
多台数のカメラで死角なくし、複数現場をくまなくカバー
遠隔管理で移動時間を削減、生産性向上に寄与

建築の生産プロセスを変革するビジョンとして「管理の半分は遠隔で」とのコンセプトを掲げている「鹿島建設株式会社」の横浜支店では、すべての建築現場にSafieを導入。具体的な活用方法や効果について、同社が手がける神奈川県内で進行中の改修工事現場にてお話を伺いました。
(取材:2025年12月)
導入の決め手
- 全現場にカメラを導入する社内ルールを遵守
導入目的
- 遠隔管理による現場監督の業務効率化
- 現場の防犯
- インシデント発生時の事実確認および記録資料として
導入した結果
- 複数現場の進捗管理、安全管理を効率的に行える
- 現場に出向く回数が減り、移動時間が1人当たり月15〜20時間削減
- 削減した移動時間をデスクワークなどに充てられ、生産性が向上
- 防犯・安全面に効果がある
- 記録が残り、関係者に対して事実に基づいた説明ができる
INDEX
180年以上の歴史を誇る大手ゼネコン「鹿島建設株式会社」。設計〜施工〜維持管理までワンストップで対応する総合力と高度な技術力を強みとし、超高層ビルやトンネルといった難度の高い工事を数多く手がけています。
DXも積極的に実践している同社はすべての現場にSafie(セーフィー)を導入。具体的な活用については現場主体でプランニングし、業務効率化に成果を上げているといいます。活用事例の一例として、多台数を導入している神奈川県内の改修工事現場の所長を務める中山 卓哉さんにお話を伺いました。
人手不足、時間外労働の制約……。
課題を遠隔管理で解決すべく、全現場にSafieを導入
──はじめに、中山さんが工事事務所の所長を務めていらっしゃるこちらの改修工事現場についてお教えください。

中山さん:私が担当しているのは、神奈川県内にある企業施設の社員食堂を対象とした改修工事です。築年数が経過した既存建物について、構造体以外のすべてを撤去・再構築するフルリニューアル工事で、2026年3月末に竣工予定で進行中です。
──現場でSafieをご利用いただいています。導入の経緯をお聞かせください。
中山さん:業界全体で人手不足が続く中、当社も現場監督が不足傾向にあり、現場監督1人当たりの業務量が増えています。また、2024年より建設業も時間外労働の上限規制が適用対象となり、以前に比べて残業がしづらいという環境変化も生じています。こうしたことから、「1人当たりの生産性をいかにして上げるか」は当社の近年のテーマの1つであり、生産性向上に資するICTツールには積極的にチャレンジしてきました。
その中で会社として着目したのが、カメラによる現場の遠隔管理です。私は1人で複数現場を担当していますので、どこかの現場や打ち合わせに出ていれば、ほかの現場の状況をリアルタイムで把握できず、緊急時にすぐに駆け付けることもできません。社内検証の結果、カメラによる遠隔管理はこれらの課題を解決する手法の1つになり得るとの結論に至り、すべての現場にSafieを導入する社内ルールが定まりました。当現場でも、その方針に沿ってカメラを設置しています。

モレなく把握し、迅速に対応するため、死角がないように映したい
──カメラの設置台数や用途はどのように決めるのでしょうか?
中山さん:私が所属している横浜支店では、新築現場には設置台数に基本ルールがあり、設置場所についてもメインゲート、メインの重機など、必ず付けるスポットが一律で定められています。ただし、カメラの台数は現場の規模や予算などの諸条件を加味して現場の所長が最終判断することになっていますし、そもそもクライアント様がカメラNGであればご意向に従います。
──こちらの現場では10台のカメラをご利用いただいています。なぜ多台数導入との判断に至ったのでしょうか?
中山さん:以前、担当していた現場で、会社全体の取り組みとして多台数のカメラの効果を詳細に検証したことがありました。正直なところそれまではカメラの多台数設置に懐疑的だったのですが、検証を通じ、不安全行動の抑止や業務効率化に一定の効果があること、ハイスペックなカメラを少数入れるよりもコストバランスが現実的であることを実感しました。
またカメラの有効活用は、当社の生産プロセスの方向性を示す「鹿島スマート生産ビジョン」で掲げている「管理の半分は遠隔で」というコンセプトにも合致すると感じました。

