建設業界では、業務効率化やコスト削減の必要性が高まっています。たとえば、人手不足や長時間労働の抑制など、2024年問題にも関わる問題として対処しなければなりません。
その解決策として注目されるのがクラウドサービスの導入です。本記事では、建設業におけるクラウド化の重要性や導入のメリット、さらにはクラウドカメラの活用事例まで詳しく解説します。
目次
建設業界のクラウド化とは
建設業界のクラウド化とはどのようなものなのか、まずはその概要について把握しなければなりません。建築業界が直面する課題に対してクラウドサービスがどのように利用できるか簡単に解説します。
クラウドサービスの概要
クラウドサービスとは、インターネットを通じてサーバーやソフトウェアなどのリソースを利用するサービスのことです。建設業界では、工程管理や施工管理、図面や写真の共有などに活用されています。クラウドサービスを利用することで、現場と事務所間のデータのやり取りがスムーズになり、業務の効率化につながります。
建築業界が直面する課題
建設業界では、人手不足や長時間労働、生産性向上などの課題を抱える企業が多くあります。また、紙ベースの資料管理や複雑な工程管理など、アナログな業務プロセスも多く残されている点も問題です。これらの課題解決には、デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が不可欠です。
クラウドサービスの必要性
クラウド化により、情報共有の円滑化やリアルタイムでの進捗管理、資料の一元管理などが可能です。遠隔臨場など時間や場所に縛られない柔軟な働き方ができるようになり、業務の効率化やコスト削減にもつながります。
建築業界でクラウド化が推奨される理由
建設業界とクラウド化の相性はとてもよいと言えます。なぜ建設業界でクラウドサービスが推奨されるのか、その理由について詳しく解説します。
人手不足への対応
建設業界では慢性的な人手不足が問題となっています。クラウド化により、業務の自動化や効率化が進むことで、少ない人員でも効率的に業務を遂行できるようになります。たとえば、クラウド型の施工管理サービスを導入することで、写真や図面などの情報共有やコミュニケーション、案件管理など日々の作業を効率化できます。
長時間労働の抑制
建設業界の課題の一つである、長時間労働の抑制にもクラウド化は有効です。クラウドを活用することで、場所を選ばず業務が行えるようになり、現場と事務所間の移動時間の削減につながります。また、業務の効率化により、残業時間の削減にもつながります。
建設業の2024年問題の解決に
建設業の2024年問題とは、「働き方改革関連法」の適用に伴い発生する問題です。2024年4月から「時間外労働の上限規制」や「時間外労働の割増賃金率引き上げ」など、人手の確保と人件費の高騰に対応しなければなりません。
建設業の2024年問題については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
建築業界にクラウドを導入するメリット
建設業に実際にクラウドを導入することによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。人手不足や長時間労働の抑制の課題解決にもつながるため、詳しく解説します。
情報共有の簡素化
クラウドを導入することで、図面や写真、工程表などの情報をパソコンやタブレットで簡単に共有できるようになります。たとえば、現場で撮影した写真をすぐにクラウドへアップロードし、事務所にいるスタッフと即座に共有することが可能です。これにより、コミュニケーションの円滑化と意思決定の迅速化を実現します。
資料管理の簡素化
現場の施工写真や図面など、クラウド上に資料を一元管理することができます。紙の資料と違い、クラウド上のデータは検索性が高く、必要な情報にすぐにアクセスすることが可能です。また、バージョン管理も容易になるため、常に最新の情報を共有できます。
コスト削減
クラウドサービスでは、ハードウェア製品を自社で用意する必要がないため、サーバーの導入費用や維持費用などを削減できます。また、ペーパーレス化による経費削減や業務効率化による人件費の削減なども期待できるでしょう。
クラウドサービスは多くの場合、サブスクリプション(月額・年額などの定額料金)で利用できるため、初期投資を抑えることも可能です。
プロジェクト管理の改善
クラウド上での工程管理や予算、進捗状況などの一元管理を行うことで、プロジェクトの全体像を把握しやすくなります。プロジェクト管理の効率化と透明性の向上が図れ、問題点の早期発見や迅速な初期対応につながります。
建設業に適したクラウドサービスの種類
クラウドであればなにを導入してもいい訳ではありません。クラウドにはさまざまな種類があり、「建設業に特化したシステム」もあれば、会計ソフトやクラウドカメラサービスなどの「機能に特化したシステム」もあるためです。
クラウドの種類については、SaaSやPaaSといった分類もできるのですが、今回は建築業界に適したクラウドサービス(SaaS)の種類に限定して解説します。
SaaS(サーズ)とは
SaaSとは「Software as a Service」の略称で、「サーズ」もしくは「サース」と読みます。クラウドサービスの一種で、サービス事業者側のサーバーで稼働しているソフトウェアを、インターネットなどのネットワークを経由して利用できるサービスです。
建設業に特化した「施工管理システム」
施工管理システム(工事管理システム)とは、建築プロジェクトの計画から完了までの全過程を一元管理するためのシステムです。工程管理、原価管理、安全管理など、建設現場で必要とされるさまざまな機能を統合しています。
たとえば、「ANDPAD」や「建て役者」など、建設プロジェクトに必要な機能をクラウドサービスとして提供しています。
さまざまな業種で利用される「機能特化型システム」
建設業に特化していないクラウドサービスであっても、業務の効率化やコスト削減につなげることができます。たとえば、「AI チャットボット ChatGPT」や「クラウド会計ソフト freee」などは機能に特化したサービスです。
