AIの普及により、業務プロセス全体を変革するAX(AI Transformation)の考え方が広がっています。なかでもAIカメラは、映像データをリアルタイムに解析し、現場業務を可視化・自動化する手段として注目されています。
店舗では来店者数の計測やレジ混雑の検知、物流・製造現場では車両管理や安全確認、不正侵入検知など、活用領域はさまざまです。
この記事では、AIカメラの基本的な仕組み、業種別の活用アイデア、実際に導入した6社の事例を紹介します。
AIカメラとは

AIカメラとは、撮影した映像をAIがリアルタイムで解析し、検知や分類、通知などを自動で行うカメラです。
従来のカメラが「録画して後から確認する」用途が中心だったのに対し、AIカメラは映像から必要な情報を自動で抽出し、業務改善に活かせる点が特徴です。
業務でAIカメラを活用する際は、仕組みや従来型カメラとの違いを理解しておくと、導入目的を整理しやすくなります。
ここでは、以下の3点を解説します。
- AI搭載カメラの仕組み
- AI非搭載カメラとの違い
- AI処理の方式
AI搭載カメラの仕組み
AI搭載カメラ(AIカメラ)は、撮影した映像をAIで解析し、検知・通知・記録・可視化までを自動で処理します。映像内の人や物を背景から自動で切り分ける技術により、複雑な環境でも必要な対象を正確に見つけられます。異常を検知すると担当者へ通知され、必要に応じてグラフや数値として可視化されます。
AI非搭載カメラとの違い
AI非搭載カメラとAIカメラの違いは、映像から異常や変化を見つける作業を「人が行うか」「AIが自動で行うか」にあります。
AI非搭載のクラウド録画型カメラでも、リアルタイムで映像を確認したり、録画を振り返ったりすることは可能です。ただし、異常の発見や状況の把握は、基本的には人が映像を見て判断する必要があります。
一方、AIカメラは映像内の人や物、動きをAIが自動で解析します。異常を検知した瞬間に通知を送ったり、来店者数や滞留時間などを自動で数値化したりと、人の目だけでは難しい即時対応や高度なデータ分析が可能です。
AI処理の方式
AIカメラは、AI処理を行う場所によって、エッジ型とクラウド型に分かれます。
エッジ型は、カメラ本体や現場端末でAI処理を行う方式です。外部へ送る映像データの量を抑えやすく、通信コストの軽減や通知までの反応速度に強みがあります。
クラウド型は、インターネット経由でクラウド上のサーバーでAI処理を行う方式です。大規模なデータ処理や機能のアップデートに対応しやすく、複数拠点の統合管理にも向いています。
【エッジ型とクラウド型の比較表】
| 比較項目 | エッジ型 | クラウド型 |
| 解析を行う場所 | カメラ本体・現場端末 | クラウドサーバー |
| 強み | ・通信コストを抑えやすい ・反応が速い | ・高度な解析ができる ・機能を更新しやすい |
| 適したシーン | 通信環境が限られる現場 | 多拠点の一括分析・遠隔管理 |
どちらが適しているかは、自社や現場のインターネット環境、求める処理速度、解析したいデータの規模によって変わります。
AIカメラの活用アイデア

