来場者数を計測するための利用です。
入り口付近と、フードホールに2台設置してカウントしています。
各店舗のPOSレジでは人数のカウントは難しいと悩んでいたときに、Safieのカメラで自動計測してもらうという提案を受け、導入を決めました。

「タグボート大正」は、「賑わいを創出します」とお約束してスタートしておりますので、毎月どれだけの来場者があったか、大正区への報告のために利用しています。
行政としては、売上だけではなく集客人数を把握したいとのことでした。

またテナントさんからも、お店の売上に関係なく、施設として何人来場したかも知りたいと要望があります。
Safieのカメラで集めた情報をCSV形式でダウンロードして、簡単に日別・月別・曜日別といった形で整形し、資料として提供させていただいています。

佐渡島: POSレジのデータでは不十分だったのですか?

岡野さん: テナントさんが持っているPOSのデータは、レジを通した数になります。
そうすると、5人で来場されてもお会計をされた場合は1となったり、1人が何回かご購入されたりすると、正確な人数とはならないですよね。
また、ここを訪れただけで、ご飲食されなかった方というのもカウントできません。
訪れていただいただけでも「賑わいを創出していただいた方」なんです。

そこで、来場者については独立してセーフィーさんのカメラで、正確に把握していこうと。
そのデータを売上や客単価と照らし合わせ、戦略を立てるためのレポートとしてご活用いただいています。

2つめの使い方は、安心、安全のための活用です。
「タグボート大正」には、RETOWNの社員が常駐しているわけではありません。
直営飲食店のスタッフはいるものの、施設管理のスタッフではありませんので、基本的に本部スタッフが定期的に巡回するような形になります。
それを補うためにセーフィーさんのカメラで状況を確認しています。
パソコンやスマートフォンで確認できるので、社内にいても他の店舗からでも状況を把握でき、便利に使わせていただいています。

もう1台は、すぐ側の尻無川の水位を監視するために設置しています。
台風が近づいている夜間に、河川の水位を確認するのに役立ちました。
ここは河川敷で、災害時には浸水という危険と隣合わせです。とはいえ風雨の中、人が状況を把握し続けるのは困難ですので、遠隔から状況を確認できることは、とても心強いです。

大阪万博やIRを見据え、更なる大正区の賑わいの創出のために、マーケティングでの活用も視野に入れて

佐渡島: 今後、Safieのカメラをこう活用していきたい、といった展望がございましたら教えてください。

岡野さん: 「タグボート大正」は今後、二期、三期計画として水上ホテルやものづくりワークショップ、物販、オフィスが並ぶ施設などが増えていく予定です。
また、船でのアクセスも充実させ、USJや夢洲などへのクルーズや定期航路も増えていきます。

その際、単純な人数のカウントだけでなく、どの施設を利用しているのか、その人の性別年齢層といった、属性データをもっと活用できるようにしたいですね。

またすぐそばにある、イベント時に京セラ大阪ドームへとつながる橋の通行人のうち、どれだけの人が「TUGBOAT_TAISHO」に入っていただいているかというデータが集められれば、「今度のイベントのときには、お客様がこれだけ増えそうだから、仕入れを増やしておくと良いですよ」と、テナントへアドバイスすることもできるかもしれません。
そういったマーケティングにも活用できたらと思っています。
今後大阪には、大阪万博やIRなど、人が多く集まるチャンスがあります。
そのような中で、「TUGBOAT_TAISHO」を中心に、大正区の賑わい創出にセーフィーさんのカメラを有効活用していきたいと考えています。

※本記事に掲載している企業情報、所属及びインタビュー内容は、2020年10月公開当時のものです。

お話を伺った方

株式会社RETOWN 執行役員 社長室 室長 岡野正太郎さん 広報戦略室 大城こなみさん