国土交通省が推進してきた「遠隔臨場」は、生産性向上やICT活用の手段として、建設現場などで導入が広がっています。一方で、実施方法がわからずにまだ導入に踏み切れていない企業や、ツール選びで迷っている企業も少なくないはず。
そこでこの記事では、国土交通省が遠隔臨場を推進している理由や遠隔臨場のメリット、そして遠隔臨場を始める前に知っておきたい課題など、遠隔臨場を理解するための必須情報を凝縮してお届け。実施に必要な機器やシステムの要件を、選び方のポイントと共にお伝えするとともに、具体的な製品例や導入事例もご紹介します。
※本記事は2023年3月時点における国土交通省の情報をもとに記載しております。
※参考:国土交通省「建設現場の遠隔臨場」
目次
遠隔臨場とは?
遠隔臨場とは、監督員(発注者)がこれまで現場に出向いて実施していた確認や立会検査を、ウェアラブルカメラなどを利用して遠隔から行うことを言います。建設現場で監督員が行う各種確認作業の効率改善を目的に始まった取り組みです。
遠隔臨場の流れは以下です。
- 遠隔臨場で実施する検査項目を決定する
- 受注者(現場技術員)は体に装着できる“ウェアラブルカメラ”などを携えて現場作業
- 発注者(監督員)はオフィスなどの遠隔地からカメラ映像を確認
- 発注者が直接立ち会わずとも「段階確認」「材料確認」「立会」が可能
これにより、発注者は現場への移動負担を削減でき、受注者も立会調整にかかる時間を削減することができます。
国交省が推進している理由
近年、遠隔臨場に注目が集まり、導入が進んでいる背景には、人材不足や新型コロナウイルスによる影響があります。
さらに、国としても建設業界のICT活用を推進しており、そのための施策の1つとして遠隔臨場が注目されています。国土交通省からは「i-Construction」というプロジェクトも発案されており、生産性の向上を目指す動きが進められています。
(1)人材不足
建設業界においては、高齢化や若者の建設業への就業意欲の低下などに起因して、熟練した作業員が不足しています。人手不足は作業スケジュールの遅延や品質低下につながるため、効率的な作業手法や技術の導入が求められています。
(2)新型コロナウイルスの影響による働き方の変化
新型コロナウイルスの感染拡大の結果、リモートワークやそれを支える技術が一般に普及し、建設業界でも遠隔臨場が行われるようになりました。感染が落ち着いてからも、引き続き現場に行かずに進捗確認できる環境の活用が進んでいます。現場への移動時間や現場滞在時間を減らして省人化や作業効率化を図ることが可能になりました。
遠隔臨場における、クラウドウェアラブルカメラの活用方法を事例を交えながらご紹介
遠隔臨場を行うメリット5つ
ICT活用施策の1つとして注目を集めている遠隔臨場には、以下のようなメリットがあります。
(1)時間とコストの削減
発注者が遠隔で作業内容を確認できるため、現場への移動や滞在にかかる時間やコストを削減できます。また、遠隔地からリアルタイムで指示やアドバイスを伝えることができるため、作業の進行がスムーズになり、効率が向上します。
(2)安全性の向上
移動に時間がかからない遠隔臨場なら、臨場の機会を増やすことができるため、細かな部分まで監督者の目が行き届きやすくなります。このようにコミュニケーションの頻度や密度が増すことにより、異常やトラブルを早期に発見することが可能となり、安全性の向上につながります。
(3)迅速な共有と意思決定
言葉だけでは説明しにくい内容は、映像で視覚的に示すほうが正しく伝わります。そのため、遠隔臨場によって関係者への課題共有にかかる時間を最小化し、迅速な意思決定を行うことが可能となります。
(4)記録としての利用
録画した映像は、後からの作業の確認や品質管理、報告書作成などに利用することが可能。また、将来の参考や証拠として活用できる可能性もあります。
(5)新人育成・ベテラン人材の活用
体力的に現場が難しくなったベテラン人材が、遠隔臨場を通じてリモートで新人指導を行うことで、新人は貴重な知識やノウハウを学ぶことができます。さらに、遠隔臨場によるリモート指導を録画することで、新人研修などの人材教育コンテンツとして再利用もできます。
導入前に知っておきたい課題
遠隔臨場を有効活用できれば、生産性の大幅な向上が期待できます。一方で、遠隔臨場には課題があるのも事実です。課題はあらかじめ知っておくことで対処できるため、ここでは特に重要な課題を1つ1つ解説します。
(1)作業員のプライバシーとネガティブな感情
現場の様子を常時録画する場合、そこで働く作業員は自身が監視されていると感じる可能性があります。監視が目的ではなく業務効率化や安全確保、技術向上が目的であることを、作業員に対して事前に明確に伝えることが重要です。
(2)遠隔臨場に適さない現場もある
