工場などの生産現場で効率化やトラブル防止を追求するには、「見える化」は欠かせない取り組みです。製造業における「見える化」について、説明や導入するメリットとデメリットを事例を用いて紹介していきます。
目次
製造現場での「見える化」とは
製造現場や生産現場での「見える化」とは、生産現場の設備や各種センサーから収集したデータを分析し、整理・加工して、現場の作業員の理解しやすいような形で可視化することを指します。
見える化を行う範囲は、設備やセンサー数台の小規模なものから現場全体に及ぶような大規模のものまでさまざまであり、現場の導入状況によって異なります。
「見える化」をする理由
製造現場で見える化に取り組む理由として、現場の状況を関係者に素早く正確に伝達することが挙げられます。生産ラインや工程の状況をリアルタイムに把握できることで迅速な意思決定や問題解決、改善が可能です。
また、見える化が実現されることで、組織内の異なる部門の現場状況を把握できるため、迅速な経営判断に繋がります。
「見える化」と「見せる化」の違い
見える化 | 見せる化 | |
目的 | 必要な時に必要なデータや情報にアクセスできるようにすること | 業務に関する知りたいデータや情報をいつでも、意識せずとも得られるようにすること |
効果 | 経営判断のスピードアップ、業務の効率化、正確性が向上する | 関係者への周知、遠隔でのモニタリングが容易になる |
「見える化」と「見せる化」どちらを導入すれば良いのかは、どのような目的でどのような効果を得たいのかによってそれぞれ変わってきます。
どちらも製造現場での業務効率や安全の確保に役立つ取り組みとなっているので、ニーズに合わせて導入を検討すると良いでしょう。
製造現場で「見える化」を行う3つのメリット
製造現場で見える化に取り組むメリットとして次の3つが挙げられます。
経験やノウハウを標準化し品質を一定に保つ
製造現場における作業や品質管理の方法は、従業員の経験やノウハウに大きく依存するため、属人化しやすい傾向があります。また、ノウハウがブラックボックス化していることもあり、再現しにくい場合もあります。しかし、見える化を通じてこれらの知識を共有し、作業手順を標準化することで、品質の一貫性を保ち、ばらつきを減らすことが可能です。
例えば、作業手順のビデオ撮影や、重要な工程の写真を共有することで、新入社員もベテランの技術を迅速に習得できます。
問題点を改善して業務の効率化を図る
製造現場の見える化は、製造ライン上の問題点を明確にすることにも役立ちます。リアルタイムでデータを収集・分析することで、生産性の低い工程や無駄な動きを特定し、改善策を講じることができます。
例えば、AIカメラによる人の動きを検知する機能を利用して作業員の動きを追跡し、作業効率を分析することで、無駄な動作を削減し、作業フローを最適化することができます。見える化により、問題点を抽出することができ、結果的に業務の効率化を図れます。
異常検知によりトラブルを防止できる
製造現場では、設備の異常や品質の問題が突発的に発生することがあります。カメラやセンサーを用いた監視システムを導入することで、設備の異常な振動や温度の変化、製品の寸法誤差などをリアルタイムで検知し、トラブルが発生する前に対処することが可能です。
これにより、重大な機械トラブルや製品の不良率の低下を防ぐことができます。例えば、高解像度カメラを用いた視覚検査システムは、製品の微細な傷や欠陥を自動で検出し、品質保証を強化できます。
さらに、AIカメラを用いた安全対策として、製造ライン周辺で人の無許可進入を検知するシステムなどが挙げられます。また、危険エリアへの誤進入によるトラブル防止も可能となります。
「見える化」がアナログ的手法では難しい理由
デジタル化が進む現代において、「見える化」に取り組む際にはデジタル的な手法を用いることが必要です。アナログ的手法のままで業務を続けていると以下のような問題に直面し、経営の支障となってしまう可能性があります。
手書きやExcelの工程表では共有しきれない場合がある
