安全パトロールの「見守り」役に
「見る側」「見られる側」のマナーある運用
神鋼物流株式会社 今津邦彦 × セーフィーCEO 佐渡島隆平 対談
兵庫県加古川市にある「株式会社神戸製鋼所・加古川製鉄所」。甲子園球場150個分という広大な敷地の7分の1を占める原料地区で、鉄の原料となる鉄鉱石や石炭の荷役・運搬における安全パトロールのために、Safie Pocket2をご活用いただいています。
広大な敷地の安全パトロールにウェアラブルカメラをどう活用しているか、ご担当者にお話を伺いました。
(2020年10月取材)
導入の決め手
- 防塵・防水性能に優れていた。
- 他社に比べバッテリーのもちがよかった。
- 広角や暗いところでも鮮明に撮れるなど性能がよかった。
- 価格的に魅力があった。
導入目的
- 鉄鉱石の原料の保管や輸送業務における作業の安全面の確認
導入した結果
- 1人作業時の手順を遠隔で確認・サポートできる環境になった
- 故障時などに映像として記録に残せるようになった
- 技能継承などに役立てることができる
INDEX
「KOBELCO」ブランドなどでグローバルな展開をみせる神戸製鋼。
鉄鋼、溶接、アルミ・銅などの「素材系事業」、産業・建設機械、エンジニアリングなどの「機械系事業」、更には「電力事業」を事業の3本柱とした複合経営をされている大手鉄鋼メーカーです。
今回取材させていただいた加古川製鉄所は、高炉による銑鉄の生産から、転炉、鋳造、圧延といった原料から鋼材の製造までを行う銑鋼一貫製鉄所です。
その製鉄所内で、原材料の荷役や運搬、製品の輸送を担うのが、神鋼物流株式会社 生産物流本部です。
同社では、現在、10台のSafie Pocket2(セーフィー ポケットツー)をご活用いただいています。
運用方法について、同部の今津さんにお話を伺いました。
まずは、今津さんの所属する生産物流本部のお仕事について伺いました
今津さん:まず、加古川製鉄所内での業務は、大きく3つあります。
荷役、構内輸送、製品出荷です。
私たち生産物流本部 加古川事業所 原料部では、原料荷役とヤード管理を担っています。
荷役とは、海外から輸入した鉄鉱石や石炭を船から降ろす作業です。
鉄の材料である鉄鉱石や石炭は、海外から輸入され船で運ばれてきます。
それを荷降ろしし「原料ヤード」と呼ばれる約80万平米の広大な場所に、種類別に山積みにして保管します。
そしてベルトコンベアを使って、高炉や各工場(焼結工場、ペレット工場)に輸送します。
原料ヤードでは、高品質の鉄をつくるため、原料の鉄鉱石のブレンドも行っています。
佐渡島:約80万平米もあるのですか!広大ですね。
今津さん:はい。輸送にはベルトコンベアを使っているのですが、10~20mの短いベルトコンベアもあれば、800m近くの長いベルトコンベアまで、約300機番もあります。
何台もベルトコンベアを経由して運んでいくので、落鉱という荷こぼれが起きたり、ベルトコンベアが止まってしまうこともあります。
万が一、ベルトコンベアが止まったり問題が起こったら、室員はそこまで駆けつけて現場を確認したり、処置をします。
その際に、Safie Pocket2を装着して業務を行っています。
広大な敷地に延びる300機番ものベルトコンベア操業の安全確認に活用
今津さん:広大な敷地を少人数の室員で管理しているので、1人でパトロールや作業をすることが多く、今回、導入させていただいた携帯できるカメラがあった方が、誰かが見守っていられるようになります。
ベルトコンベア自体も大きな装置で、安全処置の際は必ず電源を切る必要があります。そういった現場確認も遠隔でできるため、Safie Pocket2を採用しました。
佐渡島: すごい。こんなに広い敷地内を少人数で管理されているのですね。
今津さん: はい。少人数管理なので、所内は基本、自転車で移動します。
車を使う場合もありますが、建屋が入り組んでいる場所などは、自転車の方が機動力が高いので。
佐渡島: 他社の製品もご検討されたと思うのですが、Safie Pocket2をご導入いただいた決め手というのは何だったのでしょうか?
