工場でのデジタル技術の活用は進化しているため、サイバー攻撃などへのセキュリティ対策は必要不可欠です。大手企業でもセキュリティ被害に遭い、稼働停止などのトラブルが発生しているため、工場におけるセキュリティ対策が重要となっています。今回の記事では、工場のセキュリティ対策を強化するための方法や手順について解説します。
目次
工場のセキュリティ対策の重要性
昨今の工場では生産性向上や業務の効率化の取り組みが重要視され、IoTやAIなどの活用が進んでいます。設備などの監視やトラブル発生時の遠隔での保守作業など、ネットワークの構築が欠かせません。
セキュリティ対策が万全に講じておかないと、社内ネットワークへの不正アクセスや悪意のある部外者の不法侵入などを受け、稼働停止などの重大な事故が発生するリスクが高まります。
不正アクセスや不法侵入を許してしまうと、機密事項などの重要データや顧客情報などの漏洩につながる恐れがあります。このようなトラブルを起こしてしまうと、顧客からの信頼を失うだけでなくサプライチェーン全体に損害を与え、企業経営に関わる大きな事態になる恐れがあります。
機密情報を盗み出したりシステムを妨害したりするサイバー攻撃は、国内外ともに増加しておりさらに高度化も進んでいます。工場のセキュリティ対策は、企業の経営リスクとして捉える必要があり急務となっています。
工場のセキュリティ対策が必要な箇所とは?
セキュリティ対策は、サイバー空間と物理的空間に分けて対策の検討を進めると効率的です。
サイバー空間への対策
サイバー空間とはネットワークやコンピューターによって構築された空間で、インターネット環境がその代表例です。上述したとおりサイバー空間へのセキュリティ対策は、昨今の工場にとって必要不可欠なものになっています。
【サイバー空間へのセキュリティ対策例】
- 工場内の設備や機器などネットワーク環境への対策
- クラウドやサーバーなど利用サービスへの対策 など
物理的なセキュリティ対策
セキュリティ対策はサイバー空間だけでなく、建物への侵入や装置の操作などによる物理的な被害に対する対策も講じなければなりません。工場内には製品や原材料、図面や製品情報など経営資源となるものが多数保管されています。これらが持ち出されることで外部に情報が流出するなど、さまざまなトラブルにつながる恐れがあります。
【物理的なセキュリティ対策例】
- 不審者の侵入を防ぐ仕組みの構築
- だれがいつどこに入退室したかわかるようなシステムの導入 など
工場のセキュリティ対策を強化する方法
工場のセキュリティ強化に有効な3つの方法を紹介します。
入退室管理システムを導入する
工場内への不審者の侵入を防ぐために、入退室管理システムを導入しましょう。入退室管理システムはICカード認証や顔認証などの方法があり、事前に登録した者しか入退室できないような環境作りが可能です。部外者の不法侵入を防ぐとともに、だれがいつ入退室したかの情報も管理できます。
また、入退室管理システムは工場内のセキュリティ区分や部屋ごとに入退の権限を変更できるものもあります。サーバーや制御システムを管理する部屋を区分けし、責任者やセキュリティ管理者しか立ち入れないように設定することも可能です。工場の物理的なセキュリティ対策の強化を実現できます。
サイバーセキュリティシステムを導入する
高度化するサイバー攻撃を阻止するためにも、最新の技術を採用したセキュリティシステムの導入が有効です。ネットワークへの不正なアクセス防止や、ウィルス侵入や攻撃の早期検知、ログのモニタリングなど多重な防御システムが必要です。工場の稼働に影響しないように、既存のネットワーク環境も考慮しながら導入することがポイントです。
また、バックアップデータに対してもセキュリティ対策が重要です。万が一システム障害によって情報が紛失したり、攻撃により情報が書き換えられたりなどのリスクに備えて、定期的なバックアップ構築が必要です。しかし近年では、バックアップデータも攻撃の対象とされるため、バックアップサーバの強固化とネットワーク接続していないストレージへの保存が推奨されています。
防犯カメラの導入をする
工場のセキュリティ対策強化として、重要な情報を扱うエリアや出入口などに防犯カメラを設置するのも有効です。万が一有事の際にも正確な調査を行い、原因を特定できるため早期解決にも役立ち、カメラ映像は犯罪の証拠としても残ります。
防犯カメラのセキュリティ機能は向上しており、侵入者を検知すると現場にアラーム音を鳴らしたり、管理者に通知で知らせたりといったことが可能です。防犯カメラを導入することで、不法侵入や不正などの犯罪を抑止し未然に防げる可能性が高まります。また、出入口に警備員の配置や夜間などの対策として警備会社に依頼している場合は、人件費などのコストは多くかさみます。機能性の高い防犯カメラであれば、人件費よりも安く抑えられるためコストメリットにもつながるでしょう。
防犯カメラは犯罪の抑止効果と事後の確認だけでなく、防犯以外の役割も果たすさまざまな機能が備わっています。たとえば、防犯カメラの映像をリアルタイムで確認することで、工場設備の点検や監査、製品の品質チェック、従業員の安全見守りなどにも活用できます。
防犯カメラの導入は簡単かつ比較的低コストに抑えられながら、業務の効率化や作業品質の向上にも期待できるためおすすめの方法です。
ぴったりのカメラが見つかる
工場セキュリティ対策を実現させるための手順
工場のセキュリティ対策を進めるための手順を、以下の4つのステップに沿って紹介します。
現状のセキュリティルールを把握する