手書きやExcelで作成された工程表を使用するアナログな情報共有は、迅速かつ広範囲に共有することに限界があります。実際の業務は、情報の更新が頻繁に起こり、共有する情報量も膨大であるため、手書きやExcelだけでは進捗情報が管理しきれません。
また、情報を掲示板に掲載しても、必ずしも全員がそれを確認するわけではないため、全体への周知を図ることが難しいです。デジタルツールの導入により、リアルタイムでの情報共有や更新が可能となり、業務の効率化を図ることができます。
不正や改ざんが起きたときに気づきにくい
アナログ的な手法では、文書の改ざんや不正が起きた際にそれを検知することが困難です。例えば、紙ベースの文書では、文字を消す、書き換えるなどを容易に行うことができ、不正行為が発生しやすいと言えるでしょう。また、承認プロセスも不明瞭であり、不正行為が発生しやすい構造です。
デジタル化により、文書の承認履歴が記録されるため、承認プロセスが透明化され、不正や改ざんを未然に防ぐことができます。
製造現場で「見える化」を行うポイント
製造現場で見える化に取り組む際、ただ導入するだけでは失敗してしまう事があります。どのように取り組めば良いのか、気をつけるべきポイントを紹介していきます。
導入する目的を明確に設定する
見える化の導入にあたっては、何を目的としているのかを明確に設定することが重要です。目的が不明瞭だと、取り組みが曖昧になり、効果を測定することが難しくなります。
例えば、生産効率の向上、品質の安定、安全管理の徹底など、目指すべき具体的な目標を設定しましょう。また、見える化の目的に関して、関係者一人ひとりの理解が得られるよう詳細に説明し、会社が一丸となって取り組めるような体制を作ることが重要です。
必要な環境を整える
見える化を導入し成功させるためには、適切なツールやシステムの導入が欠かせません。生産ラインの各段階で発生するデータをリアルタイムで把握するためのセンサーなどのIoT機器や、データを集約し分析するためのソフトウェアが挙げられます。
特に、AIカメラを利用した映像管理システムは、安全対策において非常に有効です。また、これらのIoT機器を製造現場内で使用するにあたり、正常に動作するようにインターネット環境を整備する必要もあります。
社内ルールを整備する
見える化の取り組みを効果的に進めるためには、社内ルールの整備も不可欠です。収集したデータの管理方法、プライバシーの保護、情報の共有範囲など、明確なガイドラインを設けることが重要です。
関係者が見える化の取り組みを理解し、積極的に関われるようにするための教育やトレーニングも考慮する必要があるでしょう。社内ルールを作り、理解を得られるよう周知を行うことで、見える化の取り組みが失敗するリスクが減少し、長期的な業務効率化や安全性の強化につなげることが可能です。
防犯カメラの映像は見える化に役立つ
防犯カメラの映像はさまざまな点で、見える化を促進することに役立ちます。導入することで、業務効率化や安全性の確保だけでなく長期的なコスト削減にもつなげることが可能です。
遠隔から確認できる
最新の防犯カメラシステムは、遠隔地からでもリアルタイムで映像を確認できる機能を備えています。製造ラインの状態を常に確認できるため、問題が発生した際にはすぐに対応することが可能です。このように、カメラの映像を活用することで、機械の故障や品質問題など、早期に問題を発見し、対処することができます。
確認する人員の削減
防犯カメラシステムによる見える化を行うことで、人員配置におけるコスト削減を見込めます。従来は、常時人の目で常に確認する必要がありましたが、カメラシステムを導入することで、その必要性が大幅に減少します。特に、夜間や休日などの非稼働時間においても、一定のセキュリティを担保することが可能になります。
業務効率化
防犯カメラの映像による見える化をすることで、業務の効率化も図れます。例えば、AI技術を活用してカメラ映像から異常を検知するシステムは、人間が見落とすかもしれない変化も捉えることができます。これにより、生産ラインの効率を最大化し、無駄を減らすことが可能です。
また、映像データを分析することで、作業プロセスの改善点を発見し、業務効率化につながるような知見を得られる可能性があります。加えて、実際の映像を見せながら新人研修などを行うことで、より効率的に分かりやすく教育することができるでしょう。
