認知症による徘徊は、記憶障害や不安・ストレスなどさまざまな原因で起こります。事故や行方不明につながりやすいため、知らない間に屋外に出てしまうことのないよう、対策が必要です。
本記事では、認知症による徘徊の原因や対策、見守りに役立つクラウドカメラを解説します。介護施設でクラウドカメラを見守りに活用している事例も紹介しますので、参考にしてみてください。
目次
認知症の徘徊とは
徘徊は認知症で現れる周辺症状のひとつであり、事故や行方不明の原因になることから適切な対応策が必要です。
ここでは、認知症の徘徊とはどのようなものか確認しておきましょう。
認知症の症状のひとつ
徘徊とは、認知症の「周辺症状」と呼ばれる症状のひとつです。昼夜関係なく、屋内や屋外を目的もなくうろうろと歩き回っているように見える行動を指します。外出先から自宅に帰れなくなったり、目的地がわからずいつまでも歩き続けたりするなど、行動はさまざまです。
周囲からはただ歩き回っているように見えても、本人にとっては何らかの理由や目的があります。本人に歩く能力がある限り、止めることは難しいのが実情です。
事故や行方不明につながる可能性がある
認知症の徘徊は事故や行方不明につながる可能性が高く、予防のための対策が必要です。警察庁のデータによると、2020年における行方不明者のうち認知症またはその疑いによるものは18,709人で、全体の22%を占めています(※1)。
無事に発見されても、ケガや事故に遭っているケースが少なくありません。このような状況を防ぐためには、徘徊が起こる原因を知り、適切な対策を考える必要があります。
徘徊の原因
認知症の徘徊が起こる原因として、記憶障害や不安・ストレスなどが考えられています。
記憶障害・判断力の障害によるもの
徘徊は、記憶障害や判断力の障害により起こりやすくなります。現状を忘れたり、周囲の状況がわからなくなったりして徘徊するケースです。
ほかにも、「家族の顔がわからなくなって知らない人だと思い、外に出てしまう」「持ち物の置き場所を忘れて探し回る」といったケースは、記憶障害・判断力の障害が原因といえるでしょう。
病院やデイサービスなどの外出先で、なぜここにいるのか忘れて外に出て徘徊してしまうこともあり、記憶障害や判断力の障害によるものと考えられています。
不安やストレスによるもの
認知症の症状が現れてくると、これまではできていたことができなくなってしまい、自分に自信をなくしたり不安になったりします。できないことにストレスを感じることもあるでしょう。これらの不安やストレスが重なることも、徘徊が起こるきっかけです。
家族や介護者の対応、環境の変化などに不満や不信を感じることも、徘徊のきっかけになる可能性があります。
本人に負担がかかっていることはないか、それらが不安やストレスになっていないか、注意することが大切です。
身体の違和感によるもの
排泄や空腹など、身体的な違和感がきっかけとなって徘徊が始まる場合もあります。「お腹がすいたから食べるものを探す」「お腹が痛くなったからトイレを探す」というように、身体的な理由がきっかけとなって徘徊が始まってしまうケースです。
このようなケースで徘徊が起こらないよう、健康管理を行い、排泄や食事のタイミングを見計らってケアすることが必要になるでしょう。
前頭側頭葉型認知症の症状
前頭側頭型認知症の症状により、徘徊が起こるケースもあります。前頭側頭型認知症とは、脳の一部である前頭葉や側頭葉に萎縮があることで起こる認知症のひとつです。
ほかの認知症とは異なる特徴的な症状があり、そのひとつに「いつも同じ道順を歩く」「同じような動作を行う」など、同じ行動を繰り返す症状が見られる場合があります。
この症状により、同じところを目的なく行き来して、徘徊となってしまうケースがあります。
認知症の徘徊がある場合の対策
認知症の徘徊が起こるようになったら、事故や行方不明などの事態にならないよう対策が必要です。対策は、「生活上」「徘徊のタイミング」「行方不明になったとき」という3つの場面で必要になります。それぞれ、詳しくみていきましょう。
生活上の対策
日々の生活では生活習慣をチェックし、本人が困った状況にならないよう事前に察知して声かけや誘導を行うことが大切です。たとえば、排泄の間隔を確認し、「そろそろトイレに行きませんか?」など声をかけてトイレに誘導し、本人が違和感を覚えて徘徊が始まらないようにするとよいでしょう。
また、簡単な手作業や趣味、役割などを与え、本人にできることをやってもらうようにすると、不安やストレスによる徘徊を防止できます。
一日中、同じ場所で過ごすのではなく、適度な運動や外出などを日課にするのもおすすめです。エネルギーを発散させれば、充実感により徘徊する衝動を抑えることが期待できます。
徘徊のタイミングに気づく対策
徘徊で家や施設の外に出てしまわないよう、タイミングに気づく対策も必要です。玄関にセンサーやドアベルを設置すれば、徘徊に気づけます。
玄関に本人が興味を持ちそうな物を置いておけば、それに気をとられて徘徊を防止しやすくなります。家の外に出るまでの時間稼ぎにもなり、徘徊する前に止められるでしょう。
ただし、どうしても外に出ようとするときは、無理に止めようとしないことが大切です。声をかけながら、一緒に出かけるようにするとよいでしょう。
行方不明になったときの対策
徘徊して行方不明になってしまったときのために、次のような対策も必要です。
- 連絡先や氏名などを書いた紙などを身につけておく
- GPSに対応した携帯電話を所持しておく
- (家族や施設側)顔写真を用意しておく
