建設現場や駐車場、夜間の出入り口などに設置する防犯カメラは、厳しい環境に耐えられる性能の高い製品が欠かせません。屋外に設置する防犯カメラには、風雨やホコリの影響に耐えられる性能が求められます。その中の1つとして、外部からの衝撃に耐えられる耐衝撃性があげられます。
本記事では、防犯カメラの耐衝撃性の概要や確認する方法を解説します。おすすめの製品も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
防犯カメラの耐衝撃性とは?
屋外に設置する防犯カメラには、日々の風雨や外部からのの衝撃にも耐えられる耐久性が求められます。このような耐久性の判断基準となるのが、耐衝撃性です。
耐衝撃性とは、ものが瞬間的に大きな力を受けたときの耐久力を指します。耐衝撃性の弱い防犯カメラは劣化が早く、強い衝撃にも耐えられないため周辺の様子を撮影して犯罪を防止するという本来の目的を達成できません。屋外設置の防犯カメラは、耐衝撃性の高い製品を選ぶことが大切です。
耐衝撃性能はIKコードで判断できる
防犯カメラの耐衝撃性には基準があり、IEC(国際電気標準会議)で定められている電気機器の耐衝撃保護等級「IKコード」で表されます。
IKコードには10段階の等級があり、IK00(無保護)からIK10まで、数字が大きくなるほど耐衝撃性が高くなる仕様です。
IEC(国際電気標準会議)62262で規定されているIKコードの保護内容は、次のように表されています。
IK等級 | エネルギー(J:ジュール) | 衝撃に対する保護 |
---|---|---|
IK00 | 無保護 | 保護されていない |
IK01 | 0.14J | |
IK02 | 0.20J | 10cmの高さから落ちる200gの衝撃に耐える |
IK03 | 0.35J | 17.5cmの高さから落ちる200gの衝撃に耐える |
IK04 | 0.50J | 25cmの高さから落ちる200gの衝撃に耐える |
IK05 | 0.70J | 35cmの高さから落ちる200gの衝撃に耐える |
IK06 | 1.00J | 20cmの高さから落ちる500gの衝撃に耐える |
IK07 | 2.00J | 40cmの高さから落ちる500gの衝撃に耐える |
IK08 | 5.00J | 29.5cmの高さから落ちる5kgの衝撃に耐える |
IK09 | 10.00J | 20cmの高さから落ちる1.7kgの衝撃に耐える |
IK10 | 20.00J | 40cmの高さから落ちる5kgの衝撃に耐える |
耐衝撃保護等級は、落下試験や打撃の衝撃に対して内部装置をいかに保護できるかの耐衝撃試験を経て、一定の保護が期待できることを証明します。
IK00は耐衝撃性の保護がない状態であり、最高等級のIK10は40cmの高さから落ちる5kgの衝撃に耐えられる程度の耐久性があることを証明します。
防犯カメラに求める目安は「IK10」
屋外に設置する防犯カメラは台風や故意による破壊行為など、高い衝撃を受けることを想定しなければなりません。
そのため、屋外設置の防犯カメラを選ぶIKコードの目安は、最高等級のIK10です。少なくとも、20cmの高さから落ちる5kgの衝撃に耐えられるレベルに相当するIK09のレベルは必要になるでしょう。基本的に屋外に設置する目的で製品を選ぶ際は、基準がIK10の製品を選ぶようにしましょう。
屋外用防犯カメラ選びでチェックすべきその他の性能
屋外設置の防犯カメラは、耐衝撃性のほかにもチェックしたい性能があります。重視したい性能は、主に次の性能やスペックです。
- 防水・防塵性能
- 画質スペック・レンズの性能
それぞれ、詳しくみていきましょう。
防水・防塵性能
屋外に設置する防犯カメラは、防塵・防水性能も重要です。雨水やホコリの侵入に耐えられる構造でなければなりません。
防水・防塵機能のレベルを示すのは、IPコードです。IP(International Protection)は、国際電気標準会議(IEC)によって定められ、防犯カメラだけでなく電子機器に幅広く使われています。
屋外設置にはIP65以上が必要
IPコードはIPのあとに2桁の数字を組み合わせており、前の数字が防塵性能、後ろの数字が防水性能の等級を表す仕組みです。防塵性能はホコリなどの異物侵入に対する保護レベルについて、次の表のように0~6の7段階で表します。
防塵等級 | 保護レベル |
0 | 保護なし |
