佐渡島隆平立ち上げの辞1「見える未来文化研究所を立ち上げます」

「見える未来文化研究所」とは?

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Writer:山内宏泰

2020/04/21

佐渡島隆平立ち上げの辞1「見える未来文化研究所を立ち上げます」

人間の眼の幅広い応用

新しいテクノロジーの「眼」をつくり、配ることで、皆さんの意思決定の支援をしていきたい。
初めまして。佐渡島隆平といいます。
Safie(セーフィー)というクラウドカメラの会社を経営しています。

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クラウドカメラとは、インターネットに繋いで使うカメラのこと。
サーバーに映像を安全に保存でき、さらには画像解析やAIと組み合わせられるようになっています。
クラウドカメラは社会の中で、私たちの「第三の眼」「第四の眼」……となってくれます。
これがあることで私たちは、自分たちの意思決定に必要な情報を多角的に得ることができ、未来を一歩先に知ることができます。

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家から街まで、あらゆるところに「眼」を増やしてデータ化することで、人々の生活をよりよくしていけたら。
そう考えて、私たちは「映像から未来をつくる」というビジョンを掲げています。

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クラウドカメラは「眼」のしくみを応用して開発されています。
人間の「眼」は、脳と直結している器官なので、僕が見ている世界は僕にしかわかりません。
ですがスマホのカメラや一眼レフを通して「見る」と、自分の「感性」が見たものを切り出して、シェア(共有)でき、アーカイブ(保存)することが可能となります。
カメラは、脳だけでは記憶しきれない情報、表現しきれない美しさや驚きを記録できます。
さらにインターネットに常時接続するクラウドカメラでは、世界中の映像を「リアルタイムで見て、繋ぐ」ことも可能です。

カメラとクラウドコンピューター、AIや解析技術を組み合わせると、人間の意思決定にもっとも重要な「見る」「聞く」「記憶する」「しゃべる」「考える」力を、すべて生み出すことができるのです。

なぜなら僕たちの生活は、ささやかな変化の集合体だから。

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見る(眼)、聞く(耳)、記憶する(メモリー)、しゃべる(口)、考える(情報+脳)、という機能すべてがネットワーキングされる。
クラウドカメラの持つそんな大きな可能性に、僕の好奇心は日々アップデートされ続けています。

カメラ同士や、センサー、無数のクラウドコンピューティングをインターネットで繋ぎ、その映像を活用すると、今まで生身の人間では到底担えなかった正確な判断までが、瞬時にできるようになります。
さらには、学習させたクラウドコンピューティングシステムをカメラと繋ぐと、カメラ自体をどんどん賢くさせていくこともできます。

この道はこんな時に事故が起こりやすい、この通りは特に笑顔で歩くカップルが多い、この時間のこのスーパーは空いているけれど駐車場は混んでいるから別のスーパーに行った方がいい、などなど……。

映像データを活用することで、一人一人に最適化された情報を提供できるようになるのです。

人の頭では記憶しきれない膨大なささやかな変化をクラウドカメラが捉え、データ化し、保存し、整理し、問題を解決するための知が生成されていく。
そのデータや知をさらに新しい分野に活用する……。
そうした学習の連鎖を続ける「眼」が生まれることによって、僕たち一人一人のクオリティ・オブ・ライフは、飛躍的に高まるでしょう。

なぜなら、僕たちの生活は、ささやかな変化の集合体だから。

日々忘れていってしまうような、世界で刻々と起こる小さな変化を、カメラの「眼」でリアルタイムに漏れなく掬い上げ、可視化する。
それにより人の「眼」だけでは解決できない問題の糸口が、きっと見つかる。

そう信じて、この事業を推し進めています。

「眼」は人によって異なる意味を感じとる器官

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人間の「眼」という仕組みの精巧さ、素晴らしさには、興味の尽きることがありません。

生物史上では、5億5000万年前、三葉虫が「眼」という器官をもったことで、離れた獲物も捕食できるようになり、そこから「カンブリア大爆発」がおこり、生物多様性が一気に広がったとされています。

アートの世界では、歌川広重の「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」に感動したゴッホが、この浮世絵を「見て」感動し、模写したことで「雨は斜線で表現できる」という新しい視点が西洋に広まることになりました。

カルチャーとして日本人は太陽を赤色で塗る人が多いですが、実際にみたままの色よりも「日の丸」=「太陽」という、デフォルメされた国旗から想起して赤で表現されています。

「眼」は人の感性によって、異なる意味を感じとる器官なのです。

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「映像から未来をつくる」クラウドカメラは、これから僕たちが成すべきビジョンのヒントを生物学・文化・歴史からもらうこともあります。

テクノロジーの「眼」は、未来をも見通す

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インターネットでリアルタイムに繋がるクラウドカメラの「眼」は、過去のデータを糧に学び続けることでこれから、未来を見通す力を持つに至ります。
クラウドカメラによって一歩先の未来は、「想像」や「予想」に留まらず、確かに予見できるものとなっていきます。
クラウドカメラがもたらす確かな「未来の見通し」をもとに、私たちはより良い行動と選択をできるようになるのです。

僕は、去年小学校に入学した息子に通学用のGPSと地元の神社で買ったお守りを持たせています。
僕たちのクラウドカメラが浸透した社会を実現できれば、リアルタイムの映像とAIの連携によって、神様に頼るよりも確実に子供の安全を守れる時代がやって来ます。

この先、自動運転社会が到来しても、自動車のテクノロジーだけでは、全ての道で安全な自動運転は不可能ではないでしょうか。
いつ、どの道の脇から犬や子どもが飛び出してくるかは、自動車や運転者の「眼」だけではカバーできませんから。
そんなとき、道や車に設置された僕たちのクラウドカメラは、第三、第四の眼となり、車の進行ルートを先に見通し、異常がないかを確認して快適な自動運転をサポートできる。

カメラの「眼」が、データに基づいて少し先の未来を見通してくれたら、僕たちは即座に今のアクションをより良く変え、事故に合わずに済む社会をつくることができます。
僕は映像から、一人一人の意思決定に役立つ未来をつくりたいと考えています。

「見える」の可能性を探る「見える未来文化研究所」を立ち上げます

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僕たちがクラウドカメラを通じて、データを集め、精錬し、みなさんに役立つ形で提供したい「眼」の情報は、現実であり、過去であり、未来であり、文化であり、歴史でもあります。
生物が「眼」という器官を持つことで進化を遂げたように、テクノロジーにおける「眼」をより良い形で社会に活用するため、「見える」の歴史を紐解きたい。未来を語りたい。

そう考えて、「見える未来文化研究所」という場所を持つことにしました。

「見える未来文化研究所」の中で、「見える」を事業とする僕自身と、「見える」歴史や芸術に造詣の深い山内さんと一緒に、ビジネス・歴史・芸術・文化など様々な面から、最新のテクノロジーを紐解きながら、「眼」と「見ること」の意味を探っていこうと思います。

人類がたどってきた「眼」と「見ること」への探求の延長線上に、私たちセーフィーが為そうとしていることもまた存在することを、皆さんにも楽しみながら理解いただけたら何よりです。

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撮影協力:国立科学博物館

著者紹介 About Writer

山内宏泰
ライター。美術、写真、文芸について造詣が深い。
著書に『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』(パイインターナショナル)『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』(パイインターナショナル)『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』(星海社新書)など。
「見える未来文化研究所」の共同編集長。
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