今津さん: 他社のウェアラブルカメラや、定点カメラ、ウェアラブルグラスなど、さまざまなものを比較検討してみました。
その中でも一番の決め手は、過酷な環境に耐えられることですね。
加古川製鉄所は、発塵防止(粉塵を飛散させない)のため、荷役した鉄鉱石の山に散水しています。
特に夏場は、現場を走り回っている室員に、鉱石粉や水がかかってしまいます。
Safie Pocket2は高い防水、防塵性能なので、現場でも問題なく運用できると感じました。
もう一つは、バッテリー内蔵であることですね。
加古川製鉄所は24時間操業ですので、事務所にいる間に充電して、何かあったらカメラひとつ装着してパトロールに出られます。
また、他社製品では、ヘルメットにつけるタイプのものもあったのですが、我々の作業ではコンベアが上下に入り組んでいたり、屈んで作業することもあり、大概ヘルメットも汚れやすいんです。それだと、すぐに壊れてしまう印象でしたね。
胸につけても広角で映るセーフィーさんの製品は抜群でした。
安全に関する見守り。「見る側」「見られる側」のマナーある運用
Safie Pocket 2はどのように運用されているのでしょうか?
今津さん:パトロールで出る時に、胸ポケットにクリップでつけてもらっています。
3交替勤務なので、空き時間に充電して次の人にバトンタッチするという運用です。
映像は、事務所や制御室で、リアルタイムでチェックしています。
佐渡島: 導入はスムーズに進みましたか?
「見張られているみたいで嫌だ」という声があったりとかはなかったのでしょうか。
今津さん: 実際「ちゃんとやっているのに、つける必要あるんか?」と言われたこともありました。そこは「安全の為の見守りだよ」と丁寧に説明をさせていただきました。
1人で作業をしていると、故意ではないが、うっかり作業手順を忘れてしまうなどで、命の危険を招くこともあります。
「安全のためのサポートだからご協力をお願いします」と労働組合にもお話をしました。
ですので、運用中も安全面でのチェックはしているものの、いちいち「ああしろ・こうしろ」という細かい指示は出しません。
安全に関わる重要な部分だけ「ここはこうしたらいいよ」というアドバイスを出すだけに留めています。
カメラのマイク音声も基本的には切っています。現場で文句も言ってもらえるように(笑)。
無線を所持しているので、業務内容に関しては、必要時に無線で行うといった形です。
ただし、機械の異常音などを拾いたいときは、装着者に了解をとったうえでマイク音声をONにしています。
佐渡島: 見る側、見られる側、双方のマナーの上で運用されているということですね。
今津さん: そうですね。今ではつけているのが当たり前のように馴染んできたと思います。
良かったのは、スライドで簡単に撮影がOFFになる機能です。
トイレや休憩中のプライベート時には閉めてくださいとアナウンスしています。
故障状況の検証や技能の継承にも活用
現在、パトロール以外の業務にも活用・運用を検討されているとのことですが。
今津さん: 現在は、パトロール業務をリアルタイムで見守りする目的で利用していますが、今後は設備の故障が発生した場合に、どういう状況だったのか、あとで検証したり報告書の作成のために録画映像が使えるのではないかと思っています。
ベルトコンベアの故障は、神戸製鋼所の保全担当が修理するのですが、その場合にも、口頭説明だけで無く、状況を正しく伝達できます。
これは、ヤードに詰んだ鉄鉱石の山をかき取っていくリクレーマー重機の先端部です。
コンベアベルトの部分にズレがないかなどを確認している様子をテスト的に撮影してみました。
それと、我々には製鉄所の操業業務に関する様々な作業があります。
そして、それぞれに作業標準書と呼ばれるマニュアルがあります。
その手順を映像でも残すことで、研修や技能継承にも活用していけるだろうと思っています。
また、複数部署で連携してカメラを活用するメリットもあるなと考えています。
我々物流業務には4つのお客様の「必要」を守る使命があります。
必要な「場所」に、必要な「時間」に、必要な「もの(鉄鉱石の銘柄)」を必要な「量」届けるというものです。
広大な敷地で、複数の場所にあるものをカメラで複数部署にまたがって、全員が把握できたら便利だなと思います。
原料の量や質まで映像で見られれば、次の工程である部署も同じ認識を持ち、スムーズに作業が進むということにつながるかと考えます。
例えば、センサーでは原材料のストックが70%となっているが、映像で見たら、それより多いからセンサー設備の点検対応しようとか、現場を確認に行こうなど、多くの工程で映像を活用できたら、より業務を効率化できるコミュニケーションが図れると思いますね。
佐渡島: 神戸製鋼所さんは、運用すべき工程がたくさんあるので、監視・管理以外にも映像の活用用途がたくさんあると、現場を見させて頂き実感しました!是非これからのアップデートに貴重なご意見を活かしてまいります。
すごいなあ。ぜひ神鋼物流さんのセーフィー活用方法を皆に知ってもらいたいです!
※本記事に掲載している企業情報、所属及びインタビュー内容は、2020年10月公開当時のものです。