国土交通省が2016年に掲げた生産性革命プロジェクトの1つである「i-Construction」。「言葉はよく聞くものの、具体的なイメージがわかない」という方もいるのではないでしょうか。いま、なぜi-Constructionに取り組まなければならないのか、どんなことに着手すればいいのか、わかりやすく解説します。
目次
i-Constructionとは
i-Construction は、建設現場における生産性改善のためのICT導入施策のことで、2016年に国交省が掲げた生産性革命プロジェクトの1つです。
建設業は「社会資本の整備の担い手」であり、我が国の国土保全上必要不可欠な「地域の守り手」であると位置づけ、その役割を果たすために生産性向上を推進しようと、i-Constructionを提唱し始めました。
3つのトップランナー施策
国土交通省では、i-Constructionの3つの「トップランナー施策」(=主要な施策)を定めています。
- ICTの全面的な活用(ICT土工)
調査・測量、設計、施行、検査等、あらゆる建設生産プロセスにおいて、ICTを全面的に活用する取り組みを言います。例えば、ドローンを用いた3次元測量やICT建設機械などが挙げられます。
- 規格の標準化(コンクリート工)
設計や発注、材料の調達、加工、組立といった一連の生産プロセスや、現場の維持管理を含めたプロセス全体を最適化したり、コンクリート工における規格を標準化することで、生産性向上を図ります。
- 施工時期の標準化
繁忙期や閑散期があることで、労働者の収入が不安定になったり、休みが取りづらかったりする現状を改善するため、施工時期を標準化して年間の工事量を安定させる取り組みを言います。
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なぜi-Constructionに取り組むのか
国土交通省がなぜi-Constructionを推進しようとしているのか。背景には、次のような課題があります。
労働人口の減少
2014年時点で、50歳以上の建設技能労働者は約153万人いました。それが2025年には、7割以上にあたる約110万人が離職すると言われています*。働き手が不足する分、現場では1人当たりの生産性向上に取り組まなければなりません。
*出典:i-Construction委員会「建設現場の生産性革命」
労働環境の過酷さ
建設業は、ほかの産業に比べて週休が少なく、労働時間は長く、死傷者事故が多いという問題点があります。従来より「3K(キツい、汚い、危険)」と言われてきた労働環境を改善しなければ、人材の定着に結びつきません。ICTで省人化・省力化を実現することで、状況の改善に取り組む必要性があります。
こうした背景から、国土交通省はi-Constructionを推進すると同時に、推進を加速させるためにi-Construction大賞の表彰制度などを設けています。
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i-Constructionの現状
2016年に策定されたi-Constructionの取り組みですが、5年以上経った今も十分に運用されているとは言いがたい状況です。
実証実験レベルではさまざまな技術を「使える」ことが証明されてきていますが、「機器が高額で導入できない」「使いこなせる人を現場に置く必要がある」など、まだまだ課題があるようです。例えば、現場にドローンの操縦技師を専任で置く必要があったり、建機をICTに対応したものに切り替えなければならなかったりといった課題が山積しています。
しかし、実証実験の結果(出典:国土交通省)によれば、ICT土工の技術が現場で使えるものであることは明白です。今後、当たり前にICT建機が使われていくために何が必要か、ドローンを1現場で1台運用するためにシステムをどう改善すればいいかといった課題を解決していくことで、着実に現場に浸透していくでしょう。
「ICTの全面的な活用(ICT土工)」に活用される技術
国交省は3つの「トップランナー施策」のうち、生産性向上のキーとして「ICTの全面的な活用(ICT土工)」を挙げています。なぜなら、建築工事に比べて土木工事のほうが生産性向上に取り組みやすく、かつ、生産性向上が成功した場合のインパクトが大きいためです。
建築工事はビルやオフィスといった公共施設など、建物を建てる工事です。一方で、土木工事は道路やトンネル、河川工事など、より多くの人が利用するものを作ります。土木工事と建築工事では、土木工事のほうが圧倒的に期間が長く、人数を要します。人の入れ替わりが激しく、時間が経過するにつれて過去の情報が失われやすい環境では、情報の共有が困難になります。
工事の規模が大きいために、ICT化することで生産性向上につながりやすく、効果が得られやすいのです。
ICT土工に活用される技術
ICT土工に活用される技術には、次のようなものが挙げられます。映像ソリューションで建設現場の生産性向上を支援するセーフィーのカメラは、それぞれの技術と深く結びついています。
BIM・CIM
BIM(Building Information Modeling)は建築分野の技術で、コンピューター上に建物の3Dモデルを再現し、もの作りに活用します。この技術と共にセーフィーのカメラを活用することで、BIMで再現した完成予想図に対する現在の進捗がどうなっているかを、映像で確認することができます。