製造業の「見える化」の事例
各企業はどのようにして製造現場や生産現場の見えるかを行っているのでしょうか。3つの事例を紹介します。
遠隔サポートでスムーズな施工管理
国内でエビの陸上養殖を行う「海幸ゆきのや合同会社」は、新たな養殖プラントの建設に際し、現場との距離と施工管理体制を課題としていました。そこで同社は、建設現場の施工時にクラウド録画カメラ「Safie GO(セーフィー ゴー)」を活用し、遠隔からの施工管理を行うことで、これらの課題を克服しました。画角コントロールや移動が簡単であるため、工事計画が順調に進んでいるか、映像を確認しながらコミュニケーションをとることができ、円滑に工事を進めることが可能となったと言います。
映像の画質も良く、スマートフォンなどさまざまデバイスで視聴できるため、工事の遠隔管理を行うだけでなく、工事のノウハウを映像としてストックしたり、PR素材にも活用しています。
遠隔からエンジニアが現場の状況を把握
リサイクルや発電、エネルギープラントなど幅広い分野におけるものづくりを行う「JFEエンジニアリング」。主要拠点の1つ「鶴見製作所」では、見える化を行うスマート工場を目指し、生産現場向けウェアラブルクラウドカメラである「Safie Pocket2(セーフィー ポケットツー)」を導入しています。また、コロナ禍においてリモートで何かを観察したり情報共有したりできるツールを探していたことも導入のきっかけの1つです。
「Safie Pocket2」はコードレスでハンドリングが良く、インターフェースの操作性も分かりやすいことが魅力とのこと。遠隔地からでも現場の状況の把握が可能となり、現場の安全管理と作業効率の向上につながりました。また、ノウハウの伝承や工程の共有にも役立っています。
モデル | 画像 | 特長 | 防水防塵 |
---|---|---|---|
Safie Pocket2 | シンプルな機能構成のエントリーモデル | IP67 | |
Safie Pocket2 Plus | 遠隔業務に必要な機能をフルパッケージ | IP67 |
社内コミュニケーションの円滑化
ディスプレイ・什器などを開発・生産する「タカラ工芸株式会社」では、ハードディスク内蔵型のカメラに不安を抱えており、災害などによりカメラが故障した場合でも録画データが残るカメラを探していました。
故障しても録画データがクラウドに残り続けること、ランニングコストも安価であることからSafieのカメラを導入したと言います。
人員配置の課題があった同社は、セーフィー対応カメラにより、生産現場の見える化に成功。人手不足の時間帯や無駄な残業も減り、50万円程度のコスト削減が実現できました。
台風で工場が浸水したときもスマホで自宅にいながらその状況を確認。その後、保険会社に提出する「被害状況」の証拠としても録画データが役に立ったと言います。
Safie
Safie One
エッジAIを搭載。画像解析による業務効率化も叶えるカメラ
¥41,800 (税込)
外形 | φ76.5×92.5mm |
重さ | 360g |
防水性能 | なし |
ネットワーク接続 | 有線LAN、無線LAN |
PoE給電 | 対応 |
画角 | 水平114° 垂直60° |
ズーム | デジタルズーム 最大8倍 |
マイク(音声入力) | あり |
スピーカー(音声出力) | あり |
暗所撮影 | 対応 |
まとめ
製造現場で見える化を導入することで効率化や安全性の確保、トラブルの抑制が可能になります。
導入時には、社内で一丸となって取り組むことが重要です。見える化の取り組みとして、カメラの導入は比較的簡単なため、効率よく業務を進めることができ、コストパフォーマンスにも優れています。
セーフィーは映像ソリューションを提供している会社です。扱いやすくそれぞれのニーズに合ったカメラを多数取り扱っており、あらゆる企業における導入実績も多数あります。見える化の取り組みとしてカメラの導入を検討される人は、ぜひセーフィーまでご相談ください。
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