優れたコストパフォーマンスで”仏像”を守る!
公共性の高いお寺でのクラウドカメラ活用法
浄楽寺は、横須賀にある法然上人を宗祖とする「浄土宗」の寺院です。こちらには国が指定する重要文化財である仏像5体が収められており、お寺や仏像を安置してある倉庫の監視にセーフィー対応カメラを3台活用いただいています。
(取材:2017年5月)
導入の決め手
- 他社で見積もりを取るとセーフィーの4〜5倍になり、金額的に安価だったため
導入目的
- 神社・仏閣にて油をかけられたり仏像が盗まれる事件があったため
- 仏像を保管している倉庫と駐車場の防犯カメラとして
導入した結果
- 声まではっきり聞こえるので来られた方の目的が映像で確認できるのが良かった
お寺をより身近なものに変えたい
浄楽寺に収められている仏像5体は、運慶によって造られました。運慶は「美の巨人」と呼ばれる仏師で、今なお高く評価されています。年に2回の御開帳の際には、1000人近い方が浄楽寺にお参りに訪れるのだとか。
また、富士を見れる高台には「郵便の父」と呼ばれる日本の郵便文化の第一人者である前島密の墓もあり、郵便関係の方々の参拝が多くあるのだそう。
土川さんは「もっと気軽に浄楽寺に立ち寄ってほしい」という思いから、寺院内をギャラリーやフリースペースとして活用することを計画しています。
土川さん: お寺って普段から立ち寄るものじゃないですよね。ご開帳の時は人が集まるけれども、もっと日常的に浄楽寺に人が集まってほしいなと思っているんです。まずはご開帳の時に合わせて、檀家の方の作品を本堂に展示する「てら展」を開催しました。雅楽が流れている中、油絵や墨絵、造る前の仏像のモデルなどをゆっくり観ることができて、お客さんにとても好評だったので、今は檀家さん以外の出展者も募集しているところなんです。
他にも、土川さんはお寺を使って「断食道場」を始めることも視野に入れているそうです。浄楽寺は、逗子駅からバスで15分程度かかる横須賀市芦名にあります。周囲には山や海があって、身体のデトックスにはとてもピッタリな場所です。
土川さん: 都会でせわしなく働く人が、一呼吸置けるような場所にしたいと思っています。今ではマインドフルネスや禅が流行っていることもあり、一般の方がお寺に興味を持つための間口が広がっているのは、非常にありがたいですね。仏教に触れることで、生きる指針が見つかったり、苦しみを取り除くきっかけになることを願っています。
土川さん:現在はFacebookやホームページで情報発信をして、メンバーを集めている最中ですが、お寺を使って何かしたいと考えている若者にプランを立ててもらって、一緒に面白い使い方を考えていければいいなと思っています。やはり若い方に来てもらいたかったら、若い人にアイデアを考えてもらうのが一番だと思うので、一緒に挑戦していきたいですね。
このようにお寺の活用方法や盛り上げ方について、様々な挑戦を続ける土川さんですが、「今のお寺を変えなければいけない」と危機感を覚え始めたのは、修行道場で修行をしていた時でした。
土川さん:道場で修行をしていた頃から「お坊さんはこれから大変な時代だよ」と言われてきました。都会に人が流れて田舎は過疎化が進み、田舎に住む人がいなくなれば当然その地域のお寺は消滅します。横須賀市は2013年に人口減少数が日本で全国1位だったんです。今まで800年続いてきたこのお寺を、絶やさずに守るにはどうしたらいいのかを考えるようになりました。
「お寺が担ってきた役割が、徐々に減ってきていることも、お寺の危機のひとつである」と、土川さんは言葉を続けます。
土川さん:お寺はもともと、学校や病院としての役割を担っていました。しかし、今ではそれぞれが専門化してお寺の機能が減り、お坊さんと会うのはお葬式や法事の時くらいの日本人がほとんどだと思います。でも、本来、お寺はお葬式をするためだけの存在ではありません。仏教の伝道師として、我々の価値を再発見してほしいなと思っています。
別のお寺の住職の紹介で、セーフィーを知る
