AI People Countで来場者数を把握し利用状況を検証。
明確な目標設定で地域活性を目指す
静岡市の東の玄関口にある「トライアルパーク蒲原」は市民、地域、企業、行政それぞれが、屋外の芝生広場を思う存分活用して、規模や期間にとらわれることなく展開したい事業を次々と「トライアル」形式で仕掛けることができるという施設。将来的な「道の駅」への進化を見据え、利用状況の検証を行うためにSafieのカメラ及びSafie AI People Countを導入しています。そのきっかけや、活用方法などを伺いました。
(取材:2022年12月)
導入の決め手
- 防犯カメラに来場者数把握のためのオプション機能を付帯できたため
- Safie AI People Count(オプション機能)を活用し、リアルな人数をAIカウントできる
- 連携している中部電力パワーグリッドの親身なサポートと提案
導入目的
- 24時間出入り可能な施設の防犯カメラとして
- 来場者数を計測し施設の改善に活かすため
導入した結果
- 時間帯別に来場者数を把握できるようになり、目標設定がしやすくなった
INDEX
静岡市における道路の計画や企画を行う、建設局道路部道路計画課。その中の企画係は、道路を活用した地域活性化も推進しています。
地域活性化策のひとつが、道の駅整備事業「トライアルパーク蒲原」です。昨今の道の駅は多機能化されており、その拠点ならではのコンテンツや、地域活性につながる施設の在り方が重要視されています。ここ蒲原では、いきなり道の駅整備を完了させるのではなく、その前段階として集客のポテンシャルと相応しい機能を探るため、行政と民間が協力して様々なトライアルを仕掛けるトライアルパークプロジェクトが立ち上がりました。
その利用状況をモニタリングするため、パークの来場者数を指標のひとつにおき、Safieのカメラや付帯するオプション「Safie AI People Count」を活用しています。
静岡市建設局の渡邉泰史さん、またSafieのカメラを使用したサービス「らくモニCamera」を提供する、中部電力パワーグリッドの栗田眞宏さん、山梨真以香さんにお話を伺いました。
パークに必要不可欠な防犯カメラにオプションを付帯。時間帯別来場者数の把握が可能に
──「トライアルパーク蒲原」とはどのような施設なのか教えてください。
渡邉さん:「道の駅整備事業」の一環として、行政と民間が連携し、さまざまなことにチャレンジし、トライアルを行う場として2022年7月にオープンしました。現在、運営事業者が中心となってさまざまな企画が行われており、BBQ、サウナ、サイクリングなどのアクティビティも用意されています。
──「道の駅整備事業」の一環とのことですが、将来的には道の駅として活用されるのでしょうか?
渡邉さん:今、全国的に道の駅は多機能化し、目的地化しています。しかし、蒲原では、道の駅だけが潤えばいいわけではなくて、いかに蒲原の街全体に来訪者を流していくかという課題があります。
そこで、この施設では「トライアル」という形でどうやって人を呼びこむのかを試行しながら、蒲原の街と調和する方法も探っています。道の駅は可能性のひとつで、他の答えもあるかもしれません。
──街全体の地域活性化に最適な形を模索されているんですね。では、カメラや映像を使ってどのようなことをしたいと考えられていたのでしょう。
渡邉さん:ひとつは、パークは毎日様々な人の出入りがあり、駐車場などは年中24時間開放しているため、防犯カメラが必要でした。
加えて、映像で施設の利用状況を把握したいと考えていました。公共施設では、建物の出入口にセンサーを設置して来場者数を計測している事例がありますが、それでは従業員の出入りもカウントされてしまいますし、時間帯別の来場者数もわかりません。
先ほどもお話したように、この施設は人を呼び込むトライアルの場ですから、時間帯別の来場者数の推移がきちんとわかるデータを取る必要がありました。だからこそ映像で来場者をAIカウントできるシステムを探していました。
──施設のオープンにあたり、Safieの代理店である中部電力パワーグリッドが提供する「らくモニCamera」が導入されたそうですね。何かきっかけがあったのでしょうか?
