若手社員にウェアラブルクラウドカメラを持たせて現場を遠隔管理。
広大な化学プラントで新人教育と業務効率化に活かす
石油化学事業、クロル・アルカリ事業、機能商品事業を3つの柱とする化学メーカー、「東ソー株式会社」。同社は化学プラントの現場における安全管理・業務効率化を目的に、「Safie Pocket2」を導入。社員の移動時間削減など、具体的な成果を上げられています。今回は、「Safie」を選ばれたポイントや活用方法、今後の展望について、お話を伺いました。
導入の決め手
- カメラ本体のみで撮影・通信・クラウド自動保存が可能なオールインワン型
- 電源を入れるだけで使え操作が簡単
- 撮影した映像をリアルタイムでも録画でも確認できる
- スマートグラスと比較し視界を遮らないので安全
導入目的
- 若手社員の教育・サポートのため
- 工事の進捗・安全を遠隔で確認したい
- 遠隔確認による社員の移動時間削減
導入した結果
- ベテラン社員が若手社員の作業を遠隔で監督できるようになった
- 若手社員が映像で自身の作業の振り返りができるようになった
- 現場立会と比較し社員の移動時間が1人1日15分程度減った
塩ビ樹脂などの「コモディティ事業」と、ハイシリカゼオライト・ジルコニアといった「スペシャリティ事業」を両軸に、複数の化学工業企業に基礎原料やユーティリティ(電気・蒸気)供給している、「東ソー株式会社 四日市事業所」。
同事業所では、定期的に行われるプラントメンテナンスの業務効率化と安全管理、新人社員の教育を目的とし、現場に約20台のウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2(セーフィー ポケットツー)」を導入されています。
化学プラントの現場で、ウェアラブルクラウドカメラをどのように活用されているのでしょうか。導入の経緯や導入後の効果について、設備管理部の中村哲也さんにお話を伺いました。
現場のベテラン不足が大きな課題
──はじめに、中村さんが所属されている設備管理部についてお教えください。
中村さん:私が所属している設備管理部は、事業所内にある製造プラントの設備管理や増改造設計等を取り扱う部署です。管理課・工務課・電計課の3課に分かれており、私がいる電計課は事業所内の電気設備等の保全と、プラントを増改造する際の投資計画設計を主な業務としています。私は保全業務をメインに担当しており、現場プラント担当者の保全業務状況や、保全周期を監督するポジションです。
──今回、現場プラントにSafieを導入いただきました。導入にはどのような背景があったのでしょうか?
中村さん:当社は現在、点検業務・保全業務の高度化と、業務効率化の2つに取り組んでいます。このうち、業務効率化に役立つのではと思い、Safieの導入を検討し始めました。
他の会社でも同様のことが言えるかも知れませんが、当社は40代・50代のベテランが少なく、20代の若手社員が多いという社員構成です。3年目までの経験の浅い社員が多いため、ベテラン社員がそのフォローを行っています。
これまで若手社員が現場で作業を行うときは、ベテラン社員が同行して指導にあたっていました。しかし、ベテラン社員の数よりも若手社員の数の方が圧倒的に多いため、ベテラン社員の負担が大きくなっていたのです。
この状況を改善するため、注目したのがSafie Pocket2です。現場で作業する若手社員にカメラを持たせ、ベテラン社員がその映像を見ながら遠隔指導できるようになれば、業務効率化につながるのではないかと考えました。
──Safie Pocket2導入前は、カメラは使われていなかったのでしょうか?
