遠隔立会から除雪対応まで、400km以上に及ぶ高速道路管理に活用
手軽さを武器に移動時間削減や遠隔での路面・状況把握を推進
新潟県内を走る高速道路の維持管理を担う「株式会社ネクスコ・メンテナンス新潟」。日々の検査業務や維持修繕作業・工事、冬期の除雪作業などにおいて「Safie Poket2 Plus」を約170台導入し、ほぼ社内全体で活用くださっています。導入のきっかけや、活用の幅が広がった背景、得られた効果についてお聞きしました。
(取材:2024年2月)
導入の決め手
- 遠隔立会、現場記録など1つのツールで多くの目的が達成できる
- 簡単に車載でき、操作しやすい
導入目的
- 立会や検査における業務効率化、移動時間削減
- リアルタイムでの現状把握および情報共有
導入した結果
- 検査や立会での移動時間が大幅に削減
- 路面の状況を即時、きれいな映像で確認できる
- 遠隔立会により道路規制の回数が減り、利用者の利便性が向上
INDEX
NEXCO東日本グループの一員である「株式会社ネクスコ・メンテナンス新潟」。事故復旧作業や災害時の緊急対応はもちろん、清掃植栽作業、雪氷作業、小補修作業など、NEXCO東日本(東日本高速道路株式会社) 新潟支社管内の高速道路のメンテナンスに関わる業務を一手に担っています。
2021年、国土交通省より「建設現場の遠隔臨場に関する試行要領(案)」が出されたことをきっかけに、本社および4つの事業所の若手が集まり「DXワーキング」を立ち上げました。作業効率化を図る取り組みのひとつとして「Safie Pocket2 Plus(セーフィー ポケットツー プラス)」を導入、各事業所において活用を推進すると同時に用途の幅を広げることにも注力し、現在では約170台を利用されています。
高速道路の維持管理には多くの人が関わっており、「Safie Pocket2 Plus」を自社で使用するだけでなく、協力会社に貸与することもあるそうです。活用方法や導入によって得られた効果について、DXワーキングのメンバーでもある本社の五十嵐 彩絵さん、佐野 裕莉亜さん、長岡事業所の當重 太一さん、間島 健史さんにお話を伺いました。
社内若手のDXワーキングメンバーが活用を推進。
遠隔立会が可能になり、移動時間が大幅削減
──まず、導入のきっかけについて教えてください。
五十嵐さん:弊社は新潟県内の高速道路全域を本社と4つの事業所で管理しています。全域ですから、路線の長さが約400kmを超えるんですね。工事を行うときは立会のために車で現場に向かう必要があり、立会そのものにかかる時間は短くても、往復の移動だけで2時間以上かかる場合もあります。業務の効率化という観点からも、移動時間を短縮できないかという課題がありました。
そこで、若手が集まるDXワーキングのメンバーで検討し、遠隔地を事務所から見られるツールということで「Safie Pocket2 Plus」の導入を決めました。
――どのような理由で「Safie Pocket2 Plus」を選んでくださったのでしょうか。
五十嵐さん:国土交通省が決めたルールに沿って遠隔立会ができるツールとして、セーフィーさんの製品の知名度が高かったことがひとつあります。試験的に使用してみたところビューアーアプリや映像の編集など付加機能もシンプル操作で使いやすく、本格導入することにしました。
――遠隔立会では、具体的にどのように活用していらっしゃいますか?
五十嵐さん:以前は工事の検査の際、工事担当者と検査員が共に車で移動していましたが、導入後は担当者が「Safie Pocket2 Plus」を持ち出して現場に向かい、検査員が事務所から映像を確認します。また、工事を請け負う協力会社などに貸与し、撮影の対応をしていただくこともあります。
佐野さん:リアルタイムで路面の状況や工事の内容を見られるので、現場と事務所にいながら対応方法をその場で協議できることも便利です。また緊急時には防災対策室で状況を即時にまとめ、関係者と情報共有し、対応を一緒に検討することもあります。
――道路工事以外にも、Safie導入で遠隔立会に切り替えたお仕事はありますでしょうか?
佐野さん:導入後は私たちDXワーキングで活用事例をまとめたものを社内に展開し、活用を推進してきました。道路工事以外でも徐々に利活用が進む中、まず定着していったのが車両管理です。
間島さん:車両管理業務はNEXCO東日本が所有している車両の点検整備、また故障対応などの管理をしています。中でも整備会社に出向き、不具合箇所の確認、撮影を行う立会業務は、管理車両が80台に及ぶことから担当者の業務負担になっていました。そこで、「Safie Pocket2 Plus」を整備会社へ貸与することによって事業所にいながら立会業務を行えるようになりました。また雪氷作業の車両故障時に、整備会社にカメラを持って現場に向かってもらうこともあります。弊社担当者が現場に行かずとも故障状況や修理状況が整備会社、NEXCO東日本、弊社の間で共有できるので、効率的な修理に役立っています。
――作業の効率化を目指しSafieを導入した結果、どのような効果が得られましたか?