そんな新しいことに挑戦し続ける土川さんですが、実は住職という側面以外にも、飲食店の経営もしています。もともと20歳の頃は逗子で海の家を経営していたという土川さん。今では、海沿いのフレンチレストランや、ステーキハウスの経営の他に、フレンチレストランの一階のスペースを活用して幼児教育を行う教室「コペル」も開催しています。このように様々な事業を手がける理由は、”人々のお寺離れ”によるものでした。
土川さん:お寺からの給料だけでは生活していくのが難しいんですね。なので、住職になってからも、昔からやっていた飲食店の経営も継続してやっています。もちろん宗派にもよりますが、私のようにお坊さん以外の顔を持っている方もいらっしゃいます。
そんな土川さんがセーフィーを知ったきっかけは、飲食店経営時代に知り合ったお坊さん仲間だったと語ります。
土川さん:僕と同じく在家出身で、修行道場の同期がいるんです。彼はガジェット好きで、Facebookでデジタル機器を紹介するなど、お寺のデジタル化に力を入れている方なんです。その彼に紹介されて、セーフィー対応カメラを知りました。
「大きなお寺以外では、セキュリティ機器を導入しているお寺は少ないんです」と、土川さんは寺院におけるセキュリティ意識の低さを指摘します。最近では、興福寺の油の事件や仏像を盗むような事件が起きています。
土川さん:うちのお寺の仏像も国宝になるかもしれないという話が出ていて、防犯カメラ・監視カメラくらいは設置いたほうがいいのではないかと思い始めました。そこでセーフィー対応カメラを導入することを検討し始めたんです。
お寺という公共性の高いスペースを守る、カメラの役割
土川さんはセーフィーのカメラを選んだ決め手となったポイントについて、次にように語ってくれました。
土川さん:セーフィーは安価で、設置も簡単なので、気軽に始められるんですよね。他社と比較検討もしましたが、セーフィーの価格は他社製品の1/5以下だったんです。大きなセキュリティシステムを仕込むほどではない規模の、うちのような寺にはぴったりでした。 カメラを取り付けることで、お寺の景観を損ねるのではないかと心配していましたが、取り付けてみると全く気になりませんでした。
浄楽寺では目立った犯罪行為などはなく、事件と言えるものは、駐車場に盗難車が駐車されていたことくらい。「お寺で何か悪さをする人は少ないです」と、土川さんは語ります。
土川さん:悪さをするにしても賽銭泥棒くらいですよね。それも頻繁にあることではありません。しかし、お寺は開けた場所なので、見ず知らずの人もふらっと立ち寄ることがあるんですね。誰でも気軽に立ち寄れてしまうと、お寺に子供たちしかいないような状況も考えられるので、セキュリティ面では少し心配だったんです。
お寺という公共性の高い建物の特性上、見ず知らずな訪問者も多いと語る土川さん。実際にどのようなタイミングで映像をチェックしているのでしょうか。
土川さん:お寺は誰もいない時間というのは少ないのですが、ほんのわずかな誰もいない時間帯に、訪問者がいたかどうかなどをチェックしています。そのようなタイミングでは、法事やお葬式の段取りを決めにくる方、お寺の卒塔婆を見にくる方、年会費や管理費の積立金の支払いにくる方などがいます。この前は、ふらっと野菜を持ってきてくれる檀家の方もいらっしゃいました。誰もいない時に訪問者があったことを知るという点で、非常に役に立っていますね。
土川さんは、経営されている飲食店でのセーフィー対応カメラの導入も検討していると、取材の最後に教えてくれました。
土川さん:私が常にお店にいられるわけではないので、万が一お店でトラブルがあったときに映像として記録が残っていたらとても便利だと思います。お客さんの入りもチェックできて、従業員の方もカメラが入っていたほうが安心感があると思うので、有効活用できたらいいなと思っています。
※本記事に掲載している企業情報、所属及びインタビュー内容は、2017年8月公開当時のものです。