また、当社のクラウドカメラサービス 「Safie(セーフィー)」も機能に特化したクラウドサービスのひとつであり、飲食店や建設業などのさまざまな業界で利用されています。
そのほかにも、「Microsoft365」や「YouTube」などもクラウドサービスの一種であり、ここでは分類しきれないほど多様なサービスが提供されています。
クラウド化における注意点
クラウドサービスの導入はメリットばかりではなく、環境の整備や従業員の教育などの注意点があります。正しくクラウドサービスを導入するために必要なことであるため、現場の作業環境や従業員のITリテラシーなどは必ず確認しておきましょう。
セキュリティ対策が重要
クラウドサービスは、データ通信が必ず求められます。建設プロジェクトには機密情報も多く含まれるため、データ漏洩や不正アクセスに注意しなければなりません。通信やデータの暗号化やアクセス権限の管理など、強固なセキュリティ対策が施されたサービスであるか必ず確認しましょう。
システム導入時の従業員教育が必要
新しいシステムの導入には、従業員への教育が欠かせません。特にITリテラシー教育は、全社で徹底する必要があります。作業端末の紛失や安易なパスワード管理によりデータ漏洩の危険性があるためです。セキュリティ事故をふせぐためには、丁寧かつ時間をかけた社員教育が求められます。
安定した通信回線が必要
クラウドサービスはインターネット回線に依存するため、安定した通信環境がなければシステムの不具合が増えてしまいます。また、通信速度や帯域に余裕がない事務所などは、通信回線のトラフィック増加により、ほかのシステムに不具合が起きる危険性も考えられます。
また、作業現場に通信回線がない場合は、オフラインでの利用やモバイル回線を利用できるデバイス選びなども求められるでしょう。
クラウドサービスを選ぶポイント
実際にクラウドサービスを選ぶ際、どのようなサービスが適切か選ぶのは難しいかと思います。ここでは、建設業界でクラウドサービスを選ぶ際に、特に意識すべきポイントについて解説します。
セキュリティに強いサービスであるか
クラウドサービスでもっとも重要なポイントは、機能性よりもセキュリティ性能です。たとえ使い勝手のよい操作性に優れたサービスであっても、情報漏洩のリスクは避けなければなりません。
ISMS認証を受けている企業のように、セキュリティに強みのある企業を選びましょう。
ISMS認証(ISO/IEC 27001)とは
第三者機関に情報セキュリティ管理の仕組みを認められた認証であり、官公庁の入札要件になることも多い。
どの業務を効率化したいか
クラウドサービスの導入の目的を明確にし、どの業務を効率化したいかを特定することが大切です。たとえば、現場の写真管理や映像管理に特化するなら「Safie」のようなクラウドカメラシステム、工程管理や原価管理まで含めた総合的な管理を目指すなら「ANDPAD」のような施工管理システムが適しているでしょう。
また、それぞれに利用するシーンが異なるため、複数のクラウドサービスを導入しても構いません。
既存システムと連携できるか
新しいシステムの導入には、既存システムとの連携性も重要なポイントです。たとえば、すでに使用している会計ソフトや勤怠管理システムとのデータ連携ができるか確認しましょう。
スムーズな連携につながれば、二重入力などの手間を省き、さらなる効率化を期待できます。
クラウドカメラサービスを用いた導入事例
建設業でのクラウドサービス活用により、業務効率化やコスト削減を実現できます。そのなかでも「Safie」を用いた導入事例についてご紹介します。
現場巡回の削減に
「マンションのアンチエイジング」と題して、大規模修繕工事を中心に行う工事会社リノ・ハピアでは、工事現場の進捗確認のためにクラウドカメラサービスを導入。多忙な管理者が現場に足を運べない状況でも、映像を用いて遠隔で状況を確認しています。
そのほかにも報告書の作成や社員教育の映像資料としても活用しています。
2024年問題の解決に
スーパーゼネコンの1社である「大林組」では、2024年問題の対策としてデジタル化の推進が急務でした。そこで、土木デジタルコンシェルジュを派遣して、デジタルツールの操作と利便性を広めたところ、ある現場では遠隔臨場の実施率がほぼ100%になるほどデジタル浸透が進んでいます。
2022年時点では、全国で350台ものカメラを導入しており、遠隔臨場や技術継承などに役立てられています。
災害現場の現場パトロールに
福井県で道路、河川、海岸などの管理を行う奥越土木事務所は、災害時は近隣の地域のパトロールなどを担っています。しかし、人員の不足などの問題に直面したため、河川などの被災現場の状況をリアルタイムで遠隔確認できるクラウドカメラを導入することにしました。
カメラを設置したことで、事務所内で常に河川の状況を確認できるようになり、夜間に雨が降った場合には権限を与えられた一部の担当者は自宅からでも映像を確認できるようになりました。これにより、河川にトラブルがあったことを即座に知ることができ、「なにも起きていない」ことを確認する時間も大幅に削減することができるようになりました。
まとめ
建設業におけるクラウド化は、業務効率化やコスト削減、さらには働き方改革を実現する重要な手段です。特にクラウドカメラサービスの活用は、現場の可視化と管理の効率化に大きく貢献します。サービスの導入に当たっては、自社のニーズにあわせたシステムを選択し、セキュリティにも十分注意を払うことが大切です。
「Safie」は、個人のお客様から大企業、公共機関まで幅広くご利用いただいています。ISMS認証も取得、録画映像は強固なセキュリティーで守られており、不正アクセスなどの心配なく安心してご利用いただけます。
セーフィーではクラウドカメラサービスを始めとして、映像を用いたソリューションにも強みを持っておりますので、職場での困りごとがありましたら、ぜひセーフィーまでご相談ください。
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