DX(デジタルトランスフォーメーション)とはデジタル技術を駆使して、企業のビジネスモデルや業務、風土などに変革を起こし、市場における競争上の優位性を確立することです。この記事では、小売業界が抱える課題やDXに取り組むメリット、DXの推進によって課題解決に至った事例をご紹介します。
目次
DXで解決すべき小売業界の課題
デジタル技術で企業の競争力を高める「DX」は、小売業界が抱える課題を解決します。DXで解決できる小売業界の課題として挙げられるのは、主に以下の3つです。
- 消費者の購買行動の変化に対応できていない
- 人手不足が深刻化している
- 経営判断に必要なデータが不足している
それぞれの課題を解説します。
消費者の購買行動の変化に対応できていない
消費者の購買行動の変化に対応しきれていない小売業界の企業は、少なくありません。かつては商品を商品棚に並べておけば売れる時代でした。インターネットの普及により、消費者自身が情報を検索し、WebサイトやSNSなどから商品情報を収集したり、購入商品の情報や口コミを発信したりするようになっています。
インターネットの一般化に伴い、それまでは企業からの一方通行であった企業と消費者の関係性が、双方向的に変化してきたことが大きな特徴です。従来型のアプローチやマーケティングを続けていると、このような消費者の購買行動の変化に対応できません。
人手不足が深刻化している
小売業界に限らず、少子高齢化に伴う国内の労働人口の減少によって、深刻な人手不足が常態化している状態です。そのため、これまで人手を集めてなんとか行ってきた業務に対応できなくなっていたり、これまでのサービスの品質を維持できなくなっている企業も散見されます。
経営判断に必要なデータが不足している
経営判断に必要なデータが不足していることも、DXで解決すべき小売業界の課題の1つです。消費者は、インターネットを利用してさまざまな情報を収集できるようになり、そのことが購買行動の変化や価値観の多様化を生み出しました。
かつてのように多くの顧客が同じような価値観を持ち、同じような商品を購入する時代は終わり、多様化する購買行動や顧客ニーズにきめ細かく対応しなければなりません。これまでとは消費者の購買行動が変化していることから、顧客や商品に関するデータの蓄積と活用が不可欠ですが、それらのデータを持っている企業は少ないのが実情です。
そもそもDXとは
そもそもDXとは、AIやIoTなどのデジタル技術を駆使して企業のビジネスモデルや業務、風土などに変革を起こし、レガシーシステムから脱却し競争上の優位性を確立することを指します。「Digital Transformation」の略語であり、読み方は「デジタルトランスフォーメーション」です。
単にデジタル技術を導入しただけでは、DXが実現できたとはいえません。デジタル技術の導入はあくまでも手段であり、デジタル技術を導入してどのように新たなビジネスモデルを構築するのかが重要です。
デジタル化との違い
DXに似た言葉に「デジタル化」があります。2つの言葉の違いは、それぞれの目的や取り組みの規模、継続性にあるといえるでしょう。
一言でいうと、デジタル化とはデジタル技術を活用して業務を行うことであり、DXとはデータとデジタル技術でビジネスに変革を起こすことです。DXは、デジタル化の先を見据えて行う取り組みだといえます。
小売業界の課題解決にDXが求められる理由
小売業界の課題解決にDXが求められるのは、競合他社との差別化を図り、市場における競争優位性を確立するためです。DXによって、移り変わりの激しい顧客ニーズへの対応や、業務の効率化による省人化運営が可能になります。
小売業界でDXを活用し課題解決に取り組むメリット
小売業界でDXを活用し、課題解決に取り組むことで得られるメリットは、以下のとおりです。
- 顧客満足度の向上
- 業務の効率化
- コストの削減
各メリットを解説します。
顧客満足度の向上
小売業界の企業がDXに取り組むことで、顧客満足度の向上が期待できます。発注・在庫管理の自動化や棚札のシステム化、セルフレジの導入などにより、従業員の業務負担が軽減され、顧客対応に注力できるようになるでしょう。
また、データ分析によって顧客理解の精度が上がり、それによってマーケティング施策や接客のレベルを高められれば、顧客に支持される店づくりが実現できます。
業務の効率化
DXによって、小売業界の企業における業務の効率化が進みます。たとえば、手作業で行ってきた伝票の転記作業やデータの突き合わせ作業などをデジタル化することで、ヒューマンエラーを削減することが可能です。
さらに、POSシステムや発注・在庫管理システムのデジタル化によって、売上データや在庫情報などをリアルタイムで把握できるようになり、在庫量を適切に維持できるようになります。
コストの削減
DXを推進することで業務が効率化すれば、作業時間が大幅に短縮し、これまで複数名で行っていた業務を1人で行えるようになります。結果的に、人件費の削減効果が期待できるでしょう。それだけでなく、デジタル技術を駆使して在庫や仕入れを管理することで、原価の抑制にもつながります。
