【登壇レポート】竹中工務店×オリックス×セーフィー「建設現場におけるウェアラブルデバイスの活用法と効果について」

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登壇レポート 竹中工務店×オリックス×セーフィー 「建設現場におけるウェアラブルデバイスの活用法と効果について」

2025年1月23日~25日、東京ビッグサイトにて、最新のウェアラブル端末からデバイス開発のための部品まで、ウェアラブルに関する全てが出展する「ウェアラブルEXPO 2025」が開催されました。

特別講演では、Safieのカメラをご活用いただいている竹中工務店 広島支店の二宮 剛章さん、セーフィーのパートナーとして竹中工務店を担当されている、オリックスの佐藤 加奈子さんがご登壇。弊社 渡部 郁巴をモデレーターに、パネルディスカッションが行われました。テーマは「竹中工務店におけるウェアラブルカメラ活用・浸透の背景とは」。白熱したトークの内容をご紹介します。

建設領域の取り組みについて(セーフィー)

セーフィー株式会社 営業本部第2ビジネスユニット 部長
渡部 郁巴(わたなべ いくは)

セーフィー株式会社 営業本部第2ビジネスユニット 部長
渡部 郁巴(わたなべ いくは)

渡部:本日モデレーターを務めさせていただく、セーフィーの渡部と申します。私は現在、営業本部第2ビジネスユニットという部署に所属し、おもに建設業界のDX推進を担当させていただいております。

さて、まずは簡単に、弊社の成り立ちからご説明させていただきたいと思います。セーフィーは2024年10月で創業10年を迎えたベンチャー企業で、主力はクラウド録画サービス「Safie(セーフィー)」を基盤としたクラウドカメラ事業です。国内におけるカメラの稼働数は約29.3万台になります。(※2024年12月時点)

建設領域においては、建設現場でご活用いただけるウェアラブル・固定カメラサービスを提供し、遠隔臨場や現場の安全管理など幅広く活用いただいています。また、建設現場のDX化に関するサービス提供にも力を入れており、昨今は現場から得たデータを活用してソリューションを生み出す、AIソリューションプラットフォームの開発にも取り組んでいます。

竹中工務店のカメラ導入に伴走、全現場導入の成功のカギ(オリックス)

オリックス株式会社 事業法人営業第二部 第一チーム長
佐藤 加奈子(さとう かなこ)さん

オリックス株式会社 事業法人営業第二部 第一チーム長
佐藤 加奈子(さとう かなこ)さん

佐藤さん:オリックスの佐藤と申します。私は現在、戦略営業部門で大手企業へのDX推進を担当させていただいております。今回はカメラの全現場導入を一気に進められた、竹中工務店 広島支店との取り組みついて簡単にお話させていただきます。

皆さまもご存知のとおり、昨今の建設業は若手育成の遅れ、現場における不意の事故、長時間労働などの課題を抱えていらっしゃいます。二宮さんが所属されている広島支店もまた同様でした。その課題を解消すべく私たちが提案させていただいたのが、クラウドカメラによる現場の可視化と、遠隔対応の実現です。

この取り組みにより、当初8台だった広島支店のカメラの導入数は160台以上に増え、若手育成のスピードアップ、遠隔対応による生産性アップといった効果を実感していただいています。

広島支店が全現場へのカメラ導入に成功された要因は、大きく分けて3つあると考えています。1つは、全責任者の方を巻き込みプロジェクト化したこと。2つ目は、Safieのクラウドカメラが誰でも簡単に使える操作性の高いものであったこと。そして3つ目は、カメラに「見張られる」のではなく「見守られている」という意識を現場の皆さまに持っていただいたことです。これらが揃わなければ、全現場展開もここまでスムーズに進まなかったことでしょう。

カメラ導入で現場での安全管理や品質管理の向上、作業効率の改善を実現(竹中工務店 広島支店)