AIカメラの活用方法は、業種や現場の課題によって異なります。
店舗・小売では、来店者数の計測や購買行動の分析、レジ混雑の検知などに活用できます。物流・製造では、車両管理や安全確認、不正侵入の検知、設備異常の把握などが主な用途です。
ここでは、店舗・小売向けと物流・製造向けに分けて、8つの活用アイデアを紹介します。
| 業界・現場の種類 | 主な活用アイデア |
| 店舗・小売向け | ・来場者数や来店者数を自動計測 ・実店舗での購買行動をファネル分析 ・店舗のVMDの効果をAIで計測 ・レジの待機列を自動検知&応援呼び出し ・人の立ち入りをAIで自動検知 |
| 物流・製造向け | ・車両ナンバーを自動認識して入退場を記録 ・危険区域への侵入や作業員の転倒を自動検知 ・資材置き場への不正侵入を自動検知 |
店舗・小売向け
店舗・小売の現場では、来店動向や購買行動の可視化、レジ周りのオペレーション改善、無人エリアの安全対策がAIカメラの主要な活用領域です。以下で、具体的な活用アイデアを紹介します。
来場者数や来店者数を自動計測
従来、来客数の計測は手動カウンターや目視で行われていましたが、時間帯ごとの人数を正確に把握することが難しい面がありました。
AIカメラを使用すれば、出入口を通過した人数を自動でカウントします。POSレジでは記録されない、購入せずに帰った顧客も含めて計測できるため、実態に即した集客データを取得できます。
得られたデータをもとに、シフト編成の見直しが可能です。混雑時間帯の人員を厚くしたり、空いている時間帯にスタッフをほかの業務に割り当てたりするなど、数値を根拠にした判断を行えます。
実店舗での購買行動をファネル分析
AIカメラを活用すれば、実店舗での購買行動を段階ごとに可視化できます。
店前の通行や入店、売場での滞留、購入までの流れを数値で追えるため、どこで離脱が起きているのかを把握しやすくなります。
たとえば、通行人数は多いのに入店数が少ない場合は、看板や店頭ディスプレイを見直す必要があります。入店後に購入へつながっていない場合は、売場の動線や商品の見せ方が改善対象です。
購買までの流れをファネルとして分析すれば、感覚に頼らず改善点を判断できます。店舗施策の優先順位が明確になり、売上改善に向けた取り組みを進めやすくなります。
店舗のVMDの効果をAIで計測
VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)とは、商品の陳列や棚割り、POP配置などで購買意欲を高める手法です。
AIカメラを活用すると、棚やPOPの前に立ち止まった人数を「滞留率」として数値化できます。施策の実施前後を客観的に比較でき、どの陳列変更が効果的だったかを正確に把握できます。
たとえば、ある店舗では、スタッフが重視していたメイン通路より、奥の細い通路で立ち止まる人が多いことをAIカメラが検出しました。その分析をもとに商品の配置を見直したところ、売上の向上につながっています。
レジの待機列を自動検知&応援呼び出し
レジ前の混雑は、顧客の待ち時間が長くなるだけでなく、購入を諦めて離脱する原因にもなります。しかし、スタッフがレジ業務に集中していると、混雑の発生に気づきにくい場面もあります。
AIカメラを活用すれば、「○人以上が○秒滞留」といった条件を事前に設定し、レジ前の混雑を自動で検知して通知できます。
通知はパソコンやスマートフォンへリアルタイムで届くため、バックヤードにいるスタッフも混雑状況をすぐに把握し、応援に向かうことができます。
人の立ち入りをAIで自動検知
店舗では、立ち入り禁止エリアやバックヤードへの不正侵入を防ぐ必要があります。しかし、営業時間外や人手が少ない時間帯は、異常に気づきにくい場面もあります。
AIカメラを活用すれば、あらかじめ設定したエリアに人が入ったタイミングを自動で検知し、管理者やスタッフへすぐに通知できます。
たとえば、営業時間外の売場や倉庫、従業員専用エリアなどに人が入った場合、パソコンやスマートフォンへ通知が届きます。異常の見逃しを防ぎやすくなり、防犯対策や安全管理を強化できます。
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物流・製造向け
物流倉庫や製造現場では、車両管理や安全確認、設備トラブルの把握など、多くの確認業務が発生します。
これらを人の目だけで対応すると、記録漏れや異常の見落としが起きやすくなります。担当者の負担も大きくなるため、効率化と安全管理の両立が課題です。
AIカメラを活用すれば、現場の状況を自動で検知・記録し、管理業務の効率化や労働災害の防止に役立ちます。以下、具体的な活用例を紹介します。
車両ナンバーを自動認識して入退場を記録
物流拠点や工場では、車両の入退場時刻を正確に記録することが重要です。
手書きや目視による管理では、記録漏れや入力ミスが起きやすくなります。トラックの荷待ち時間を把握するためにも、車両の出入りを自動で記録できる仕組みが必要です。
AIカメラを活用すれば、ナンバープレートを自動で読み取り、車両の入退場記録を残せます。バース予約管理システムと連携すれば、荷待ち時間の可視化や車両管理業務の効率化にもつながります。
▼Safie(セーフィー)では、AIカメラを利用したナンバープレート認識ソリューション「AI-App(アイアップ)ナンバープレート認識」を提供しています。詳細を知りたい方は、以下のページをご覧ください。
危険区域への侵入や作業員の転倒を自動検知
物流倉庫や製造現場では、危険区域への立ち入りや作業員の転倒を早期に把握する必要があります。
人の目だけで現場全体を確認すると、死角が生まれやすく、異常の発見が遅れがちです。AIカメラなら、立ち入り禁止区域への侵入や、作業員の転倒・ふらつきを自動で検知できます。
異常をリアルタイムで把握できれば、事故発生後の確認だけでなく、早期対応にもつながります。労働災害の防止や、現場の安全管理を強化するうえでも有効な仕組みです。
資材置き場への不正侵入を自動検知
物流倉庫の敷地や屋外の資材・荷物置き場では、夜間や無人の時間帯における不正侵入への備えが欠かせません。転売価値のある保管品やパレットなどが狙われるケースもあります。
AIカメラを活用すれば、指定エリアに立ち入った「人」だけを判別して通知できます。動物や風で揺れる物の動きには反応しにくいため、不要な通知を減らしやすい仕組みです。
異常をリアルタイムで把握できれば、盗難や不正侵入への初動対応が早まります。人の目が届きにくい屋外エリアの防犯対策として有効です。
AIカメラの活用事例6選
ここからは、SafieのAIカメラを導入した企業6社の事例を紹介します。
AIカメラの活用目的は、店舗運営や販売促進、現場管理、安全対策などさまざまです。実際の導入事例を確認すると、自社の課題に近い活用方法を把握できます。
以下では、6社の事例をもとに、AIカメラでどのような課題を解決したのかを見ていきましょう。
- 株式会社アップガレージグループ
- モレスキン・ジャパン株式会社
- BUSINESS LEATHER FACTORY(株式会社ボーダレス・ジャパン)
- 株式会社サンプラザ
- ツムギホールディングス株式会社
- 株式会社RESTA
※各事例内容は取材当時のものです。
株式会社アップガレージグループ
株式会社アップガレージグループは、カー&バイク用品のリユース専門店「アップガレージ」を全国展開する企業です。
同社では、店頭キャンペーンの効果測定がPOSの売上データに偏っており、来店者数やレジ通過率を把握しにくい点が課題でした。
そこで、直営店の一部にSafieのAIカメラ「Safie One(セーフィーワン)」と、同カメラにオプション追加できるアプリ「AI-App 人数カウント」を導入しました。店舗出入口で来店者数を計測し、POSデータと組みあわせてレジ通過率を確認する体制を整えました。