五十嵐さん:まず、工事等に関しては、工事完了後の検査の立会を遠隔化したことで最大2時間以上かかっていた移動時間が0になったのが大きいですね。検査は要領で定められた役職の社員が行うため、人数が限られています。その社員たちの移動時間が軽減されたので、スケジュール管理もしやすくなりました。
間島さん:車両管理業務に関しては、仮に所有車の100%を遠隔化できたとすると、年間で80時間削減できるという試算があります。長岡事業所に限られた実績ではありますが、大型車の故障時の立会において夏場は30%、冬場は95%の遠隔化が実現しました。導入から3年ほどですので、大きな効果が短期間で得られたと感じています。
五十嵐さん:また、高速道路上で作業をする場合には車線に規制をかけます。これは立会作業も例外ではありません。遠隔による即時立会が実現したことで、後日、立会のためだけに規制をかける必要がなくなるケースもありました。高速道路を利用するお客さまにとっても、利便性の向上に繋がったと考えています。
巡回車と同じ目線で、積雪状況をリアルタイムで確認。
ダッシュボードや録画機能も活用し、迅速かつ的確な判断が可能に
──遠隔立会が目的での導入でしたが、除雪作業でも活用されているとお聞きしました。
五十嵐さん:お客さまの快適で安全な走行を維持するために、高速道路において冬季の除雪は課題として常にあります。雪が積もっていなくても路面が凍結している場合もありますし、現地の状況をいち早く把握して適切な作業を行わなくてはなりません。そのため、冬季は常に巡回車が道路を走り回っています。また除雪作業では、除雪前後の路面状況は次に行う作業を検討する上で重要な情報となります。
路肩に固定カメラを設置、巡回車からスマートホンで撮影など、これまで道路状況のリアルタイムでの把握について常に試行錯誤してきました。そんな折、遠隔立会での活用が進んできた「Safie Pocket2 Plus」が巡回作業でも活用できるのでは、ということになり導入しました。
加えて、近年では除雪車についても路面状況や事故車等の状況を確認するために導入しています。
當重さん:除雪作業は除雪車3台と標識車が連なり1梯団として作業しますので、先頭の除雪車と最後尾の標識車に設置しています。以前は他のカメラを車載していたのですが、設置に手間がかかったり、映像を遡って確認することが難しかったりしたので、「Safie Pocket2 Plus」に変更することにしました。
――試行錯誤を重ねられていたとのことですが、車載カメラを「Safie Pocket2 Plus」にリプレースして得られた利点はどのようなことでしょうか?
五十嵐さん:まずは映像がきれいで、ブレがない点です。現地で車を運転している人が見ているそのままの状況を事務所でも見られます。また、専用のビューアーアプリを使えば同じ目線を複数の拠点で把握でき、現場の「今」を関わる全ての人と共有できるのがとてもよいと実感しています。
――先ほど、付加機能も使いやすいとのお話がありました。どのような機能を使用されていますか?
五十嵐さん:たとえばダッシュボード機能ですね。1つの事業所にだいたい巡回車が3台あるのですが、それを事業所ごとにまとめて1画面で見られるようにしています。また、除雪車の梯団のうち、カメラを積んでいる2台の画像を並べて除雪前後の路面状況を比べやすいようにしたり、各梯団がどこにいるのか把握しやすいようにマップビューアー機能を用いて地図と組み合わせて表示したりしています。
當重さん:車両管理や工事、検査では、ビューアー側からスナップショットを取る機能も活用しています。アプリでは通話しながらスナップショットが取れるので、特に事故や災害等の緊急作業時では意思の疎通がしやすく便利です。
間島さん:高速道路上で複数の車両が同時に故障した、などリアルタイムで全てに対応できない場合には、録画機能を使用し後から振り返って整備状況の確認ができますので、写真よりもわかりやすく助かります。
佐野さん:除雪作業においても、降雪状況を遡って調べるときに録画機能を使用することが多いですね。
シンプルで簡単な取り扱いを周知し、協力を得やすくする。
技術伝承など、さらなる活用の広がりにも期待
──現在では社内での活用はもちろん、協力会社への貸与もされています。反応はいかがでしょうか。
五十嵐さん:皆さん総じて簡単で使いやすいとおっしゃいます。ボタンを押せば録画できる手軽さなので抵抗なく手に取ってもらうことができ、協力が得られやすいと感じています。
さらに、事故や災害等の緊急作業中、現地と事務所でコミュニケーションをとる機会が多々あります。「Safie Pocket2 Plus」には本体にスピーカーが付いていて、別途用意したスピーカーと接続する必要がありません。ダイレクトに通話できるため、スピーカー接続の失敗やトラブルをめぐるストレスが少なく、安心して使えるという意見もありました。
――今後はどのように「Safie Pocket2 Plus」を活用していきたいとお考えでしょうか?
五十嵐さん:工事などで参考になりそうな作業を資料として残し、次の世代に技術を繋げていきたいという思いがあります。また、DXワーキングのメンバーが中心となり、よい活用事例は会社全体で共有するなどして一層の効率化に繋げていきたいですね。
※本記事に掲載している企業情報、所属及びインタビュー内容はページ公開当時のものです。
お話を伺った方
株式会社ネクスコ・メンテナンス新潟
工務部 工務課 係長
兼 企画部 企画課 係長
五十嵐 彩絵さん
株式会社ネクスコ・メンテナンス新潟
保全部 補修課
佐野 裕莉亜さん
株式会社ネクスコ・メンテナンス新潟
長岡事業所
保全第一課 主任
當重 太一さん
株式会社ネクスコ・メンテナンス新潟
長岡事業所
工務課 主任
間島 健史さん