工場における安全対策の重要性とは?ポイントや事例を紹介

工場の安全対策 ポイントや事例を紹介

工場では、少しの油断が大事故につながる可能性があります。起きる可能性のある事故を事前に把握し、徹底した安全対策を講じることが重要です。工場の安全対策を検討されている人に向けて、工場の安全対策の重要性や起きやすい事故の種類、各企業における安全対策の実例について解説します。

工場における安全対策の重要性

厚生労働省が公表した令和4年の業種別労働災害発生状況によると、製造業の死亡者数は140人、死傷者数は26,694人でした。前年と比較すると、死亡者数は6.9%増、死傷者数は1.0%増と、どちらも増加しています(※1)。

製造業の死傷者数は、全業種で最多となっており、労働災害が発生しやすいことが分かります。

※1 出典:”令和4年 労働災害発生状況” .厚生労働省 労働基準局 安全衛生部安全課.2023-5-23(参照 2024-4-26)

工場で起こる事故の種類

工場ではさまざまな事故が発生しますが、特に起こりやすい事故について紹介します。

転倒による事故

転倒事故は、工場で起こる事故の中で大きな割合を占めています。転倒事故は、足元を確認しなかったことによる不注意が原因の場合もあれば、作業環境が原因で転倒する場合もあります。

重量物を運んでいる最中に転倒すると指や腕が下敷きになる恐れや転倒した先に機械や危険物があると、大けがや最悪の場合は死亡事故につながる恐れもあります。工場は、床がコンクリートで作られていることが多く、少しの油断が事故につながるため非常に危険です。

はさまれ・巻き込まれによる事故

はさまれ・巻き込まれによる事故の主な原因は、機械の管理不足、操作ミスにあり、骨折などの重傷や死亡事故につながる恐れがあります。

はさまれ・巻き込まれ事故を回避するにはロックアウト・タグアウトが有効です。ロックアウト・タグアウトは、機械のそばで作業する際、ブレーカーなどを落として、機械が動かないようにする方法です。複数人で作業する場合は、他の作業員が誤って電源を回復させないよう鍵をかけます。この際、作業員の名前と作業時間をタグに記入して鍵につるしておくことで、作業中であることが明確になり、事故のリスクを軽減することが可能です。

墜落・転落による事故

高所作業中の墜落・転落事故は安全帯が必須ですが「ちょっとの作業で終わる」と、安全帯をつけなかったために発生することがあります。また、脚立の天板に座る・立つ・またがるなど、脚立の正しい使い方を理解していないと墜落・転落事故につながります。

ほとんどの工場では、高所作業の手順はマニュアルが用意されています。マニュアルに従って作業すれば事故は回避できますが「いつもやっている」という油断から手順を無視すると事故が起こりやすくなるのです。

その他の事故

その他の事故には、刃物による切り傷、機械への接触による擦り傷、感電などが挙げられます。工場で使用される刃物は、業務用の鋭利なカッターであり、少しの油断が大けがや死亡事故に発展します。また、不注意から動いている機械への接触、電源の切り忘れによる感電は、死亡事故などの重大な事故に発展します。慣れによる安全意識の低下が、これらの事故を引き起こす大きな要因の一つです。

工場における安全対策の例

安全対策を行うには、明確なルール作りが必要です。工場における安全対策の例として、以下の3つを解説します。

KYTの実施

KYTとは「危険・予知・トレーニング」の頭文字を取った造語です。KYTは、危険予知のトレーニングを実施して、作業員自身が作業時に起こり得る危険を予知できるようにすることが目的です。

KYTには「基礎4ラウンド法」と呼ばれるトレーニング方法があります。

ラウンド目的進め方
1R現状の把握危険とされる箇所を挙げる
2R本質の追求何が危険なのかを追求して、重要度で分類する
3R対策の立案要因ごとに対策を立案する
4R目標の設定事故を回避するための対策を実施する

