空き家の防犯対策は所有者にとって重要な問題です。適切な防犯対策がされていない空き家は、立地や状況によっては盗難や不法占拠、放火などの犯罪リスクが高まるため、有効な対策を講じる必要があります。
本記事では、空き家が犯罪の被害に遭いやすい理由から効果的な防犯対策まで、詳しく解説します。おすすめの防犯カメラも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
狙われやすい空き家の特徴
空き家の立地や状態によっては、犯罪の標的となるリスクがあります。犯罪が起こりやすい空き家の特徴は、次のとおりです。
- 周囲から見えにくい
- 空き家が角地にあり、複数の逃走経路が確保できる
- 侵入しやすい窓が複数ある
- 居住者がいないことがひと目でわかる
周囲から見えにくい場所にある空き家は、近隣からの目が届きにくく犯罪行為が発見されにくいため、狙われやすくなります。角地にある空き家は複数方向への逃走が可能なため、犯罪者にとって狙いやすい立地と考えられます。
また、死角になる位置の窓や、施錠が不十分な窓がある空き家も、狙われやすいでしょう。加えて、ポストに郵便物が溜まっている・カーテンの状態に変化がない・庭の手入れがされていないなど、明らかに無人と判断できる状態も、狙われやすい空き家の1つです。
空き家で起こる恐れのある犯罪やリスク
空き家は、次のような犯罪やトラブルが起こる恐れがあります。
- 盗難
- 不法侵入・占拠
- 放火
- 不法投棄
- 建物の老朽化リスク
前章で述べたような特徴を持つ空き家は、不法侵入や盗難、放火など、さまざまな犯罪の標的になりやすいです。また、人が住んでいない空き家は老朽化しやすいため、倒壊の恐れもあります。
ここでは、空き家で起こりうる犯罪やトラブルについて、詳しくみていきましょう。
盗難
空き家で起こりやすい犯罪の1つが、現金や貴金属をはじめとする家財道具や電化製品などの盗難です。骨董品や美術品なども盗難の対象になります。
実際、愛知県警察本部の調査(※1)では、令和5年10月末時点での空き家を狙った窃盗被害の認知件数として327件あり、侵入盗全体の約13%を占めていると示しています。
また茨城県土浦市の調査(※2)でも、空き家に対する窃盗事件の認知件数が令和3年の173件から令和5年には663件と、わずか2年間で約4倍に急増している状況で、空き家の防犯対策が重要であることが窺えます。
不法侵入・占拠
空き家に適切な防犯対策を施していないと、不法侵入や不法占拠の対象となる恐れがあります。不法侵入とは正当な理由なく他人の住居や建物などに侵入すること、不法占拠は権限がないものが土地や建物を占有することです。
盗難目的の侵入のほか、住居として不法に占拠する無断居住のリスクが高まることで、近隣住民とのトラブルにつながる可能性もあります。加えて、犯罪の拠点にされる懸念も考えられます。
放火
空き家は、人目につきにくく侵入者がいても気づかれにくいため、放火による火災のリスクも抱えています。住人がいない状態では火災の早期発見が困難なため、発見が遅れて消火活動が開始されるまでに火災が拡大する可能性もあります。
空き家自体の被害にとどまらず、周囲の住宅に延焼するリスクも高まり、近隣住民にも被害を及ぼす可能性が考えられます。
不法投棄
管理が行き届いていない空き家は雑草が生い茂り、外からの見通しが悪くなるため、不法投棄が発見されにくい環境になります。一般ゴミだけでなく、処分に費用がかかる粗大ゴミや大型家電などが投棄されるリスクも高まります。
不法投棄されたゴミは単なる景観の問題だけではありません。生ゴミなどが放置されれば悪臭を発生させ、ハエやネズミなどの害虫・害獣を呼び寄せる原因となります。有害物質を含む廃棄物が投棄された場合は、土壌汚染などの環境問題につながる可能性もあります。
建物の老朽化リスク
空き家は日常的なメンテナンスが行われないため、居住中の建物と比較して老朽化が進みやすくなります。定期的な換気や修繕がされない状態が続くと、湿気の滞留による木材の腐食、屋根・外壁の劣化、配管の破損など、さまざまな問題が生じます。
