建設機械の安全対策|重機作業での注意点&対策方法を紹介

重機作業の安全対策

重機作業では、死角が多くあるため安全対策が欠かせません。建設機械による労働災害は死亡災害の1割以上にのぼるため、徹底した安全対策が必要です。

本記事では、重機作業における注意点や安全対策方法について解説します。あわせて、建設現場の安全管理におすすめのカメラも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

重機とは

重機とは、土木・建設工事などで用いられる動力機械類の総称であり、1〜2人が乗車して動かす車両のことです。工事現場で使用される代表的な重機にはパワーショベルや油圧ショベル、ブルドーザー、ダンプトラック、クレーン車など数多くの種類が存在します。

建設機械による事故について

重作業が多い現場で活躍する重機は、建設現場にとって欠かせない機械です。しかし、重機には30トン以上の車両も多数あります。重機と人間が衝突すれば、人間は少なくとも大ケガを負うでしょう。最悪の場合、死に至るケースも考えられます。

重機のような建設機械を操作する場合は、少しのミスで重大な事故になりかねない危険性があります。使用する際は十分な注意が必要です。

建設機械による労働災害は死亡災害の1割以上

厚生労働省「建設機械による労働災害をなくすために」(※1)によると、令和3(2021)年度の建設業の起因物別死亡災害発生状況では、建設機械が13%となっています。建設機械による労働災害は、建設業における死亡災害のうち1割以上を占めているのが現状です。

また「建設機械を起因物とする事故の型別発生状況」によると、「はさまれ・巻き込まれ(36%)」「墜落・転落(20%)」だけで全体の50%を超えています。

「はさまれ・巻き込まれ」では、後進中の車両にひかれたり、点検途中の車両に挟まれたりといった、死角によるものや合図の不徹底による災害が多く見られます。一方、「墜落・転落」では、表示路肩からの墜落、乗り上げた岩からの転落など、十分な作業幅の確保・ポール等の非表示、シートベルト非装着による災害が多く発生しているようです。

これらの災害は、作業者自身だけでなく周囲の人間をも巻き込む可能性があります。死亡に⾄るリスクの⾼い災害でもあるため、建設機械を扱う場合は、細心の注意を払うようにしましょう。

※1 出典:“建設業の労働災害をなくすために 建設機械による災害防止”.厚生労働省 福井労働局.2022-10-3(参照:2024-6-27)

実際の事故例

ここでは、建設機械による実際の事故例を紹介します。主な事故例は、以下の3つです。

  • 移動時の事故
  • 転落事故
  • フロント部分の接触事故

事故例を参考にしながら、災害防止についても考えてみましょう。

移動時の事故

土木関連の工事のなかでは、重機の移動時の死亡事故が多くなっています。重機を移動させているときに、運転手が車両ごと転倒・落下するケースのほか、運転手が車両の外に投げ出されて車両の下敷きになるケースなどがあります。 

そのほか、仮設道路上で坂道を下っていたバックホウが路肩でバランスを崩して転倒し、運転者がバックホウの下敷きになって死亡した事例などもありました。

これらの事故が起こる原因としては、視界不良や荒れた地面での走行が挙げられます。ブルドーザーやショベルカーといった特殊車両は、車両の感覚をつかみにくいうえに、死角が多く存在するのが特徴です。

その結果、移動時に転倒や落下、作業員との衝突事故が発生してしまいます。重機から身体が投げ出されないようにシートベルトの着用を徹底するほか、重機を移動させる道中に段差がないか確認し、段差があれば誘導員に指示を出すように教育するなど、重機作業に対する慣れや過信を持たせない対応が求められます。

そのほかの事故例としては、以下のような事例があるため、注意しましょう。

  • 平坦な場所へ移動するため、アタッチメントを地面につけて後退(登坂)中、アタッチメントが回転し近くにいた作業員の胸部に激突
  • 油圧ショベルを移動させるため、がれきの山を走行しながら旋回していたところ転倒し、付近で他作業をしていた作業員の頭部にアーム部分が激突

転落事故

転落事故も重機作業においては、よくある事故です。滑る足場や急勾配などを走行中に、車両を操縦できなくなり、そのまま崖に転落してしまうという事故が発生しています。

そもそも、重機は重い車両で、なかには30トン以上の車両も多く存在します。そのうえ、重機は頑丈な足場がないと足場を崩して転落してしまう恐れがあるため、操作する際には十分注意しましょう。

