河川の氾濫をYouTubeライブで映像配信して監視。
優れたコストパフォーマンスで地域住民の安全を最大化

茨城県稲敷郡美浦村役場に務める吉原さんと川村さん。

村内の氾濫しやすい河川にセーフィー対応カメラを設置し、その映像をYouTubeライブ配信。

行政としてカメラを活用した防災に取り組んでいます。

(取材:2018年2月)

導入の決め手

  • クラウド録画型だったため
  • Youtubeで生中継できるため
  • 他社と比べて安価であったため

導入目的

  • 河川の氾濫をリアルタイムで把握し、迅速に避難勧告を出せる仕組みが欲しかった

導入した結果

  • 移動しなくても河川の様子が見れるので人を派遣するコストの削減につながった
  • 周辺住人の方にも映像を確認してもらえるようになった

「映像」は、時に社会の課題を解決することがあります。カメラを導入いただいている美浦村もその事例のひとつ。セーフィー対応カメラで氾濫しやすい河川をYouTubeライブで映像配信。正確で、迅速な避難勧告のために活用しています。

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美浦村が抱える”ある課題”とは

今回お邪魔したのは、茨城県稲敷郡にある霞ヶ浦に面した「美浦村」。自然豊かな地域で、国内では最大規模になる競走馬の調教施設「JRA美浦トレーニング・センター」があります。

そんな美浦村では、梅雨や秋の季節に発生する豪雨により、河川が氾濫してしまうという課題を抱えていました。その頻度は年に1回程度と多くないのですが、時には床上浸水などの被害が発生することがあります。それ以上に大きな被害が出たことはありませんが、該当地域に住む方への正確かつ迅速な避難勧告が重要になります。

地域が抱える課題を解決するために、現在は役場がセーフィー対応カメラを導入。河川沿いにカメラを設置することで、「川が氾濫するかどうか」を役場スタッフや周辺の住民が24時間監視できる体制を整えました。今回は、この取り組みを推進した吉原さん、川村さんにお話を伺いました。

「河川の氾濫」にテクノロジーでどう向き合うか

美浦村では河川の氾濫に対して、”アナログな”対応策を取ってきました。豪雨となった時に、これまでの経験から「河川が氾濫しそうかどうか」を判断し、役場の職員が川沿いに移動。川の様子を役場に伝えながら、避難勧告を出すべきかどうかを判断していたそうです。

吉原さん:役場として、川沿いに住む方の安全が第一です。これまでは河川が氾濫しそうだと感じた場合、職員をひとり派遣していました。そのスタッフが雨の中、監視をする。それだと、個人の判断基準に左右されやすいこと、そして現場に人を派遣するというコストがかかることが課題だったんです。

「このラインに水位が達した時に避難勧告を出す」という基準線を、川に設けているそうですが、それを現場の方が目視で判断しなければいけなく、現場に行くとなると危険も伴います。

もっと効率の良い監視方法はないかと探る中で、川沿いにセキュリティカメラの設置を検討するようになりました。

吉原さん:何度か川の氾濫が起きてしまう中で、住民や行政が川の水位を確認できる手段を持つべきだという議論になりました。そこで最初は別の会社のセキュリティカメラを導入したのですが、住民の方に共有するためにYouTubeで生中継するのが難しかったんですね。また、出水期は梅雨や秋に限定されており、他の時期は必要性が高くないものに多額のお金を支払うことは難しいと感じていたんです。

そんな中、美浦村役場はセーフィー対応カメラを紹介され、導入することに。決め手となったのは「価格」と「YouTubeにアップロードできること」だと語ります。

吉原さん:以前導入していたセキュリティカメラと比べて安価だったこと。何よりもYouTubeに映像を生配信できるので、役場の職員だけではなく周辺住民の方にも映像を確認してもらいやすいことが重要でした。LTE回線を利用してカメラを設置しているので、遅延も少ないですね。

また、置く場所を決める際にもさまざまな制約条件を加味しながら現在の場所に落ち着いたと吉原さんは教えてくれました。

吉原さん住んでいる方が安心して暮らせるようにと、被害を受けたエリアの近くに設置を行いました。その一方で周囲の家の様子が写らないようにプライバシーにも配慮しています。川の様子を記録するために夜間でもある程度の光があるかどうか、カメラを設置するための電源があるかどうかなども考慮した上で、カメラを今の場所に設置しました。

クラウドカメラの導入で役場の業務効率に貢献

役場では、激しく雨が降っている日は、総務課のスタッフが朝からYouTubeの生中継を確認しながら、職務に取り組んでいるそうです。「職場にいない時に天気が悪くなっても、手元のスマホから川の予想を確認できるので便利」と、川村さんは教えてくれました。

川村さん:職場にいながら複数のスタッフで川の様子を確認でき、その際に気象庁から届く情報なども加味しながら避難勧告を出すかを判断できるようになったんです。当時と比べてとても便利になったと感じています。

ただ、導入後の課題も存在します。街灯があったとしても、水面が柱の陰となり、光が反射せずに水位が見にくいケースもあったそうです。「遠隔操作でライトを照らせるカメラなどがあれば、いいですよね」と、夜間でも見やすい仕組みの導入は今後やっていくとのことでした。

最後に、今後のカメラの活用方法についても語ってくれました。

川村さん:どのようなことが起きてもネットワークに接続できるように、防災時の専門回線にセーフィー対応カメラをつなぐことを検討しています。また、河川の氾濫以外にも「がけ崩れ」が起きやすい場所など、リアルタイムで監視するニーズがある場所はいくつかあると考えています。役場自体が小さな組織なので、テクノロジーの力を借りて効率良く、住民の方がより安全な生活を送ってもらえるような取り組みを進めたいです。

※本記事に掲載している企業情報、所属及びインタビュー内容は、2018年3月公開当時のものです。

お話を伺った方

茨城県稲敷郡美浦村役場 吉原さん 川村さん