障がい福祉サービスの現場でクラウドカメラを活用
スタッフと利用者の双方を支え、大幅な業務削減を実現。

福岡市を中心に、障がい福祉サービス「グループホーム」「就労継続支援B型」を展開されている「株式会社希樹屋」。ウェアラブルカメラの「Safie Pocket2」を活用することで、業務効率化・業務時間削減を実現された同社に、Safie導入の背景や現場における映像の活用法についてお話を伺いました。

(取材:2024年1月)

導入の決め手

  • 操作方法がシンプルで誰でも簡単に使える
  • 映像の確認がしやすい
  • 必要な場所に持ち込んで利用できる

導入目的

  • トラブル時の事実確認
  • 面談および面談記録にかかる時間の削減
  • 映像による面談内容の社内共有
  • 作業マニュアルの作成とOJTの効率化

導入した結果

  • 面談と面談記録にかかる時間が大幅に短縮
  • 面談の際、利用者との対話に、より集中できるようになった
  • 作業の映像化によりマニュアル作成時間が削減
  • 研修の映像保存やOJT時のカメラ活用で育成力がアップ

福岡市で2019年4月に設立した「株式会社希樹屋」。現在はグループホーム4事業所と就労継続支援B型3事業所、計7事業所を運営し、障がい者の方とそのご家族の暮らしをより良いものにするべく、障がい福祉サービスの提供を行っています。今回はSafie(セーフィー)導入の経緯や導入後の効果について、お話を伺いました。

見守りの体制強化と振り返りを目的とし
2種類のクラウドカメラを導入

──はじめに、御社の事業内容についてお聞かせください。

今奈良さん:希樹屋は、障がい者の方に福祉サービスを提供している会社です。主な事業は2つ。1つは365日・24時間支援をするグループホーム事業、そしてもう1つは、障がい者の方を対象にお仕事を提供し、生産活動を通して社会参加をしていただく就労継続支援B型という事業です。

株式会社希樹屋代表取締役 今奈良さん

現在は福岡市を中心に、認可を受けているグループホームを4事業所、就労継続支援B型を3事業所の計7事業所を運営しています。

梶山さん:私は、就労継続支援B型事業所のひとつ「ふたば工房」でサービス管理責任者をしています。

児島さん:私は、「びわの樹」というグループホームでサービス管理責任者をしています。

就労継続支援B型「ふたば工房」の梶山さん(左)、グループホーム「びわの樹」の児島さん(右)

──就労継続支援B型について、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。

梶山さん:就労継続支援B型は、身体障がいや発達障がい、精神障がい、知的障がいなどの障がいをお持ちの方が通所して、お仕事をされる施設です。私がいる「ふたば工房」では内職業務をメインに請け負っており、就労経験がある方から初めての方までさまざまな利用者様が、DMの封入作業やお店で使う紙袋の検品や紐付け、ベビー用品の梱包資材作成などのお仕事をされています。

──Safie導入にはどのような背景があったのでしょうか?

今奈良さん:グループホームや就労継続支援B型でインシデントが起きた際、そのときの状況を映像で振り返ることができる体制を整えたいと思ったことが、導入のきっかけです。

私たちのグループホームではかなり手厚い人員配置で見守りを行っていますが、1人で複数の利用者様を見る時間が出てくることは避けられません。そのため、万一トラブルが起きたときに振り返って事実確認ができるよう、まずは共用部にSafieの固定カメラを導入しました。

共用設備に設置されたカメラ

その後、利用者様とスタッフの面談の場や、利用者様の居室、作業所など固定カメラでは対応できない場所でも必要に応じて映像を残したいと思い、持ち運びが可能なSafie Pocket2(セーフィー ポケットツー)を導入したという流れです。

──スマートフォンやタブレットではなく、Safie Pocket2を採用された理由をお聞かせください。

今奈良さん:スマートフォンやタブレットはそれぞれの端末上にデータが保存されてしまうため、個人情報やプライバシー保護の観点で課題が残ると考えました。

その点、Safie Pocket2はデータがクラウド上に保存されるうえ、アクセス権を制限することができます。また操作が簡単で、IT機器が苦手な人でもすぐに使えるところが大きな魅力でした。

録画したデータはクラウド上で安全に管理

──具体的にはどのような場面でSafieカメラを活用されているのでしょうか。

児島さん:現在は利用者様との個別面談のほかに、病院や相談員さん、行政の方を交えて支援の方向性を決める担当者会議、定期的に行われる相談者さんとのモニタリング、月1のスタッフミーティング、ケース検討会などで、Safie Pocket2を活用しています。