雨漏りが発生すると、建物内部の構造材が劣化し、耐震性・耐久性が低下します。老朽化した空き家は十分な強度を保持できず、倒壊や部分崩落を起こす危険性があり、台風・大雨・地震などの自然災害発生時はとくに注意が必要です。
空き家におすすめの防犯対策
空き家を管理するうえで、おすすめの防犯対策は次の3つです。
- 定期的に出入りする
- 防犯グッズを活用する
- 防犯カメラを設置する
空き家を守るためには、多角的な防犯対策が必要です。不法侵入や盗難などの犯罪だけでなく、ゴミの不法投棄や建物の倒壊リスクも視野に入れ、対策を講じましょう。
定期的に出入りする
定期的に出入りすることで、管理されている物件だという印象を与え、犯罪の抑止効果が期待できます。加えて、次の3点も意識してみてください。
- 草抜きや庭木の剪定を行う
- 敷地内外の掃除と点検を行う
- ポストを整理する
誰かが出入りしているというだけでも効果的ですが、外観などある程度整えておくことも犯罪の抑止につながる可能性があります。
草抜きや庭木の剪定を行う
雑草が生い茂っていたり、庭木の手入れがされていなかったりする場合、空き家であると判断される可能性が高くなります。
庭木の手入れを頻繁に行うことが難しい場合は、伐採も1つの方法です。伐採は剪定以上に危険を伴うため、業者へ依頼することをおすすめします。
敷地内外の掃除と点検を行う
空き家を管理するにあたり、敷地内や外回りの清掃も欠かせません。玄関やアプローチなどの敷地内のゴミ・ホコリを取り除くほか、敷地外の落ち葉の処理も必要です。落ち葉が側溝を詰まらせて、近隣に迷惑をかけるケースもあります。
そのほか、放置すると悪臭や衛生上の問題が生じる動物の糞尿処理も忘れずに行いましょう。防犯効果を高めるためにも、定期的に清掃を行うことがおすすめです。
ポストを整理する
郵便ポストにチラシがあふれていると、無人であると判断されやすくなるため、ポストの中身を確認・整理することも必要です。あふれたチラシが外に落ちていると近隣に迷惑をかけてしまうため、定期的な出入りの際にはチラシの廃棄や郵便物の確認も重要です。
防犯グッズを活用する
空き家の防犯対策には、グッズの活用もおすすめです。さまざまな防犯グッズがあるため、場所や用途に応じて使い分けましょう。
- 窓や玄関に補助鍵を付ける
- 防犯フィルムを貼る
- センサーライトを設置する
- 防犯ブザーを設置する
侵入経路として使われやすい窓には補助鍵や防犯フィルム、人目が届きにくい場所にはセンサーライトが有効です。大きな音が鳴る防犯ブザーは不法侵入の防止に役立ちます。
窓や玄関に補助鍵を付ける
既存の鍵に加えて補助鍵を設置すると、空き家のセキュリティ向上に役立ちます。
窓用の補助鍵には、粘着テープやネジで取り付けるタイプ、窓のレールに固定するタイプなどがあります。玄関ドア用の補助鍵には、一般的な形状のシリンダー錠、ピッキングに強いディンプルキー、電子キー、暗証番号式、スマートフォンで操作できるスマートキーなど、さまざまなタイプがあります。
防犯フィルムを貼る
破壊しやすく侵入経路となりやすい窓には、防犯フィルムが効果的です。窓ガラスの破壊を完全に防ぐものではありませんが、ガラスを割るためには何度も強打する必要があり、大きな音が出たり、割れるまでに時間がかかったりします。
「大きな音がする」「容易に侵入できない」といった要素は犯行を断念させる効果があり、空き家への不法侵入リスクを軽減できます。
センサーライトを設置する
人の動きを感知して自動的に点灯するセンサーライトは、暗くて見えにくい場所を明るく照らすため、侵入防止に効果的です。とくに夜間の不法侵入を抑止するだけでなく、空き家の下見といった犯罪の準備行為の未然防止にも役立つでしょう。
防犯ブザーを設置する
空き家の窓やドアに防犯ブザーを設置すれば、警報音によって侵入者を抑止・追い払う効果が期待できます。
一般的な防犯ブザーは、本体とマグネット式のセンサーのセットです。窓やドアが開けられてセンサーと本体が離れると、警戒音が鳴るしくみになっています。
ただしこのタイプは、主に横引き窓など、通常の開け方で開けた場合にのみ作動します。窓ガラスを割られるなど破壊行為への対策には、振動や衝撃を検知して警報を発するタイプを選ぶと、セキュリティがさらに向上します。