上記に従って、実施する対策を説明したうえで目につきやすい箇所に掲示しますが、イラストを活用すると、作業員が自身の作業で起こり得る事故をイメージしやすくなります。

参考:厚生労働省 KYT基礎4R法

5Sの意識

5Sとは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の頭文字を取ったスローガンです。働きやすい環境作りと、生産性、安全性、品質の向上が目的です。

5S目的進め方
整理転倒や切り傷など、事故の原因の排除足元の整理、狭い通路の改善、作業台に散らかった資材を片づけるなど
整頓探す手間と時間を省き、無駄な動きの削減棚の整理、材料を種類ごとに整理するなど
清掃不具合の早期発見と解決定期的に機械の清掃、点検を行うなど
清潔整理・整頓・清掃を保持すること上記の整理、整頓、清掃の標準化を行う
しつけ作業員がマニュアルに従って作業するような教育と習慣付け工場の事故の危険性とルールや、マニュアルを守る重要性について研修を行い、定期的にフォローアップする

マニュアルやルールに従って作業すれば、働きやすい環境・生産性・安全性などの向上が期待できるでしょう。

ヒヤリハットの記録

事故につながりかねないヒヤリハットが発生したら必ず記録しましょう。記憶が鮮明なうちに報告書という形で記録を残しますが、誰が読んでも理解できるように5W1Hを踏まえたうえで専門用語を使わず、客観的かつ詳細な内容を記述することが重要です。

報告書が完成したら、原因を明確にして対策案を考えます。対策案を募る方法もありますが、情報共有に支障が出ないよう必ず責任者が主導して行います。対策案が決定したら速やかに情報共有を行い、対策を実行して再発防止に努めましょう。

報告のネタ切れが起きないように気をつける

ヒヤリハットの報告は、ネタ切れが起きないよう気をつけましょう。報告が義務化されているとマンネリ化して、事故を未然に防ぐ本来の目的が果たせなくなります。対策として、報告書を作成する必要性を明確にする、報告がどのように役立てられたかをフォローするなど、従業員が主体的に報告するように工夫しましょう。

また、報告漏れを無くすために、テンプレートを用意し、業務時間内、例えば就業終了時間前の15分間は、報告書作成の時間を設けるなどの工夫をすると従業員も作成しやすくなります。

工場の安全対策を実施するうえでの5つのポイント

事故を未然に防ぐには、設備のメンテナンスやマニュアルの作成、作業員の教育など、さまざまなポイントを押さえる必要があります。

定期的な機械や設備のメンテナンス

機械は、経年劣化を避けられないため、不具合を見つけたら、すぐに修理依頼できるように定期的に機械や設備のメンテナンスを行う体制作りが必要です。

メンテナンスを怠り、機械が故障して工場が稼働できない状態が続くと、売上の低下、さらには信用問題に発展し、会社に損害を与える恐れがあります。チェックリストの作成や手順をマニュアル化して、定期的にメンテナンスを行い、機械や設備を長く安全に使える体制を構築しましょう。

安全対策マニュアルや資料の作成・共有

安全対策のマニュアルや資料を作成して情報を共有することも重要です。マニュアルや資料を一から作成する場合、他の工場などのマニュアルや資料を参考にしますが、工場ごとに規模や設備が異なるため、コピーした内容では安全対策として有効ではありません。

自社の工場に最適な内容にするためにカスタマイズして作成する必要があります。過去に作成したマニュアルがある場合、新たに導入した機械や設備の項目を追加して、最新版の情報を共有しましょう。適宜写真を使用して、分かりやすいマニュアルを心がけましょう。

作業員への安全教育

安全教育で重要なのは「どのような事故を回避するための対策なのか」を作業員に理解させることです。言われたから従っているだけでは安全対策とは言えません。実施している安全対策の意味を正しく理解できるように掘り下げて説明する必要があります。

また、安全教育は作業員だけではなく、経営陣も含めた会社全体で共有することも大切です。会社内で安全教育の理解にずれが生じると、安全教育を軽視する恐れがあります。定期的に勉強会などを開いて、安全教育を徹底しましょう。