工場のセキュリティ対策を検討するうえで、必要な情報を洗い出し整理していくことが大切です。そのため、まずは現状のセキュリティルールを把握することから始めます。セキュリティ対策に関連する国の取り組みや法改正、取引先からの要請など、セキュリティルールに必要な要件を整理しましょう。
すでに企業内でセキュリティルールが定められていても、適切に運用されているか、システムごとにセキュリティルールが異なっていないかなどを調査します。またサイバー攻撃などは高度化しているため、現状のセキュリティ対策では対応できない脅威はないかといった観点での調査も必要です。
制御システムのリスクを分析する
工場内の制御システムの内容を洗い出し、それぞれセキュリティ保護の優先度を整理します。すべてにセキュリティ対策を講じることがベストですが、投資と運用にかかるコスト面にも配慮しなければなりません。システムの内容やセキュリティ保護の重要度を考慮しながら、優先して対策すべき内容を分析する必要があります。
運用可能なルールの決定をする
対策が必要な優先度の高いシステムや業務に対して、セキュリティ対策を策定します。ここで重要なのは、実際の現場で運用が可能なルールであることがポイントです。強固なセキュリティ対策であっても担当者が負担に感じるようなルールであれば、作業効率を低下させ継続的な運用も望めません。現場の作業者が無理のないように、運用できるルールや仕組みを構築する必要があります。
実際に運用を開始する
セキュリティルールに基づき、運用実施を開始します。運用にあたっては作業者によるルール遵守が欠かせないため、運用までにルールの周知や重要性についての教育なども必要です。具体的な運用をイメージできるような教育方法や、運用に関する問題点を吸い上げられるような体制の構築も求められるでしょう。問題点があれば改善し、セキュリティルールや体制を常にアップデートさせます。
工場のセキュリティ対策に防犯カメラを導入する場合の選び方
防犯カメラは設置するだけでも犯罪の抑止効果がありますが、防犯性に優れたものを選べばよりその効果が高まります。工場のセキュリティ対策効果が高まる防犯カメラの選び方を紹介します。
暗所撮影ができるかで選ぶ
夜間などの工場が稼働していない時間帯は、不法侵入や不正のリスクが高まります。そのため高感度カメラや赤外線カメラなど、暗所撮影できる防犯カメラを選びましょう。
高感度カメラはわずかな光源でも撮影できるカメラで、昼夜ともにカラーで撮影が可能です。ただし、防犯カメラの最低照度を下回る環境や真っ暗闇では撮影できない点に注意が必要です。一方、赤外線カメラは暗くなると赤外線が照射され、真っ暗闇でも白黒映像での撮影が可能です。暗所撮影できるカメラ機能もさまざまあるため、工場の環境に合わせて選ぶとよいでしょう。
映像をリアルタイムで確認できるかで選ぶ
防犯カメラの映像を離れた場所からリアルタイムで確認できる「ネットワークカメラ」がおすすめです。有事の際に映像を確認することも防犯カメラの役割ですが、リアルタイムで確認できることでより防犯カメラの有効性が向上します。
現場に常に警備員を配置させることや警備会社に監視を依頼する場合、コストも高くなります。また、広大な敷地の工場や複数の現場がある場合は巡回するとかなりの時間と労力がかかってしまうでしょう。映像をリアルタイムで確認できれば、確認したいときにいつでも工場内のようすをチェックできます。そのため、作業効率を向上させながら迅速な対応が可能です。複数台のカメラがある場合もひとつのモニターで一括チェックできるため、スピーディな管理・監視に役立ちます。
遠隔操作ができるかで選ぶ
遠隔から映像確認できるネットワークカメラには、遠隔からカメラ操作ができるタイプがあります。カメラ画角やズームを遠隔からコントロールできる「PTZ機能」や、遠隔から音声を出せるスピーカー機能が備わっているカメラがおすすめです。
PTZ機能とは垂直方向に移動させるPan(パン)、水平方向に移動させるTilt(チルト)、拡大縮小させるZoom(ズーム)の機能のことです。防犯カメラの映像を監視しながら、見たいエリアに照準を合わせて自由にカメラの向きを調節できます。スピーカー機能が備わっていれば、遠隔から声を発して不審者に対して威嚇もできます。工場での危険な作業や立ち入り禁止エリアへの侵入に対して注意を促すといった活用もできるため、従業員の安全を守る際にも役立つ機能です。
遠隔操作ができれば離れた場所からでも現場に向かってアクションを起こせるようになり、セキュリティ面の向上が期待できます。
動体検知機能の有無で選ぶ
動体検知機能とは、映像内で何らかの動きがあったことを検出する機能です。侵入者があったなど動体検知した部分に自動でフラグを立てる機能があれば、映像を見返す際に便利です。
従来の動体検知機能は、風で木が揺れたり動物が侵入したりする場合にも反応し、誤検知が発生することが課題でした。しかし近年の動体検知はAIの活用によって進化しており、侵入エリアを限定したり人を識別したりでき検知性能が向上しています。
まとめ
工場の生産性向上や業務効率化のために、デジタル技術を取り入れる企業は増加しており、それと同時に、情報漏洩やサイバー攻撃などのセキュリティ事故を防ぐ対策も重要です。工場のセキュリティ性を高めるために、物理的空間とサイバー空間の両面から対策を講じる必要があります。そのひとつの取り組みとして、工場に防犯カメラを設置することから検討してみてはいかがでしょうか。
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