冠水対策のポイントと具体的な方法|クラウドカメラ導入で効率化も

冠水対策の方法と必要性

異常気象による「集中豪雨」や、集中豪雨が続く「線状降水帯」、都市部の「ゲリラ豪雨」などが近年多発しています。これらの影響による路面や土地の冠水被害は深刻です。今後もさらに発生すると考えられるため、冠水被害を最小限に抑えるために国をはじめ自治体や企業は対策を施さなければなりません

今回の記事では、冠水対策について具体的な対策と、クラウドカメラの導入によるメリットや事例を紹介します。

冠水とは?

「冠水」とは、集中豪雨や台風、大雨によって道路や土地に水が流れ込み、一帯が水で覆われてしまう状態のことです。たとえば、「河川が氾濫し畑が冠水被害を受ける」、「豪雨によって路面が冠水する」といったように表現されます。

同じような水害に、「洪水」や「浸水」があります。洪水は河川の水が増え、堤防から溢れることをいいます。浸水は建物や家屋の中にまで水が入ってくることを指し、床上浸水や床下浸水などと表現されます。いずれも冠水と同じく、集中豪雨などの影響により生じます。

路面や土地が冠水すると、さまざまな事故や被害を引き起こします。

  • 道路に足元まで水が溜まって帰宅困難者やケガをする人が発生する
  • 車が水没して交通麻痺や車の故障が発生する
  • マンションや住宅まで冠水・浸水する
  • 農作物が被害に遭い大損失

上記のような被害へとつながる恐れがあり、多くの生活者に大きな影響を与える可能性があります。

冠水被害が起こる原因

冠水被害が起こる原因は、大きく3つが関係しています。

雨水に対して排水が追いつかない

1つ目の原因は、排水処理が追いつかないことが挙げられます。道路の脇に排水口が設けられており、雨水は排水口から地下の排水管へと流れ出る仕組みです。しかし、あまりにも大量の雨水が排水管に流れ込むと排水に時間がかかってしまい、一定の間、水が溜まって路面が冠水状態となります

くぼんだ地形や低い土地

2つ目は、地形によるものです。周囲よりも低くくぼんでいる土地の場合、水が流れ込みやすく冠水につながりやすいといえます。平坦な土地よりも水溜まりのように水が集まってしまい、より排水処理が追いつかない状態となります

とくに日本は、国土の大部分が山地や丘陵地であるため、川の流れが速い特性があります。急激な大雨で森林が雨を吸収できず、川に流れ込んだ雨水が氾濫することで路面や土地が冠水するといった状態を起こします。

都市化が進んだことによる影響

都市化が進んだ地域では、以下の原因も関係していると考えられます。

  • 雨水を吸収しにくい
    アスファルトやコンクリートで覆われている部分は雨水を吸収できないため、すべての雨水が排水管へと流れ込みます
    。そのため、都市部ではより路面冠水を起こしやすいです。
  • 都市部の水使用量の増加
    都市部では人口が周囲よりも多い分、全体の水の使用量も多い状況です。排水量の増加を招くため、雨水の排水処理が追いつかないケースもあります

冠水対策の必要性

異常気象による局地的な集中豪雨はここ数年多発している状況であり、今後もさらに続くと想定されます。とくに都市部では、ゲリラ豪雨にも注意しなければなりません。都市部はアスファルトや建物で追われている部分が多く、車や空調の使用率も高いことから、周囲の土地と比べて気温が高くなるヒートアイランド現象を起こします。

これにより上空との温度差が大きく開くことで、急激で局地的な大雨(ゲリラ豪雨)が発生します。各自治体では、降雨量を想定して排水管や河川の堤防などの整備を施しています。しかし、その想定を上回る気象が発生しており、雨水を排水できない状態となっています。

さらに、都市化が進んだ地域では地下鉄や地下街などが多く存在しているため、重大な冠水被害につながりやすいです。そのため、これまでの気象条件をもとにした対策だけでなく、より一層の冠水対策が重要と考えられています。

今からできる冠水対策の具体的な方法

国や地方自治体では冠水や河川の氾濫といった災害リスクに備え、施設や環境の整備、ハザードマップの作成など、さまざまな対策を講じています。しかし、行政だけではなく地域コミュニティや企業、近隣住民もそれぞれができる対策に取り組むことが必要不可欠です。

洪水ハザードマップ危険な区域を共有しておく

ハザードマップは、自然災害によって被害が想定される地域や、避難場所・経路などの防災に関する情報を示したマップのことです。自治体が提供する資料で、ホームページからでも確認できます。冠水や河川の氾濫といった水害だけでなく、土砂災害や地震・津波といった災害情報も記載されています

自治体は転居者に危険区域を知らせたり、定期的に防災無線を流したりして住民に知らせる取り組みをおこない、地域住民も積極的に確認することが大切です。

土のうの設置をする

土のうは、袋に土を入れて水をせき止めるものです。ニュースなどで自衛隊や自治体の消防団が、河川の氾濫を防ぐため土のうで堤防を築いているシーンを見る機会もあります。簡易で作れて冠水対策につながる方法ですが、家庭では大量の土を用意するのが難しいケースがほとんどです