安全対策グッズの用意

安全対策グッズも事故の防止・抑制につながります。工場で起こりやすい転倒事故の原因は工場によって異なりますが、滑り止めマットを設置することで転倒防止や抑制が可能です。

この他に夏場の熱中症対策グッズも有効です。熱中症になり機械の近くで倒れた場合、転倒によるけがだけでなく、はさまれ・巻き込まれなど、重大な事故に発展する恐れがあります。経口補水液やファン付きの作業服、ポータブル扇風機などが、熱中症対策では有効です。

防犯カメラによる現場の見守り

防犯カメラによる現場の見守りも有効な安全対策の1つです。映像を確認することで事故の防止や事故が発生した場合の原因究明がしやすくなり、今後の事故防止対策に活かせます。

防犯カメラを機械や危険物の周辺に設置して、画像解析機能と連携させることで、作業中の危険行動の発見が容易になり、収集した映像を基に新たな安全対策を講じることもできます。防犯カメラを導入することで、人では分からない・気付かなかった安全対策の抜け穴を見つけることも可能です。

工場の安全対策を行っている企業の事例

独自の工場の安全対策を行っているトヨタ紡織株式会社、大同工業株式会社、AGC株式会社、それぞれの事例を紹介します。

トヨタ紡織株式会社

自動車部品メーカーの「トヨタ紡機株式会社」では、法令などに基づいて独自の「労働安全衛生マネジメントシステム」を構築し、安全対策に取り組んでいます。

マナーやモラル、ルールの徹底に加えて、2020年度には、安全衛生環境実考館を設立。安全衛生の教育の推進、現場では新たな設備導入時に各部門がメーカーに赴き、リスクアセスメントを基に設備を確認。導入後、作業員だけでなく協力業者や来客が遭遇するリスクがある要因を取り除けるよう何重ものチェック体制を構築して安全対策を強化しています

参考:安全衛生 – トヨタ紡織株式会社

大同工業株式会社

自動車部品などの製造を行う「大同工業株式会社」は、安全パトロールの実施やAEDの使用方法の教習、事故の疑似体験が可能なVR機器の導入などによる安全対策に取り組んでいます。

VR機器により、巻き込まれ事故を疑似体験することで安全対策の重要性を作業員に実感してもらい、安全意識の向上に努めています

参考:安全と健康 | 多様な人財の育成と働きがいの向上 | サステナビリティ | 大同工業株式会社

AGC株式会社

ガラス、電子、化学品、セラミックスなどの素材メーカーである「AGC株式会社」は、工場の安全対策と作業効率アップを目的に、クラウド上に録画した映像をスマートフォンやPCブラウザからいつでも確認できる防犯カメラサービスのSafie(セーフィー)を導入しています。

導入したのは、作業員の頭部や胸に装着するウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2(セーフィー ポケット ツー)」と固定設置型のクラウドカメラ「Safie GO(セーフィー ゴー) 180」の2種類。「Safie Pocket2」は、今まで撮影が難しい・できなかった狭い場所や高所の撮影が可能となり、危険行動の可視化を実現しました

AGCがセーフィーのAIカメラの導入を決めたのは、音声付きで映像が残せること、API連携が可能であることと、クラウドシステムの品質の高さの3つです。AGCは、セキュリティの観点から外部クラウドシステムの導入に慎重でしたが、セーフィーのクラウドシステムの品質の高さを認めて導入を決定。現在も工場内の安全対策の強化と作業効率の向上にセーフィーのAIカメラが活躍しています。

工場の安全対策に取り組もう

工場の安全対策は、KYT・5S・ヒヤリハットへの取り組みと、カメラなどの安全対策グッズを導入することで、事故が少ない安全な作業環境の維持と作業効率の向上が期待できます。

効果が期待でき、かつ簡単に導入できる安全対策として、防犯カメラが挙げられます。映像ソリューションを提供するセーフィーでは、工場の安全対策に有効なさまざまなタイプのカメラを取りそろえています。導入実績も豊富で、多くの工場でセーフィーのカメラが採用されています。

安全対策にカメラの導入を検討されているなら、ぜひセーフィーにご相談ください。

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