デシル分析とは?効果的なやり方と手順・メリットを解説

デシル分析とは? メリット・手順

デシル分析とは、顧客の購入金額を指標に優良顧客をグループ分けするマーケティング手法です。累計購入金額比率を確認し、売上貢献度の高い優良顧客層を把握できます。

本記事では、デシル分析の意味や確認できること、エクセルで分析する方法、メリット・注意点を解説します。

デシル分析とは

デシル分析とは、全顧客の売上データを10等分し累計購入金額に応じて顧客をグループ分けをする分析方法です。

まず、顧客を累計購入金額の高い順に並べて10等分します。等分したそれぞれに、「デシル1」〜「デシル10」と名付け、売上構成比や購入比率を計算して、1人あたりの購入金額を算出します。データを10等分にすることで、各グループの特性や傾向を可視化できます。

デシル分析でランク付けしたグループごとの売上構成比を算出すれば、グループごとに効果的な施策を考え、費用対効果の高いマーケティング戦略の策定が可能です。

デシル分析で確認できること

デシル分析により、次のことを確認できます。

  • 購入金額比率
  • 累計購入金額比率
  • 1人あたりの購入金額

全体の売上の中で特定のグループが占める購入金額や累計購入金額の比率がわかり、売上貢献度の高い優良顧客層を把握できます。

さらに、特定のグループに属する顧客1人あたりの購入金額を計算でき、各グループの顧客が持つ購入力の確認が可能です。分析結果に基づいて、それぞれのグループに対応した適切な施策を考えられるでしょう。

ABC分析との違い

デシル分析と似た分析方法に、ABC分析があります。ABC分析とは、購入金額の指標を大きい順に3つのランクに分け、分析する手法です。

「売上の8割は全体の2割の商品で生み出している」というパレートの法則をもとにしています。一例として、累積の売上の割合が70%以下をA、71%~90%をB、91%~100%をCというグループに分けて分析します。

デシル分析は顧客に軸を置いて分析するのに対して、ABC分析は商品の売上などをもとに分析する方法です。

ABC分析はデシル分析よりも簡単な手順で全体を大局的に把握できる点がメリットですが、ひとつのグループを構成する顧客の割合が多く、各グループのターゲットが曖昧になりやすい傾向があります。

RFM分析との違い

RFM分析も、デシル分析と似た分析方法のひとつです。RFM分析とは、「Recency(最終購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の3つの指標ごとにランクづけを行い、顧客をグループ分けする方法です。

デシル分析は顧客の購入金額を分析する手法ですが、RFM分析は、それに最終購入日と購入頻度という指標が加わる点が異なります

デシル分析よりも詳細なデータを取得できる点がメリットですが、分析が複雑になるため、実施には一定のスキルが求められるでしょう。

エクセルによるデシル分析の方法

デシル分析は、エクセルを使って分析できます。分析の手順をみていきましょう。

1. データを収集する

まず、分析に必要な顧客のデータを集めます。情報として売上データから次の項目を集め、リストを作成してください。

  • 注文番号
  • 顧客ID(顧客名)
  • 購入日
  • 購入金額

データの期間は、1ヶ月単位や1年、あるいは1年以上など、自社に適した任意の期間で設定します。4つの項目について列を作り、各行にそれぞれのデータを入力しましょう。

2. 顧客を購入金額が大きい順に並べる

データを入力したら、顧客IDごとに購入金額の合計を自動集計するため、ピボットテーブルを作成します。データのセルをすべて選択し、メニューバーの「挿入」タブから「ピボットテーブル」をクリックしてください。

「ピボットテーブルの作成」の中の「ピボットテーブルレポートを配置する場所を選択してください」の部分で「新規のワークシート」を選択し、「OK」をクリックします。

ピボットテーブルのフィールドリストから「行ラベル」に「顧客ID」を、「値」に「購入金額」をドラッグして、顧客IDごとの購入金額を集計します。自動集計したら、ランク分けするため、累計購入金額が大きい順になるように降順でデータを並べ替えてください。

3. 上位から10のグループに分ける

降順で並べ替えたら、新しいシートを作成して並び替えたデータの顧客IDと注文金額をコピーし、10等分にグループ分けをします。

例えば、顧客が100人の場合、最も購入金額が多い顧客から10番目までがデシル1のグループになり、11番目から20番目までがデシル2となるように、10人ずつグループ分けしていきます。

4. 各グループの売上構成比を算出する

グループ分けしたら、デシルランクごとに、「顧客数」「合計購入金額」「合計購入金額比率(売上構成比)」をまとめた表を作成します。それぞれの数値について、関数を使って計算しましょう。合計購入金額を全体の合計購入金額で割ると、合計金額購入比率を算出できます。円グラフにすれば、視覚的にデータを把握しやすくなるでしょう。

データが揃ったら分析を行い、現状の課題を抽出して施策の検討などを行います。

デシル分析のメリット

デシル分析はシンプルで手軽に実施できる手法であり、施策を打ち出しやすいなどのメリットがあります。

ここでは、デシル分析のメリットをみていきましょう。

手軽で簡単に実施できる

デシル分析は購入金額というひとつの指標のみで分析するため、他の手法に比べて手軽に実施できる点がメリットです。顧客の購入金額のデータさえ揃えれば、特殊なツールを導入する必要もなく、エクセルを使って簡単に分析できます。初めてマーケティングの効果測定を行う場合でも導入しやすく、優良顧客をすぐに知りたい場合に便利です。