1 | 50mmより大きい固形物が内部に入らない |
2 | 12.5mmより大きい固形物が内部に入らない |
3 | 2.5mmより大きい固形物が内部に入らない |
4 | 1.0mmより大きい固形物が内部に入らない |
5 | 有害な影響が発生する粉塵が内部に入らない |
6 | 粉塵が内部に入らない |
防水性能は水の侵入に対する保護レベルについて、次の表のように0~8の9段階で表しています。
防水等級 | 保護レベル |
0 | 保護されていない |
1 | 滴下する水に対する保護 |
2 | 落下する水に対する保護 |
3 | 噴霧水に対する保護 |
4 | 飛沫に対する保護 |
5 | 噴流水に対する保護 |
6 | 波浪に対する保護 |
7 | 水中への浸漬に対する保護 |
8 | 水没に対する保護 |
最高レベルはIP68で、屋外に設置する防犯カメラはIP65以上が理想です。
画質スペック・レンズ
防犯カメラは画質スペックも大切です。標準的な画質のスペックは画質とデータ量のバランスが取れた100万~200万画素が主流となっています。設置の目的に合わせて適したスペックを選びましょう。
また、駐車場や建設現場などにおける夜間侵入対策では、暗い場所でも撮影できる品質が求められます。防犯カメラは取り付ける場所によってアングルが固定されてしまいやすく、できるだけ焦点距離を調節する機能を持つバリフォーカルレンズを選ぶことも必要です。
耐衝撃性に優れたおすすめの防水カメラ
屋外用防犯カメラを選ぶ際は、耐衝撃性を中心に、防塵・防水性能や画質スペックが高い製品を選ぶことが大切です。ここでは、求められる性能を備えたおすすめの防水カメラを2点紹介します。
【VIVOTEK】ドーム型カメラ
VIVOTEK
FD9389-EHV-v2(SF)
IP66の防水防塵性とIK10の耐衝撃性を備えたドーム型カメラ
¥57,860(税込)
外形 | φ129 x 94 mm |
重さ | 605g |
防水性能 | IP66 |
ネットワーク接続 | 有線LAN |
PoE給電 | 対応 |
画角 | 水平103° 垂直57° |
ズーム | |
マイク(音声入力) | あり |
スピーカー(音声出力) | なし |
暗所撮影 | 対応 |
VIVOTEK(ビボテック)が提供する「 FD9389-EHV-v2(SF)」は、IK10の高い耐衝撃性とIP66の防水防塵性を備えた、ドーム型の防犯カメラです。
−40〜60度の幅広い気象条件にも耐えられるよう設計されています。30mまで照射可能な赤外線IRや、低照度下でのカラー画像ができる機能を備え、暗闇での撮影も可能です。音声入力機能でカメラ周辺の音声取得もできるなど、屋外撮影のさまざまなニーズに対応できるのがメリットです。
【i-PRO】ガン型カメラ
i-PRO
WV-U1532LA(SF)
防犯抑止効果の高いガン型カメラ
¥70,840 (税込)
外形 | 奥行262mm 高さ112.5mm 幅112.5mm |
重さ | 860g |
防水性能 | IP66 |
ネットワーク接続 | 有線LAN |
PoE給電 | 対応 |
画角 | 水平43°~100° 垂直24°~56° |
ズーム | – |
マイク(音声入力) | なし |
スピーカー(音声出力) | なし |
暗所撮影 | 対応 |
i-PRO株式会社の「WV-U1532LA(SF)」は、防犯抑止効果の高いガン型の防犯カメラです。
壁面や天井などに設置する取付金具がついています。IK10とIP66のレベルで高い耐衝撃性と防水・防塵性能を備え、−20〜50度の幅広い気象条件下でも動作できる仕様です。電動バリフォーカルレンズを搭載しているため、設置場所から離れた場所も監視できます。
屋外用防犯カメラは「IK10」「IP66以上」が推奨
屋外に設置する防犯カメラには、厳しい環境に耐えられる耐衝撃性と防塵・防水機能が必要です。耐衝撃性はIKコードで、防塵・防水機能はIPコードで表されます。屋外用の防犯カメラを選ぶ際は、耐衝撃性が最高レベルのIK10と、防塵・防水機能が高いIP65以上の製品を探すとよいでしょう。
鮮明な画質を撮影できるように、画質スペックやレンズの性能もチェックしてください。今回、紹介した製品も参考に、ニーズに合った防犯カメラを選びましょう。
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