わずか3ヶ月で必須ツールに。
風車の建設現場の業務効率化や知の共有を実現

脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギー活用の1つとして注目を集める風力発電のソリューションを提供する「株式会社日立パワーソリューションズ」では、巨大な風車の設置工事において、ウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2」を作業状況や安全の確認、技術教育など様々なシーンでご活用いただいています。

(取材:2022年11月)

導入の決め手

  • 映像がクラウドで保存でき、機能も豊富だった
  • 料金プランが月額制であったこと

導入目的

  • 新人教育のための資料として、作業状況を映像で残したい
  • 作業効率向上や人材不足を補える遠隔確認ツールを求めていた

導入した結果

  • 作業内容を映像で確認でき、マニュアルよりも知識吸収スピードが向上
  • タワーを上り下りする回数が減り、作業効率が向上
  • 別現場など離れた場所にいるベテラン作業員による作業状況の確認が可能に
  • 安全確認やヒヤリハット事象の共有など、安全面にも寄与
  • 導入から僅か3ヶ月で現場に欠かせない必須ツールに

エネルギー・産業・情報といった社会インフラ分野において、確かな技術と価値あるソリューションを提供している「株式会社日立パワーソリューションズ」。同社が手掛けるエネルギーソリューションビジネスの1つに風力発電があり、風車の据付工事現場で、セーフィーのウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2(セーフィーポケットツー)」をご活用いただいています。

導入からわずか3ヶ月で「我々のビジネスに欠かすことのできないツールの1つになった」と言っていただくほど、重宝されているようです。導入の経緯や活用法についてお話を伺いました。

慢性的な人材不足の状況下で新人作業員の育成が急務だった

──はじめに、皆さんの業務内容について教えてください。

島田さん:再エネソリューション本部では、風力発電のワンストップサービスを手掛けています。風力発電事業に参入したい事業会社や自治体などをお客様とし、風力発電設備に関して、風況や環境の測定、ファイナンス、事業計画の立案、建設工事、保守・運用まで一貫してサポートしています。私達の所属するフィールドエンジニアリング部では、主に風力発電設備の据付工事を担当しており、私は、本社においてプロジェクトの据付作業責任者のスケジュールや人材の管理、作業の技術資料作成などを行っています。

大貫さん:私と伊藤は、日本全国の風車の据付工事の現場で、「据付作業責任者」という立場で、作業に携わっていただく協力会社の作業員に対しての作業指導や、作業状況の確認を行っています。

伊藤さん:同じ協力会社に発注していても、現場によって作業員が変わったり、そもそも風車の工事に携わるのが初めての方もいたりします。そういった状況においても、正しく工事が行われるように指導しています。

──セーフィーのウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2」を活用いただいておりますが、どのような目的で導入されたのでしょうか?

今回インタビューにお応えいただいた伊藤さん(左)と大貫さん(右)

島田さん:建設に関わる業界全般にいえることですが、慢性的な人材不足という現状があります。
また風車の建設は、常に一定のペースで仕事があるわけではないので、ギリギリの人材でやりくりしなければならない業務環境であります。

大貫さん:人材不足な状況下において、新人作業員の育成が急務ではあるものの、教える内容が膨大で工事の指導業務を行いながらのOJT(新人の現場指導)をすることが難しい状況でした。そこで、教育資料として動画を作ろうと思い、ウェアラブルカメラで撮影したりもしたのですが、編集に手間がかかり、その時間すら捻出でできませんでした。

我々が設置する風車は、ドイツ製のためマニュアルが全て英語です。文書で見るよりも映像で見るほうが圧倒的にわかりやすいのです。

何か良いツールがないか、ネットで検索していて出会ったのが、Safieでした。これであれば、クラウドに保存されるから見たいときに見られるし、作業の遠隔確認に使えるのではないかと思い、会社に提案しました。

島田さん:私も前々から、ナレッジや業務効率化、ひいてはワークライフバランスに役立つ、何か良いツールはないか?と思っていたところだったので、大貫からSafieの話を聞き、これは便利だと感じました。料金プランが月額制というのも、魅力的だったので導入することに決めました。

風車据付工事における、業務効率化と知の共有のためSafie Pocket2を導入

──現在の活用について教えてください。

伊藤さん:現在5台のSafie Pocket2を導入しています。私達のいるこの北海道の現場に2台、秋田の現場に2台、そしてブレードの保守・点検をしている部署が1台使っています。