連絡先や氏名を書いた紙をキーホルダー・財布などに入れたり、衣服に縫い付けたりするなどしておきます。
また、位置情報を知らせるGPSに対応した携帯電話を身につけておくことも効果的です。ポケットに入れたり、首から下げたりしておくとよいでしょう。靴につけるタイプもあります。
万が一行方不明になったときに探索しやすいよう、顔写真を用意しておくことも必要です。毎朝、その日の服装を写真で撮影しておくのもおすすめです。
さらに、徘徊する可能性があることを近所の人や地域の支援センター、交番などにあらかじめ周知しておき、外で見かけた場合には家族に連絡してもらうよう手配もしておきましょう。
徘徊の見守りに役立つクラウドカメラ
家庭の中や施設内では、徘徊の見守りに防犯カメラを設置するのもおすすめです。クラウド録画サービス「Safie(セーフィー)」のクラウドカメラであれば、遠隔からリアルタイムで見守りができます。
遠隔からでも見守りができる
Safieのクラウド録画サービスは、遠隔から室内のリアルタイム映像をいつでもどこでも確認できるのが特徴です。クラウドカメラとスマートフォンを連動させることで、インターネット経由で見守りができます。
必要な料金は、カメラの本体代金とクラウド録画の利用料のみ。さらに、置くだけで簡単に設置できる「Safie One(セーフィーワン)」なら、工事不要ですぐに使えます。高画質でテレビのようになめらかな映像を確認できるため、認知症の方の見守りにも安心です。
Safie
Safie One
エッジAIを搭載。画像解析による業務効率化も叶えるカメラ
¥41,800 (税込)
外形 | φ76.5×92.5mm |
重さ | 360g |
防水性能 | なし |
ネットワーク接続 | 有線LAN、無線LAN |
PoE給電 | 対応 |
画角 | 水平114° 垂直60° |
ズーム | デジタルズーム 最大8倍 |
マイク(音声入力) | あり |
スピーカー(音声出力) | あり |
暗所撮影 | 対応 |
家や施設の外に出るタイミングに気づける
Safieのクラウドカメラがあれば、リアルタイムで状況を確認できるため、家や施設の外に出るタイミングに気づきやすくなります。徘徊の様子があってもすぐに対応できるので、気づかずに行方不明になってしまう事態を防止しやすいでしょう。
カメラ1台につき15人まで映像を共有できる機能や、シェアする相手ごとに各機能の権限設定ができる機能もついています。
クラウドカメラの導入事例
Safieのクラウドカメラは、実際に介護の現場で活用されています。ここでは、クラウドカメラの導入事例をみていきましょう。
介護施設の共用部に導入した事例
愛知県内で介護施設や保育園を運営する株式会社メグラスでは、スタッフが幸せに働ける環境づくりをするため、ICTツールや独自の制度を積極的に導入しています。運営する介護施設で約60台のSafieのクラウドカメラを導入したのも、その一環です。
Safieを導入した目的は、インシデント発生時の客観的な状況を把握することだったそうです。居室内にはICT見守りシステムのセンサーがありますが、廊下やダイニングといった共用部分にはセンサー・カメラを設置していませんでした。そのため、それらの共用部分で事故が起きたときに状況を把握できるよう、Safieを導入したそうです。
どこにいても手元にあるデバイスで映像を見たり保存したりできるというのが、Safieを導入した決め手だったとのこと。画質が良く、一定範囲の音声を問題なく聞き取れることも、選んだ理由としています。
Safieの導入・運用により、施設内で何か起きたときも映像で客観的に確認できるようになり、その結果として利用者とその家族に安心感を提供できるようになったと話しています。
個室に導入した事例
グループホームを運営する、ある社会福祉法人では、スタッフの人員不足を解消するために共用部や居室にSafieのクラウドカメラを導入しました。Safieは、主にトラブルが起きたときの事実確認や、夜間の見守り業務で活用しています。
インシデントが発生した際の経緯を映像に記録し、家族への説明や施設での振り返りに活用しているそうです。また、これまでは宿直を含めた3人で行っていた夜間の見守りについても、Safie導入後は宿直を家での待機に切り替えることができたため、基本的に2人による体制にできたと話しています。
認知症の徘徊に向けた対策を考えよう
認知症の徘徊はさまざまな原因で起こり、ケガや事故、行方不明につながります。徘徊で家や施設から外に出てしまわないよう、予防策を検討することが必要です。
対策には、氏名や連絡先の紙などを身につけたり、GPS対応の携帯電話を所持したりする方法があげられます。また、クラウドカメラを居室や廊下、玄関などに設置して、リアルタイムで見守る方法も効果的です。Safieのクラウドカメラであれば、鮮明な映像と音声で、効果的な見守りができるため、ぜひ検討してみてください。
- かしこくなるAIカメラ「Safie One」
- エッジAIを搭載し、計測・検知を行うことで映像解析をより便利にします。
※1 出典:“令和4年における行方不明者の状況”. 警察庁 生活安全局 人身安全・少年課. 2023-06(参照 2024-10-08)
※ セーフィーは「セーフィー データ憲章」に基づき、カメラの利用目的別通知の必要性から、設置事業者への依頼や運用整備を逐次行っております。
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