とくに、フロント部分がついているショベルカーなどの車両の場合は、すぐにバランスを崩しがちです。ショベルカーなどは、アームを伸ばした状態で足場が不安定な場所で旋回しただけで横転してしまいます。また、ショベルカーは山間部など危険な場所で使用するケースも多いため、横転は重大な転落事故につながる恐れがあります。

そのほかの事故例としては、以下のような事例があります。

  • ドラグショベルを使って法面の掘削作業を行っていたところ、ドラグショベルもろとも転落
  • ドラグショベルで吊り上げ旋回していたところ、ドラグショベルが傾き、荷物もろとも斜面に転落。運転していた作業員は運転席から投げ出され、アームに上半身を挟まれた

フロント部分の接触事故

フロント部分とは、ショベルカーなどのブーム・アーム・バケット部分の総称です。重機のなかでも、パワーショベル・ショベルカー・バックホウなどの車両にフロント部分がついています。

過去には、アーム部分を上げたまま走行したことで電線を切断し、一部地域を停電させた事故が発生しました。そのほか、作業員とバケットとが激突する事故なども過去に発生しています。

とくにバケットは、重さが350〜400kgにのぼる車両もある部分です。そのため、激突した場合に重症もしくは死亡する可能性が非常に高くなります。作業者だけでなく、周囲の人間も注意し合いつつ作業をすすめることが求められるでしょう。

そのほかの事故例としては、以下のような事例があります。

  • バックホウを移動させようとした際、控線にアームが接触して控線を引っ張ってしまい、控え柱が破損し傾いた
  • 残土ヤード内にてバックホウで岩砕を大小に分別していたところ、旋回時にバケットがヤード内の水道ポンプ施設の屋根に接触、屋根を破損

事故対策における6つの盲点

細心の注意を払っても発生してしまう重機作業中の事故対策には、いくつかの盲点が存在します。作業中を明示するための立入禁止区域設定に関する点や、人間の注意力・安心装置に関する点などです。ここでは、事故対策の盲点6つについて解説します。内容をしっかり把握して、災害を減らすための事故対策に活かしてください。

死亡災害は移動時に多い

重機事故といえば、掘削や整地などの作業をしているときだと考える人も多いでしょう。しかし、実施にはそれらの作業をしているときよりも、現場内における移動や段取り替えなど、直接作業をしていないときの死亡災害が多いのが特徴です。

たとえば、バックホウは旋回時よりバック時のほうが危険です。リスクが低いものだと思い込んでいる作業のなかにも意外とリスクが高い作業が隠れているため、注意しましょう。

作業半径内を囲うだけではリスク低減にはならない

現場では、立入禁止区域に入らせないようにするために、バリケードで囲うことが多いです。それだけでは危険源を明示しているだけにしかならず、リスク低減の観点では不十分であることを理解しておきましょう。

人間は「ちょっとなら大丈夫」と、近道・省略行動本能や危険軽視の気持ちなどによって、重機の作業半径内でも平気で侵入してしまいがちです。バリケードに加えて監視員を配置するなど、「何人(なんぴと)たりとも立ち入らせない」という強い意志の感じられる措置を講じることこそが、真の意味での立入禁止措置といえます。

バックホウは前進時にもリスクがある

バックホウの操縦では、死角が多い後方や側方に注意が向けられます。実は、前進時もオペレーターはキャタピラの接地面を直接確認できないため、決して安全だとはいえません。

また、複数の重機を近接して行う作業や狭隘部(きょうあいぶ)での作業は、危険と隣り合わせです。「このくらいなら大丈夫だろう」という危険軽視が事故につながります。オペレーターは、あらゆる作業において注意が必要です。

工期を優先するあまり安全がおろそかになる

工期を厳守しようとするあまり、安全は二の次になりがちです。これを防ぐ意味でも、現場のリーダーが「安全と施工は一体である」という考えを持つようにしましょう。作業員には「現場リーダーに従う」という意識が芽生えるため、現場の基本的なルールを遵守しようとする行動につながります。

人間の注意力には限界がある

人間の注意力には限界があり、作業に集中すればするほど注意が安全に向かなくなる傾向にあります。たとえば、人力で締め固め作業をしている場合、作業をしている人にはローラーの警報音は耳に入りません。「すべての作業に注意しろ」といっても、たやすいものではありません。注意力を上げるためには、以下の3点に留意するとよいでしょう。