その後、キャリアを重ねるにつれて業務の幅が広がり、さらに複数案件の兼務も増えたことで、現場へ常駐したり物理的に足を運んだりするための時間を確保することが難しくなっていました。そのため「カメラで補おう」と考えるようになったのですが、私はもともと「カメラを付けるなら、モレなく迅速に把握・対応できるよう、死角がないように映したい」との考えを持っています。そこで、以前の検証で効果を感じた多台数設置を実践することにしました。
──カメラのご活用状況をお教えください。
中山さん:固定タイプのカメラは、基本の設置箇所を含め死角なく現場を俯瞰できるように設置しています。また、ウェアラブル型の「Safie Pocket2 Plus(セーフィー ポケット ツー プラス)」は軽くて小さいので三脚やワイヤーで固定して、その日に重点的に見たいところを撮影しています。2026年リリース予定の新機種「Safie Pocket2 Wide(セーフィー ポケット ツー ワイド)」も実証実験で使用していますが、従来の「Safie Pocket」シリーズよりも広範囲が撮影でき、簡単に移設できる点が良いですね。
映像はビューアーのダッシュボードを使って一覧表示し、事務所の大型モニターに常時映し出しています。私や現場監督は随時モニターのカメラ映像を見て、管理業務に生かしています。
カメラの用途は工事の進捗状況によってさまざまですが、基本的に日中は、重要な工程が無事に済んだか・その日の作業が終了したか等を確認する「進捗管理」と、不安全行動がないかを見守る「安全管理」のために見ています。また現場監督は、現場に行くタイミングを判断するために、ライブ映像で作業の進み具合を確認することも多いです。一方、夜間は犯罪抑止の役割を期待しつつ、何かあったときには事実確認で映像を見返す運用としています。ほか、支店にいる上長たちも、折に触れて安全管理の目的でカメラ映像を見ています。

──カメラをご利用いただいている方々の感想はいかがでしょうか?
中山さん:当社ではもう、Safieはあって当たり前の空気のような存在ですので、特段の感想は聞こえてこないのですが(笑)。でも、突然カメラがなくなったら業務上の判断材料が減って、みんな困るんじゃないでしょうか。カメラがあれば映像確認で済むのに、現場に足を運ばなくてはいけないことも増えるでしょうね。
1人当たり月15〜20時間の削減効果
カメラは事実の記録という点でも価値がある
──カメラをご利用いただき、感じていらっしゃるメリットをお聞かせください。
中山さん:やはり、足を運ばなくても現場の進捗、安全、防犯などをひと通り確認できることですね。全体をくまなく見られるように設置しておくと、現場に行けないときも管理の質を担保できます。
生産性向上という点でも有効で、カメラやテレプレゼンスシステム「窓」を活用しているのですが、特に「今行くべきかどうか」を判断する情報ツールとしてすごくいいんです。おかげで状況がわからずに現場に出向くようなことが減って、現場監督1人につき少なくとも1日1時間程度、月間15〜20時間は移動時間の削減効果が生まれています。その分をデスクワークなどに充てられるわけですから、人手不足解消の一助になっていると思います。
次に、映像で記録が残っていて、振り返って事実確認ができることもカメラの大きなメリットです。当現場では今のところインシデントは発生していませんが、万が一のときは、経緯について推測ではなく事実として関係者に説明できるので心強いです。その際、信頼に足る十分な記録を残すには、現場全体をカバーできる配置が重要だと感じています。
──今後の映像活用についての展望をお聞かせください。

中山さん:現場、現物、現実を重視する「三現主義」という言葉の通り、私たちは、最後は現場で実際に見ることを大切にしています。一方で、当社が推進している「管理の半分は遠隔で」という方向性が進展していけば、遠隔管理が7割を占めるような時代が数年後にやってくるのではないかとも考えています。
そのときにはカメラもAIによる映像解析の精度やバリエーションが進化し、不安全行動の抑止や検査が効率化されるでしょう。そうした利便性の高い機能と、人が現場に行かなければ成せない価値を上手に組み合わせて、建築の質と生産性の双方を向上させていきたいです。
※本記事に掲載している企業情報、所属及びインタビュー内容は取材当時のものです。
※カメラを通じて取得する映像は管理者および、映像閲覧が必要な担当者のみで閲覧しています。法令に基づく場合を除き、第三者提供は致しません。また、映像の活用は事前に特定した利用目的に必要な範囲で行い、お客様個人を追跡することは行いません。






