飲食店を開業するために必要な資格や届出とは

飲食店の開業準備 必要な資格や届出とは?

飲食店を開業するためには、規模を問わず多彩な準備が必要です。コンセプト設計や物件選びも重要なポイントのひとつ。資金繰りや必要な届出、スケジュールなど開業前に必要な準備についてご紹介します。

また、業態によっては「食品衛生責任者」と「防火管理者」以外にも資格が必要になることもあるので、開業をお考えの方はご一読ください。

飲食店開業のための準備

飲食店開業のための準備の大まかな流れをご紹介します。

コンセプトを設計する

コンセプトはお店のテーマであり、お店のイメージや提供するサービスの方向性を決めます具体的には、お店の名前、内装、立地、価格、営業時間、スタッフの人数などを検討し、5W1H(何を、誰に、どこで、いつ、なぜ、どのように)を基に明確にします。

コンセプトが明確であれば、内装やメニューのデザインなども検討しやすくなり、集客や安定した店舗経営にも繋がります。注意したいのが、「コンセプトとアイディアは違う」点です。

コンセプトはアイディアをより深堀したものであり、お客さんがその飲食店に来店したい理由づくりのこと。開店前にコンセプトを設計して、開店準備をスムーズに進めましょう。

物件を選ぶ

物件選びは、資金調達よりも先に行います。出店エリアや家賃などが何も分からない状態で融資を受けるのは難しいです。自己資金が少ない場合には、手付金を払わないで仮押さえが可能かオーナーに交渉してみましょう。

内装工事や外装工事、資金調達などの準備を行う必要があるので、開業予定日の8ヶ月~10ヶ月前には契約を済ませておくのが理想です。また、契約前には施工業者に同行してもらうのがおすすめです。

内装のポイント

物件を借りる際には、居抜き物件とスケルトン物件の2つの選択肢があります。前者は厨房などの設備が残っているため費用を抑えられ、後者は自由に内装を設計できるのが魅力です。ただし、居抜き物件を借りる際には過去の評判や集客力にも注意が必要になります。

また、飲食店の内装を考える際に欠かせないのが「防犯カメラ」です。AIを搭載したカメラなら、人の出入りをデータ化し気象データなどと照らし合わせて分析することで、防犯だけではなく集客や経営にも役立てることができます。

資金を調達する

飲食店の開業資金は約1,000万円程度必要で、「60~80万円×坪数」で計算すると、おおよそ必要な資金が算出できます。コストを抑えたい場合には、居抜き物件を契約するとコストを抑えられます。

スケルトン物件であれば1坪60~80万円ですが、居ぬき物件であれば10~40万円とリーズナブル。また、物件を借りる際には保証金が必要になります。保証金は家賃10ヶ月~1年分が一般的です。

融資を利用

自己資金が足りない場合には、最低300万円程度の自己資金に加えて融資を利用しましょう。金融機関の融資は、創業期の方に向けた日本政策金融公庫の創業融資自治体と金融機関が協力して融資を行う制度融資などが利用できます。

創業期の融資は金利が低く、無担保・無保証で自宅を担保に入れたり連帯保証人を付けたりする必要もありません。万が一破産などで借りたお金を返済できない場合に、金融機関に代わってリスクを負う機関として「保証協会」があり、借入時に利用されるケースもあります。

金融機関の融資には審査があります。審査には通常1ヶ月ほどかかるので、なるべく早めに窓口へ事前相談に行くとよいでしょう。

補助金を活用

創業者向けに、国や地方自治体が補助金制度を設けています。補助金は実際に支出した金額の一部に対する補助のため、融資のように先に資金が手に入る訳ではないので注意が必要です

また、事業計画書や提出書類も多く、申請書の書き方も慣れていないと難しいので、自治体で行っている創業支援窓口を利用したり、行政書士など専門家のアドバイスをもらったりすると安心です。

補助金は業種や形態だけではなく、多彩な分野があります。開業を考えたときからチェックしておきましょう。

飲食店開業までのスケジュール

飲食店開業までには、だいたい1年近くの時間がかかります。スケジュールを大まかにまとめてみたので、参考にしてください。

1年前

店舗コンセプトの決定と物件探しスタート。お店のジャンルや出店エリアを決定し、ターゲットの客層などを明確にしましょう。補助金の申請は期間を設けている場合が多いので、申請する補助金を決めてリストアップしておくのも重要なポイントです。

1年前~半年前

事業計画書の作成を行い、資金調達について調べます。自治体による創業者セミナーや、創業支援制度が利用できるケースも多いので調べてみてください。このタイミングで物件の仮契約を行い、契約を交わしておきましょう。

6ヶ月~3ヶ月前

融資相談などを利用し、融資の申し込み先を検討します。また、お店のホームページ制作を外注する場合は、開店前だと忙しくなるので、この期間に着手すると良いでしょう。

3ヶ月~2ヶ月前

融資の申し込みを行います。内装工事や店舗什器・厨房設備の設置もこの時期です。また、スタッフを雇う場合には、トレーニング期間も考慮して求人をかけましょう。広報活動の予定を明確にしておくのも重要なポイントです。

1ヶ月前

各役所への届出を確認し、スケジュールを立てます。広報活動の実行や、プレスリリースの配信も忘れずに行いましょう。

飲食店を開業する際に必要な資格

飲食店を開業する際には、「食品衛生責任者」と「防火管理者」の2つの資格が必要です。

食品衛生責任者

食品衛生責任者になるためには、栄養士・調理師・製菓衛生師・食鳥処理衛生管理者などの資格を所有しているか、都道府県知事等が行う食品衛生責任者の講習会などを受講して資格を取得する必要があります。

