カメラで来店者数をカウントし、「入店数×購入数」から購入率を見える化。
パリミキによる購入率の改善とは
全国的に知名度の高いメガネチェーンストア「パリミキ」。旗艦店のひとつである渋谷店ではセーフィー対応カメラを導入し、「ピープルカウント」の機能を活用しながら来店者数の計測や購入率の算出に映像を活かしています。小売店舗の売上改善における映像の役割について話を伺いました。
(取材:2019年10月)
導入の決め手
- 他社に比べ圧倒的に安価だった
- 設置が簡単
- クラウド管理なので災害時にもデータが失われる心配がない
導入目的
- 来店者数の計測をしたかった
導入した結果
- 購入率や改善のためのシミュレーション数値を共有することで現場主導でスタッフ立ち位置のシステム化をする動きがはじまった
- リアルタイムで店舗にフィードバックできるようになった
- 店舗へ来訪する回数が減った
1930年創業。国内外に800店舗余りを構えるメガネチェーンストアの「パリミキ」。パリミキといえばロードサイドに展開されているお城型の店舗が特徴的ですが、最近ではリアル店舗の強化を掲げ、その外装にも変化が起きています。
森下さん:最近ではコンセプトを定めたリアル店舗を増やし、お客様の入店を促そうとしています。例えば渋谷店では50年代のアメリカンダイナーをモチーフとし、内装をリニューアルしました。それに伴い渋谷店では、これまでの商品構成では扱いにくかった若者に人気のブランドを網羅しています。また郊外のロードサイド店は約10店舗をログハウス型に変えています。パリミキの新しいイメージの醸成につなげていますね。
パリミキを展開する三城ホールディングス 営業本部 スーパーバイザーの森下将康さんはこのように語ります。その背景にあるのは、代表取締役社長の澤田将広さんが掲げる「アテンション」というキーワード。
森下さん:自分たちをメガネ屋として見せたくない、という考えがあるんです。『何の店だろう?』と関心をもち、お店に足を踏み入れてもらう。メガネの購入にエンタメ性を取り込んだり、スタッフとの接客のなかで楽しい話題で盛り上がれたりと、買い物の付加価値を提供しようとしています。
「ピープルカウント」機能で、日々の来店者数を把握
そんな森下さんは「パリミキ渋谷店」にセーフィー対応カメラを4台導入。オプション機能である「ピープルカウント」を活用し、店舗の来店者数を計り、それに基づいた購入率の算出に映像を活用いただいています。
森下さん:リアルタイムで売上を把握できるデータと来店者数を組み合わせることで、購入率を算出しています。その数字を店舗にフィードバックし、売上の改善に活かしたいと考えています。これまでは前日のデータを現場に渡すに留めていたのですが、夕方の時点での購入率を算出し、「その日のうちにあと◯人にお買い上げいただこう」と呼びかけ、改善に活かすようなこともしていきたいです。
数値をもとに、店舗の現場ではお客様への声掛けやそのタイミング、内容などの改善を図ることを視野に入れているそうです。
森下さん:渋谷店には、多いときで1日に2000人近いお客様が訪れます。当然ながら、手動でカウントするのは難しい。また、日本人のお客様であれば過去のデータから年代や男女別は把握できるんですね。なので来店者数の計測こそが必要なんです。
森下さんは来店人数を計測できるカメラを東京ビッグサイトで行われていた展示会で探し歩いたそうです。
森下さんそれまで手動でカウントしていた来店人数をカメラで計測できないかと考え、いくつかの顔認証システム会社のブースをまわるなかで、その費用の高さに驚いたんです。そんな時に別部署のメンバーからセーフィー対応カメラのことを聞いたんです。費用は他社より圧倒的に安い。クラウド管理なので、インターネット環境さえあれば設営も簡単。水害などの災害時もデータが失われる心配がないことが魅力的でしたね。
「他社との相見積もりを出したので、社内決済もスムーズに進みました」と森下さん。設置自体も順調でしたが、確認が必要になったのはコンプライアンス室との調整でした。
森下さん:ピープルカウントの場合は、頭頂部しか映らないシステムなので個人の顔情報を取得することはありません。しかし、心斎橋店には顔認証システム「Safie Visitors(ビジターズ)」を導入予定のため、店舗での告知や社内の運用マニュアルをつくり、セーフィーさんとも相談の上で慎重に進めています。
セーフィー対応カメラを数日間試験導入し、その後パリミキ渋谷店へ正式にセーフィー対応カメラが導入されました。
メガネの「購入率」を算出し、日々の接客やオペレーション改善に落とし込む
現在、パリミキ渋谷店では4台のセーフィー対応カメラが稼働しています。3台は渋谷店の3箇所ある入口にそれぞれ設置し、来店者数のカウントに利用。1台のカメラは森下さんが現場の様子を確認するために活用しています。
森下さん:購入率の算出で言えば、毎朝、前日の来店者数データをもとに購入率や改善のためのシミュレーション数値などをエクセルにまとめ、店長に共有しています。
そう語る森下さんは映像を分析していくなかで、次のような気付きもあったと語ります。
森下さん:購入率は日によって変動します。来店者数が多いときは低くなり、来店者数が少ないときは高く出ます。実は来店者数が多いときも少ないときも、1日の購入客数はそこまで変動しないんです。逆に言えば、来店者数が多い日に接客を改善すれば、購入率をもっと改善できるかもしれない。
また、数字を店舗朝礼でスタッフ全員に周知することで、現場主導で店舗におけるスタッフの立ち位置をシステム化していく動きが始まりつつあるそうです。
渋谷店で導入されているPTZカメラは首振り機能があり、360°見渡すことができます。そのため、スタッフが店舗の一部の場所に固まっていないか、カウンターでの対面販売は問題なく行われているかなどをチェックしやすいと、森下さんは語ります。
森下さん:リアルタイムの売上が店内システムで確認できるので、その数字が芳しくないときはスタッフの動き方などについてリアルタイムで店舗にフィードバックをしていますね。カメラを導入し遠隔から指示を出せるようになったことで、渋谷店に行く頻度は減ったと思います。
また現在のピープルカウントの機能を発展させるかたちで、道路の通行量もカウントしたいと、森下さんはその展望を語ってくれました。
森下さん:できると面白いと考えているのが、店舗前の道路の通行量のカウントです。通行量がわかれば、その数に対する入店者率を算出できますよね。すると、どのように店舗の外装やショーケースを改善すればいいかを考えられます。渋谷店の場合はメガネの購入目的で来る方が半数で、残り半数は通り道の途中にあるからふらっと立ち寄る方です。後者を増やし、購入目的ではなかったのにメガネを見て欲しくなる方が増えると良いなと思っています。
最後に、今後のセーフィー対応カメラの活用方法についても語っていただきました。
森下さんが次に設置を進めている大阪・心斎橋店では顔認証機能を活かしていく予定です。
森下さん:心斎橋店は入り口の形がすこし特殊で、入り口を同じ方が何度も通ってしまうことになり、ピープルカウントだけでは正確な計測が難しいんです。そこで顔認証システムを導入し、正確な来店者数の算出を目指しています。性別や年代別まで属性を確認できるのも魅力的ですよね。
※本記事に掲載している企業情報、所属及びインタビュー内容は、2019年10月公開当時のものです。