遠隔臨場で移動時間を6割軽減。
ウェアラブルクラウドカメラで現場DXの最適化を目指す
「NEXCO東日本(東日本高速道路株式会社)」では、同社が発注する道路工事の遠隔臨場に、Safieのウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2」をご利用いただいています。遠隔臨場による業務効率化の成果など、現場DXを推進する同社の取り組みについてお話を伺いました。
(取材:2022年10月)
導入の決め手
- ビューアー越しでも現場の様子がわかる画質の良さ
- 1台で撮影、通話、クラウド自動保存ができる使い勝手の良さ
- コンパクトで携帯しやすい
- 通信が安定している
- 遠隔臨場のICTツールとして実績がある
- クラウド録画映像の振り返り視聴ができ映像編集も簡単
導入目的
- 発注した高速道路工事の立会業務を遠隔臨場で行うため
導入した結果
- 現地立会と比較し移動時間を6割軽減(※試算値)
- 映像による情報共有で検討事項の判断が早まり、現場でのタイムロスを軽減
東日本地域の高速道路の建設、管理運営などを中核事業とする「NEXCO東日本」。
工事の発注者として多くのプロジェクトを進行させている同社では、通話機能も備えたウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2(セーフィー ポケット ツー)」を遠隔臨場で活用。効率的でスムーズな工事進行を目指し、遠隔臨場の試行を重ねています。
今回は、遠隔臨場の試行に携わる北海道支社 札幌管理事務所の方々に、現在のカメラ活用方法や使用感、建設業における現場DXの推進について今後の展望を伺いました。
現場立会における移動の負担を軽減するために、Safieカメラを導入
──はじめに、みなさまの業務について教えてください。
佐藤さん:私たちは札幌周辺の複数の高速道路を管内とする札幌管理事務所に在籍しており、私は工務担当課長として道路の構造物の保全計画に携わっています。
小菅さん:私と神田は現場を監督する改良Ⅲという課に所属しています。改良Ⅲでは道路の舗装や橋梁の塗装の修繕といったメンテナンス工事を担当しています。
──遠隔臨場をめぐる御社の取り組みについてお教えいただけますでしょうか。
神田さん:国土交通省が推進する遠隔臨場は、建設業界の人手不足解消に向けた施策の1つで、2022年6月より本実施となりました。
同省では本実施に先駆けて2年前から遠隔臨場の試行をスタートさせており、当社もその頃から、さまざまなプロジェクトでICTツールを使った遠隔臨場の試行を重ねています。
──遠隔臨場を実施する前に、抱えていた課題を教えてください。
神田さん:遠隔臨場は「働き方改革につながる業務効率化」「コロナ禍に対応する非接触・リモート化」を目的に推進されていますが、私たちの足元の課題感として大きかったのは、移動時間の負担です。
私たちはさまざまなメンテナンス工事を外部発注していますから、発注者としての立会業務も頻繁に発生します。
ただ、現場の中には事務所から50km以上離れたところもあり、往復の移動時間と立会業務を合わせると、それだけで1日のほとんどが終わってしまうこともしばしばありました。
そのため、遠隔臨場で現場立会の移動時間を削減し、業務効率化につなげられたらとの思いもありました。
──現在、道央自動車道の舗装補修工事現場で「Safie Pocket2」をご利用いただいています。どのような経緯でSafieが採用されたのでしょうか?
小菅さん:基本的に、遠隔臨場で使うICTツールは、工事を請け負ってくださる建設会社さんが選定して用意します。
今回は建設会社さんから、Safie Pocket2を使いたいとのリクエストがありました。
小菅さん:Safie Pocket2は画素数や転送レートなどのスペックが、国土交通省が策定した遠隔臨場ICTツールの仕様を満たしていますから安心です。
また、別のプロジェクトでもよく名前が出ていて、ウェアラブルクラウドカメラの中でもメジャーだという印象がありました。当社では、ツールの採用可否を判断するときに実績も参考にするのですが、Safie Pocket2は実績面でも信頼できるカメラでした。
何より、当社が独自にICTツールの比較検討をした際に、「1台で撮影・通話ができ、映像はクラウドに自動保存され、用途が広い」と、最も高評価を得たのがSafie Pocket2だったんです。こうしたことから、今回の現場でも採用させていただきました。
オールインワン設計のウェアラブルカメラは、作業員にも好評
──今回の舗装工事現場では、Safie Pocket2をどのようにご利用いただいていますか?