株式会社竹中工務店 広島支店 生産統括部
プロダクトグループ シニアチーフエキスパート
二宮 剛章(にのみや のりあき)さん

株式会社竹中工務店 広島支店 生産統括部
プロダクトグループ シニアチーフエキスパート
二宮 剛章(にのみや のりあき)さん

二宮さん:私は入社以来作業所での施工管理を中心に、内外勤業務に従事してきました。2010年からは、作業所における建設DX関連技術の導入・実施を担当しております。

我々建設業は、さまざまな業種の人材が一堂に会して仕事を行うという特殊な業態を持っています。作業員の技能にばらつきがあるなか、どのようにして現場の安全と品質を担保していくのか。これが大きな課題でした。

この課題を解消するためには、現場を「見守る」目をつくることが大切です。そのため現場へのカメラ導入を考えていたのですが、当初試したカメラは録画ができない、設置が困難、通信環境が整っていないなどの問題があり、なかなか活用できませんでした。

しかし、2019年に「Safie Pocket2(セーフィー ポケットツー)」に出会い、この状況は一変します。Safie Pocket2はウェアラブルでも設置でも使えて、非常にコンパクトです。また、撮影した動画・写真のデータを視聴・加工する際に使用するアプリケーション「Safie Viewer(セーフィー ビューアー)」のUI/UXが非常に素晴らしい。正直言って「もっと早く出会いたかった」と思ったくらいです(笑)。

実際に現場で活用されるSafie Pocket2
実際に現場で活用されるSafie Pocket2

二宮さん:その後、オリックスさんが積極的に働きかけてくれたこともあり、2021年に広島支店のカメラを全てSafieのクラウドカメラに統一することになりました。導入の際には「セーフィーちゃん」というキャラクターをつくるなどして、「監視する」ではなく「見守る」という雰囲気をつくったのですが、これもカメラをスムーズに浸透できた理由の1つだと感じています。

広島支店考案のオリジナルキャラクター「セーフィーちゃん」
広島支店考案のオリジナルキャラクター「セーフィーちゃん」

二宮さん:現在はカメラをエレベーターシャフトに設置して死角をなくし、閉鎖された空間での作業の安全を確保したり、クレーンのフックに設置して吊り荷の下部に人がいないかの確認を徹底したり、ダッシュボードで兼務作業所の状況確認を行ったりなど、現場の安全・業務効率化に活用しているほか、特殊な工法を映像で記録し、技能の継承に活かすなどの取り組みも行っています。

パネルディスカッション:竹中工務店におけるウェアラブルカメラ活用・浸透の背景とは

ここからは、「竹中工務店におけるウェアラブルカメラ活用・浸透の背景とは」をテーマに、竹中工務店 二宮さん・オリックス 佐藤さんと実施したパネルディスカッションのハイライトをご紹介します。

ウェアラブルEXPO 2025 パネルディスカッションの様子1

設置・操作の容易さが決め手!導入で付加価値生産性・人材育成にも効果が

渡部:まず二宮さんにお聞きしたいのですが、なぜSafieのクラウドカメラを選ばれたのでしょうか。また、導入後の効果についても改めてお話をお聞かせください

二宮さん:弊社は2011年頃にWebカメラの有効性に気づき、2013年に広島支店全作業所にカメラを導入することを決めました。先ほどお話したとおり当初試したカメラは設置が難しい、動画が撮れないなどのネックがあり導入が難航したのですが、その後、設置が容易で機能も充実しているSafieのカメラの存在を知り、選ばせていただきました。

導入した結果、これまでにない視点から作業を確認できるようになり、管理密度が格段に上がりました。新しい目線が増えた分見るべきポイントが増えているため時短につながっているとはいいにくいのですが、単なる生産性ではなく、付加価値生産性は上がっていると思います。また、これまで暗黙知だった技術を継承しやすくなり、人材育成という点でも効果を感じています。

ウェアラブルEXPO 2025 パネルディスカッションの様子2

プロジェクト化とベテランインフルエンサーの活用で現場への浸透を促進

渡部:続いて佐藤さんにお聞きしたいのですが、現場にカメラを浸透させるために、どのような取り組みをされたのでしょうか。

佐藤さん:単にカメラを導入するだけでは防犯という目的で終わってしまう可能性があるため、カメラを何の業務に使い、どんな効果を生みだしたいのか、目的を明確にすることを重視しました(※1)。また、全責任者を巻き込んだことで自分事として取り組んでいただけたこと、二宮さんのような発言力のあるインフルエンサーを探し出し共創できたこと、そして、カメラ活用案に対して安全性・生産性といった評価軸を竹中工務店さんと決めて、トップ10に絞り込んで進めたことなどが、スムーズな導入を成功させた要因ではないかと思っています。

