ポータブルクラウドカメラで生産テストを遠隔立ち会い
モチベーションが高まり、より働きがいのある環境に

カレー、シチュー、スパイスなど、おいしくて安心な食品を次々と世に送り出しているハウス食品株式会社。同社では製品の開発研究を担う部署でポータブルクラウドカメラ「Safie Pocket2」をご活用いただいています。導入目的や活用方法についてお話を伺いました。

(2021年7月取材)

導入の決め手

  • 身体に固定でき両手が使えるので、工場内でも安全に使用できる
  • 身体に装着しても違和感がない小型設計、扱いやすく頑丈な仕様
  • バッテリーの持続時間が長い
  • 映像、音声、画角が安定している
  • グループ通話ができ、現場とリアルタイムに会話ができる
  • 録画映像の確認や部分切り出しなどの操作が容易

導入目的

  • 工場における生産テスト立ち会いのリモート実施
  • 工場に出張できない時短勤務者の立ち会い参加
  • 立ち会いのための出張に関わる時間、コストの圧縮

導入した結果

  • 地域間移動が難しいときも、リモートによる立ち会いが可能に
  • 立ち会いのリモート化で出張に関わる時間、コストを圧縮
  • 時短勤務者が最終工程の立ち会いまで参加でき、モチベーションがアップ

「食を通じて、家庭の幸せに役立つ」という理念のもと、変化するライフスタイルや食へのニーズを先取りし、製品の開発・改良に日々取り組むハウス食品株式会社。

同社の製品開発を担う開発研究所では、2021年1月よりポータブルクラウドカメラ「Safie Pocket2」をご活用いただいています。研究主席の山田章平さんに、Safieカメラを選んだ理由や実際の使い勝手、導入の効果などを伺いました。

工場での生産テストをめぐる3つの課題

──Safie Pocket2をご活用いただいている開発研究所のお仕事について教えてください。

山田さん:開発研究所では、新製品の開発や既存製品の改良を、味創りから生産ラインにのせるまで一貫しておこなっています。Safie Pocket2を導入したのは、主に家庭用・業務用のレトルト食品を担当する部署です。

──ハウス食品のレトルト製品といえば馴染みのある製品ばかりです。Safie Pocket2を導入いただいたきっかけは何だったのでしょうか?

山田さん:開発したものを生産ラインにのせるには、私たち研究員が工場に赴き、計画通りに生産できるかを確認する「立ち会い」という工程が必要になります。Safie Pocket2はこの立ち会いの工程で活用させていただいており、導入に至るには3つのきっかけがありました。

1つ目は、コロナ禍により立ち会いを実施しにくくなったこと。
自社工場、グループ会社の工場、外注先の工場などはいずれも、開発研究所のある千葉県からは遠隔地になります。立ち会いのときは研究者3名ほどが工場に出張するのですが、コロナ禍で地域間移動に制約が生じ、行けない、あるいは人数を減らさなければならないといった状況が頻発しました。

2つ目は、そもそも出張に行けない研究員がいることでした。
子育てなどの事情で時短勤務をしている研究員は、立ち会いのための出張も難しい。けれど、本来なら立ち会いを経て生産ラインにのせるまでが私たちの仕事です。時短勤務であっても、自分の担当製品が世に出るまでの過程を見届けたいという気持ちに応える方法はないだろうか? との思いがありました。

3つ目は、立ち会い出張に関わる時間とコストの課題です。
出張は移動時間を要しますし、人数が多ければコストもかかります。この点の圧縮についても課題がありました。

そこで、これら3つの課題を解決するには立ち会いのリモート実施がいいのではとの考えに至り、リモート立ち会いの実現方法の検討を始めました。

Safie Pocket2は理想的なソリューションでした

──リモート立ち会いのためのツールとして、Safie Pocket2をお選びいただいた理由を教えてください。

山田さん:リモート立ち会いの実施にあたっては、スマホやタブレットでのビデオ通話も試しました。しかし、「固定しづらく画角が安定しない」「両手が塞がって危険」という課題が判明。スマホやタブレットは身体に固定装着するのが難しく、必然的に手で持って撮影することになります。そうなると画角が不安定になり、状況を確認しにくい映像になりがちでした。何より、工場にはさまざまな設備があるので、手が不自由な状態で歩き回るのは危険なんですね。