カメラで面談の様子を記録

今奈良さん:やはり利用者様との面談や、関係者会議の記録がメインですね。記録した映像は会議記録を残す際の振り返りに使っているほか、スタッフ育成のためのOJTにも活用しています。

映像を記録することで
面談時間が最大で46%削減

──Safieカメラ導入に際し、どのような課題があったのか教えてください。

梶山さん:面談では議事録を残す必要があり、以前はメモを取りながら行っていました。しかし、メモを取っているときに利用者様の顔を見られないうえ、必要なことを書き洩らしてしまうこともありました。後でメモを読み返してみると疑問点が多く、議事録の作成にかなり時間を要していたのです。また、面談の内容を上長に共有する際も、テキストベースのため状況が伝わりにくいといった課題がありました。

面談の内容を保存した映像データで確認

児島さん:あとは、利用者様同士でトラブルがあった際、起きたことの事実確認が取れず「言った言わない」という状況になってしまいがちでした。さらに、そのときのスタッフの対応が適当だったのか、振り返りができないことも大きな課題でした。

──Safie導入にあたり、苦労されたことはありましたか?

今奈良さん:利用者様とそのご家族にどうやってカメラ導入の意義を理解していただくかという点には気を遣いました。個人情報を保護するため、同意書の内容は弁護士さんなどにも相談したうえで、かなり細かく決めています。

また、スタッフへの説明も丁寧に行いました。希樹屋には、最高の障がい福祉サービスを提供するという企業理念があります。そのためには、もっともっとサービスの質を上げていこうという話を常にしていますので、その延長線でカメラ導入にも理解を得ることができました。

カメラ導入は、スタッフの業務削減にもつながるほか、何かがあったとき、自分がしっかり仕事をしていることを証明する手段にもなります。そういう意味で、スタッフにも前向きに受け止めてもらえたのではないかと考えています。

──Safieを導入いただいた結果、どのような効果があったかお聞かせください。

今奈良さん:もっとも業務効率化ができたのは、面談の部分です。映像を録画することでメモを取る時間を削減でき、1回に1〜1.5時間ほどかかっていた面談時間が30分〜1時間に短縮。最大46%の業務時間削減になりました。

また、45分〜1時間かかっていた面談記録の作成は、30分〜45分に短縮。さらに関係者への面談内容の伝達も10分から2分に短縮することができています。あとは、ミーティング議事録の作成が2時間から1時間に。研修議事録の共有が45分から15分に短縮できました。

業務効率化という意味では、かなり大きな効果があったと考えています。

1人1台カメラを持つことが
当たり前の世界を実現したい

──面談時間の削減が、サービス品質の向上にもつながったとお聞きしました。

児島さん:以前は記録を取るためにメモを取りながら面談を行っていたのですが、映像を記録するようになってからメモを取る時間が減り、より利用者様との対話に集中できるようになりました。

面談を録画することでメモを取る時間を最低限にし、対話に集中できるように

利用者様はスタッフのことをとてもよく見ていらっしゃいますので、メモやパソコンに気を取られていてスタッフと視線が合わないことを、少しストレスに感じる方もいらっしゃいます。カメラ導入は、このような利用者様にとっても良いことだったのではないかと感じています。

梶山さん:「ふたば工房」には集団の中での作業が苦手な利用者様がいらっしゃったのですが、カメラを導入することで、私たちが別室から見守りながら、個室で作業していただくことができるようになりました。これはカメラ導入で支援の幅が広がった好事例だと思います。

──最後に、Safie映像を使った今後の展望について教えてください。

今奈良さん:将来的には、スタッフ全員がウェアラブルカメラを持てるようにしたいですね。自分の目は2つしかありませんが、そこにカメラというもう1つの目を持つことで、誰でも主観の入らない振り返りを行うことができます。このことが、スタッフと利用者様、双方の安心につながるのではないかと考えています。

梶山さん:現在、作業書の作成や作業の伝達にも映像を使っているのですが、まだ件数が少ないので、これからもっと増やしていけたらといいですね。あと、現在利用者様の送迎をスタッフが行っているのですが、新しいスタッフが入ったときのために、この送迎ルートの確認にも、映像を活用していきたいと思っています。

※本記事に掲載している企業情報、所属及びインタビュー内容は取材当時のものです。
※カメラを通じて取得する映像は管理者および、映像閲覧が必要な担当者のみで閲覧しています。法令に基づく場合を除き、第三者提供は致しません。また、映像の活用は事前に特定した利用目的に必要な範囲で行い、お客様個人を追跡することは行いません。

お話を伺った方

株式会社希樹屋
代表取締役
今奈良 憲寛さん


グループホーム「びわの樹」
サービス管理責任者
児島 真美さん


就労継続支援B型「ふたば工房」
サービス管理責任者
梶山 知美さん