大規模漏水時のリアルタイムな状況把握で迅速対応が可能に
点検業務や若手の教育まで、水道DXを推進
名張市で水道インフラを提供している名張市上下水道部。なかでも、水の供給に関わる重要な役割を担っている水道工務室では、大規模漏水時の復旧現場の確認・共有などに「Safie Pocket2 Plus」をご活用いただいており、迅速な状況判断や復旧に役立てていらっしゃいます。
(取材:2024年3月)
導入の決め手
- 本体のみで撮影や通信が可能で、遠隔から映像を確認できる
- 撮影までの操作が簡単で動作も早い
- 検証機を借りて使った際の使い勝手が良かった
- 費用対効果が良かった
導入目的
- 大規模漏水時の現場の状況をリアルタイムで把握したい
- 現場とのやりとりを電話頼みの状況から改善したい
- 水道DXを推進し、業務効率化に繋げたい
導入した結果
- 大規模漏水時にリアルタイムで現場を把握、迅速な判断が可能に
- 現場作業者が復旧作業に集中でき、早期の復旧に貢献
- 工事現場の対応協議を遠隔で行い、作業の待ち時間が短縮
- 水管橋の点検において、目視では見えない箇所を映像で確認
- 経験が必要な漏水箇所の調査業務で、ベテランが若手を遠隔支援
INDEX
人々の生活や、事業活動に欠かすことのできないライフラインの1つ、水道インフラ。名張市上下水道部では、市内の約3.5万世帯、3千事業所に水道インフラを提供しています。なかでも、水の供給を担う水道管(管路)の管理担当されているのが上下水道部水道工務室です。水道工務室では、1台の「Safie Pocket2 Plus(セーフィー ポケットツー プラス)」を、大規模漏水時の現場の状況把握をはじめ、日々の水道管更新工事における工事業者との協議、水管橋の点検業務、漏水調査時の遠隔アドバイス、知の共有など、さまざまな用途でご活用いただいております。
具体的な活用法などについて、水道工務室の岩本さん、澤さんにお話を伺いました。
現場の状況をリアルタイムに把握できないまま
突発的な大規模漏水に対応していた
――はじめに、お2人が所属されている水道工務室のお仕事について教えていただけますか?
岩本さん:私たちは主に、住宅や事業所に水を供給するための水道管(管路)を管理する業務を担当しています。名張市内には、約600㎞の水道管が敷設されています。その管路を維持管理したり、交換したり、漏水時の復旧を行ったりするのが主な仕事です。名張市は昭和40年代から50年代にかけて、大阪のベッドタウンとして人気となり、昭和56年には人口増加率が日本一になったこともあります。住宅の増加にともなってその頃に敷設された水道管が、ここ数年で更新時期を迎えつつあり、計画的に更新工事を進めているところです。
――ウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2 Plus」をご活用いただいておりますが、導入の背景について教えてください。
澤さん:私たち水道工務室の使命は、市民の皆さんに対して安定した水の供給を守ることにあります。なかでも、断水を伴う大規模漏水は影響範囲が広いため、いち早い復旧が求められることはもちろん、市民の皆さんに対して適切に情報発信を行うなど、復旧作業以外の関連業務も多く発生いたします。
一方で、水道工務室は全7名と人員が少ないため、大規模漏水の際は部署の垣根を超えて複数の対応班を組織して対応を行います。しかしこれまでは、現場の状況をリアルタイムに正しく把握することができず、各班の行動調整が上手くいかないことがありました。また、市民の皆さんからの問い合わせにも、正しい情報を出せず対応に苦慮している状況がありました。そのため、現場の状況をリアルタイムに把握するカメラを導入したいと思ったことがきっかけです。
岩本さん:近年、自治体の業務においても「DXの推進」が叫ばれるようになってきています。水道工務室は若手のメンバーも含めて7名という少ない人員で多くの業務を回しているため、ITツールを活用した業務効率化の必要性を感じていました。上下水道部としても、現場とのやりとりを電話だけという状況から改善しようという方針であったことも後押しになりました。
――カメラの選定については、どのようなご検討をされたのでしょうか?
澤さん:全国の自治体の上水道関係者が参加するWEB会議にて、松本市でセーフィーさんの製品を活用しているという話を聞き、興味を持っていました。当時は内蔵バッテリーの連続使用可能時間がネックになりすぐには導入検討に至らなかったのですが、その後参加した建設事業者のウェビナーで、「Safie Pocket2 Plus」の発売と、モバイルバッテリーでの給電ができるようになったことを知りました。そこで検証機をお借りしたら、とても使い勝手が良かったんです。
岩本さん:検証機をお借りしているときに、たまたま偶然大規模漏水が発生したんです。それで、現場に持って行ったのですが「よく見えてるやん」と好評でした。
澤さん:操作も直感的でわかりやすく、スマートフォンでも確認できるので便利でした。実は、セーフィーさん以外にも複数の製品を検討しましたが、カメラと別に通信機器などが必要なものも多く、「Safie Pocket2 Plus」であれば本体のみで撮影も通信も可能なのが決め手になり、1か月で導入を決めました。
――カメラ導入にあたり、費用対効果などもご検討されましたでしょうか?
