介護事故が起こる原因は?対応と防止策を紹介

介護事故が起こる原因は? 対応や防止策

介護事故は、現場の人手不足や情報共有がうまくできていないなどの原因により起こります。避けられない事故もあり、予防するための対策が必要です。

本記事では、介護事故の原因や発生したときの対応、防ぐための対策について解説します。日常的な見守りに役立つクラウドカメラも紹介しますので、参考にしてください。

介護事故の定義とは?なぜ起こる?

介護事故とは、介護施設におけるサービスの提供中に起きた事故のことです。職員や施設側の責任の有無は問いません。

どこまでを介護事故に含めるかは、「介護事故」の定義により広くも狭くも捉えられるでしょう。厚生労働省の資料では、福祉サービスにおける事故について次のような定義があります(※1)。

「施設における福祉サービスの全過程において発生するすべての人身事故で身体的被害及び精神的被害が生じたもの。なお、事業者の過誤、過失の有無を問わない」

出典:“「福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針 ~利用者の笑顔と満足を求めて~」について”.厚生労働省

この定義によれば、事故により受ける被害は、怪我などの身体的被害のほかに精神的被害も含まれることになります

それでは、介護事故はどのような原因で起こるのでしょうか?介護事故の主な原因をみてみましょう。

現場の人手が不足している

介護事故は、現場の人手不足が大きな原因のひとつです。多くの介護施設は、少ない人数の職員で運営しており、1人の職員が複数の利用者をケアしているという実情があります。

人手が足りないと利用者全員に目が行き届かず、1人のケアをしていれば、どうしても他の利用者の見守りがおろそかになるでしょう。少し目を離したすきに、転倒や転落、誤嚥などの事故が起こるケースも起こり得ます。

施設内の整理整頓ができていない

施設内の整理整頓ができていないと、事故のリスクが高まります。たとえば、床に物が起きっぱなしになっていたり、こぼした液体がそのままになっていたりすれば、利用者が転倒する可能性が高まるでしょう。

施設内は常に整理整頓されて清潔な状態を保たなければなりませんが、人手不足で他の業務が忙しいと、片付けや掃除もおろそかになりがちです

職員間で情報が共有できていない

日々の業務が忙しいと職員間の情報共有が満足にできず、介護事故につながる可能性があります。必要な情報の伝達が滞ったり、伝えたつもりでも正確に伝わっていなかったりする場合があるでしょう。適切に情報が共有されていれば起こらずに済む事故もあります。

たとえば、利用者の体調が良くない、事故を起こしてリハビリをしている、特別なケアが必要といった情報がリアルタイムに共有されていないと、適切な対応ができなくなります。

情報共有がうまくできない結果、本来行うべきサービスを提供できず、介護事故につながる可能性もあるでしょう。

避けられない事故もある

介護の現場では、職員が十分に注意を払っていても避けられない事故が存在します。サービスを利用する高齢者は、身体的な不自由や認知機能の低下で行動のコントロールが難しいことが多いためです。利用者の思わぬ行動により、職員が防げない事故が起きてしまうこともあるでしょう。

起こりやすい事故の事例を職員間で共有し、事前に防止できるよう対策を考える必要があります。

介護事故が発生したときの対応

介護事故が発生した場合、まずは家族に謝罪して今後の手続きを説明する必要があります。介護事故が発生した場合の対応方法をみていきましょう。

家族に謝罪する

事故が起きたら、まず利用者本人と家族へ謝罪をします。その際は、事故の状況や原因について詳しく説明しましょう。その上で、再発防止のためにどのような対策を行うかを具体的に伝えることが大切です。

謝罪が遅れたり、十分な謝罪をしないまま事故の弁解をしたりすると、不信感を持たれる可能性があります。その後の手続きにも影響してくるでしょう。

事故が避けられないものであったとしても、まずは謝罪をして誠意をみせることが大切です。

今後の手続きを説明する

謝罪をしたら、今後の手続きについて説明します。介護事故の処理には施設内の手続きや外部機関への報告、保険の手続きなどが必要になり、これらの手続きをどのように進めるのか、具体的なスケジュールや必要になる書類についての説明をしなければなりません

丁寧に説明することで、利用者本人や家族からの信頼を回復し、円満な解決を図れる可能性が高まるでしょう。

理不尽な要求には適切に対応する

事故に対して感情的になった家族から、理不尽な要求が起こる可能性もあります。過度な謝罪・補償の要求や、不必要に職員を罵倒するといった行動に対しては、冷静に対応しましょう。法的義務のない要求には、明確に拒否する必要があります

理不尽な要求やクレームが繰り返される場合は、弁護士や専門家に相談をすることも必要になるでしょう。

介護事故を防ぐ方法

介護事故を防ぐためには、マニュアルの作成や日常的な見守りの徹底が大切です。ここでは、介護事故を防ぐ対策を解説します。

介護事故防止のマニュアルを作成する

介護事故を防止するためには、マニュアルの作成が必要です。どのような介護事故が起こりやすいかは施設ごとに異なるため、施設の状況にあった防止策を検討し、記載してください。

防止策は具体的で、誰が見てもわかりやすい内容にすることが大切です。マニュアルは作成して終わりではなく、現場の状況に応じて定期的に更新することも必要です。

マニュアルは職員全員に周知徹底するとともに、 内容について理解を深めるために研修を行うことも求められます。 研修ではマニュアルの内容とともに、個別の事例も確認し、さまざまな事故に臨機応変に対応できるようにしておきましょう。

日常的な見守りを重視する

介護事故の防止には、日常的な見守りが大切です。見守りにより、いつもと違う様子や危険のある状況にも気づきやすくなり、迅速に対応しやすくなります。利用者の家族にも、こまめに利用者の状態を聞くようにすると、事故の防止につながるでしょう。