遠隔臨場のシステムが整っていても、すべての現場が完全に対応できるわけではありません。遠隔臨場が適さない場合もあるのです。例えば、現場が複雑な地形で映像では伝わりにくい、暗くて状況を伝えにくい、通信環境がない、悪天候で通信環境が悪いといった場合は適していません。また、匂いや手触りなど映像では確かめられない状況を確認するのにも、遠隔臨場は適していません。
(3)スマホやZoomでは不十分なケースが多い
スマホやZoomなどのツールを使用した遠隔臨場には、以下のようなデメリットがあります。
- 振り返りが難しい
- 遠隔臨場の映像や音声はリアルタイムで共有されますが、別途録画をしない場合は、事後に振り返ることができません。
- 長時間の臨場に向かない
- スマホやPCなどを手で持って通話すると、疲労や注意力の低下を招きやすいため、長時間連続しての臨場には不向きです。そもそも歩きスマホ自体を禁止している現場もあります。
スマホやZoomの活用を考えている場合は、以下の記事もおすすめです。
遠隔臨場を始めるために必要なもの
遠隔臨場を始めるためには、次の4つの要素が最低限必要となります。
- インターネット回線
- 現場の状況を撮影し、音声も含めて生中継できるカメラ
- 現場からの映像を確認し、会話するためのパソコンまたはスマートフォン
- 映像と音声を共有するためのアプリ
これらの要素に対応する機器やサービスを選ぶ際は、以下の3つのポイントをおさえましょう。
- 映像撮影
撮影に使用するのがスマホやタブレットのカメラの場合も、ウェアラブルカメラのような機器の場合も、国土交通省が策定した「建設現場における遠隔臨場に関する実施要領(案)」に適合したカメラで撮影を行います。
- 映像のリアルタイム共有
現場で撮影した映像をリアルタイムに配信する機能を持つアプリが必要です。
- 過酷な環境での安定稼働
屋外などの過酷な環境下でも安定して稼働する機器であることが求められます。
また、遠隔臨場に用いるシステムには、映像を撮影するだけでなく、リアルタイムで映像を共有するためのアップロード機能、そして受注者と発注者の間で確認のやりとりをするための双方向の音声コミュニケーション機能なども必要となります。
特に重要なのは、システムの中核となるカメラ選び。失敗しないカメラ選びのコツを解説した記事や、導入システムを見極めるヒントを記載した記事もあわせてお読みください。
必要な機能を満たしたカメラ「Safie Pocket シリーズ」
Safie Pocket シリーズは、リアルタイムで双方向通話と映像共有ができるウェアラブルカメラです。インターネットと接続し、クラウド上に映像を録画する「クラウドカメラ」なので、スマホやパソコンから専用アプリにアクセスすれば、いつでもどこでも撮影現場の映像を確認可能です。
Safie Pocket シリーズは、建設現場で活きる新しいクラウドカメラを目指し、仕様を特化。簡単な操作感ながら高機能を実現しています。国土交通省が発表している「遠隔臨場」の基準も満たしています。詳細な数値はこちらの資料をご参照ください。
国土交通省により取りまとめられた遠隔臨場取組事例集は以下よりご確認ください。
▼建設現場における遠隔臨場 取組事例集
https://www.mlit.go.jp/tec/content/001594457.pdf
(Safie Pocket2の該当事例:第二版 No.2,15,16,17 / 初版 No.13,18,20,26,30)
機材は小さな端末だけ
受注者(現場技術員)はSafie Pocket シリーズを装着するだけ。
Safie Pocket シリーズではタイムラグの少ない「WebRTC」技術を採用し、円滑なコミュニケーションを実現しました。シンプルでわかりやすい簡単操作とスムーズな使用感で、現場の作業ストレスを軽減します。
気になる費用面は?
Safie Pocket シリーズ は、1ヶ月から気軽に使い始められるレンタル製品です。料金体系もシンプルで、カメラとヘッドセットなどの付属品一式、データ通信費用、クラウド録画費用など、必要なものがすべてパッケージになっています。
最短1ヶ月からの短期レンタルプランに加えて、最短24ヶ月からの長期レンタルプランもご用意しています。ご利用期間に応じて金額が異なるため、具体的な費用は、こちらからお問い合わせください。
- 「Safie Pocket」シリーズ紹介
- ウェアラブルクラウドカメラでの遠隔業務をご検討中の方はお気軽にご相談ください。
Safie Pocket シリーズ活用事例
Safie Pocket シリーズ は、操作が簡単なこと、映像がクリアなこと、セキュリティが高いことなどから、多くの企業さまにお選びいただいています。
\株式会社大林組さま活用事例/
\株式会社今西組さま活用事例/
Safie Pocket シリーズには他にも様々な活用事例があります。どういったステップで遠隔臨場を導入するかなどもあわせて解説した記事も、ぜひこの機会にご確認ください。
遠隔臨場における、クラウドウェアラブルカメラの活用方法を事例を交えながらご紹介