少子高齢化のような社会構造の変化や労働に関する法令の改正を受け、施工管理には今までになく効率化が求められています。これを背景に、建設現場においてもデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが拡大中。施工管理にクラウドカメラを導入して劇的な業務効率化を実現している企業も出てきています。
この記事では、施工管理にクラウドカメラを活用することで得られる効果を解説し、実際の企業での活用事例を3つご紹介します。さらに、施工管理で必要なカメラの機能やおすすめのクラウドカメラを詳しくご説明します。
- 建設業界向けクラウドカメラ活用ガイド
- 建設業界におけるクラウドカメラの活用方法と導入事例をご紹介しています。
目次
施工管理の効率化は建設業界全体の課題
日本では少子高齢化が着実に進行し、どの業界でも人手不足が叫ばれていますが、建設業界ではとりわけ若手人材の不足が深刻です。建設業界の就業環境は「6K」(きつい、汚い、危険、帰れない、厳しい、給料が安い)とも呼ばれ、人材を惹きつけにくくなっているため、今後は若手人材が働きたいと思える環境へと変えていくことが求められています。
特に、労働基準法の改正を受け、2024年には建設業界でも労働時間の上限規制が始まるため、労働時間を短縮することは喫緊の課題となっています。労働時間の短縮には、施工管理を中心とする現場業務の効率化が欠かせません。
政府も以前からi-Constructionなどの取り組みをとおして建設現場の業務効率化を推進しており、2020年度には国土交通省直轄の土木工事においてNETISと総称される新技術の活用が原則義務化されたほか、2022年からはカメラを使った建設現場での遠隔臨場が本格実施されています。
今や、ICTツールを使ったDXで施工管理の効率化を図ることは、建設業者が避けては通れない一大テーマと言えるでしょう。
施工管理にクラウドカメラを活用して得られる効果
施工管理の効率化のために用いられる代表的なツールとして、リアルタイムで映像を共有できるクラウドカメラが挙げられます。ここでは、施工管理にクラウドカメラを活用することで得られる効果を詳しく解説します。
(1)遠隔臨場で業務時間を劇的に短縮
施工管理においては、現場監督が多数の現場を確認する必要があるため、現場間の移動に多くの時間を費やすのが通例です。1日の1/3が移動時間で終わってしまう日もあるほど。そこで、クラウドカメラを導入し、現場に直接足を運ぶことなくカメラを介した遠隔臨場を行うかたちに変えれば、現場監督の労働時間を劇的に短縮することが可能です。
こうして長時間労働が減ることで労働環境が改善することはもちろん、遠隔臨場なら自宅からのリモート勤務も可能になります。子育て中の人などでも働きやすくなるため、より多くの人材を獲得しやすくなるかもしれません。
(2)記録や報告作業の効率化
施工管理においては、工程管理表や日報、各種の報告書など紙ベースでの記録や報告作業が多く、ペーパーレス化の余地が大いにあります。クラウドカメラならば撮影した動画や写真が自動でクラウドにアップロードされるため、撮影さえしておけば、後で報告書作成時に使うパソコンから必要な写真をダウンロードすることが可能。
さらに、「ANDPAD」のような施工管理アプリと併用すれば、案件ごとにカメラや録画データを管理して、さらなる効率化を実現できます。
\ANDPAD×Safie で実現する施工管理のデジタル化!/
(3)品質や安全性の向上
クラウドカメラの映像は、リアルタイムで複数の人と共有できるため、たとえば現場で若手職員が映像を撮影し、拠点事務所から現場監督が確認するだけでなく、本部でもベテラン職員が確認するといったかたちで、複数人で現場の確認を行うことが可能となります。これにより、施工品質や現場の安全性の向上も期待できるでしょう。
(4)カメラ映像を使った若手育成
クラウド録画サービスなら、撮影した映像の好きな部分を後から簡単に切り出すことも可能。たとえば、ベテラン職員の作業を録画しておき、必要な映像を切り出して組み合わせ、動画マニュアルを作ることもできます。