結果に沿った施策を打ち出しやすい

デシル分析では分析の指標が顧客の購入金額に絞られ、分析結果もシンプルで、結果に沿った施策を打ち出しやすいのがメリットです。

例えば、購入金額が高いデシル1は優良顧客であり、基本的には他のグループよりも多くの予算を使って施策を打ち出します。反対に、顧客全体のレベルアップを図りたいときは、下位のグループに集中した施策を行うといった対応が可能です。

デシル分析を活用した施策の一例として、デシル1など上位の顧客に対して優待券や特典の付与、クーポンの配信を行うといった手法があげられます。

優良顧客に対して特別な施策を実施することで、企業ブランドや商品・サービスに対する信頼・愛着(顧客ロイヤリティ)を高めます。また、アップセル(より上位の高価な商品・サービスへの移行)・クロスセル(関連商品の購入)につなげることもできるでしょう。

マーケティング活動の費用対効果が高い

デシル分析は、マーケティングにおける費用対効果を高められるというメリットがあります。分析により、最も費用対効果が高くなる顧客を探し出せるためです。

マーケティングでは、新規顧客を獲得するよりもリピーターを確保する方が、マーケティングにかけるコストがはるかに少なくて済むとされています。

デシル分析によって既存顧客をランク分けすることで、購入金額に応じた戦略を立てられます。費用対効果の高い販促活動ができるため、マーケティングにかけるコストを大幅に削減できるでしょう。

デシル分析の注意点

デシル分析には、デメリットな側面もあります。指標がひとつしかないことや、細かいマーケティング施策には向かないといった点です。

ここでは、デシル分析の問題点について解説します。

多くの要因を無視する可能性がある

デシル分析はシンプルで簡単な点がメリットですが、それが同時にデメリットになる可能性もあります。購入金額だけで分析するため、多くの要因を無視することにもつながります。商品を購入する動機は価格だけでなく、さまざまな要素が伴います。優良顧客を見極めるには、それらの分析も必要になるでしょう。

しかし、デシル分析では一度だけ大量購入や高額商品を購入した顧客も高いランクに入ることになり、継続的な利用をしている優良顧客を見逃す可能性があります。

細かいマーケティング施策には向かない

デシル分析は、細かい分析や長期的なマーケティング施策にはあまり向いていません。一時的な優良顧客層の把握はできますが、顧客の属性や定着率、今後の購買予測などを把握することは難しいでしょう。

例えば、1回で10万円の商品を購入した顧客と、1万円程度の商品を10回程度定期的に購入している顧客がいる場合、どちらも購入金額は10万円です。

購入が1度きりで2度と購入のなかった顧客に対して、少額でも定期的に買い物をする顧客は今後も継続利用が期待できるリピーターであると考えられます。これら異なる特徴の顧客について、デシル分析では同じ評価をすることになります。そのため、顧客の特性ごとに適切な対策をとれなくなるでしょう。

このような問題を解消するためには、デシル分析だけでなく、他の分析方法も併用する必要があります。

購買率の計測ができるAIカメラ「Safie One」

顧客分析には、購買率も重要な指標となります。購買率とは、店舗やオンラインショップを訪れた顧客のうち、実際に商品を購入した人の割合のことです。購買率によって、顧客の購入意欲や満足度がわかり、効果的な販売戦略が可能です。

購買率は「(購入した顧客数 ÷ 訪問者数)× 100」という計算式で求められます。

例えば、100人が店舗を訪れて10人が商品を購入した場合、購買率は「(10 ÷ 100)× 100 = 10%」となります。

購買率の計測に役立つのが、AIカメラです。AIカメラは従来の防犯カメラに人工知能技術を組み込んだもので、映像から情報の抽出・分析ができます。

Safie OneとAI-APPによる映像分析

AIカメラでおすすめなのが、「Safie One(セーフィー ワン)」です。エッジAIを搭載した屋内用カメラで、 防犯目的だけでなく、業務の効率化やマーケティング活動にも利用できます。画像はHD画質の100万画素で、テレビと同じくらい鮮明でなめらかです。

Safie One

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Safie One

エッジAIを搭載。画像解析による業務効率化も叶えるカメラ

¥41,800 (税込)

外形φ76.5×92.5mm
重さ360g
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暗所撮影対応

クラウド録画プランの利用により、PCとスマホがあればいつでも映像を視聴できます。内蔵マイク・スピーカー、Bluetoothを標準搭載しているため、離れた拠点間のコミュニケーションが可能です。

「Safie One」には、さらにオプション機能として入店者数を計測できる「AI-App 人数カウント」を搭載しています。店舗の集客や購買率などを把握でき、効果的なマーケティング活動に役立ちます。

AIカメラを検討している方は、ぜひ「Safie One」をご検討ください。

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デシル分析をマーケティング施策に活用しよう

デシル分析は顧客の購入金額を指標に、上位から10等分にして分析する方法です。シンプルな方法でエクセルを使って簡単に優良顧客の分析ができ、費用対効果の高い施策ができます。

一方で、細かい分析や長期的な施策には適していないという点に注意が必要です。他の分析方法も併用しながら、デシル分析をうまくマーケティング施策に活用しましょう。

AIカメラSafie One

かしこくなるAIカメラ「Safie One」
エッジAIを搭載し、計測・検知を行うことで映像解析をより便利にします。

※ セーフィーは「セーフィー データ憲章」に基づき、カメラの利用目的別通知の必要性から、設置事業者への依頼や運用整備を逐次行っております。