防犯カメラを設置する
空き家の防犯対策として、防犯カメラの設置も効果的な選択肢の1つです。防犯カメラが設置されていることで侵入者を抑止するだけでなく、不審者の接近や不法侵入があった場合の証拠を残すことができます。
空き家に防犯カメラを設置する際は、玄関や窓などの侵入経路が見える位置に配置すると効果的です。また、カメラ自体が見えることで犯罪抑止効果も期待できます。具体的な防犯カメラの形状、おすすめの防犯カメラは次章で詳しく紹介します。
なお、設置した防犯カメラが公道や隣接する敷地を撮影し、そこを通行する人々が映り込む可能性があります。そのため、撮影箇所の一部をマスク処理できる「プライバシーマスク機能」がある防犯カメラを選ぶことが重要です。
それに加え、防犯カメラを設置する際は、近隣住民への事前説明や、通行人のプライバシーに配慮した設置角度の調整なども大切です。以下の記事では、防犯カメラの設置とプライバシーの関係について詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
空き家対策には防犯カメラの導入がおすすめ
空き家を長期間管理するには、定期的な見回りだけでは限界があるといえます。防犯カメラの導入により、遠隔地からでも空き家の状況を確認でき、不法侵入や犯罪行為の早期発見が可能になります。
以下では、空き家の防犯におすすめのカメラ機能を解説します。また、空き家対策におすすめの防犯カメラも紹介します。
空き家の防犯におすすめのカメラ機能
空き家に設置する防犯カメラにおすすめの機能として、以下が挙げられます。
機能 | 特徴 | 空き家の防犯におすすめの理由 |
クラウド録画機能(クラウド録画サービス) | ・インターネットを介して、映像データをクラウド上に保存する機能・サービスによっては長期間の保存が可能 | ・録画したデータの保存方法としてSDカードなどがあるが、容量不足や盗難リスクが懸念される。クラウド保存ならカメラ本体の盗難・破壊があっても証拠映像が失われないため |
動体検知(モーション検知)機能 | ・人や物の動きを検知して、スマートフォンに通知を行う機能 | ・映像に動きがあった際に、できるだけ早く状況を把握できるため |
夜間撮影機能(赤外線カメラ) | ・昼夜問わずクリアな映像を撮影できる機能(夜間は映像が白黒になる)・昼夜問わずカラー撮影できる「暗視カメラ」もある | ・人目がなく照明がない夜間の空き家でも、24時間体制で確認できるため |
防水・防塵機能 | ・雨・雪・ほこりなどの環境要因からカメラを保護する機能・屋外設置の場合は「IP66以上」が推奨される | ・長時間無人状態が続くと故障に気づかない可能性があり、定期的なメンテナンスが難しい場合は耐候性が求められるため |
プライバシーマスク機能 | ・映像の一部をマスク処理(モザイクや黒塗りなど)する機能 | ・公道や隣家の敷地など、プライバシーに配慮すべき部分が映る可能性があるため |
▼こちらの記事は、防犯カメラの種類を【形状・録画方法・機能別】で解説しています。あわせてご覧ください。
空き家対策におすすめの防犯カメラ

空き家に防犯カメラの設置を検討しているなら、撮影した映像がクラウド上に録画される「クラウド録画サービス」を提供する、「Safie(セーフィー)」のクラウド防犯カメラがおすすめです。Safieのカメラをインターネットに接続するだけで、スマートフォンやパソコンから、リアルタイムで映像を確認できます。
Safieは「映像がきれい」「設定が簡単」「使いやすい」のも特徴です。HD画質と最大30fpsで、きれいでなめらかな映像を確認できます。強固なセキュリティレベルも維持しており、Safieのクラウドに保存されるお客様の録画データは、最新の暗号化技術によって守られています。
ここでは、空き家の防犯対策におすすめなSafieのクラウド防犯カメラ2種を紹介します。
i-PRO WV-U1532LA(SF)取付金具セット