人手不足のため、現場で若手に付きっきりで指導することは難しいのが現実ですが、カメラを使って映像として記録しておけば、効果的に若手を育成する素材とすることができそうです。
施工管理にクラウドカメラを導入している事例3選
このように、クラウドカメラは施工管理に様々な効果をもたらしうる心強い存在です。ここでは企業での実際の活用事例を3つご紹介します。
株式会社キャプティさま
東京ガスグループのエネルギーエンジニアリング企業である株式会社キャプティさま。工事においては安全確保を最も重視しているものの、毎日100件以上の工事があるため事業性とのバランスに課題を感じていたといい、ウェアラブルタイプのクラウドカメラを施工管理に導入されました。
「最大のメリットは、効率的に安全品質を確保でき、加えて、働き方改革が大きく前進したことです。遠隔でも適切な状況把握や指示ができるので、現場監督の移動が大幅に減りました。
また、工事品質への寄与も大きいと感じます。現場巡視した後、事務所でクラウド録画映像を見返すと、現場では気づかなかった発見が多々ありました。このように管理の精度が上がり、工事品質向上につながっています。ほか、万が一のインシデントに対しても『エビデンスになる映像がある』という安心感を得ることができました。」
\株式会社キャプティさまの詳しい事例はこちら/
新日本空調株式会社さま
空調を中核とした環境ソリューションカンパニー、新日本空調株式会社さま。2024年には建設業界でも時間外労働の上限規制が始まる「2024年問題」を見据え、現場のデジタル改革の一環としてウェアラブルタイプのクラウドカメラを導入されました。
カメラ導入のおかげで、ベテラン社員や上長の移動時間や移動コストを大幅に削減することができたといいます。
「これまでは若手社員の技術的なサポートのため、ベテラン社員や上長が現場に直接行って指示を出す必要があり、その移動にかなりの時間がかかっていました。クラウドカメラを導入してからは、拠点や本部で現場の様子を映像で確認、遠隔から工事の進捗管理や若手社員のサポートを行っています。カメラ導入後の移動時間について30拠点でアンケート調査をしたところ、全体で約400時間/月の移動時間の削減効果がありました。」
\新日本空調株式会社さまの詳しい事例はこちら/
三井住友建設株式会社さま
全国各地に施工現場を持つゼネコンの三井住友建設株式会社さまでは、各支店で稼働現場の状況を一括で把握するために、設置型のクラウドカメラを活用されています。様々なクラウドカメラの中でも、録画映像を視聴する側の機能が決め手となって、導入する製品を決めたといいます。
「導入の決め手となったのは、ダッシュボード機能です。80台のカメラを一括導入するにあたり、画面切り替えなどが不要で、すべてを同一画面上で確認できるのはセーフィーのみでした。」
基本的には、大型モニタに現場の映像を一覧で映し、気になる現場があった際や自然災害時に映像を確認しているそうですが、モニタの設置によって思わぬ効果もあったようです。
「映像を確認するのは主に本支店の幹部社員なのですが、意外だったのは支店の内勤社員が映像をチェックしていること。事務部門の社員からは、現場に行く機会が少ないため映像を通じて現場の様子がわかり、一体感を覚えながら業務に取り組めるという声もありました。」
\三井住友建設株式会社さまの詳しい事例はこちら/
施工管理で求められるカメラの機能や性能
このように、カメラは施工管理の効率化や品質の向上、安全確保などに多大な効果をもたらしますが、十分な効果を得るためには一定の性能が求められます。ここでは、施工管理の効率化を実現するために求められるカメラの機能を一つ一つ見ていきましょう。
(1)防水・防じん性能
建設作業や工事は屋外で行われることが多いため、雨に備えた防水性能が必須であるほか、工事現場につきものの砂埃に備えた防じん性能も欠かせません。また、現場監督が動き回るなかで万一落下した時やどこかにぶつけてしまった時にも耐えられるよう、耐衝撃性も備えていることが望まれます。
(2)夜間撮影可能
高価な資材などが置かれる工事現場には、夜間に侵入されて盗難の被害に遭うリスクがあります。赤外線撮影モードなど夜間の撮影に対応できる機能がカメラに搭載されていれば、夜間でもくっきりと映像を記録することができ、犯罪やトラブルの予防と解決に効果を発揮します。
