トランシーバーのような「Safie Pocket(セーフィー ポケット)」
ウェアラブルカメラ活用で解決する課題とは
株式会社今西組は大阪に本社を置く創業120年の老舗ゼネコン企業です。建設現場にIoTサービスなどを積極的に導入し先進的な取り組みを実践されています。2018年に同社代表は国土交通大臣表彰(建設事業関係功労)を受賞され、建設業界の発展に貢献しています。
(取材:2019年2月)
導入の決め手
- Safie GOなどすでにSafieの防犯カメラを利用しており、その利便性や信頼性を評価して追加導入したいと考えたため
導入目的
- 定点のカメラだけでは見ることができないポイントを確認するため
導入した結果
- リアルタイムにコミュニケーションを取ることができるので工数の削減につながった
- 次世代人材の育成に映像を活用できると感じた
- コミュニケーションの補助として現場と本部をつなげることができた
LTE搭載クラウド型カメラのSafie GO(セーフィー ゴー)をサービス開始当初から導入し、現在複数の現場でカメラを活用中の今西組は、既存のカメラと合わせてウェアラブル端末のカメラ「Safie Pocket(セーフィー ポケット)」をご利用頂いています。 建設現場で2種類のカメラをどのように使い分け、活用されるのかお話を伺いました。
若者の「働きがい」をいかに維持するか
今西組は、全国建設業協会ホームページ内「施工の工夫・改善事例集」に「クラウド型ネットワークカメラ(ライブ映像)を活用した現場作業の省力化(省人化)および安全・近隣対策、人材育成事例」が掲載されるなど、現場にICTやIoTをいち早く導入し、人材教育や採用、業務の効率改善に役立つ技術を多く活用されています。
国土交通省が推進しているICT活用による建設生産システムの生産性向上を図るi-Construction(アイ・コンストラクション)も取り入れるなどし、本社のある関西のみならず関東の現場や官公庁の仕事も多数手がけられています。
今西:あくまで人が主役の現場です。IoTを活用し、段取りの向上や働きがいをいかに維持するかも大切な仕事の1つです。
今西さんは人手不足である建設業界において、特に若手にどうすればさらに働きがいを持って仕事に取り組んでもらえるか課題を感じているそうです。
ICTやIoTのツールを導入し、現場で働くスタッフの作業効率を上げレベルアップできないかと考えています。
定点カメラで撮影できないポイントをしっかり補填
今西: 工事が進んで竣工が近くなればなるほど壁や天井ができてくるので、定点に設置したカメラだけだと、建物の内部や作業の様子など、どんどん見えないポイントが増えてくるんですよね。 現場監督や職人さんにカメラを装着してもらい、定点カメラでは見えなくなったポイントの施工確認は、事務所に居ながら現場とビデオ通話で行います。
壁や足場ができた後でも、ウェアラブルのカメラだと細かいポイントまで確認できるのだそうです。
取材時、施工管理者の阿部さんに「Safie Pocket」を胸のポケットに装着頂き、施工中である大田区の御嶽山にある現場を遠隔で案内してもらいました。 今西さんと現場事務所でウェアラブルカメラの映像を見守りながら阿部さんと会話を進めます。
今西: 映像が綺麗に映っていて、すごく状況が分かりますね。
胸に装着したカメラは、頭に装着しているものよりも動きが小さいため映像がブレにくく、装着者の体の向きに合った映像を撮影できます。
装着者の見ているところと遠隔から見てほしいところの映像が一致しやすく、想像よりも映像が綺麗だと語ります。
お二人の会話を現場事務所で一緒に聞かせて頂きました。
【動画の会話内容】
阿部:屋上到着しました
今西:聞こえます?
阿部:はい、聞こえます。
今西:屋上は工事やってないんですか?
阿部:今日は工事やってないです。
今西:もうこれで仕上がり?
阿部:あとはですね、防水が少しあります。
今西:防水工事、いつくらい?
阿部:えーっと、ほんとは今日だったんですけど明日からくると思います、ちょっと今あけられちゃってるんで、という状況です。
今西:このシートは?
阿部:はい、これは先日の雪雨養生のためにかけてました、今は外しています。
今西:養生用ですね。
阿部:そうです、はい。
今西:では使わなくなったら外すということですか。
阿部:そうです、また雨が降ってくるとまたかけるようになってきますんで、今ちょっと無造作にパッとおいたままになってるんで、飛ばないようにはしておきます。
今西:養生しなかったらどうなります?中に入っちゃいます?
阿部:そうです、中に入るというか外壁の養生になります、外壁に雨かかるとちょっと良くないので。
電話や写真で「伝えづらい」「伝わらない」時間を短縮
今西:会話も遅れなくできます。今までは現場の状況を電話で報告し、会話では分からないところは写真を撮影してメールしてもらい、そのメールを見ながらまた電話するというたくさんの工程がありました。このカメラを装着することで電話、現場確認の画像、確認して指示する作業などが一度で可能になり、効率化につながっています。
胸につけたまま会話できるので、現場の細部を見たいといった本部の要望を移動せずとも、現場監督や職人とやり取りできますね。
リアルタイムのコミュニケーションができるので確認事項にかかる時間が短縮されるし、移動コストの削減、工数の効率アップに役立ちます。
足場の状況とかも確認できるので、危ないところほど本領発揮できるかもしれないですね。
現場とのコミュニケーションが遠隔からでも円滑にできるのだと話は続きます。
安全パトロールをカメラで実施することも
今西: 建設業界では未然に労働災害を防ぐリスクアセスメントとして、安全パトロールを行うことが義務になっています。 1〜2名だけで現場に行くのではなく、時には十数名もの人数になります。 また現場の場所が離れていることが多いので、何現場も訪れるのに数日かかり、かなりのコストをかけて実施しないといけないんです。
このウェアラブルのカメラがあれば、各現場の職人に装着してもらって現場を案内してもらえるので、事務所に安全パトロールの担当が集って移動せずに一斉に何件もの現場を確認することができますね。
また、特殊な工事や証拠に残しておきたい工事の過程を映像で残しておくことができるので、OJTにも利用できると思いました。
熟練のノウハウ継承や若手の育成なんかも建設業界の課題なので、このカメラを活用できそうですね。
記録ができるから復習もできる、度々問題になっている施工過程の手抜き工事が行われていないかの確認としても利用できると今西さんは語ります。
今西: スナップショットも残すことができるので、便利な活用方法が他にもありそうですね。 現場の若手にSafie Pocketをつけてもらって、実践教育をかねコミュニケーションをとるツールとして会話の補助として利用したいです。これまでのコミュニケーションを減らすことなく、プラスαとしてウェアラブルのカメラを活用できればと思います。
あくまで人が主役の現場ですが、このカメラを駆使して段取り向上に大いに活用できそうですね。
※本記事に掲載している企業情報、所属及びインタビュー内容は、2019年4月公開当時のものです。