飲食店の繁盛店には共通するポイントがあり、その特徴について正しく把握することが店舗経営には必要です。本記事では、飲食店の繁盛店に共通する特徴、繁盛店を目指すための具体的な施策について解説します。
飲食店の繁盛の定義
繁盛している飲食店の定義は、行列のできる店、売上高が高い店などさまざまですが、実は明確な定義はありません。しかし、なんらかの目安がなければ、目指すポイントが見えにくくなってしまいます。そこで、役に立つのが「坪月商」という指標です。
坪月商が目安になる
一般的に売上や来店客数が多い店を繁盛店と呼びます。その指標としてわかりやすいのが「坪月商」の算出です。坪月商とは、1坪あたりの月間売上高のことで、店舗の売上効率を示します。この数値が高いほど、限られたスペースを有効活用して効率的に売り上げていることを判断することが可能です。
一般的な店舗|坪月商15万円程度
一般的な飲食店の坪月商は、およそ15万円程度と言われています。店舗の立地や業態、メニューによって大きく異なりますが、おおよその目安となります。坪月商が15万円を下回る場合は、売上や利益を改善する余地があるでしょう。
繁盛店|坪月商20万円以上
繁盛店と呼ばれる店舗の坪月商は、20万円〜30万円程度が目安です。高い売上と利益をあげるために、店舗運営が効率化できており、お客さまのニーズを的確にとらえていると判断できます。
超繁盛店|坪月商30万円以上
坪月商が30万円を超える店舗は超繁盛店と呼んでも差し支えないでしょう。なかには、独自の料理やコンセプトを強みにして、坪月商100万円を超えるモンスター店舗も存在するほどです。店舗のコンセプト、料理、マーケティングなどのあらゆる面で優れた店舗といえます。
坪月商の計算式
坪月商は次の計算式でかんたんに算出できます。
「月間の売上」 ÷ 「店舗の坪数」 = 「坪月商」 |
たとえば、月間の売上が500万円、店舗の敷地が25坪の場合、坪月商は20万円と算出できます。この数値を高めるには、売上を増やすか営業店舗の坪数を減らすかしか手段はありません。ただし、店舗の坪数を減らすには面倒な手続きと店舗工事を伴うため、坪月商を高めるには売上アップを目指す方法が一般的です。
飲食店の繁盛店の共通点
実際に繁盛している飲食店には、どのような共通点があるのでしょうか。その代表的な特徴についてまとめます。
リピーターの割合が高い
繁盛店の特徴として、もっとも顕著な点はリピーターの割合の多さがあげられます。一般的に、リピーターとなる客層は来店客全体の40%程度を占めると言われています。また、新規顧客を獲得する宣伝費のコストは、リピーターの5倍かかると言われており、「1:5の法則」と呼ばれます。
つまり、繁盛店に共通する点は、お客さまのなんらかの潜在ニーズに答えており、もう一度行きたいお店だと思われているということです。
自店舗の強みを把握している
飲食店の強みとは、料理の味はもちろんですが、そのほかにもさまざまな要素があります。
- 料理の味
- 料理のボリューム
- 料理提供のはやさ
- 価格の安さ
- 居心地のよさ
- SNS映え
- 特別なメニュー
など。
自店舗の強みを把握するメリットは、SNSでお客さまが口コミを書きやすい点にあります。たとえば、「古民家を利用した落ち着つける空間」「お子さまの対応がうまくファミリー層が利用しやすい」などは、ユーザーが口コミを書きやすい要素でしょう。自社のアピールポイントがわかりやすいほど、ムダな販促費をかけずにすみます。
店舗のアピールポイントがわかりやすいメリット
- 他店との差別化がはかれる
- 写真映えでなくてもSNSで口コミを書きやすい
- ムダな販促費もかからない
ホスピタリティに優れている
飲食店の重要な要素にQSC+Vがあります。Qは「品質(Quality)」、Sは「サービス(Service)」、Cは「清潔さ(Cleanliness)」を意味し、これを満たした飲食店にお客さまは「価値(Value)」を感じるとマクドナルド創業者のレイ・クロックが提唱しました。
