ネットワークカメラの遅延の原因とは?低遅延のカメラシステムなど対策方法も解説

ネットワークカメラの遅延 原因と対策方法も解説

ネットワークカメラは、離れた場所でもほぼリアルタイムで映像を確認できるカメラです。防犯対策や作業効率化など、さまざまな目的で活用されています。しかしさまざまな原因で映像が遅延することがあり、遅延が多発するとカメラ映像をしっかりと記録できなくなってしまいネットワークカメラの機能を活かしきれなくなります。

この記事ではネットワークカメラが遅延する原因と、遅延対策について解説します。

ネットワークカメラが遅延する原因

ネットワークカメラは、インターネット接続ができるカメラを指します。スマートフォンと同じように、ネットワークを介すことで遠隔地から映像の確認やカメラ操作が行えます。IPアドレスを持っているため、IPカメラ(Internet Protocol Camera)とも呼ばれています。

ネットワークカメラはリアルタイムで映像を確認できる点が強みですが、遅延の影響で映像が一部抜け落ちたり、カクカクとコマ送りのように観えたりすることがあります

映像は膨大なページ数の静止画を、パラパラ漫画のようにつなげて映し出しています。しかし、静止画をつなげた状態ではデータ量が大きくなりすぎて扱いづらくなるため、データを「圧縮」する必要があります。

また記録した映像を用途に合わせて視聴できるように、最適な形式への「変換」作業も必要です。この「圧縮・変換」するための機能をエンコードと呼び、ネットワークカメラにも備わっている機能です。エンコードは膨大なデータを圧縮しデジタル形式に変換する一連の流れが必要であるため、ネットワークカメラでの一定の遅延は少なからず発生するものです。

ネットワークカメラの仕組みを踏まえたうえで、遅延する大きな3つの理由を解説します。

ビットレートが高いため

ビットレートとは1秒間に処理できるデータ量のことで、単位はbps(Bit Per Second)で表されます。ネットワークカメラのビットレートが映像を処理するスピードに影響し、遅延を招いていることがひとつの可能性として考えられます。たとえば、4Kなどの高画質な映像の場合はデータ量も膨大となりビットレートが高くなります。そのため、データ処理が追いつかず遅延につながる可能性があります。

最大通信速度が遅いため

インターネットの最大通信速度も、映像の遅延に関係しています。最大通信速度が遅いとビットレートが高い、つまり高画質な映像データを転送処理しきれずに遅延が発生することがあります。

環境が悪いため

インターネット回線は最大通信速度が影響するだけでなく、接続方法に問題が生じていることもあります。無線LANなどでネットワーク接続をする場合は、ルーターを設置します。しかし、ネットワークカメラとルーターとの間が壁で仕切られていたり障害物があったりするとうまく通信できず、途中で映像が遅延するなどのトラブルが発生します。

ネットワークカメラの遅延対策

ネットワークカメラの遅延を防ぐための、4つの対策を紹介します。

低遅延のネットワークカメラを使う

遅延を最低限に抑えられる低遅延のカメラシステムを導入しているネットワークカメラがおすすめです。

高解像のネットワークカメラの場合は上記で紹介した原因が影響し、どうしても数秒間の遅延が発生します。ネットワークカメラは撮影した映像をエンコードしてからデータを送信し、サーバーがデータを受信する仕組みであるため、この一連の流れからどれかひとつの機能を向上させるだけでは遅延は防げません。ネットワークカメラの送受信に関するシステム全体で遅延を低減させる必要があります。

そのため、遅延が低減できる技術が備わった低遅延のカメラシステムを導入することが遅延防止につながります。ネットワークカメラの機種によって通常モードから低遅延モードに切り替えられるタイプや、リアルタイム操作が必要なときやネットワーク回線が遅いときに自動切替できる便利な機能もあるため検討してみましょう。

ビットレートを下げる

遅延の原因となり得るビットレートを下げることも対策につながります。ビットレートを下げるには、「フレームレート」と「解像度」を見直す方法があります。

フレームレートは、1秒間に何コマで構成されているかを意味しています。コマ数が多ければ映像が滑らかですが、画像の劣化やデータ容量の増大につながる要因になります。解像度とは動画の縦横のピクセル数のことで、数値が高いほど鮮明でキレイな画像が映し出されますがデータ容量は増大します。「フレームレート」と「解像度」の数値を下げることで、遅延を低減できる可能性があります。

通信機器の速度の見直しなどスペック上げる

通信機器の最大通信速度は、インターネット回線の契約内容をみて確認しましょう。通信速度が遅い場合は、より速いものに切り替えることも選択肢のひとつです。インターネット回線の最大通信速度は、周辺機器や環境の条件が整った場合に発揮されます。実際の通信速度は落ちる可能性があるため、余裕をもった速度を選択すると安心です。

通信環境を整える

通信環境を整えることも対策につながります。無線LAN接続している場合は、5GHz帯のWi-Fiルーターがおすすめです。Wi-Fiの電波は2.4GHzと5GHzの2種類があり、2.4GHzは電波が広く届きますが、多くの機器と電波を共有するため干渉されやすい面があります。一方、5GHzであれば電波の範囲は狭まるものの、Wi-Fi専用の周波数であるため電波障害を受けにくくなります。またネットワークカメラのビットレートに合わせて、最適な転送速度のWi-Fiを選ぶことも大切です。

終わりに

ネットワークカメラでリアルタイムに映像を確認する際は、なるべく遅延は避けたいものです。近年、高解像度でキレイな映像が映し出されるスペックが高いものが誕生していますが、遅延なく映像を映し出すためにもデータ容量や通信環境などの最適化が必要です。また低遅延のカメラシステムも対策のひとつであるため、導入の検討もおすすめです。

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