また、人検知機能を有したAIカメラを導入し不審者の検知に役立てれば、警備員の人数を削減するといったことも可能になるでしょう。
小売業界の各領域でのDXによる課題解決効果
ここでは、小売業界の各領域でのDXによる課題解決効果をみていきましょう。サプライチェーン領域とマーケティング領域におけるDXの効果は、以下のとおりです。
サプライチェーン領域
DXがサプライチェーンにもたらす影響は大きいと考えられます。サプライチェーンとは、原材料の調達から製造・物流・販売・消費に至る供給の流れのことです。サプライチェーンの領域においてDXを推進することで、在庫管理コストの削減や、製品の生産から消費者に届くまでの工程を記録し、追跡が可能になります。
マーケティング領域
マーケティング領域も、DXによる課題解決の効果が大きな領域といえるでしょう。ECサイトでの購入が増加したことでさまざまな顧客データを入手できるようになり、顧客行動に紐付く大量のデータを分析し、顧客行動を理解し適した施策を実施する企業が増えつつあります。
小売業界でのDX活用による課題解決の事例
小売業界でのDX活用による課題解決について、代表的なケースを8つご紹介します。
オンライン注文・店舗受け取り
ECサイトで購入したものを、実店舗で受け取れるサービスです。「Buy Online, Pickup In Store」の略語で「BOPIS」と呼ばれます。アメリカのウォルマートが始め、日本でも大企業を中心に広がりをみせているサービスです。
オンライン注文・店舗受け取りができると、顧客は欲しいものを探すために店内を歩き回ったり、支払いのためにレジの行列に並んだりする必要がありません。送料や商品を受け取るまでのタイムラグが生じないことなども、メリットです。
オンライン接客
自宅にいながら店舗で買い物をしているようなリアルな接客・購買体験ができるオンライン接客も、デジタル化によって実現するサービスの1つです。顧客はビデオ通話を介して店舗スタッフとやり取りを行い、商品選びに際してのアドバイスやコーディネート提案を受けられるため、店舗に足を運ぶ必要がなく気軽に買い物ができます。
企業側にとっては、集客のハードルが高いという課題の解決策になり得るでしょう。顧客は店舗に出かける手間が省け、昼休みなどの空き時間にも買い物ができるようになるため、集客が容易になります。さらに、地方の店舗が首都圏の顧客に接客できるようになるほか、店舗スタッフのリモート対応も可能になり、配置する人員の削減効果も見込めるでしょう。
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顧客行動の理解
AIカメラを店舗に設置すれば、映像の解析によって顧客の行動パターンや属性を分析できるようになります。分析結果を基に、マーケティング戦略を策定可能です。顧客行動への理解が深まり、移り変わりの激しい顧客ニーズにも対応できるようになるでしょう。
AIカメラは、「顧客の入店・退店時間」「滞在時間」「動線」などを分析し行動パターンを可視化できるほか、映像に映った「性別」「年齢」「服装」などから顧客属性を詳細に分析することが可能です。
これらのデータ分析を行うと、店舗の実際の顧客層を把握し、求められる商品を選別しやすくなるため、マーケティングの精度の向上につながるでしょう。
実店舗とECサイトの購買データの統合
実店舗とECサイトの購買データの統合も、DXの推進によって実現可能です。実店舗とECサイトの両方で販売を行う小売業は増えてきているものの、複数の顧客設定のデータが統合されておらず、店舗やECを横断した一人ひとりの行動を把握できないという課題が散見されます。
しかし、AIカメラを利用して実店舗とECサイトの統合分析を行えば、顧客の購買行動を正しく理解することができるでしょう。実店舗ではどのような商品を手に取り、オンラインではどの商品を検索あるいは購入しているのかを把握できるようになります。その結果、顧客一人ひとりに対して、より細分化したサービスを提供できるようになるため、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。
発注管理・在庫管理の自動化
小売業には欠かせない発注・在庫管理の自動化も、DXによって実現する取り組みです。過去の販売実績や気象情報などのデータを基に、商品の発注数を自動で算出できるシステムや、映像解析や重量センサーなどの技術を駆使し在庫管理を行うシステムなどが登場しています。
シフト管理・作成の自動化
店舗業務の中でも、主に店長が行うシフト管理・作成業務は時間と手間がかかっていました。シフト管理システムを活用すれば、シフト作成の条件やルールをあらかじめ設定しておくだけで、ワンクリックでシフトが自動作成できるようになります。そのため、これまでシフト管理・作成に割いていた時間を削減し、顧客対応などのほかの業務に注力できるようになるでしょう。
棚札のシステム化