CIM(Construction Information Modeling/Management)は、建築分野におけるBIMの土木工事版といえます。設計段階から3Dモデル上で検討できるため、着工前の潜在的な課題に気づいたり、業務や工事の手戻りを防いだりすることができます。
ドローン
従来の測量方法では数日かかっていた測量が、ドローンを活用することによって数十分で完結するなど、大幅な作業時間の削減が可能です。また、ドローンからの写真測量によって測量データを3Dで生成し、設計などに活用できます。
ドローンからの映像をクラウド上で解析したい、現場だけでなく遠方にいる人に確認してもらいたいというときには、セーフィーのカメラが役立ちます。ドローンと連携して、ドローンが撮影した映像を関係者とリアルタイムに共有することができます。
ICT建機
土木工事において、建機の操作はベテランの操作技師にしか扱えない難しい仕事といえます。ICTと連携したICT建機であれば、建機の自動制御が可能です。経験の少ない若手社員でも操作が可能となるほか、正確性、安全性の向上につながります。
セーフィーには建機に付けて活用する「ドボレコJK」という製品を提供し、建機の映像化を進めています。
IoT・センサー
i-Constructionでは、モノのインターネットと言われるIoTや、センサー技術も用いられています。道路工事の際、法面が崩れないようにセンサーを付けて管理などをしています。この場合、センサーは振動を検知して崖崩れが起きていないかどうかを判断しますが、そこにカメラの映像が加わることで一層危険性の有無が確認しやすくなります。
セーフィーカメラで実現するi-Construction
セーフィーは映像ソリューションによってi-Constructionの取り組みに貢献しています。
セーフィーのカメラはLTE通信を使った映像伝送端末を搭載しているため、従来であれば文字、あるいは静止画でしかやり取りできなかったコミュニケーションに、映像という価値を付けました。カメラを通じて、従来よりも情報量の多いコミュニケーションを可能にし、建設現場の効率化に寄与しています。
例えば、土木工事の遠隔臨場には、ウェアラブルカメラ「Safie Pocket2(セーフィーポケットツー)」がよく用いられます。
また、「Safie GO(セーフィーゴー)」のような固定カメラを活用することで、どこにいても現場の様子を確認できます。このように、移動にかかるコストを削減することで、業務効率化や生産性向上に寄与しています。PTZカメラや360度カメラなど1台で幅広いエリアを把握するためのカメラも取り扱っております。
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ほかにも、セーフィーのカメラは次のような用途でi-Constructionの実現に貢献しています。
三井住友建設株式会社さまの事例
業界:ハウスメーカー
企業規模:1,001名以上
導入目的:施工状況や災害時における状況把握
製品が統一されておらず、各支店において稼働現場の状況を一括で把握できないことが課題でした。セーフィーカメラの導入の決め手となったのは、ダッシュボード機能です。80台のカメラの映像を確認するために、画面切り替えが不要で、同一画面上ですべての映像を確認できるのはセーフィーだけでした。
新日本空調株式会社さまの事例
業界:サブコン
企業規模:1,001名以上
導入目的:2024年問題を見据えた働き方改革、若手現場監督をサポートするベテラン社員、上長の移動コスト削減
新築時に導入した設備の保守メンテナンスなどを手掛ける新日本空調株式会社さまでは、30拠点でウェアラブルカメラSafie Pocket2を活用しています。「建設業の2024年問題」に伴い、労働環境の改善・向上への取り組みに力を入れている同社。その一環として現場のデジタル改革を掲げ、積極的にICTツールを活用しています。
工事の際、担当社員が現地に赴き、Safie Pocket2を身につけて現場の様子を撮影。各現場の映像を、拠点や本部のパソコン、モニターに映し、ベテラン社員や上長がチェックします。これにより、社員や上長の移動コストが全体で約400時間/月の削減できました。
株式会社アサノ大成基礎エンジニアリングさまの事例
土木分野では土壌や地下水の調査・解析を、建築分野では建物の調査・解析・施工・維持管理などをワンストップサービスで提供する株式会社アサノ大成基礎エンジニアリングさま。
Safie Pocket2を、ボーリング調査の際の遠隔管理に活用しています。現場監督として現地に入る若手社員がSafie Pocket2を装着し、現地の様子を撮影。ベテラン社員が会社や自宅からPCで映像を確認し、通話機能を使って指示を出します。これにより、現場に赴く人員の圧縮や移動コストの削減につながるなど、業務の効率化に役立っています。
セーフィーのクラウドカメラでi-Constructionを実現
建設現場の生産性を向上するには、ICT導入は欠かせません。セーフィーのクラウドカメラ「Safie Pocket2」は、移動時間やコストの削減に寄与します。電源を入れるだけで撮影・録画が開始し、映像の確認はブラウザ上でできるため、ICT機器になれていない方でも手軽にご利用いただけます。
i-Construction実現の第一歩に、セーフィーのカメラを活用してみてはいかがでしょうか。
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