日本では地方の路線を中心に無人駅が増加しており、駅員の助けを必要とする障がい者や高齢者にとって、利用が難しいという問題があります。
国土交通省ではこのような状況に対応し、無人駅を安全・円滑に利用するためのガイドラインを策定しました。そこでは、望ましい無人駅のイメージが提示されています。
本記事では、無人駅が抱える問題や国のガイドライン、無人駅の対策におすすめのクラウドカメラを紹介します。
目次
無人駅とは
無人駅とは、駅員が配置されていない鉄道駅のことで、ローカル線など地方の路線に多いです。旅客を取り扱う無人駅では、特別な事情がない限り、通常通り乗降が行われています。無人になる時間帯は、終日の場合もあれば、混雑していない早朝・夜間だけが無人になる場合もあるなど、駅によってさまざまです。
少子高齢化による鉄道利用の減少、輸送サービスの担い手不足により、駅員のいない無人駅は増加が進む傾向にあります。
国土交通省の資料(※1)によると、2019年度末時点で9,465駅ある鉄道駅のうち、無人駅は4,564駅で、割合は48.2%と約半数を占めています。2001年からの約20年間で、400以上の駅が無人化されているのが実情です。そのため、介助の必要な障がい者や高齢者にとって電車を利用しにくいのが現状です。
無人駅が抱える問題
無人駅が増えることで、困ったときに助けを求められない人が増えるなど、さまざまな問題が起こりやすくなります。無人駅はどのような問題を抱えているのか、詳しくみていきましょう。
困ったときに助けを求められない
無人駅は改札に駅員がいないため、切符の買い方が分からないお年寄りがホームまで行けなかったり、介助が必要な際に助けを求めることができなかったりするケースがあります。
各鉄道では、車椅子の人や高齢者など支援が必要な利用者がいる場合は、拠点駅から介助員を派遣することが一般的です。ところが、そうすると乗車するまでに待たされてしまうことも多いです。インターホンで駅員を呼んでも30分以上待たされることも少なくありません。
また、インターホンの位置が高過ぎて車椅子の人が使えない、視覚障がい者向けの点字ブロックがないなど、そもそも呼び出すことが困難な状況も存在します。
無人化によりトラブルが起こりやすい
駅の無人化により駅員がいないことで、トラブルが起こりやすくなる問題もあります。代表例は、切符を買わずに乗車する不正乗車です。通常は料金を支払って乗降するものの、中には無人駅の区間を利用して不正乗車をする例もあり、無人駅では不正乗車が行われやすい実情があります。
また、事故が起きたときにすぐに対応できないことも、無人駅にみられる問題のひとつです。転落事故など何らかのアクシデントが起きても、駅員がいないために迅速に対応できないなど、安全面での課題も大きいでしょう。
無人駅の増加に向けた国のガイドライン
障がい者を含むすべての利用者が無人駅を安心・安全に利用できるようにするため、国土交通省は2022年にガイドラインを策定(※2)しました。
無人駅の増加に伴い、かねてより政府のもとには、無人駅を利用する際のさまざまな要望が障がい当事者から寄せられていました。そうした状況から、2020年には障がい当事者団体・鉄道事業者・国土交通省からなる意見交換会が行われ、その議論を経てガイドラインが策定されたというのが、大まかな経緯です。
ここでは、ガイドラインにある「望ましい無人駅の具体例」について紹介します。
ディスプレイの設置
ガイドラインでは、無人駅に運行ディスプレイを設置し、通常時の駅利用においてそれぞれの特性に応じた障がい者への適切な情報提供を行うためのイメージを掲載しています。
ディスプレイで必要とされている条件や課題は次のとおりです。
- 運行状況を視覚的に確認できるよう、列車のイラストによる表示
- 必要な情報のタイムリーな提供
- モニターの位置・高さや配色についての配慮(弱視者に向けて)
- 音声が出ないモニター機器の場合は、別の音声装置で案内(視覚障がい者に向けて)
2022年には、駅に流れるアナウンスや電車の音などを、文字・手話・オノマトペとして視覚的に表現する装置「エキマトペ」が、実証実験として導入されています。
カメラ・モニター付き自動券売機
カメラ・モニター付き自動券売機は、券売機の利用時に不明点がある際に、オペレーターを呼び出すとコールセンターのオペレーターが案内を行うものです。筆談が必要な利用者にはカメラとモニターを通して筆談を行い、視覚障害者への対応には、受話器を活用して対応します。
カメラ・モニター付き自動券売機で必要とされている条件や課題は、次のとおりです。
- 設置スペースの確保
- 画面の見やすさ・故障時の対応など、運用やコストの課題
- 障がい者に対する手話オペレーター等による表示
遠隔監視システム
遠隔監視システムとは、無人駅に近接する拠点駅などから遠隔で見守りを行うシステムで、遠隔で駅務機器・放送設備・防犯カメラ・インターホン等の操作を行います。遠隔監視システムの設置における条件や課題は、次のとおりです。
- システム導入や保守・点検などに伴う費用の確保
- 現金による精算の場合は、利用者の移動が必要になる
遠隔監視システムを高度化し、AIカメラの導入も検討されています。改札口付近に AIカメラを設置して人を検知し、駅係員へ通知するといった利用法です。高度化を行うには「駅係員によるサポートが必要な利用者が比較的多い駅である」「改札口を通過したことを同一駅内の駅係員が常時確認できない駅を対象とする」など、いくつかの条件が提示されています。
無人駅の防犯対策に役立つクラウド防犯カメラ
ガイドラインの内容にもありましたが、トラブルが起こりやすい無人駅には、防犯カメラの設置が欠かせません。クラウド防犯カメラとは、映像をクラウド上に録画するタイプのカメラをさします。