しかし、QSCが広まった現代では、顧客が飲食店を選ぶ際の最低限の条件となってしまい、差別化が難しくなっています。そこで繁盛店が重要にしている要素がQSCにホスピタリティ(Hospitality)の要素を加えたQSC+Hです。
ホスピタリティは、お客さまに居心地のよさを感じてもらうために重要なポイントであり、何度も通いたくなるリピーターの獲得にもつながるメリットがあります。
\QSC+H向上のポイントを解説!/
販促費は意外とかけていない
意外なことに、個人経営の小さな繁盛店では、販促費をあまりかけていないことが多くあります。それは、口コミやSNSなどで自然と話題になりやすいためです。お客さまが感動するような料理や接客、サービスを提供することで魅力を感じたお客さまが広告塔となり店舗の魅力を発信してくれます。
もちろん、販促活動を一切しないという訳ではありません。費用対効果を考えて、最小限の投資で最大限の効果をあげるように工夫しているのが繁盛店の特徴といえます。
坪月商20万円以上の繁盛店を目指すコツ
実際に坪月商20万円以上を目指すための具体的な施策について解説します。取り入れやすいものを中心に解説するため、売上アップを目指す参考にしてください。
基本的なQSCの徹底
QSCは飲食店の品質を保証するための最低限の取り組みです。そのため、QSCが満たされていない飲食店は顧客満足度が低下する危険性があります。特に、衛生管理は食の安全に直結するため、厳しく管理しなければいけません。QSCを満たしたうえで、ホスピタリティの向上といったQSC+Hを用いた差別化を図るようにしましょう。
オペレーションの見直し
QSC+Hを徹底するには、店舗のオペレーションを見直すことも重要です。厨房の動線や調理工程、ホールのスタッフ配置など、効率的な運用ができているかチェックしましょう。
スタッフの動線のチェックやオペレーションの見直しには、防犯カメラのAI機能を活用する方法もおすすめです。接客した優秀なスタッフの接客方法の映像共有などに活用できます。
\カメラ映像を使った接客向上の方法を解説!/
リピーターを大切にする
繁盛店を目指すには、リピーターを大切にする施策が欠かせません。たとえば、季節ごとの特別なメニュー、ポイントカードやクーポン券など、お客さまがもう一度訪れたいお店を目指すには次のような点がポイントになります。
飽きのこない看板メニューのアピール
お店の料理で重要なのは変わり種のメニューではなく、何度も食べたくなる看板メニューです。たとえば、マクドナルドであっても人気を集めるメニューは、ビッグマックやダブルチーズバーガーなどの定番メニューがほとんどです。
まずは、お店の常連客が好んで食べているメニューを看板メニューとしてアピールして、初来店のお客さまにお店で人気の味を知ってもらいましょう。
季節ごとの特別なメニュー
何度も訪れる常連客にお店の変化を楽しんでいただくには、季節ごとに変わるメニューの提供がおすすめです。普段は定番メニューしか頼まないお客さまであっても、1品でも選択肢が増えるとお店で料理を選ぶ楽しみが増えるでしょう。
ポイントカード・クーポン券
ポイントカードやクーポン券の活用も、リピーター獲得には有効な手段です。特にポイントカードは心理的効果が高く、たとえば100円の商品を90円に値引きするよりも、1,000円で100円分のポイントをもらった方が、顧客心理ではお得だと感じやすい傾向があります。
また、クーポン券であれば利用期限があることから、クーポンが切れる前にお店に訪れたくなるデッドライン効果が働きます。
公式LINE登録
お得な割引情報やキャンペーン告知は、新規顧客に向けるだけでなく、既存顧客にも漏れなくお伝えしなければなりません。そのために、広告やSNSなどで通知する方法もありますが、少ない販促費で顧客へ伝えるには、公式LINEの利用が効率的かつ低価格で届けられます。
たとえば、SNSの利用は顧客のスマホ画面に通知を届けることが難しく、Eメール送信では顧客管理システムに登録するために従業員もしくはお客さまの作業負担になる可能性があります。
