建設業で生産性を向上させるには?方法や注意点を解説

建設業の生産性向上 具体的な方法や注意点

アナログな施工・現場管理や慢性的な人手不足による長時間労働など、多くの課題を抱える建設業では生産性向上が必要とされています。

また、建設業における生産性向上を実現させたいものの、具体的な施策や注意点が分からずに困っている方は多いはずです。

そこで建設業の生産性を向上させる具体的な施策から、生産性向上のメリット、デメリットの解決策まで徹底解説します。業務効率化に向けた課題を感じている方は、参考にしましょう。

建設業で生産性向上が必要な理由

株式会社H&Companyの調査によると、全生産業の労働生産性(※1)の平均値は4,793.9円なのに対して、建設業は3,103.5円となっています。(※2)

その他の業種と比べて、建設業の労働生産性が低い主要な要因は、労働時間の長期化です。労働時間が長期化する要因としては、就業者の高齢化や人手不足、従来の働き方から脱却できないことなどが挙げられます。

また、2024年4月1日より時間外労働の上限規制が適用され、従来の長時間労働が難しくなったことも、生産性向上が求められる理由の一つです。

※1 労働生産性=実質国内総生産額 ÷(就業者数×1人当たりの年間総労働時間)で算出
※2 “建設業の労働生産性について”.株式会社H&Company.2023-2-21(参照 2024-5-23)

建設業の生産性向上させる具体的な施策

建設業の生産性向上を目指すとき、どのような手を打てばよいか分からない方も多いはずです。そこで作業を効率化できるツールや具体的な対策の数々をみていきましょう。

ITツールの活用

建設業で生産性が向上しない理由の一つが、受注、施工、竣工にいたるまで、多様な業務を求められるうえに、多くの現場で属人性が解消されていない点です。施工管理や安全管理を効率的にできるITツールの導入を検討しましょう。

クラウドカメラ

クラウドカメラは、インターネットなどのネットワークと接続して撮影した映像を、クラウド上に保存できるカメラです。カメラとモニターを配線で接続する従来のアナログカメラと異なり、ネットワークに接続するため、遠隔地からの操作や複数媒体へのデータ保存ができます。

また、配線工事なしで気軽に設置できる点や、クラウド上にデータ保存ができるため、アナログカメラよりデータ紛失のリスクが低い点もクラウドカメラのメリットです。

建設業においては、遠隔臨場や安全管理へクラウドカメラを活用する企業が増えています。用途に合わせて、固定設置型や持ち歩いて撮影できるウェアラブルカメラなど利用するとよいでしょう。

施工・現場管理ツール

建設業の生産性向上を目指すなら、建設業に特化した施工・現場管理ツールを導入しましょう。

施工・現場管理ツールでは、常に最新の工程表を共有可能、現場ごとの受発注をまとめて見える化できるなど、連絡や事務作業の手間を削減できます。もし、施工・現場管理ツールを導入する場合、アフターサポートが充実した企業を選べば、社内に浸透させるための時間や手間を省くことが可能です。

ICT建機

ICT建機は、情報通信技術を駆使しマシンコントロールやマシンガイダンスといった機能を搭載している建設機械です。
具体的には、3D設計データを送信することで半自動運転を実現できたり、3D設計データと現地の状況を確認しながら、オペレーターに作業箇所を知らせたりすることができます。

経験が浅いオペレーターでも一定以上の施工品質を保てるうえに、時短によって請け負える現場数を増やせたりするため、生産性向上が見込めるのがICT建機のメリットです。

従業員のスキルの底上げ

従業員のスキルの底上げは、作業時間を短縮したり、業務を効率化するための重要なポイントです。

建設業では人材の高齢化や人手不足が進むなかで、作業の属人化が問題になっています。そのため社員のスキルアップを会社でサポートしたり、定期的にセミナーを実施したりして、従業員のスキルアップを目指しましょう。

建設業の生産性向上におけるメリット

建設業の生産性向上には、従業員と企業の双方にメリットがあります。持続的な成長や競争力強化にもつながるメリットをみていきましょう。

ワークライフバランスが改善

ITツールの導入や従業員スキルの底上げにより、生産性が向上すると社員の業務負荷を減らすことができるでしょう。

ワークライフバランスが改善することで、従業員のモチベーションがアップしたり、良好な健康状態を保てたりするため、さらなる生産性向上効果が期待できます。

コスト削減できる

従業員一人あたりの生産性向上を実現できれば、限られた人員でも効率的な業務が可能です。休日出勤や残業を減らせれば、人件費や現場の光熱費などのコストを削減できます。

コスト削減により得た利益を人材育成や設備投資に回すことで、さらなる生産性向上や利益拡大につなげましょう。

建設業の生産性向上におけるデメリット

建設業の生産性向上を進めることには、いくつかのデメリットがあります。特にITツールやICT建機のような最新設備・機械を導入するときは、メリットとデメリットの双方をよく比較し検討することが重要です。

初期費用がかかる

生産性向上に向けてクラウドカメラのようなITツールや施工・現場管理ツールを導入する場合、初期費用がかかります。

特に、ICT建機のように導入費用が数千万円単位の機械を導入する場合は、生産性向上による長期的な恩恵と短期的な出費を比較、検討すると良いでしょう。

解決策:レンタルできるツールや定額サービスを活用

レンタル可能なツールや機械を選ぶことで初期費用を抑えられます。また、サブスクリプション型のように定額制サービスであれば、大きな出費を抑えることができます。

\レンタル可能な建設現場向けクラウドカメラ/

現場からの反対意見が出やすい

生産性向上に向けた改革を進めたり、新しいツールや機械を導入したりするときに、現場から出る反対の声はデメリットの一つです。

従業員や業者は新しいツールの導入や、スキル向上に費やすリソースに対して不安を感じます。生産性向上を進める場合、事前に従業員や関連業者に対して十分な説明をすることが重要です。

解決策:本導入の前にテスト導入する

建設業の生産性を向上させる改善策がある場合、段階的に実施したり、試験的に導入したりすることで、従業員の不安の軽減や現場の混乱を防げます。

実際に使用する従業員の意見も参考に、各現場の責任者にも相談して対応を決めると良いでしょう。

建設業の生産性向上における注意点

建設業の生産性向上を実現するには、下記の注意点を考慮しましょう。

  1. 現状の課題を適切に把握する
  2. 過度なマルチタスクを防ぐ
  3. 業務効率化のみを目指さない
  4. 中長期的に持続可能な施策を行う

建設業の生産性向上を目指すとき、現状の課題を適切に把握していれば、最適な施策を選択できます。また、ITツールの導入や従業員スキルの底上げをするとき、従業員の過度なマルチタスクの防止や業務効率化のみを目指さないことが重要です。

従業員に過度な負担をかけず、業務効率化と並行して利益の追及も目指すことで、中長期的な建設業の生産性向上を実現できます。

最後に

建設業の生産性向上には、インターネット接続で撮影した映像を活用できるクラウドカメラや、事務作業の工数を削減できる施工・現場管理ツールなどの施策が有効です。

また、初期費用や現場からの反対の声などの課題に対しては、段階的な施策の実施やツールの試験的導入で対処できます。従業員の職場環境を改善や、コスト削減による会社の利益拡大のためにも生産性向上に向けた施策を実施しましょう。

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