日常的な見守りには、クラウドカメラが役立ちます。遠隔からリアルタイムで映像を確認できるクラウドカメラであれば、効率的な見守りが可能です。

介護事故の予防に役立つクラウドカメラ

介護事故の予防には、施設内の状況を見守りできるクラウドカメラが役立ちます。クラウドカメラとは、インターネットに接続し、映像をスマートフォンやパソコンなどでリアルタイムに確認できるクラウドカメラのことです。

ここでは、クラウドカメラがどのように役立つのかを紹介します。

ケアの品質向上ができる

クラウドカメラは利用者の状況を確認できるだけでなく、ケアの品質向上にも役立ちます。

クラウドカメラで見守りを行いながら、職員のケアも確認できるため、正しいケアができているかのチェックが可能です。

良いところや直すべきところを職員にフィードバックすることで、ケアに対する意識が高まり、改善されていくでしょう。ケアの品質が向上すれば、事故の予防効果も高まります。

動体検知機能で入居者の状況を検知できる

クラウドカメラには動体検知機能があり、入居者の転倒や徘徊などの行動を検知できます。映像の振り返りにより利用者を特定し、対策を立てられるでしょう。事故を起こしやすい利用者のケアを徹底することで、介護事故を未然に防げます。

また、リアルタイムで映像を確認できるため、万が一事故が起きてもできるだけ早く対応し、最小限の被害にとどめられる可能性があります。

トラブルの映像と音声を残せる

クラウドカメラがあれば、トラブルが発生した際にも、その経緯を映像や音声として記録できます。虐待やハラスメントといった問題が起こったときも、映像を確認して経緯を正しく把握し、原因を究明できるでしょう。

介護事故で利用者がケガをした場合は、家族へ説明するための資料にもなります。映像と音声があればわかりやすく説明でき、家族の納得も得やすいでしょう。

介護事故の防止にクラウドカメラを導入した事例

多くのクラウドカメラサービスが提供されていますが、中でも、クラウド録画サービス「Safie(セーフィー)」がおすすめです。Safieとは、カメラで撮影した映像をクラウド上に録画・視聴できるサービスで、高画質で鮮明な映像をスマートフォンなどでいつでもどこでも確認できます。

HD✕最大30fpsで、細かい文字はくっきり・画面はテレビと同じくらい鮮明でなめらかなので、施設内や利用者の状況を詳しく確認できるでしょう

ここでは、Safieのクラウド録画サービスを導入事例した介護施設の事例を2つみていきましょう。

職員が安心して働ける環境づくり

介護施設を運営する株式会社メグラスでは、介護の現場にICTツールを積極的に導入し、職員が幸せに働ける環境づくりを進めています。その一環として、施設にSafieを導入。約60台のクラウドカメラを設置しました。

クラウドカメラを導入した直接の理由は、インシデント発生時の客観的な状況を把握するためです。利用者が施設内で転倒してケガをした場合、適切な治療や家族への説明を行うには、その経緯をきちんと把握する必要があります。そのため、事故の状況を映像で正しく把握できるよう、クラウドカメラを導入することにしたそうです。

Safieのサービスを導入するにあたり、​​どこにいても手元にあるデバイスで映像の視聴や保存ができ、無線LAN・有線LANのどちらも対応しているという点が決め手となりました。そのうえ、画質も良く、一定範囲の音声も問題なく聞き取れることも、選んだ理由のひとつだったそうです。

Safieの導入・運用により、施設内で何か起きたときも映像で客観的に確認できるようになったとのこと。その結果、利用者とその家族に安心感を提供できるようになり、職員の安心を得られたことも大きなメリットだと話しています

介護事故が発生した際に映像で説明できる体制が整っていれば、利用者や家族の信頼を維持でき、職員の働きやすさにもつながるでしょう。同社では今後、SafieのエッジAI搭載カメラやAPI連携サービスも活用し、職員の動きなどをAI分析して業務効率化に活かしたいと考えています。

家族への説明や施設での振り返りに活用

Safie One

Safieを共用部や居室に導入した介護施設の事例です。特別養護老人ホーム・グループホームを運営するA社では、職員の人員不足を解消するためにSafieを導入しました。トラブルが起きたときの事実確認や、夜間の見守り業務での活用が主な目的です。

Safieのクラウド録画サービスを活用して、インシデントが発生した際の経緯を映像に記録したり、家族への説明や施設での振り返りに活用したりという運用を行っているそうです。

A社では、これまで宿直を含めた3人で夜間の見守りを行っていました。Safieを導入したことで人員を減らせ、宿直は緊急時に備えて家で待機し、基本的に2人による体制にできたとのことです

介護事故を防止するための対策を考えよう

介護サービスを提供する際は介護事故が起こりやすく、防止策が必要です。介護事故が起こる原因には施設の人手不足や整理整頓不足などがあげられますが、どうしても避けられない事故もあります。

事故を防止するためには、マニュアルを作って職員に周知することはもちろんのこと、日常的な見守りも大切です。効率的に見守りに役立つのがクラウドカメラで、離れた場所でもリアルタイムによる見守りができます。事故が起きたときも映像や音声を記録に残せるため、家族への説明も的確に行えるでしょう。

介護業界向け!トラブルからスタッフを守る
介護業界向けクラウドカメラ活用ガイド
利用者”も“その家族”も“スタッフ”も笑顔でいるための事例を紹介。課題に合った活用方法についてお気軽にご相談ください。

※1 出典:“「福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針 ~利用者の笑顔と満足を求めて~」について”.厚生労働省.2002-4-22(参照 2024-10-9)

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