ここでは、無人駅にクラウド防犯カメラが役立つ理由と、おすすめのカメラを紹介します。
クラウド防犯カメラが役立つ理由
クラウド防犯カメラとは、インターネットを介して、撮影した映像をクラウド上に保存できるカメラのことです。カメラの映像は、スマートフォン・パソコン・タブレットなどから、いつでもどこにいても確認できるのが特徴です。
クラウド防犯カメラなら、遠隔操作で駅の状況をリアルタイムで確認でき、トラブルがあれば撮影された映像を振り返ってチェックすることも可能です。
クラウド防犯カメラはアナログタイプの防犯カメラに比べて音質や画質が良いため、より正確な状況を把握できるのがメリットです。駅の様子を詳細に把握し、適切な対応を行うのに役立つでしょう。
防犯対策におすすめのクラウド防犯カメラ
無人駅の防犯対策には、「Safie(セーフィー)」のクラウド防犯カメラがおすすめです。Safie対応のカメラと専用のビューワーを使うことで、高画質な画像をいつでもどこからでも視聴できるのが特徴です。
ここでは、おすすめのクラウド防犯カメラとして、屋外向けのSafie GO(セーフィーゴー)シリーズと、屋内向けのSafie One(セーフィーワン)を紹介します。
【屋外向け】Safie GOシリーズ
Safie GOシリーズは、電源を挿すだけですぐに使える、LTE搭載のクラウド防犯カメラです。IP66防水・防塵の耐環境モデル(※)で、悪天候などの厳しい環境にも耐えられます。
画面をスクロールすることで広範囲に映像を確認できる「Safie GO 360」なら、画角が広いために駅の広い範囲を確認でき、駅の各所にいる利用客の動きなど全体を見渡せるでしょう。
「Safie GO PTZ Plus」にはGPS機能が搭載されているため、映像を見ながらどこのカメラの映像なのかをひと目で確認することが可能です。複数の駅を管理する拠点駅の遠隔操作に役立つでしょう。
また、エッジAIを搭載した機種「Safie GO PTZ AI」は、人を検知してお知らせする「人検知」機能が標準搭載されているほか、オプションのアプリケーション「AI-App(アイアップ)人数カウント」に対応しています。立ち入り禁止区域への立ち入り検知や、駅の利用客の人数カウントなどに役立ちます。
モデル | 画像 | 特長 | 防水防塵 |
---|---|---|---|
Safie GO 180 | 180度の広角レンズ | IP66 | |
Safie GO 360 | 360度全方位を撮影 | IP66 | |
Safie GO PTZ | PTZ操作が可能 | IP66 | |
Safie GO PTZ Plus | GPS搭載で設置位置を確認 | IP66 | |
Safie GO PTZ AI | エッジAI搭載で人物検出可能 | IP66 |
「AI-App 人数カウント」の詳しい機能については、こちらのページををご覧ください。
※防水・防塵性能を表すIP規格について、詳しくはこちらの記事をご確認ください。
【屋内向け】Safie One
Safie Oneは、エッジAIを搭載した屋内用のクラウド防犯カメラです。高画質・高感度で、駅構内の状況を鮮明に映します。
WDR(ワイド・ダイナミック・レンジ)搭載で、逆光や陰で判別できない部分も鮮明に映すため、不審な人物の特徴も把握しやすいのが特徴です。また、夜間など光の少ない環境でも状況を確認できます。
「Safie GO PTZ AI」と同様、Safie Oneでも「人検知」機能が標準搭載されているほか、オプションのアプリケーション「AI-App 人数カウント」に対応しています。
接続するだけで通信が可能なLTEドック(オプション)があれば、駅にネットワーク回線がなくてもすぐに利用が可能です。
Safie
Safie One
エッジAIを搭載。画像解析による業務効率化も叶えるカメラ
¥41,800 (税込)
外形 | φ76.5×92.5mm |
重さ | 360g |
防水性能 | なし |
ネットワーク接続 | 有線LAN、無線LAN |
PoE給電 | 対応 |
画角 | 水平114° 垂直60° |
ズーム | デジタルズーム 最大8倍 |
マイク(音声入力) | あり |
スピーカー(音声出力) | あり |
暗所撮影 | 対応 |
「AI-App 人数カウント」の詳しい機能については、こちらのページををご覧ください。
無人駅の遠隔管理にクラウド防犯カメラを活用しよう
年々増える傾向にある無人駅は、障がい者や高齢者など、駅の利用に助けが必要な人に対して迅速に対応できなかったり、不正乗車などのトラブルが起こりやすかったりと、さまざまな問題を抱えています。そのため、国による無人駅への対応が進められています。
駅係員のいない駅の様子を遠隔管理するためには、防犯カメラの設置も必要です。中でも、クラウド防犯カメラであれば遠隔からリアルタイムで状況を確認し、迅速な対応ができます。ぜひ無人駅の防犯対策にクラウド防犯カメラの導入をご検討ください。
- Safie対応 カメララインナップ紹介
- クラウド録画サービスSafieをご利用いただける人気カメラ5機種をご紹介しています。
※1 出典:“駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関する障害当事者団体・鉄道事業者・国土交通省の意見交換会”. 国土交通省. 2020-11-06(参照 2024-11-15)
※2 出典:“駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関するガイドライン”. 国土交通省. 2022-07-01(参照 2024-11-15)
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