店頭で商品価格を表示する棚札をシステム化することで、店頭業務の負荷を軽減することが可能です。電子棚札をPOSデータと連動させれば、瞬時に正しい価格に変更できます。さらに、商品棚にない商品について、顧客に「在庫切れ」なのか「店舗に在庫はあるが品出しが間に合っていない状態」なのかを表示できる電子棚札もあります。
混雑状況の可視化
AIカメラを設置すれば、混雑状況の可視化が可能です。AIカメラで収集したデータを使ってスマホアプリや店内サイネージなどに配信すれば、顧客の「空いている売場から回りたい」「混雑を避けて買い物したい」というニーズにも応えられるでしょう。
AIカメラは小売業の販売機会損失を防ぐ
AIカメラは、レジ前における混雑状況の可視化や店舗マーケティングに役立ちます。小売業がDXを推進する際の、強力なツールの1つといえるでしょう。
とくにおすすめなのは、セーフィーが提供するAIカメラ「Safie One(セーフィー ワン)」です。HD画質&30fpsのくっきりなめらかな映像は、店内のPOPの文字まで確認できるほど高画質です。
Safie
Safie One
エッジAIを搭載。画像解析による業務効率化も叶えるカメラ
¥41,800 (税込)
外形 | φ76.5×92.5mm |
重さ | 360g |
防水性能 | なし |
ネットワーク接続 | 有線LAN、無線LAN |
PoE給電 | 対応 |
画角 | 水平114° 垂直60° |
ズーム | デジタルズーム 最大8倍 |
マイク(音声入力) | あり |
スピーカー(音声出力) | あり |
暗所撮影 | 対応 |
また、人のみを検知する「人検知」機能を標準搭載。オプションのAIアプリ「AI-App(アイアップ) 人数カウント」を追加することで、レジ前における混雑状況の可視化や、売り場ごとに顧客の滞留を計測でき、店舗マーケティングに活用することができます。
ここからは、実際に「Safie One」を導入して課題解決に至った事例をご紹介します。
【導入事例1】レジ前における混雑状況の可視化
スーパーマーケット『サンプラザ』を展開する「株式会社サンプラザ」では、セーフィーのAIカメラを使ったレジオペレーションの改善による接客レベルの向上と、レジ前混雑の緩和に取り組んでいます。
同社では、2年ほど前からレジ前混雑の緩和策を実施していました。待っている顧客が一定数を超えたらレジに応援スタッフを呼ぶ「応援要請」やレジ台の上のカゴをしっかり寄せて次の顧客がカゴを置くスペースをつくる「カゴ寄せ」などです。しかし、実際には目の前の会計業務に気を取られ、緩和策が徹底されているとは言い難い状況でした。
そこでAIを搭載した「Safie One」と、オプション機能の「AI-App 人数カウント」を導入したところ、カメラによる通知によって、混雑状況を漏れなく把握できるようになりました。加えて、映像でリアルタイムの状況もわかるため、AIの通知と映像の確認の合わせ技により、スピーディーに対応できるようになっています。さらに映像分析により、個別のスタッフへの具体的な指導も可能になりました。
【導入事例2】店舗マーケティングへの活用
イタリアのミラノに拠点を置くステーショナリーブランド、『モレスキン(Moleskine)』を運営する日本法人「モレスキンジャパン株式会社」では、日本初の直営店にセーフィーのAIカメラを設置しました。
店舗に2台の「Safie One」を設置し、オプションの「AI-App 人数カウント」も導入して、「通過人数カウント」「立ち入りカウント」「立ち入り検知」の3つのAI機能を使用しています。Safieで得たデータは、これまでに「売場のレイアウト変更」「販促施策の追加」「イベント日程の設定」などに活かされているそうです。
たとえば、それまではメインとなる出入口からの流入を想定して売場計画を策定していましたが、映像により2ヶ所の出入口を利用する顧客数に大きな違いがなかったことから、レイアウトを再編しました。商品体験スペースの場所も変えた結果、体験の顧客が1.5倍ほどに増えたそうです。
そのほか、購買前の顧客の属性分析や、店舗スタッフの動きを確認することで接客や販促の向上にも役立てています。
小売業界の課題をDXで解決しよう
小売業界が競合他社との差別化を図り、市場における競争優位性を確立するためには、DXの推進が求められます。DXによって、顧客満足度の向上や業務の効率化、省人化運営などによるコストの削減が実現するでしょう。
クラウド録画サービス「Safie」を提供するセーフィーは、小売業界の課題解決をサポートしています。お客様の抱える課題に対して、クラウドカメラやAIカメラの豊富な導入実績をもとに解決へ向けた提案ができますので、お気軽にお問い合わせください。
- かしこくなるAIカメラ「Safie One」
- エッジAIを搭載し、計測・検知を行うことで映像解析をより便利にします。
※ セーフィーは「セーフィー データ憲章」に基づき、カメラの利用目的別通知の必要性から、設置事業者への依頼や運用整備を逐次行っております。
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