導入後は、肌感覚と実数値のズレが明らかになり、曜日別の集客状況や店舗ごとのレジ通過率の差を把握できています。
モレスキン・ジャパン株式会社
モレスキン・ジャパン株式会社は、ノートブックや手帳、バッグ、デジタルツールなどを展開するモレスキンの日本法人です。
同社では、店舗の集客状況や購買率を客観的なデータで把握できない点が課題でした。イタリア本部から入店者数カウントツールの導入指示もあり、国内サポートを受けられるツールを探していました。
導入したのは、Safie OneとAI-App 人数カウントです。通過人数カウントや立ち入りカウント、立ち入り検知を組みあわせ、入店者数や店前交通量、売場の滞在状況を可視化しました。

取得したデータをもとに売場レイアウトを見直した結果、商品体験スペースの利用者は約1.5倍に増えました。POSデータと組みあわせた購買率の把握にも役立っています。
BUSINESS LEATHER FACTORY(株式会社ボーダレス・ジャパン)

株式会社ボーダレス・ジャパンが運営するBUSINESS LEATHER FACTORYは、バングラデシュで製造した革製品を日本国内の直営店やオンラインストアで販売しています。
同ブランドでは、店舗運営がスタッフの経験や肌感覚に頼りやすく、POSデータ以外の客観的なデータを十分にもてていませんでした。来店者数や店前交通量、店内での滞在状況を可視化し、接客改善や店舗設計に活かせる仕組みが必要でした。
そこで、直営店舗のひとつである八重洲店にSafie Oneをテスト導入し、店前交通量と来店率の関係や来店者の動き、店内エリアごとの滞留状況を映像とデータで確認しました。
分析の結果、週末の来店率が高い傾向や、来店者の約3割が購入している点が明らかになりました。接客映像の一部は他店舗スタッフにも共有され、接客向上に役立っています。
株式会社サンプラザ

南大阪を中心に、スーパーマーケット「サンプラザ」を展開する株式会社サンプラザでは、レジ前の混雑と顧客の待ち時間が課題でした。応援要請やカゴ寄せ、お声がけなどのルールはあったものの、会計業務に集中すると対応が遅れやすい状況でした。
そこで、Safie OneとAI-App 人数カウントを導入しました。レジ前の混雑をAIカメラで検知し、パソコンやスマートフォンに通知する仕組みを整えました。
映像の振り返りを通じて、カゴ寄せやお声がけの運用状況も確認し、レジ台に目印を付けるなどの改善にもつながっています。
導入直後は1日10件ほどあった混雑通知が、最近では1日2〜3件に減少しました。レジ応援も確実に実施され、待ち時間の短縮を確認できています。
ツムギホールディングス株式会社