講習会は会場集合型の場合1日で資格を取得することができるほか、地域によってはeラーニングによるオンライン形式などもあります。経験・学歴は問いませんが、受講資格は17歳以上の方(高校生は不可)に限られるのでご注意ください

防火管理者

防火管理者の資格は、「防火管理講習」の講習を修了すると得ることができます。高周波、「甲種」と「乙種」に区分されており、甲種防火管理講習修了者はすべての防火対象物の防火管理者に選任することができますが、乙種防火管理講習修了者は比較的小規模なものに限られているので注意が必要です

また、防火管理上必要な「知識・技能」を有しているとみとめられる、学識経験者も防火管理者に選任が可能です。防火管理者の選任の要否については、防火対象物の用途や規模などによって異なります。すでに防火管理講習を修了している方を防火管理者に選任する場合、事業所を管轄する消防本部(局)や消防署に確認してください。

飲食店を開業するために必要な届出

飲食店を開業するために必要な届出をまとめてみました。

届出先届出・申請対象届出時期
保健所飲食店営業許可全店舗営業開始10日前
消防署防火管理者選任届収容人数30名を超える店舗営業開始まで
消防署防火対象設備使用開始届建物や建物の一部を新たに使用し始める場合使用開始7日前まで
※管轄の消防署へ確認
※内装工事業者が出すことも
火を使用する設備等の設置届火を使用する設備を設置する場合
警察署深夜酒類提供飲食店営業開始届出書深夜12時以降もお酒を提供する場合営業開始の日の10日前まで
風俗営業許可申請客に接待行為を行う場合営業開始の約2か月前まで
税務署個人事業の開業届個人で開業する場合開業日から1ヵ月以内
所得税の青色申告申請書青色申告を行う場合事業開始から2ヵ月以内
給与支払い事務所の開設届従業員を雇用した場合開業日から1ヵ月以内
労働基準監督署労災保険の加入手続き従業員を雇う場合雇用する日の翌日から10日以内
ハローワーク雇用保険の加入手続き従業員を雇う場合被保険者となった日の属する月の
翌月 10 日まで
社会保険事務所社会保険の加入手続き法人の場合は加入できるだけ速やかに
個人の場合は5人以上従業員がいる場合加入

代表的な「飲食店営業許可」と「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」について以下で解説します。

飲食店営業許可

飲食店の営業を行う場合には、食品衛生法に基づく営業許可を管轄の自治体の保健所で受ける必要があります。営業許可を得るためには、施設基準に合致した施設が必要です。許可を得る前に、工事着工前の設計図を持参して事前相談を行いましょう。

特に注意したいのが井戸水や受水槽の水を使用する場合です。水道法の基準に合格している水質検査成績書が必要なことがあるので早めに準備しましょう。営業許可申請書類は、施設工事完成予定日の10日くらい前を目途に提出しましょう。

施設完成の確認検査は、できかぎり営業する本人が立ち会う必要があります。施設基準適合確認後、現場で「営業許可書交付予定日のお知らせ」が公布され、約1週間(5開庁日)後に営業許可証の交付を受けることができます。

深夜酒類提供飲食店営業開始届出書

深夜0時から午前6時までの深夜の時間帯に主に飲食を提供する飲食店を「深夜酒類提供飲食店」と呼びます。アルコール分1度以上の飲料(酒類)を客に提供して営んでいる店は、提供する酒類の量に関わらず該当する可能性があります。

注意したいのが、居酒屋やダイニングバーなどのアルコールを提供している飲食店であっても、深夜0時から午前6時までの深夜営業を行わない場合には、飲食店営業許可のみで営業できる点です

また、主にお酒を提供することを目的としていない、ラーメン店や牛丼屋などの主食と認められる食事がメインの業態については、深夜酒類提供飲食店営業開始届は不要です。

提供する商品や販売方法によってはさらに届出が必要

パンやケーキのテイクアウトは「菓子製造業許可」

パン、ケーキなどを製造し、テイクアウト販売する場合は「菓子製造業許可」を管轄の保健所で取得しましょう。テイクアウトとイートインを行う場合には、菓子製造業許可と飲食店営業許可が必要で、飲食店でケーキを提供する場合には飲食店営業許可のみが必要です。

お酒の販売は「酒類販売業免許」

お酒について、店内で提供するだけではなく販売も行う場合には、管轄の税務署に届け出を行い「酒類販売業免許」を取得しましょう。また、「酒類卸売業免許」という、酒類販売業者や製造者を対象とした卸売販売の免許があります。この免許を取得する際には事業計画が必要です。

移動販売を行うなら「保健所の営業許可」

自動車(2輪のものを除く)に施設を搭載して、移動しながら販売を行う場合には、「飲食店営業(自動車)」の許可が必要です。東京都の場合、営業許可の範囲は都内一円に限られます。また、生ものの提供をさけるだけではなく、営業車内で調理加工を行う際には、小分け・盛り付け・加熱処理等の簡単なものに限るので注意してください。

おわりに

飲食店を開業する際におさえておきたいスケジュールや資金の目安、各種届出等をご紹介しました。飲食店の開業には入念な準備が必要になります。しっかりと事業計画を立てるとともに、届出などに抜け漏れがないよう注意してください。

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