山梨さん:パークの建設にあたって、電気のことでお困りごとがないか、弊社がお話を伺いに行ったのがきっかけです。話が進むうち防犯カメラが必要とのことでしたので、遠隔地のカメラ映像を確認できるサービス「らくモニCamera」をおすすめさせていただきました。
渡邉さん:電気設備の相談と防犯カメラの相談を一緒にできたので、効率的でした。
──「らくモニCamera」はどのようなサービスなのか教えてください。
山梨さん:「らくモニCamera」はカメラ本体と通信環境、そして映像を見るためのクラウドサービスをワンストップで提供する映像サービスで、クラウドサービスは「Safie」を利用しています。
通信環境は、カメラの下にSIMを搭載したルーターの入ったボックスを設置して、LTE網でインターネットに繋げています。
栗田さん:電源については、工事の際の現場調査を経て、ポールの中に配線されている照明灯用のものを分岐し、使用しています。
──「トライアルパーク蒲原」には何台のカメラが設置されているのでしょうか?
栗田さん:現在は、駐車場やパーク内に計3台、キッチンがあるトライアル拠点の建物内に1台設置しています。
──映像による来場者数の把握については、どのようにして環境を整えたのでしょうか?
山梨さん:「らくモニCamera」はSafieのカメラ「AXIS M2025-LE」を使用しています。来場者数の把握については、カメラに付帯できるサービス「Safie AI People Count」で解決できるのではないかと考えました。実現にむけては、Safieとも相談しながら、よりよい方法をご提案させていただきました。
栗田さん:防犯用に「らくモニCamera」として設置した4台のカメラのうち、「Safie AI People Count」はパーク内の2台に付帯しています。まずは効果を見極めるために試用期間を1ヶ月設けました。その結果、広い範囲で、人の姿が影のような映りでもしっかりとカウントができていることがわかりましたので、継続していただくことになりました。
数値データ数字と映像の両面でパークの来場者数の傾向を掴む
──「Safie AI People Count」を使用して、実際どのように人流を把握しているのか教えてください。
渡邉さん:24時間分のデータをCSVでダウンロードしてカウントしています。パーク内は広いので、全てのエリアをカウントできているというわけではありません。ただ、試用期間でカウントできる範囲がわかったので、全体面積と照らし合わせて補正をかけ、全体の人数を割り出しています。トライアルという性質上、時間帯別にカウントできることが重要なんです。
さらに正確さを高めるため、従業員が出入りする場所は、カウントするエリアから切り離す機能を使って除外しています。また、ある期間の速報値が知りたいときは、ビューアーで確認できるグラフを活用しています。視覚的に把握できてとても便利です。
──防犯カメラとしての使い勝手はいかがでしょうか。
渡邉さん: 24時間出入り可能なエリアもありますので、日中はもちろん夜間もくっきりと映るところがいいですね。
また、不測の事態に備えすべてのカメラの映像を手元のパソコンですぐに確認できるので非常に便利です。幸いなことに今まで必要になったことはありませんが、緊急時を考えると安心です。
CSVデータから根拠を示し、明確な目標設定で検証を加速する
──「らくモニCamera」「Safie AI People Count」を導入して、どのようなメリットがありましたか?
渡邉さん:イベントなどの実施と照らし合わせて、集客状況がわかるようになりました。運営事業者に明確な数値結果をお渡しできますので、次の目標が立てやすいですね。
例えば、来場者数の推移を見ていると、子ども向けのイベントを終日実施しても、14時くらいをピークに、来場者数が減少することがわかりました。
このことから、例えば子ども向けのイベントは日没前に早めに終了し、夕方からは大人向けのイベントを企画しても良いかもしれません。このような振り返りができるので、日々、トライアルの精度を高めることができます。
──最後に、今後Safieに期待することを聞かせてください。
渡邉さん:来場者がどこから来たのかを知りたいですね。現在は人数のカウントだけですが、例えば、車両のナンバーの所在地から、どこから来ているのかを想定できれば、検証が複合的になり、より強い根拠が出せるようになります。そして将来、これらのデータを生かして蒲原らしさにあふれた、地域活性に繋がる施設づくりを実現したいと考えています。
お話を伺った方
静岡市
建設局 道路部 道路計画課(企画係)
主査 渡邉泰史さん
中部電力パワーグリッド株式会社
静岡支社 技術部 静岡通信センター工事課
ICTエンジニアスタッフ
副長 栗田 眞宏さん
清水営業所 契約サービス課
コミュニティサポートインフラ推進担当
主任 山梨 真以香さん