どうしようかと考え、いろいろな人に何かいいものはないか聞いていたとき、Safie Pocket2の存在を知りました。そこで早速、セーフィーさんに問い合わせ貸出機を借り、生産テストが特に多いグループ会社「サンハウス食品」の担当者と二人三脚で検証を重ねた結果、必要な要件を満たすものでした。

Safie Pocket2は市販のウエアラブルカメラ用のバンドで身体に固定装着できる仕様です。両手が自由になって安心して工場内を歩けますし、画角も安定します。さらには音声通話もできるので、「今ちょっと想定通りじゃなかったね」「じゃあ、そこにある〇〇をこうしてみたら?」といったやりとりをリアルタイムでおこなえます。

加えて、映像はパソコンなどで複数人が同時に視聴可能。従来は3名程度の研究員が工場に行っていましたが、Safie Pocket2であれば各自が自席で視聴できるので、人数の制限もなく他の業務にあたりながら必要なところだけ参加することもできます。

こうしたことから、撮る側である工場メンバー、見る側である私たち研究員の双方から理想的なソリューションだという声が上がり、本格的に導入させていただくことになったのです。

──本格導入いただき、先ほどの3つの課題は解決できたのでしょうか?

山田さん:はい。出張が難しい時期も、工場のメンバーにカメラを装着してもらえば研究員が現地に行かずに立ち会いができます。リモートなら、これまで出張に行けなかった時短勤務の研究員も立ち会いができますし、出張に関わる時間やコストの圧縮も実現できます。

多くの研究員が立ち会いに参加でき、モチベーションも向上

なかでも、時短勤務のメンバーも立ち会いに参加できるようになったことは非常に好評で、大きな意義がありました。

弊社では今、社員がやりがいをもって前向きに仕事に取り組める環境づくりを推進しており、リモートで立ち会えることは、この方針にすごくマッチしました。今まで勤務時間の都合で立ち会いを他の研究員に任せていた担当者にとって、生産ラインにのせるという最終フェーズまでしっかり携われることは、モチベーションの向上に大変効果がありました。

物理的に現地に行けない代替策としての役割や、時間・コスト圧縮のメリットも確かにあります。でも私としては、社員一人ひとりが生き生きと能動的に働く環境づくりに役立ったことが最も大きなメリットだったと感じています。
働く環境にも多様性が求められるなか、Safie Pocket2の導入によってさまざまな働き方に対応できるのではと期待しています。

映像の振り返りやクリップも自在。「働きがい変革」に向けた水平展開へ

──実際の使い勝手はいかがですか?

山田さん:すごくいいですよ。若手の研究員が出張してSafie Pocket2でリモート立ち会いをしたときは、「後ろに小さい山田さんがいるみたいです」といわれました(笑)。それくらい、臨場感のある映像確認やコミュニケーションができます。

この春からSafie Pocket2にグループ通話機能も付加され、ますます使いやすくなりました。複数人でリモート立ち会いするときも、参加メンバーが自分の端末から通話に参加できコミュニケーションがしやすくなりました。

VOD機能で、気になる工程をちょっとさかのぼって見直せるのも大変重宝しています。生産工程の一部だけに携わる研究員が、見たいところを部分的に確認できるのもいいですね。映像の一部をクリップで簡単に取り出せて、他部署とのミーティング資料などをつくりやすいことも魅力です。

現地の工場でカメラを装着するメンバーからも使い勝手は好評です。小さくて装着感がなく、つくりも頑丈。バッテリーの持続時間が8時間と長く、充電切れを気にせず撮影できることも喜ばれています。

──最後に、Safieカメラ活用における今後の展望をお聞かせください。

山田さん:効率よく立ち会いができるツールとして、生産ラインと関わるほかの部署にもSafie Pocket2を水平展開できたらいいですね。また、これは取引先やお客さまのご協力が必要ですが、当社の製品がユーザーさまにどのように使われているかを映像確認するツールにもなり得ると思います。そこから新たな製品開発のヒントを得る、といったフェーズも視野に入れたいところです。

そして、先ほど申し上げたようにSafie Pocket2導入が研究員にとって働きがいの向上につながったことは本当に大きな意義があると思っています。その観点でも社内で水平展開すれば、思いもよらない新たな活用法が見出されるかもしれません。働きがいのある企業風土をさらに盛り上げるために、ハウス食品グループ全体として今回の事例を共有したいと考えています。

※本記事に掲載している企業情報、所属及びインタビュー内容は、2021年7月公開当時のものです。

お話を伺った方

ハウス食品株式会社
開発研究所 研究主席
山田章平さん