デジタル時代の映像撮影において、クロップズームは注目を集める技術の一つです。スマートフォンや防犯カメラの進化に伴い、この機能はますます身近なものになっています。しかし、クロップズームとは具体的にどのような技術で、従来のデジタルズームとはどう違うのでしょうか?
本記事では、クロップズームの基本的な仕組みやメリット・デメリット、実際の活用方法を解説します。カメラ初心者からエンジニアまでクロップズームについての理解を深めることができるでしょう。
目次
クロップズームとは?
クロップズームの定義と仕組み、また、デジタルズームとの違いについて確認していきましょう。
クロップズームの定義
クロップズームとは、センサーの一部分を切り取って拡大するズーム技術のことです。画像の中心部分を切り取り(クロップ)、それを拡大して表示することで写真や動画の望遠効果を得ます。デジタルカメラやスマートフォンのカメラアプリなどに採用されています。
クロップズームの仕組み
クロップズームは、イメージセンサーの一部分を切り取るズームです。イメージセンサーの範囲が狭くなることにより、レンズの焦点距離に変化が表れます。
たとえば、一眼レフカメラにおいて同じ焦点距離のレンズを使った際、イメージセンサーの大きさによって写し出される画角は異なります。イメージセンサーが大きいほど広角に撮影でき、イメージセンサーが小さいほど望遠に撮影できます。
一眼レフでは、APS-Cサイズ(イメージセンサーサイズ規格の一つ)のイメージセンサーは、フルサイズのイメージセンサーのおよそ1.5倍程度の焦点距離になると考えられています。そのため、APS-Cサイズのカメラレンズの性能を表す際は、「50mm(フルサイズ換算75mm)」といった表記になることもあります。
デジタルズームとの違い
デジタルズームは、すでに撮影した画像を切り取りズームする方法です。たとえば、昔に撮影した写真やスマートフォンのディスプレイに表示した映像などを拡大する場合、画素数を劣化させながら大きな画像に引き延ばせます。
一方のクロップズームは、写真撮影の前にイメージセンサーで撮影範囲を切り取るズーム方法です。そのため、すでに撮影した画像についてはクロップズームを活用することはできません。
一般的にデジタルズームよりもクロップズームのほうが鮮明な映像を撮影しやすくなります。
クロップズームセンサーのメリット
光学ズームに近い高画質
クロップズームは、光学ズームに近い画質を維持しながら望遠効果を得られる点が大きなメリットです。光学ズームとは、実際のレンズを使って拡大する方法で、イメージセンサーを最大限に使うことができます。
クロップズームはイメージセンサーの一部を切り取るため、画素数では光学ズームに劣りますが、画素密度に変化がないため最小限の劣化に抑えてズームができます。
望遠レンズがいらない
クロップズームを活用することで、物理的な望遠レンズを持ち歩く必要がなくなります。特にスマートフォンや防犯カメラのように、光学レンズを取り替えることのない機器では有効な方法です。たとえば、iPhoneやGalaxyなどのスマートフォンは、光学ズームレンズとクロップズームの両方を搭載しています。
高画質でのトリミング
撮影後にトリミングするデジタルズームに比べて、撮影前にトリミングするクロップズームでは圧倒的に画質に差が出ます。そのため、構図の調整をクロップズームで行うことにより、鮮明な映像を撮影できるでしょう。
クロップズームのデメリット
画素数の減少
デジタルズームほどではありませんが、イメージセンサーの一部をトリミングするクロップズームでは画素数の減少は避けられません。たとえば、4800万画素のセンサーで2倍のクロップズームを行うと、実際に使用される画素数はおよそ1200万画素になります。
映像として楽しむには十分な画素数ですが、デジタルズームなどにより劣化しやすくなる点はデメリットといえます。
高感度撮影ではノイズが増える
クロップズームでは、ノイズの影響が大きくなりやすいです。イメージセンサーの一部を切り取るため、ノイズが発生した画素についても拡大表示されてしまうためです。この問題はデジタルズームでも同様のため、高感度撮影でのノイズを抑えるには光学ズームの利用が適しています。
光学ズームより望遠性能は低い
光学ズームよりも望遠性能が劣ってしまう点もデメリットです。ただし、焦点距離の長い望遠レンズは、画素数の多いカメラ本体よりも価格が高くなりやすい傾向です。そのため、コストを抑えて鮮明にズームするにはクロップズームが適していますが、潤沢な予算があってズーム機能を高性能にするには、光学ズームの採用が適しているでしょう。
クロップズームの活用方法・活用シーン
スマートフォンでの活用
最新のスマートフォンでは、クロップズーム機能が標準で搭載されています。たとえば、iPhone14Proでは、メインカメラの4800万画素センサーを活用して、2倍のクロップズームを実現しています。
防犯カメラでの活用
クロップズーム技術は、防犯カメラにも応用されています。高解像度のセンサーを搭載した防犯カメラでは、クロップズームを使用することで広角での確認ができるだけでなく、必要に応じて一部をズームアップすることで詳細な映像を確認することも可能です。
これにより、光学ズームを搭載しない防犯カメラであっても、1台のカメラで広範囲から詳細な映像まで確認することができるようになります。
撮影前の画角調整
クロップズームは撮影前の画角調整に活用できます。通常、防犯カメラの設置後に画角を変更するには、バリフォーカルレンズの搭載や設置位置の変更などが必要になります。そのため設置後の画角変更は難しい場合が多いのですが、クロップズームを用いることで設置後の画角変更も安易に実現できるようになります。
クロップズームを搭載した防犯カメラはセーフィーへ
クロップズームは、現代のデジタルカメラやスマートフォンに搭載された撮影機能で、スマートフォンの日常撮影から防犯カメラのような専門的な用途まで利用方法はさまざまです。
デジタルズームとは異なり、クロップズームは画質の劣化を最小限に抑えながら映像をズームアップできます。また、画素数の減少は発生しますが、新たに高級な望遠レンズを買い足すことなく自然なズーム撮影を実現できるのもメリットです。
セーフィーの防犯カメラは、クロップズームを標準搭載した製品ラインナップが多数あります。映像データを用いたソリューションに強みをもっており、企業が抱える悩みを解決するために最適な映像活用方法を提案させていただきます。
クロップズームや360度カメラなど、防犯カメラの気になる機能がありましたらぜひセーフィーまでご相談ください。
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