ツムギホールディングス株式会社は、無人レンタルスタジオBUZZを運営する企業です。低価格でのサービス提供を支えるため、管理人を置かない店舗運営を行っています。
同社では、現金回収時に料金未払い・不足が見つかるケースがありました。従来は問題発生後に録画映像を確認する運用が中心で、異変をリアルタイムに把握しにくい点が課題でした。
そこで、横浜のスタジオにSafie Oneをテスト導入しました。入退室人数の自動カウント、料金ボックス前の滞留検知、禁止エリアへの侵入検知に活用しています。
導入後は、通知画面からワンアクションで映像を確認できる体制に変わりました。怪しい行動をリアルタイムで把握しやすくなり、無人店舗運営の省力化に向けた活用が進んでいます。
株式会社RESTA

株式会社RESTAは、大阪や滋賀で24時間無人営業の古着専門店「#古着de行こか。」を展開しています。
同社では、無人店舗における商品や金銭の窃盗被害リスクが課題でした。大阪市内の2店舗では、同じ人物による万引き被害も繰り返し発生していました。
そこで、店舗入口にSafie Oneを設置し、モーション検知や人検知によって、人がいる場面を効率よく確認できる体制を整えました。
被害総額が約150万円にのぼった事案では、Safie Oneの映像を警察に提出し、事件の早期解決につながっています。
AIカメラの導入なら「Safie」がおすすめ
AIカメラを導入するなら、現場の課題にあわせて機能や設置方法を選べるサービスが適しています。
Safieは、店舗や物流倉庫、製造現場、建設現場など、幅広い業種で活用されているクラウド型カメラサービスです。スマートフォンやタブレット、パソコンから映像をリアルタイムで確認でき、複数拠点の一元管理にも対応しています。
法人利用において重要なセキュリティ面にも配慮しており、月額定額料金で導入しやすい点も特長です。屋内向けならSafie One、屋外向けならSafie GO PTZ AI(セーフィー ゴー ピーティーゼット エーアイ ※建設・工事現場向け)と、エッジAIを搭載したカメラをご用意しています。オプション追加できるAI-App 人数カウントを活用すれば、立ち入り検知や通過人数カウントなどに役立ちます。

Safie
Safie One
エッジAIを搭載。画像解析による業務効率化も叶えるカメラ
¥50,600 (税込)
| 外形 | φ76.5×92.5mm |
| 重さ | 360g |
| 防水性能 | なし |
| ネットワーク接続 | 有線LAN、無線LAN |
| PoE給電 | 対応 |
| 画角 | 水平114° 垂直60° |
| ズーム | デジタルズーム 最大8倍 |
| マイク(音声入力) | あり |
| スピーカー(音声出力) | あり |
| 暗所撮影 | 対応 |

AIカメラの活用方法や導入に関するご相談は、法人向けご相談フォームよりお気軽にお問い合わせください。
AIカメラの事例を参考に自社での活用を検討してみよう
AIカメラを活用すると、現場の状況を映像とデータで可視化し、業務改善や安全対策につなげることが可能です。来店者数の自動計測やレジ混雑の検知、危険区域への侵入検知など、活用方法は業種や課題によって異なります。
本記事で紹介した事例でも、店舗運営の改善や売場づくり、防犯対策、安全管理など、さまざまな場面でAIカメラが活用されています。自社の課題に近い事例を参考にしながら、どの業務を可視化できるか検討してみましょう。
AIカメラでできる内容をより具体的に知りたい方は、以下のAIカメラ活用ガイドブックをぜひ参考にしてみてください。現場ですぐに使える活用アイデアや導入事例を詳しくご紹介しています。
- 「できること」から逆引き!
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※顧客や従業員、その他の生活者など人が写り込む画角での防犯カメラの設置・運用開始には、個人情報保護法等の関係法令の遵守に加え、写り込む人々、写り込む可能性のある人々のプライバシーへの配慮が求められます。防犯カメラとプライバシーの関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶「防犯カメラとプライバシーの関係。事業者が注意すべき設置のポイント」
※カメラの設置に際しては、利用目的の通知を適切に行うとともに、映像の目的外利用を決して行わないことが求められます。適切なデータの取り扱いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶「カメラ画像の取り扱いについて」
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