澤さん:漏水の現場では、道路に水が溢れているところの真下が漏水の発生箇所とは限らず、数m先の管の破損が原因ということが多々あります。電話の情報だけで判断すると、掘ってみたら漏水場所が違ったということも度々あり、大きなロスになっていました。「Safie Pocket2 Plus」を使うことで、正しい漏水箇所を見つけられるのであれば、費用対効果は高いと感じています。
また、漏水対応以外にもさまざまな用途で積極的に使い倒していきたいという想いがあります。映像を見ながら指示をもらえることで、「判断が早くなる」「待ち時間が少なくなる」ひいては「現場が早く終わる」ということがメリットに感じてもらえれば、活用も進むと思っています。
大規模漏水時の情報共有がスムーズに。
迅速な対応で、早期の復旧も
――現在の活用状況について教えてください。
岩本さん:大規模漏水が発生したときに、現場にカメラを持って行って三脚に取り付けて状況を撮影しています。本部では、上下水道部のメンバーが給水班、現場対応班、広報班、事務所で指揮をとる調整班などの役割を分担し、各班の班長が集まって映像を見ながら今後の対策を協議しています。これまでは、いちいち現場に電話をしないと状況の確認ができませんでしたが、導入後はリアルタイムな映像を見ながら自分達で状況を把握できるので、迅速な判断や意思決定につながり、各班の班員への指示出しや各所からの問い合わせにも適切に対応できています。現場のメンバーは復旧作業に集中することができるため、結果的に早期の復旧も可能になりました。市民の皆さんへのご迷惑を最小限にすることに役立っていると思います。
澤さん:大規模漏水は年に数回程度ですが、断水を伴わない小規模な漏水は年に100回程度、大体3日に1回くらいのペースで発生しています。漏水は24時間対応なので、市民の皆さんから通報があると、名張市の上下水道協同組合で現地確認を行い、組合から連絡を受けた水道工務室の当番がその後の処理の判断をすることになります。これまでは、深夜や休日でも連絡を受けた当番は現地の確認に行かざるを得なかったのが、最近は映像で遠隔確認を行い、状況によっては朝や平日を待ってから対応をするといった判断ができるようになりました。
現場との協議や漏水箇所のチェック、水管橋の点検など
多彩な活用で業務の効率化も
――漏水時の対応以外にも「Safie Pocket2 Plus」は活用いただいていますか?
澤さん:「使わなきゃもったいない!」の気持ちでいろいろな活用をしています。例えば、日々の水道管更新工事においては、受注者(工事業者)との協議に活用しています。工事の際に、実際の水道管の状況が設計書の内容と異なっているなど、事前の想定通りに工事を進められない場合があります。受注者側で判断がつかない時は現場に職員が向かい、協議の上で対応を判断するのですが、若手の職員だと経験が浅いため適切な判断ができないこともあります。こういった場合に、事務所にいるベテランにカメラの映像を共有しながら、アドバイスを受けて協議を進めています。
岩本さん:似たような例で、漏水箇所の調査における遠隔支援にも活用しています。漏水箇所は特殊な道具を使って見つけるのですが、経験がモノをいう世界なので、若手や経験の浅い人では「本当にこの位置なのか?」と不安になることがあります。そんなときに、遠隔からベテランが「この道具を使ってみたら?」「〇m先を調べてみたら?」とアドバイスすることで、ベテランのノウハウを若手に共有することができます。
澤さん:水管橋の点検にも活用しています。水管橋は、川の向こう側へ水を送るため、主に橋にくっつけて設置する水道管のことです。これまでは、目視や双眼鏡で確認していましたが、橋との接続や長さ、高さによって、目視では点検できないこともありました。「Safie Pocket2 Plus」を導入してからは、3mほどの長い自撮り棒に「Safie Pocket2 Plus」を固定。橋から棒を降ろして、目視できない部分を撮影しています。映像をスマホで見ながら取付角度を調整して、橋を歩きながら撮影する感じです。その映像を記録としても残しています。
――「Safie Pocket2 Plus」導入のメリットについて教えてください。
澤さん:どこにいてもリアルタイムに現場の状況がわかることで、時間のロスがなくなったことが大きいです。水道の仕事は、24時間対応が基本ですし、いつ大規模な漏水が発生するかわかりません。これまでは現場で何かあると、職員が駆けつけて判断することが多くありました。そこで判断がつかない場合に、持ち帰って協議することも。同じ市内とはいえ、それなりに時間がかかってしまいます。その間、現場の作業が止まることもありました。
また、夜間休日などで職員が不在のときに急な一報が入ると、事務所に出勤してから現場に駆け付けるということもありました。それが、今では家や外出先からPCやスマホで状況を確認して、指示が出せる。突発的な出勤も現場の遅滞もなくなります。それは大きなメリットと感じています。
――様々な活用をされていらっしゃいますが、今後の活用の展望について教えてください。
澤さん:現在、珍しい漏水のケースなどは「Safie Pocket2 Plus」の映像をムービークリップで編集して保存しています。それは「知の蓄積」として若手の教育などに活用できたらと思っています。私は、何かを効率化するということにとても興味があるので、これからも、さらに効率化できる作業を見つけていきたいと思っています。
※本記事に掲載している企業情報、所属及びインタビュー内容はページ公開当時のものです
お話を伺った方
名張市 上下水道部 水道工務室
室長
岩本 嘉浩さん
係長
澤 篤さん