中村さん:やや時代遅れですが、デジカメを使って撮影していました。現在、図面の確認やWEB会議での確認作業など基本的な作業はタブレットで行っていますが、以前は共用のデジカメを現場に持って行って、必要に応じて撮影していたのです。各部署で10人~15人が稼働しているのに対してデジカメが4台程度だったため、全てが稼働中だった場合は帰って来るのを待つしかありませんでした。
──Safie Pocket2を選ばれた決め手を教えてください。
中村さん:もともとはメガネ型のウェアラブルデバイス、スマートグラスを検討していたのですが、別途ポケットWi-Fiを持ち歩く必要があることが大きなネックでした。今後現場ではタブレットを持つことになっていたので、社員の持ち物はなるべく増やしたくなかったのです。もうひとつ懸念点として、スマートグラスを付けると視野が一部欠けてしまうため、現場作業では危険だということで導入を諦めました。
また以前までは、遠隔確認する際はタブレットでWEB会議サービスに接続し、タブレットのカメラを使って撮影した現場の状況を見ながら指示等を出していました。現場側が確認箇所やタイミングがわかっているベテランだとWEB会議中の確認だけでも問題なかったのですが、若手の場合は録画されないWEB会議中の確認だけでは不安要素が拭えませんでした。
その点、Safie Pocket2はポケットWi-Fiが不要、電源を入れればすぐに録画が開始できるうえに操作が簡単で、録画映像をあとから振り返って確認できることが導入の決め手でした。
ベテランが若手を遠隔サポート
移動時間を大幅に削減し、業務効率化にも貢献
──現在は、Safie Pocket2をどのように活用されていますか?
中村さん:現場に20台ほど導入し、主に若手社員に持たせています。若手社員の作業の様子をベテランが遠隔で確認し、指示を出したり、安全確認をするという形で活用中です。
また、若手社員が自身の作業の振り返りに使っていたりもします。「あの作業はきちんとやっていたかな」と不安になったとき、カメラの映像を見て再確認しているようです。
その他、ローカルに落とした映像を、個人的なマニュアルとして使っている社員もいます。この辺りの使い方は、社員たちがカメラを使う中で、「こういう使い方もできるな」と発見していった感じです。
──Safieを導入いただいた結果、どのような効果があったかお聞かせください。
中村さん:大きく感じている効果は、業務時間の削減です。例えば、若手社員の作業の中で重要な最後の部分だけをベテランが見に行くという場合、9時から12時まで実施する作業工程でそろそろ終わったかなと現場に行ってみると、まだ終わっておらず、しばらく待つというようなことが頻繁にありました。
しかしSafieを導入してからは、作業の進行状況を確認した上で必要に応じて現場に向かうことができるため、無駄な待ち時間を削減することができました。
また、「遠隔で若手に指示ができるようになり、デスクワークなどに充てられる時間が増えた」というベテラン社員の声も聞いています。コンビナート内は非常に広く、端から端まで移動するのにかなり時間がかかります。そのため、移動時間を1人あたり1日15分程度削減できたのは、大きな効果だと考えています。
──安全管理にも役立てていただいているそうですね。
中村さん:1つの例ですが、若手社員が高所作業を行う際、ベテラン社員が遠隔で現場を見て、しっかりハーネスを付けているかチェックできるようになりました。
実際に危険行動を未然に防ぐことができた事例もあります。計装設備のメンテナンスを行う際は計装機器の電源を落として電源ラインを改修する手順となっているのですが、ある時、若手が電源ラインを落とさずに作業しようとしていたことがあったのです。
遠隔で見ていた先輩社員が気づいて即座に指示を出し、事なきを得ました。作業を遠隔確認できることは、安全管理上かなり役立っています。
現場に即した設計がSafieの魅力
──Safieを使った今後の展望を教えてください。
中村さん:まだSafieを使い始めたばかりなので未来構想ではありますが、全社で使えるマニュアルづくりに役立てられたらと考えています。例えば当社には、10年単位でしか整備しないような機器の作業があります。その作業の様子を映像に収めておき、マニュアルにすれば、文字だけのマニュアルよりも映像の方が断然伝わりやすいですし、技術の共有にもなるのではないかと思っています。
──今後Safieに期待することはありますか?
中村さん:最初にSafieのお話を伺ったとき、現場で使いやすいように設計されたカメラだなという印象を持ちました。現場で実際に使っている今、あらためてそのことを実感しています。今後も現場に根付いた商品をたくさんリリースしていただけることを期待しています。
お話を伺った方
東ソー株式会社
四日市事業所
設備管理部 電計課
副主任技師 中村 哲也さん