そのため、ビニール袋に代用で水を入れた土のうを作り、段ボールに入れてブルーシートなどで覆うことで簡易の水のうが作れます。水害が多い地域では、連絡すれば自治体が配布してくれるところもあります

道路側溝の改修やメンテナンス

雨水が溜まりやすい場所は、道路側溝の改修もひとつの対策です。水の流れを改善することで、冠水被害を抑制します。また、道路の側溝に落ち葉やゴミが溜まっていると排水口が詰まり、冠水を起こす原因となるため排水設備の清掃も大切です。

排水施設の構築

駐車場施設などの地下に、貯水槽を設ける対策方法もあります。大量の雨水が流れても一時的に雨水を溜めておけるため、排水できない状態を抑止します。貯水槽に溜めた水は地中へ浸透させたり、少しずつ排水させたりできるため、都市部のゲリラ豪雨対策として活用できます。

冠水被害の確認にはクラウドカメラの導入がおすすめ

気象情報で大雨が予想される場合、河川の氾濫や道路状況を確認するため、自治体の担当者などは周辺を巡回や監視する必要があります。しかし、常に現場をパトロールしなければならない状態では、人員数が必要となり担当者の危険も伴うといった課題があります。

しかし、これらの課題はクラウドカメラを導入することで解決できます。クラウドカメラはネットワークを介して撮影した映像をクラウド上に保存するカメラです。パソコンやスマホからクラウドにアクセスすることで、いつでもどこからでもカメラの映像を確認できます。映像はリアルタイム視聴でも過去の振り返りもどちらも可能で、実際に現場に足を運ばなくても冠水被害の状況を遠隔から確認できるようになります。

冠水対策でクラウドカメラを導入するメリット

クラウドカメラを導入すると、以下のようなメリットがあります。

早期に避難勧告の発令ができる

映像をリアルタイムで確認できるため、河川や路面などの様子を事務所や自宅からチェックし異変にすぐ気づけます。移動やパトロールの時間を省けて、住民への避難勧告を迅速に発令できるようになり、被害を最小限に抑えるために役立ちます。

現場に行かずに被害確認ができる

豪雨の最中は、現場の巡回や監視は危険を伴う可能性もあります。一方、クラウドカメラであれば安全な場所から確認できるようになります。また、土砂災害などで立ち入れないエリアでも、映像から被害を確認できます。

少ないパトロール人員での対応が可能

クラウドカメラの映像確認で危険なエリアを特定してから必要なパトロールをおこなえばよいため、パトロール人員を最小に抑えられます。

冠水対策でクラウドカメラを導入した事例

セーフィーのクラウドカメラを導入した事例を2つ紹介します。

クラウドカメラが現地パトロールをサポート

福井県奥越地方に甚大な被害をもたらした、2022年8月の記録的大雨。「奥越土木事務所」様は、被災した河川の復旧工事にあたっています。

現地をパトロールして被害状況を確認し、土のうを積むなどの応急処置と復旧工事を進めています。しかし、雨が再び降った場合は改めて現地をパトロールする必要があり、パトロールを派遣するための人員が不足している課題を抱えていました

そこでセーフィーのクラウドカメラを導入し、リアルタイムで現場の映像を確認しています。急行するべき場所を判断してからパトロールできるようになったため、人員不足の問題を解消できています。また、どこにいても現場のようすがわかるため、大きな安心感につながっています。

氾濫しやすい河川にクラウドカメラを設置、その映像をYouTubeライブ配信

茨城県稲敷郡美浦村役場」様は、梅雨や秋に発生する豪雨により氾濫しやすい河川があるという課題を抱えていました。河川の氾濫で住宅浸水といった被害が発生することもあるため、セーフィーのクラウドカメラを設置し、地域住民へ迅速に避難勧告できるようにしています。

クラウドカメラの映像は役場のスタッフはもちろん、YouTubeでライブ配信をおこなうことで、地域住民の方も24時間監視できる体制を整えています

大雨のときは職場にいながら複数のスタッフで河川のようすをチェックし、気象情報も考慮しながら避難勧告を出す判断をしています。氾濫があったエリアにカメラを設置したことで、周辺の住民の安心感にもつながっています

まとめ

今後も集中豪雨やゲリラ豪雨、線状降水帯など経験したことのない大雨に見舞われる恐れがあります。低地のエリアや都心部、河川の近く、過去に冠水被害あったエリアなどはとくに注意が必要ですが、日本全国どこのエリアも冠水被害の可能性はあります

豪雨が予想される場合は、路面が冠水していないか河川が増水していないかといった監視が必要になり、地域住民の安全を考慮した早期の避難勧告といった判断も求められます。そのため、危険エリアを早急にかつ正確に特定するために、クラウドカメラの設置が有効です

セーフィーでは、さまざまなタイプのクラウドカメラを取り扱っています。上記で紹介した事例以外にも多くの企業様に映像ソリューションを提供しており、豊富な実績も備えています。冠水対策のひとつとしてクラウドカメラの導入を検討される場合は、ぜひセーフィーにご相談ください。

公共向け活用ガイドと導入事例集
公共向けクラウドカメラ活用ガイド
自治体などの公共事業におけるクラウドカメラの活用方法と導入事例をご紹介しています。