  • 注意点を選ぶ
  • 手順ごとに注意点を理解する
  • 視点と作業点を一致させる

まずは、作業前にどこに気をつけなければならないか注意点を探します。普段からよく行う作業であれば、あらかじめわかっている注意点をピックアップしてください。

事前に理解した注意点を意識しながら、作業を行います。作業中に意識したいのが、注意を向ける先です。視点と作業点を一致させれば、作業に対する注意がより高まるでしょう。

指差呼称は良い例です。指差呼称では、視点と作業点を一致させて注意を高めます。これらのフローを日頃から徹底し身体に染みこませることで、安全対策の向上が望めるはずです。

安全装置は機能させないと意味がない

重機に安全装置が搭載されているにもかかわらず、「これくらいの作業であれば大丈夫」と過信して安全装置を機能させないことも、事故につながる盲点のひとつです。安全装置とは、機械や器具などに取り付けて、不注意などによる危険が生じないようにするための装置をさします。安全装置を機能させなければ、搭載していないのも同然です。

クレーン機能付きバックホウで荷上げ作業を行っている際には、クレーンモードに切り替えて荷揚げ作業を行います。しかし、クレーンモードに切り替えることで旋回速度が落ち、作業効率が低下するのは課題です。作業効率を優先させ、クレーンモードに切り替えずに荷揚げ作業を行うと、違反行為になるのはもちろん、事故を防げなくなる可能性が高まります。

危険を防止する意味でも、進化し続ける機械の機能を活かすことが、安全対策にとっては何よりも重要です。

現場で欠かせない4つの安全対策

現場での重機作業に取り入れたい安全対策は、以下のとおりです。

  • 全員で安全意識を持つ
  • コミュニケーションをとる
  • グーパー運動を実施する
  • 安全管理装置を活用する

重機による事故は、安全対策をとることで発生確立を下げられます。安全対策の方法を知って、事故率を低減させましょう。

全員で安全意識を持つ

現場にいる全員で、安全に対する共通意識を持つことが重要です。安全対策の意識は、現場の誰か1人が持っていても意味がありません。1人だけが安全に注意して作業を行っていても、ほかの誰かが注意を怠ると、事故が発生してしまいます。

作業員と車両の接触事故であれば、作業員・ドライバーの双方が安全意識を持つことで事故確立を減らせるでしょう。

コミュニケーションをとる

共通認識を持ったコミュニケーションを取り合うことも、事故を減らすうえでは欠かせません。作業音が鳴り響く工事現場では、声でのコミュニケーションが困難です。その結果、互いに意思疎通が図れず、事故が発生してしまうケースもあります。

声が聞こえない現場では、ジェスチャーによるコミュニケーションも有効です。しかし、共通認識のあるジェスチャーでないと、意図が伝わりません。最悪の場合、誤解したまま危険な方向に進んでしまい、事故になってしまう場合もあるでしょう。ジェスチャーを用いる場合は、互いに齟齬のないジェスチャーなのかどうか、今一度確認することから始めましょう。

最近では、遠隔でもコミュニケーションがとれる通信機器が普及してきています。それらを導入してコミュニケーションをとる方法も、事故発生の低減に効果的です。

グーパー運動を実施する

グーパー運動の実施は、安全対策に有効です。グーパー運動とは、じゃんけんの「グー」と「パー」を用いた安全確認方法で、「グー」は「了解しました」の合図、「パー」は「止まってください」の合図を意味します。

たとえば、重機の旋回範囲に作業範囲内へ立ち入る場合を考えてみましょう。立ち入るためには、作業を止めてもらう必要があります。グーパー運動で表すと、以下のようなイメージになります。

  1. 立ち入るために作業を止めて:パーの合図を運転者に送る
  2. 運転者は作業を止めることを理解したことの合図として:グーを返す

グーパーの合図を互いに確認してから、立ち入ることで事故を未然に防げます。また、グーパー運動は、単純な言い間違い・聞き間違いの防止にも効果的です。

安全管理装置を活用する

安全管理装置の活用は、安全対策につながります。安全管理装置とは、ドライバーの安全管理を補助し、事故確立を減らすために重機などの車両に取り付ける装置のことです。代表的なものには、バックカメラやドライブレコーダーなどが挙げられます。