一方の公式LINE登録では、友達追加はQRコードの提示だけですむため、お店にもお客さまにも会員登録の手間はほとんどかかりません。また、SNSやEメールなどに比べて開封率が高い(平均60%程度)のも特徴です。開封率やコンバージョン率を具体的な数値として確認することもできるため、マーケティング戦略として活用することも可能です。
新規顧客の獲得
繁盛店ではリピーターの維持も大切ですが、新たなリピーターにつながる新規顧客の獲得も欠かせません。そのための具体的なコツについて解説します。
コンセプトの伝え方を工夫する
看板メニューの提示や店舗のコンセプトをわかりやすく伝える工夫が重要です。たとえば、SNSやホームページなど、お客さまの目をひくコンセプトを伝えましょう。もしコンセプトがわからない場合は、別の項目で具体的な方法について解説しています。
立地と入店率の把握
お店の立地条件に適した施策を打つことも重要です。たとえば、人通りの多い路地であれば、看板や照明などのファサードデザインの工夫などで流動客を誘致できます。しかし、人通りの少ない店舗では、SNSやテレビCMなどの広告を活用することが重要になるでしょう。
ファサード : 立ち寄り、立ち止まりの意味
そのためには、自分のお店はどの程度の入店率があるのかきちんと把握する必要があります。入店率の計測には、AIカメラを用いた人数カウント機能などで実現することが可能です。店舗の立地条件を把握するためにも、店前通行量の把握からまずはじめましょう。
\AIカメラを使った入店率・店前通行量の計測方法を解説/
コンセプトの見つけ方
最後に、他店との差別化を図るための、お店のコンセプトの見つけ方について具体的に解説します。
ターゲットを明確にする
まずは、お店のコンセプトは誰に向けて発信するのか明確にしなければなりません。以下など観点からターゲットの年齢層や性別をはっきりさせましょう。
- 料理の味
- ボリューム
- 価格
- 居心地
たとえば、価格に比べて料理のボリュームが多い店舗では、「若い男性客」「スポーツをしている」など、具体的なターゲット層から、燃えるような赤色を基調としたエネルギッシュなカラーを採用するといった決め方があります。
立地から考える
お店のコンセプトは、立地によっても変わってきます。都市部か地方か、観光地か住宅地か、地域密着型か独創性重視か、など周辺の競合店の状況を含めて考慮しましょう。たとえば、地域密着型の店舗であれば、地域の特産品を使ったオリジナルメニューといったコンセプトも作れるかもしれません。
お客さまアンケートで強みと改善点を聞く
実際にお店の魅力を知っているのは、店主ではなく常連客の方が理解していることは多くあります。たとえば、店主は料理の味に自信を持っていたが、常連客は料理のボリュームに魅力を感じていた、ということもあるでしょう。
実際に何度もお店に来てくれる客は、すでになんらかの魅力をお店から感じているはずです。なによりもリピーターの意見を大切にし、同じ点に魅力を感じる新規顧客へアピールできればリピーター獲得にも成功しやすいでしょう。
繁盛店の共通点はお客さまを第一に考えた飲食店であること
繁盛店に共通している点は、お客さまを第一に考えた経営をしている点です。お客さまの潜在ニーズを的確にとらえ、それに答える料理やサービスを提供しています。そのため、看板メニューや店舗デザインなども、お客さまのニーズを把握してそれに答えたものでなけれなばなりません。
そのようなお客さま第一思考の考え方が、リピーターの心をつかみ、新規顧客の獲得にも成功しているのでしょう。QSC+Hの徹底やコンセプトの明確化、販促の工夫など、どのようにすれば、お客さまが喜んでくれるのか常に考えて実践しているのが繁盛店です。
店舗の潜在的な魅力を把握して、強みを活かした顧客ニーズに答えることがなによりも重要でしょう。顧客視点で店舗の魅力を把握するには、防犯カメラを活用して可視化する方法がおすすめです。
最新の防犯カメラはセキュリティ対策だけでなく、店舗オペレーションの記録や具体的な入店率の解析などの映像ソリューションとして活用できます。カメラを使って店舗の改善をしたい方は、ぜひセーフィーまでご相談ください。
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