元機械系エンジニアから結婚を機に僧侶へ、という異色の経歴を持ち、いまでは寺院デジタル化エバンジェリストとして精力的に活動されている、長野県にある善立寺副住職の小路竜嗣(こうじりゅうじ)氏。
実は、2015年からセーフィーのクラウドカメラを愛用してくださっており、2018年には製品の取材にも来ていただいている。
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今回のインタビューでは、2018年当時と比べた寺院でのセキュリティ意識の変化や、小路氏おすすめの寺院におけるカメラ設置場所まで、いろいろなお話を伺うことができた。
防犯ニーズの高まり
—逆取材時(2018年)と比べて、寺院での防犯カメラ需要は高まったのでしょうか?
需要は高まっています。最近では、東大寺の二月堂に猫のような落書きがされた事件がありましたよね。二月堂参籠所は重要文化財に指定されているものです。残念なニュースですが、人の手でできることには限界があるなと思っています。
お坊さんのこの業界も、現状人手が減ってまして。昔であれば、夜間警備のような仕事のお坊さんがいたんですけど、成り手のいない現状では、「防犯カメラを設置して映像で確認する」っていうのは需要としては伸びていると思います。
—寺院という性質上、開かれた場所なので誰でも入れてしまいますよね。
そうですね。だからこそ、当たり前でもありますが、何かあった際の記録が残っているのは大事です。
それに、泥棒は防犯カメラをすごく嫌がるという話もありますし、「見ているぞ」という合図にもなる。アクティブセーフティな犯罪防止という点でもカメラ設置は重要です。
現役僧侶が推すお寺に最適なクラウドカメラ
—小路さんはなんと2015年から弊社のカメラをご存知だったんですよね。
セーフィーさんが「Makuake(マクアケ)」でクラウドファンディングを始めたときに購入してます。なので本当に最初からですね。スマホでかんたんに防犯カメラの映像が見られるようになったのには、当時業界が盛り上がりましたね。
—ぜひ、使っていただいた上で、クラウドカメラが寺院に貢献できている部分を知りたいです。
セキュリティ面でのお話の続きになってしまうのですが、お寺専門の窃盗団がいるのはご存知ですか?非常に悪名高くて、お盆のような時期を狙って全国の寺院を回っているんです。
—お寺専門の窃盗団!? そんなものがあるんですか?
あるとき長野にある寺院もいくつか狙われてしまったんです。そういったところで、やはり実際の防犯対策として有用であることですね。
防犯面では、夜間の場合もよく使っています。境内で物音がしたときに、見に行くのは危険度が高かったりする。なので、安全な部屋の中から境内の様子をスマホで確認したりしています。
—クラウドカメラのリアルタイム性を活かした使い方をしてくださっていますね
そうですね。自分が持っているデバイスで、どこからでもお寺の様子が確認できるようになったことは本当に便利だと思っています。お坊さんは出張や外出などでお寺をあけることが多いので、誰もいない時間帯や、家族しかいない場合の境内の確認にも使っています。
遠隔での確認が重要になる例をお話したいのですが。私がお坊さんになってみて感じたのは、思った以上に収益性が少ないということです。というのも、いま全国の半分ぐらいのお坊さんが、専業ではやっていけないんですね。平日はサラリーマンとか学校の先生で、土日にご法事をしたりとか。
—約半数のお坊さんがですか!?想像以上です‥
それに加えて、兼務の問題もあります。お坊さんの数が減っていく、つまり後継ぎがいなくなってしまうお寺も多いので、兼務をしないと運営できないお寺が増えていくんですね。
そうなると、より遠隔での確認が役に立ってくると思います。境内に誰か来たなとか、郵便物が溜まってきたなとか、雪かきしなきゃいけないなとかも分かるので。
—たしかに、複数のお寺を兼務していると、普段見られない場所があるのは不安になります
お寺って農家と形態が似ているんですが、代々自分の土地があるからなんとか守っているという方が多いです。そうなると、災害が起きたときとか、大雨が降った後に田んぼを見にいくみたいな方が増えるんですよ。やっぱり自分が大切にしているものだし、収入に関わることだから見に行っちゃうじゃないですか。
カメラがあれば、うちのお寺大丈夫かなとか、兼務しているお寺の屋根が雪で崩れてないかなとか、すぐに確認できるので良いと思いますね。
寺院におすすめなカメラ設置場所
—さいごに、お寺の中でおすすめなカメラ設置場所を教えてください!
まずは、賽銭箱が見えるところですね。お金が入っているから、ということもあるけど、お賽銭箱自体が高価なものなので。壊されたりすると、その修繕にもお金がかかってしまうんです。
次に、境内が俯瞰で見えるところですね。人の出入りやお寺の様子を確認するためです。
あとは駐車場も見られるようにしておくと良いですね。人の出入りが多いですし、万が一の事故に備え、記録できるようにすると良いと思います。
(プロフィール)
浄土宗善立寺 副住職
小路竜嗣 氏
浄土宗僧侶。1986年兵庫県伊丹市生まれ、信州大学大学院工学科機械システム工学専攻を卒業後、株式会社リコーに勤務。結婚を機に2011年退職・出家。
現在はこれまでの経歴を活かし、寺院デジタル化エバンジェリストとして、寺院のIT/デジタル化を推進する活動「テラテク」を行う。寺院におけるSNS活用、ホームページ制作、ITツール導入、紙のデジタル化など、今日からできる実務周りの話が得意。