建設業の2024年問題を見据えて
現場業務のリモート化を進めるSafieカメラ活用術
空調を中核とした環境ソリューションカンパニー「新日本空調株式会社」。同社のリニューアル事業部ではウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2」をご利用いただいています。建設業界の2024年問題を見据えた導入背景や、カメラの活用方法についてお話を伺いました。
(取材:2022年5月)
導入の決め手
- 遠隔臨場に適した高画質な映像・視聴の手軽さ
- グループ通話ができ、現場とリアルタイムに会話ができる
導入目的
- 建設業界の2024年問題を見据えた働き方改革の一環
- 若手現場監督をサポートするベテラン社員、上長の移動コスト削減
導入した結果
- ベテラン社員、上長の現場訪問の回数が減り、移動コストを大幅に削減できた
- 遠隔臨場の実施を安全対策や工事品質の担保にも応用できた
INDEX
独自のエンジニアリングシステムで、人の快適さを支える「空気・水・熱」の基本要素をコントロールする環境ソリューションカンパニー「新日本空調株式会社」。
その技術はオフィスビルや商業ビル、病院、ホテル、交通インフラから、クリーンルーム、原子力施設まで、暮らしと産業のあらゆるシーンで生かされています。
新築時に導入した設備の保守メンテナンスなどを手掛ける同社のリニューアル事業部では、30拠点でウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2(セーフィー ポケット ツー)」を活用いただいています。 導入目的や活用方法、導入のメリットについてお話を伺いました。
積極的なICTツールの採用で現場のデジタル改革を推進
──はじめに、皆さまが所属されているリニューアル事業部について教えてください。
田村さん: 当社は空調設備をメインに、建物の設備全般における工事を請負い、設計・施工管理を手がけています。
その中でリニューアル事業部は、主に当社が新築時に設備導入を行った建物についてワンストップで、改修工事・保守メンテナンスを担う部署となっています。
また昨今の社会情勢に鑑み、カーボンゼロ実現に向けた取り組みやグリーン化など、建物をバリューアップする積極的なリニューアル提案を行っています。
──リニューアル事業部でSafieを導入するに至った背景を教えてください。
吉永さん: 大きな背景として、2024年に控えた働き方改革関連法の施行、「建設業の2024年問題」があります。新法では、時間外労働の上限規制が月に45時間までと明確になることもあり、労働環境の改善・向上への取り組みには全社的に力を入れています。
その取り組みの一つとして、当社では現場のデジタル改革を掲げており、積極的なICTツール活用の一環としてSafie Pocket2を導入しました。
田村さん: もともと当社には、「まずは取り入れてみる」という基本スタンスがあります。
ICTツール採用についても同様で、導入する際に費用対効果などを厳しく査定せず、まずは現場でトライ&エラーできるような環境をつくっています。
加えて、Safie Pocket2はすでに別の事業部で導入・遠隔地のライブ映像確認などに使用されていたので、映像の鮮明さや使い勝手の良さなどは知っていました。
先行で1台導入し、機能や使い勝手を確認したあと、リニューアル事業部が管轄している関東圏の30拠点全てに導入しました。
Safieカメラがベテラン社員の眼の代わり
遠隔臨場で月間約400時間の移動コストを削減
──Safie Pocket2をどのように活用されているのでしょうか。
栗原さん: 我々はお客さまの建物内あるいはその近くに拠点を設け、1つの拠点で周辺にある複数の建物を管理しています。
工事の際には、担当者である若手社員が現地に行き、当日の作業内容にあわせて、Safie Pocket2を身につけたり定点で設置するなどして現場の様子を撮影。各現場の映像を、拠点や本部のパソコンやモニターに映し、ベテラン社員や上長がチェックしています。
──カメラ導入で感じたメリットをお聞かせください。
吉永さん: ベテラン社員や上長の移動時間とコストを削減しつつ、現場の安全管理や工事品質の担保が実現できたと思っています。
これまでは若手社員の技術的なサポートのため、ベテラン社員や上長が現場に直接行って指示を出す必要があり、その移動にかなりの時間がかかっていました。
Safie Pocket2を導入してからは、拠点や本部で現場の様子を映像で確認、遠隔から工事の進捗管理や若手社員のサポートを行っています。
カメラ導入後の移動時間について30拠点でアンケート調査をしたところ、全体で約400時間/月の移動時間の削減効果がありました。
吉永さん: 工事の注意事項を共有する施工検討会や安全パトロールなどの安全管理業務の際も、Safie Pocket2で現地と本部を繋いでいます。
上長がライブ映像を見ながら、ヘルメットを被っていない等の危険行為があれば指摘し、事故や災害を未然に防ぐことができています。
栗原さん: 現場でイレギュラーな事案が発生した場合の再発防止にも役立てていますね。
Safieがあれば、ライブもしくは録画映像を現場にいなかった社員にも共有することができますし、何より集合知が高まり、再発防止対策も的確になっています。
現場の映像データを教材化
若手社員の教育に活用したい
──Safie Pocket2の使い勝手はいかがでしょうか。
田村さん: 使い方が非常にシンプルなので、スムーズに現場に馴染んでいます。固定して現場に設置したり、カメラを身につけて使用する場合は、現場の社員が自発的にいろいろ試して好みのアタッチメントを取り入れていますね。ネックマウントを使ったり、ヘルメットに取り付けたり。
ほかにもカメラとスピーカーマイクをBluetoothで繋ぎ、現地と遠隔で複数人同士の会話ができるようにするなど、現場でいろいろ工夫して使っています。デジタルネイティブ世代の社員の発想はとても柔軟です。どんどんカメラ活用の幅を広げていってほしいと思っています。
──今後、Safieを使ってチャレンジしてみたいことがあればお聞かせください。
田村さん: 若手教育への活用です。すでに、特殊工事の映像を切り出して若手社員へのナレッジ共有に活用している現場もあります。録画映像をダウンロードして動画マニュアルをつくり、後進教育に生かしていきたいですね。
カメラとドローンのコラボが実現したらうれしいですね。現在は天井裏など作業員が入るのが難しい場所は、小さなドローンで撮影した映像をもとに点検や測定を行っていますが、もし撮影しながら点群データを取り、我々の使っている施工管理のアプリに取り込むことができれば、業務効率がいちだんとアップすると思います。
もし機会があれば、実現に向け実証実験などでぜひ協力し合っていきたいですね。
※本記事に掲載している企業情報、所属及びインタビュー内容はページ公開当時のものです。
お話を伺った方
リニューアル事業部 執行役員 事業部長 田村 守さん
リニューアル事業部 副事業部長 吉永 章さん
リニューアル事業部 技術部 課長 栗原 隆幸さん