私達の現場は、タワーの上にある制御盤が収められているナセルと呼ばれる部分での作業と、地上での作業が同時進行で進みます。その上下の作業に1台ずつカメラを首から下げ、作業員の安全管理や製品の品質管理に活用し、映像を記録しています。

──Safie Pocket2をお使いいただいた感想をお聞かせください。

大貫さん:導入前は半信半疑でしたが、本当にこんなに使えるんだ!と便利に使わせていただいています。

これまでは、地上の指導中に、上の作業の確認のために度々呼ばれることがありました。そのたびに、90mほどもあるタワーのはしごを10~15分もかけて上らなければなりません。一日に何度も上り下りするのも辛かったり、作業が止まるなど時間のロスもあったりしました。

さらに、現場だけで対応できない場合には、ベテラン作業員に現地に来ていただくということもあり、問題解決に数日かかってしまうこともあったのです。

それがSafie Pocket2を使うことで、何度もタワーを上り下りすることなく確認が行えたり、離れた現場にいるベテランが映像を見て確認したりするなど、業務の効率が非常にアップしました。

ナセル(タワー上部)作業を地上から確認している様子

伊藤さん:私自身、悪天候で自分の現場が動かないときに、他の現場の状況を見てフォローしたりもしています。

島田さん:導入から3ヶ月ですが、すでにSafie Pocket2なしでは、現場が回らないのでは?と思うくらい大切なツールになっています。

全て映像で残るため、「現場のリアル」を知ることができ、これまで見えなかった世界が見えるようになりました。

オペレーションセンターを設置し、映像のさらなる活用を

本社から現場を遠隔確認している様子

──教育やナレッジの共有に関してはいかがでしょう?

島田さん:現在は、各現場担当者が撮影した映像をまとめてくれています。例えばヒヤリハットが起きた際など、文章の報告書では伝えるのに苦労する詳細な内容も、映像を確認すれば一目瞭然です。ヒヤリハットの状況が記録に残ることは「財産」となり、安全面に大きく寄与すると思います。

映像を使った遠隔からの確認や記録をより活用するため、来年度からオペレーションセンターの設置を考えています。ベテラン作業員が本社にいながら各現場の様子をチェックし、アドバイスなどの支援を行えるようにします。

また、これまで現場作業員任せだった、映像のクリッピング作業をオペレーションセンターで行うことで、現場の負担を減らしつつ、一定のクオリティーで資料化するようにします。

映像を上手く活用しオペレーションセンターが役割を果たせば、現場へのサポート体制は大きく強化できると考えています。

──御社の他部署でもSafieをご活用いただける余地はあるでしょうか?

島田さん:すでに、風車のブレードの保守・メンテナンス部門でも使っており、とても便利だと好評です。風車だけでなく、設備のメンテナンスなどさまざまな仕事で、活用できるものだと思っています。

とても便利であるものだからこそ安易に導入すると、現場作業員からは「監視されている」と受け取られ兼ねません。監視ではなく、ナレッジの共有であり、見守りであるということをしっかりと伝え、「見る側」「見られる側」の意識をすり合わせてから導入するよう、伝えるつもりでいます。

──今後のカメラの活用の展望について教えてください

島田さん:人材不足やワークライフバランスの問題にも、Safieの映像が役立つと考えています。遠隔で確認ができることで、現場に出るには厳しくなったベテラン作業員の確かな目を活用することもできるかもしれません。出張だって減らせることでしょう。映像に記録が残ることで、報告書の作成といった業務も効率化できるかもしれません。

また、定期検査や現場の立会いなどもリモートで行えますし、全て映像で記録されていることで、お客様に「正しい工事をしている」ということを示すことにもなるのではないかと考えています。

大貫さん:業務の効率化はもとより、事故の防止や万一何か起こった際の振り返りにも使えると思っています。これからも、いろんな活用法を試していきたいですね。

※本記事に掲載している企業情報、所属及びインタビュー内容は、2023年2月公開当時のものです。

お話を伺った方

株式会社日立パワーソリューションズ
再エネソリューション本部 フィールドエンジニアリング部

G主任技師 島田 賢治さん
大貫 雅紀さん
伊藤 廉さん