ウェアラブルEXPO 2025 パネルディスカッションの様子3

カメラ活用の促進に寄与した若手社員のQCサークル「セーフィーズ」

渡部竹中工務店は「やさしい作業所」を目指されているそうですが、その取り組みについて教えていただけますでしょうか。また若手を活用したカメラの水平展開についてもお話しいただければと思います。

二宮さん我々は働く全員がウェルビーイングを実感できる「やさしい作業所」を目指しています。一昨年の全国建設業労働災害防止大会では「やさしい作業所」を実現するための7つの事例を発表させていただきました。そのうち「やさしい朝礼」や、「やさしい休憩所」、「やさしいコミュニケーション」などいくつかの取組で、Safieのカメラを活用させていただいております。

たとえば、作業所では5Sと呼ばれる整理・整頓・清潔・清掃・躾が重要とされていますが、これを継続していくことは簡単なことではありません。これを実行するために、5Sに新たに「設え(しつらえ)」「仕掛け」という2Sを追加して7Sという活動を行っています。Safieカメラを導入したことで自分の行動を映像で振り返ることができるようになり、無自覚の行動を自覚できるようになりました。これが設え・仕掛けとなり、現場にポジティブな行動変容が起きているように思います。

また水平展開というお話でいくと、弊社では5年目以下の若手社員で「セーフィーズ」というQCサークルをつくり、メンバーにSafieのカメラの活用方法や普及方法を考えてもらっています。年に1回開催される弊社のQCサークル全国大会では、「セーフィーズ」のカメラ普及活動の功績が認められ、みごと金賞を受賞しました。彼らの活動はカメラの水平展開にも大きく寄与していますし、その影響は広島支店から全国に広がろうとしています。

クラウドカメラによる取り組みが評価され2022年度全竹中開発改善大会で金賞を受賞した「セーフィーズ」
クラウドカメラによる取り組みが評価され2022年度全竹中開発改善大会で金賞を受賞した「セーフィーズ」

カメラの画像・映像が若手とベテランのコミュニケーションツールに

渡部カメラ導入は、若手とベテランのコミュニケーションの円滑化にも役立っているとお聞きしましたが、二宮さん、いかがでしょうか。

二宮さん私は「50・20(ゴーマル・ニーマル)問題」と呼んでいるのですが、この業界では50代の上司の下に、20代の若手がつくことが頻繁にあります。20代と50代はまずお互いにコミュニケーションがとりにくい。それでお互いが嫌になってしまうということが起きていました。

しかし、カメラが導入されることで、言葉だけでなく映像や画像も加えてコミュニケーションを取ることができるようになったのです。これまでは専門用語を知っている側、知らない側の会話で意思の疎通が図れないという問題がありましたが、カメラ導入でそこもだいぶ改善されました。 これからは若手がもっと現場で活躍できるよう、積極的に取り組んでいきたいですね。

結びの言葉

渡部:それでは最後に、ひと言ずつ感想をお願いいたします。

二宮さん:今後、建築業においてはAI技術などの導入が進んでいくと思うので、我々もその流れに乗り遅れないよう、頑張ってついていきたいと思います。 本日はどうもありがとうございました。

佐藤さん:本日は貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。カメラ導入の効果を高めるためにも、これからも皆さんと一緒に建設業を盛り上げていけましたら幸いです。

渡部:二宮さん、佐藤さん、本日はどうもありがとうございました。

ウェアラブルEXPO 2025 パネルディスカッションの様子4

※1:顧客や従業員、その他の生活者など人が写り込む画角での防犯カメラの設置・運用開始には、適切な利用目的の通知など個人情報保護法等の関係法令の遵守に加え、写り込む人々、写り込む可能性のある人々のプライバシーへの配慮が求められます。通知すべき内容や、防犯カメラとプライバシーの関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。
https://safie.jp/article/post_19177/

Safie Pocketパンフレット
「Safie Pocket」シリーズ紹介
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