重機などの大型車両には、死角が多いものです。バックカメラなどを取り付けると、それまで死角だった部分を見えるようになるため、事故確立を減らせるでしょう。

建設現場の安全管理におすすめのクラウドカメラ

建設現場の安全管理を強化するなら、クラウド録画サービス「Safie(セーフィー)」のクラウドカメラがおすすめです。

「Safie」は、カメラの映像をクラウドに録画、スマートフォンやパソコンのブラウザからいつでも視聴できるカメラシステムです。また、シェア機能を使えば現場監督だけでなく現場事務所や本部、安全管理部門など複数の関係者で映像視聴が可能です。カメラも180°、360°の広角カメラやPTZカメラ、ウェアラブルカメラやAIカメラなど、見たい箇所や環境にあわせた豊富なラインナップが用意されており、用途に応じて選べます。

Safie GO(セーフィーゴー)シリーズ

モデル画像特長防水防塵
Safie GO 180Safie GO 180180度の広角レンズIP66
Safie GO 360Safie GO 360360度全方位を撮影IP66
Safie GO PTZSafie GO PTZPTZ操作が可能IP66
Safie GO PTZ PlusSafie GO PTZ PlusGPS搭載で設置位置を確認IP66
Safie GO PTZ AISafie GO PTZ AIエッジAI搭載で人物検出可能IP66
※レンタル料金はお問い合わせください

「Safie GO(セーフィーゴー)シリーズ」は、LTE搭載の固定式クラウドカメラです。現場で電源にさすだけですぐに導入でき、HD高画質・最大30fpsのなめらかな映像で建設現場を確認できます。

たとえば、現場全体を俯瞰(ふかん)できる位置にカメラを配置することで進捗管理に利用したり、工事工程をタイムラプスで撮影して工程を教材化したりと、さまざまなシーンで利用可能です。

実際に導入されている清水建設株式会社さまでは、広大な現場をカメラで網羅することで、見たい場所をピンポイントで確認し安全管理に役立てています。カメラの導入により、災害対策なども効率的に実施でき、現場への急行回数も大幅に減るなど効果を実感されています。

Safie Pocket(セーフィー ポケット)シリーズ

モデル画像特長防水防塵
Safie Pocket2Safie Pocket2シンプルな機能構成のエントリーモデルIP67
Safie Pocket2 PlusSafie Pocket2 Plus遠隔業務に必要な機能をフルパッケージIP67
※レンタル料金はお問い合わせください

「Safie Pocket(セーフィー ポケット)シリーズ」は、遠隔臨場で活躍するウェアラブルクラウドカメラです。移動しながらの撮影のほか、定点カメラとしても設置できるため、遠隔臨場を中心に幅広く活用されています。

「Safie Pocket シリーズ」は初期設定不要で、現場で装着・設置するだけで手軽に撮影可能です。また、撮影した映像は遠隔からリアルタイムで確認でき、通話機能も搭載されているため、カメラ一つで現場と本部間での会話が可能になります。

また、遠隔業務に必要な機能を搭載した「Safie Pocket2 Plus」であれば、手ぶれ補正機能や危険エリアへの侵入検知に応用できるモーション検知機能なども搭載しています。

株式会社竹中工務店さまでは、現場の安全担保や事故防止、管理密度の向上などを目的に「Safie Pocket2」を導入しました。クラウドカメラの導入により現場内の死角をカバーできるようになったことで安全意識が向上し、事故減少につながるといった効果が得られています。

重機作業にカメラを導入して安全対策を練ろう

重機などの大型車両は死角が多いため、重機作業においては安全対策が欠かせません。各自が注意していても、建設機械による労働災害は死亡災害の1割以上を占めています。

事故を未然に防ぐうえでも、記事でご紹介した事故対策における盲点や安全対策をしっかりと理解して作業に臨むことが重要です。建設現場の安全管理をより効率的に行いたいのであれば、クラウドカメラの導入がおすすめです。

セーフィーでは、安全管理に役立つクラウドカメラを豊富にラインナップしております。ぜひ導入をご検討ください。

Safie Pocket2、Safie GOパンフレット
レンタルサービス「Safie Pocketシリーズ」「Safie GO」のご紹介
「Safie Pocketシリーズ」「Safie GO」の活用方法を事例を交えながらご紹介をしています。