(3)静止画の撮影機能、CALSモードでの撮影機能
施工管理業務の一部として、現場監督は現場の状況を工事写真として記録し報告する必要があります。スムーズに写真を撮影できるよう、動画の撮影中にいつでも静止画を撮影できるカメラが必要となります。
なお、公共建設工事などでの報告書の電子納品のあり方の指針として、CALS/EC(公共事業支援統合情報システム)では、縦横比4:3のサイズの写真が推奨されています。報告業務の効率化のためには、このサイズで写真撮影を行う「CALSモード」が搭載されているカメラを選ぶのがよいでしょう。
(4)リアルタイム視聴
現場と事務所をつないで行う「遠隔臨場」を可能にするためには、カメラの映像を離れた場所からリアルタイムで視聴できる機能が不可欠です。特に、発注者や複数の拠点の職員など、関係者それぞれが同時に視聴したい場合、録画映像が自動的にクラウドにアップロードされるクラウド型のカメラが第一候補となります。
(5)複数カメラの一括視聴
通常、現場監督は1人で複数の施工現場を担当しています。したがって、効率的に現場の確認を行うためには、担当するすべての現場に設置された多数のカメラの映像を、一括で視聴できる機能も求められるでしょう。これはカメラ本体の機能ではなく、録画映像を確認する視聴環境に求められる機能です。
(6)ウェアラブルタイプなら双方向通話機能
ウェアラブルタイプのカメラを施工管理に活用する場合、双方向通話機能が搭載されたカメラを選びましょう。この機能がなければ、遠隔臨場などの際に離れた拠点と現場がコミュニケーションを取ることがでないので、双方向通話機能は施工管理の効率化の要と言えます。
(7)固定タイプならPTZ機能や広角レンズ
決めた場所に設置して使うタイプのカメラの場合、PTZ機能が搭載されていると便利です。PTZ機能とは、パン(水平方向の首振り)、チルト(水平方向の首振り)、そしてズーム(拡大・縮小)という3つの操作を遠隔で行うことができる機能です。人の立ち入りが難しい場所や難しいアングルでの撮影が可能になるほか、高倍率でのズームで見たい場所だけを撮影することができます。また、全景を常に映したい場合は、広範囲を1台でカバーできる広角レンズ搭載機種が望ましいでしょう。
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施工管理におすすめのクラウドカメラ2選
先に紹介した事例で活用されているのは、すべてクラウド録画サービスでシェアNo.1※の「Safie」のクラウドカメラです。
※テクノ・システム・リサーチ社調べ「ネットワークカメラのクラウド録画サービス市場調査(2023)」より、エンジン別カメラ登録台数ベースのシェア(54.1%)
Safieのカメラなら、上で挙げた機能を漏らさず搭載しており、施工管理の現場にうってつけです。ここでは、ウェアラブルタイプと固定タイプの2つのSafieカメラの特徴を詳しくご紹介します。
Safie Pocket シリーズ
Safie Pocket シリーズは、双方向通話機能を搭載したウェアラブルカメラです。国土交通省が通達した遠隔臨場ウェアラブルカメラ仕様に適合し、NETISにも登録されています。IP67等級に適合した防水・防じん性能を備えており、建設現場でも安心して使用可能。専用の保護ケースも付属しているため、衝撃への耐性もあります。
電源を入れてカバーを下ろすだけで録画が開始される操作の簡単さも特徴で、録画中でもフルHD画質で写真を撮影できます。CALSモードも搭載されており、簡単な操作でONとOFFを切り替えられます。
コンパクトながらバッテリーと通信機能が内蔵されているため、電源もインターネット環境も不要。人が身に着けて移動しながら使うことも、三脚などに設置して定点カメラとして使うこともできます。
モデル | 画像 | 特長 | 防水防塵 |
---|---|---|---|
Safie Pocket2 | シンプルな機能構成のエントリーモデル | IP67 | |
Safie Pocket2 Plus | 遠隔業務に必要な機能をフルパッケージ | IP67 |
Safie GO