神田さん:立会業務の遠隔臨場で使っています。現場の作業員の方にカメラを携帯していただき、事務所にいる私たちがタブレットやPCの「Safie Viewer(セーフィー ビューアー)」でライブ映像を視聴する形で立会業務を行います。
ただ、ひとくちに立会業務といっても、構造物が発注通りに仕上がっているかの確認、現場の安全確認、工事進捗の確認など、内容は多岐にわたります。
そのため現在は、遠隔臨場に適しているのはどの業務か、どのような運用が最適か、関係各所や受注者と連携しながら検証を進めているところです。
例えば、音の聞き分けが大事な打音検査は現地確認のほうが適していますが、コンクリートの圧縮強度検査などは測定機器の数字を読み取れればいいので、遠隔臨場で十分に行えます。
──カメラの使い勝手はいかがでしょうか?
小菅さん:現場の作業員の方々は「高画質」「これ1台で撮影、通話ができて使い勝手が良い」と性能面や手軽さが好評です。確かに、コンパクトで持ち運びしやすい設計ですし、作業の邪魔にならないだろうと思います。
ビューアーで映像を視聴する私たちも、性能には満足しています。画質がクリアなので測定機器の数値や物資の文字もはっきりと読み取れます。また通信も安定しており、ストレスなく使えています。
映像の保存という点でもすぐれていると感じます。クラウド保存で、データ保管が属人的にならないのは組織として大きなメリットといえます。ハードディスク破損によるデータ消失等のリスクがないのも、安心感があっていいですね。
移動時間が6割軽減と大きな成果。現場のタイムロスも大幅減
──カメラなどのICTツールを活用した遠隔臨場の効果をお聞かせください。
佐藤さん:遠隔臨場の全社的な成果を見てみると、やはり、事務所・現場間の移動時間の軽減効果が大きいです。
例えば当事務所では遠隔臨場により、試算値で従来の移動時間の6割を軽減できました。また現場への移動に伴う早朝・夕方の時間外勤務も削減できており、神田のように現場を担当する社員のワークライフバランス向上につながっています。
小菅さん:業務自体の効率化にも効果があります。これまでは現場から工程変更などの提案・要望があると、私たちが現場に行って確認・相談したり、いったん事務所に持ち帰ったりしていました。その間、現場の作業はストップし、私たちの到着や判断を待つというタイムロスが生じていたわけです。
しかしSafie Pocket2を使えば、ライブ映像と音声で現場と事務所が速やかにつながり、複数の関係者がリモートで話し合うことができます。意思決定がスピーディーになってタイムロスがなくなり、発注側・現場側の双方で業務効率がアップしていると感じます。
──最後に、映像活用における今後の展望をお聞かせください。
小菅さん:当社ではICTツールを活用した遠隔臨場について、支社間で定期的に情報共有を行っています。多くの知見をもとに引き続き遠隔臨場の最適化を図り、生産性向上に拍車をかけたいですね。
神田さん:Safie Pocket2は、撮影映像が自動的にクラウドに録画・保存されるという利点があります。このメリットを活用し、遠隔臨場の映像を人材教育に生かすことも考えていきたいです。
佐藤さん:工事は、実際に見て、聴いて、体感しないとわからないこともたくさんあるので、今後も現場立会がなくなることはないだろうと思います。
しかし、慢性的な人手不足が続く私たちの業界では、映像を効果的に使っていく意識が不可欠だと考えます。これからも業務効率と品質を両立させる遠隔臨場のありかたを追求し、現場DXの利活用の推進に努めていきたいと思います。
お話を伺った方
NEXCO東日本(東日本高速道路株式会社)
北海道支社
札幌管理事務所
工務担当課長
佐藤 旬さん
改良Ⅲ担当課長
小菅 浩行さん
改良Ⅲ担当
神田 皓城さん