i-PRO WV-U1532LA(SF)取付金具セットは、犯罪抑止効果が高いバレット型(ガン型)カメラです。IP66の防水・防塵性能とIK10の耐衝撃性能を備えており、環境を選ばず使用できます。
デイナイト機能により夜間撮影に強いほか、焦点距離を変更できる電動バリフォーカルレンズを採用しているため、撮影範囲を簡単に調整可能です。動体検知(モーション検知)機能とプライバシーマスク機能を備えており、空き家の防犯対策に有効です。

i-PRO
WV-U1532LA(SF)
防犯抑止効果の高いガン型カメラ
¥70,840 (税込)
外形 | 奥行262mm 高さ112.5mm 幅112.5mm |
重さ | 860g |
防水性能 | IP66 |
ネットワーク接続 | 有線LAN |
PoE給電 | 対応 |
画角 | 水平43°~100° 垂直24°~56° |
ズーム | – |
マイク(音声入力) | なし |
スピーカー(音声出力) | なし |
暗所撮影 | 対応 |
VIVOTEK FD9383-HV(2.8mm)(SF)
VIVOTEK FD9383-HV(2.8mm)(SF)は、コンパクトなドーム型カメラです。半球状の形状のため、バレット型よりも広範囲を撮影できるうえ、建物にもなじみやすい特徴があります。
IP66の防水・防塵性能とIK10の耐衝撃性能を備えているほか、動体検知(モーション検知)機能とプライバシーマスク機能も備えています。また、赤外線照射機能で夜間や暗闇での撮影に強いうえ、SNV機能により低照度下でもカラー映像撮影が可能なのも特徴です。

VIVOTEK
FD9383-HV(2.8mm)(SF)
IP66の防水防塵性とIK10の耐衝撃性を備えたドーム型カメラ
¥36,300(税込)
外形 | φ117.2 x 89.6 mm |
重さ | 550g |
防水性能 | IP66 |
ネットワーク接続 | 有線LAN |
PoE給電 | 対応 |
画角 | 水平103.4° 垂直75.3° |
ズーム | ePTZ: 48倍デジタルズーム |
マイク(音声入力) | なし |
スピーカー(音声出力) | なし |
暗所撮影 | 対応 |
防犯カメラを活用して空き家の防犯対策をしよう
空き家は管理が行き届かない状態になると、盗難や不法侵入・占拠、不法投棄、放火といったさまざまな犯罪やトラブルのリスクが高まります。本記事で解説したように、周囲から見えにくい立地、明らかに無人と判断できる状態の空き家は狙われやすく、効果的な防犯対策が欠かせません。
定期的な訪問や防犯グッズの活用は基本的な対策として有効ですが、遠隔地から空き家の様子を確認するなら、クラウド型の防犯カメラの活用もおすすめです。定期的な見回りや防犯グッズと組み合わせることで、空き家を犯罪・トラブルから守る防犯体制を構築しましょう。
- いつでもどこでも映像が見られるクラウドカメラ
- スマホやパソコンから店舗・現場を見える化
※1 出典:“令和5年10月末(暫定値)の犯罪発生状況”. 愛知県警察本部 生活安全総務課. 2023-11-10(参照 2025-04-23)
※2 出典:“空き家に対する窃盗事件への協力依頼について(茨城県警)”.土浦市公式ホームページ.2024-06-26(参照 2025-04-23)
※顧客や従業員、その他の生活者など人が写り込む画角での防犯カメラの設置・運用開始には、個人情報保護法等の関係法令の遵守に加え、写り込む人々、写り込む可能性のある人々のプライバシーへの配慮が求められます。防犯カメラとプライバシーの関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶「防犯カメラとプライバシーの関係。事業者が注意すべき設置のポイント」
※カメラの設置に際しては、利用目的の通知を適切に行うとともに、映像の目的外利用を決して行わないことが求められます。適切なデータの取り扱いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶「カメラ画像の取り扱いについて」
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