固定タイプの「Safie GO」シリーズは、LTE搭載で電源に接続するだけで使える、工事現場での利用に適したクラウドカメラ。NETISにも登録されています。LTE通信により現場の高画質な画像をリアルタイムで確認できるため、離れた場所から現場を効率的に見守ることができます。
防水・防じん性能も備えているため屋外の厳しい環境にも耐えることができるほか、夜間撮影機能で昼夜を問わず鮮明な動画を撮影できます。
モデル | 画像 | 特長 | 防水防塵 |
---|---|---|---|
Safie GO 180 | 180度の広角レンズ | IP66 | |
Safie GO 360 | 360度全方位を撮影 | IP66 | |
Safie GO PTZ | PTZ操作が可能 | IP66 | |
Safie GO PTZ Plus | GPS搭載で設置位置を確認 | IP66 | |
Safie GO PTZ AI | エッジAI搭載で人物検出可能 | IP66 |
シリーズの5つのモデルのうち「Safie GO PTZ」と「Safie GO PTZ Plus」と「Safie GO PTZ AI」なら、カメラ映像を視聴するアプリ「Safie Viewer」から遠隔でPTZ操作が可能。見たい場所をピンポイントで鮮明に撮影できます。「Safie GO 180」では、180度の広角レンズ搭載で広い現場を俯瞰して撮影可能です。さらに広い画角の「Safie GO 360」なら360°の広角映像で見落としなく現場を確認できます。
使いやすさに定評あり!多機能な「Safie Viewer」
Safieのカメラが多くのお客さまから好評いただいている背景には、カメラ本体だけではなく映像を視聴するアプリ「Safie Viewer」の機能が充実していることも関係しています。
Safieのサービスなら、カメラで撮影した映像が自動でクラウドにアップロードされるため、録画機は不要。Safie Viewerを起動すれば、100万画素(HD画質)のくっきりなめらかな映像をスマホやパソコン、タブレットからいつでも確認できます。録画データは最新の暗号化技術によって守られているほか、ユーザーやカメラが利用する通信経路も暗号化されているため、セキュリティ面でも安心してお使いいただけます。
事例にもあったとおり、一つの画面で複数のカメラを管理できる点も、Safie Viewerの特徴です。複数のカメラを一覧で表示したり、見たいカメラだけをソートして表示したりすることも可能なので、複数の施工現場の様子を効率よく確認することができます。なお、映像は、カメラ1台につき15人まで共有可能。Safieカメラは施工管理アプリの「ANDPAD」と連携可能なので、すでにANDPADをお使いの企業では特に便利にお使いいただけるでしょう。
膨大な録画映像を後から振り返るのには時間がかかりますが、Safieカメラには動体検知機能が標準搭載されており、Safie Viewerでは動きのあったところに印が付きます。夜間に侵入者がいなかったかどうかを確認するような場合、印のついた時間帯の映像だけを確認すればよいので、効率的に作業できます。
さらに、Safie Viewerなら、単に映像を視聴する以外にも様々な操作が可能。たとえば、録画された映像から欲しいところだけをムービークリップとして切り出せるほか、スナップショット機能で静止画として保存することも可能。さらに、ムービークリップを早送りで作成するタイムラプス機能も搭載されており、短縮最大倍率は1440倍。72時間分の映像を最短3分の動画に短縮することができます。
実際のSafie Viewerの画面がどのようなものかを、こちらのデモ画面でぜひ体験してみてください。
終わりに
高齢化による人手不足や法改正の影響で、施工管理の現場ではDXによる効率化がますます求められています。クラウドカメラを活用すれば、労働時間の短縮や施工品質の向上、さらには若手の育成など幅広い効果が期待できます。
最後に紹介したSafieのクラウド録画サービスは、カメラ本体だけでなく視聴アプリのSafie Viewerも多機能で使いやすく、多くのお客様にご好評いただいています。
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