建設業の人手不足の問題は、「慢性的」かつ「深刻化」しています。その原因は少子高齢化や建設業の給与水準、建設需要の拡大などさまざまです。今回はこれらの原因について徹底的に解説し、人手不足対策の具体例もあわせて紹介します。
目次
建設業の人手不足の現状
少子高齢化による影響から、さまざまな業界で人手不足の問題が加速しています。そのなかでも建設業界はとくに人手不足が問題視されており、多くの企業が労働者の確保に課題を抱えている状況です。
国土交通省が公表している「建設就業者数の推移」データによれば、ピーク時である1997年度から比べると建設就業者数は約30%も減少していることがわかります(※1)。
【建設就業者数の推移】
年度(平均) | 就業者数 |
---|---|
1997(平成9)年度 | 685万人 |
2022(令和4)年度 | 479万人 |
2025年には、建設業の労働者数は約90万人足りないと予測されています。
※1 出典:“最近の建設業を巡る状況について”.国土交通省.2023-04-18(参照 2024-06-11)
建設業の人手不足の原因とは
建設業の人手不足は、以下の3つの原因が挙げられます。
労働人口の高齢化
建設業の人手不足の原因として、労働人口が高齢化している問題があります。国土交通省が公表(同資料)している「建設業就業者の高齢化の進行」データによると、建設業就業者のうち55歳以上は約36%であるのに対し、29歳以下は約12%です。全産業でみると、55歳以上の割合は約32%、29歳以下の割合は約16%であり、建設業界の高齢層と若者層の開きが大きいことがわかります(※1)。
【建設業就業者の高齢化の進行】
年齢層 | 建設業の就業者数 | 全産業の就業者数 |
---|---|---|
55歳以上 | 35.9% | 31.5% |
29歳以下 | 11.7% | 16.4% |
とくに建設業就業者の60歳以上は25.7%であり、全体の約4分の1を占めています。5年後10年後に引退するケースが増えていくため、建設業界の労働人口が減少していくことは容易に想像できるでしょう。
少子高齢化の加速で若者の労働人口が減少していることに加え、建設業が若者から敬遠されていることもひとつの要因です。
建設業はほかの業界よりも長時間労働の傾向にあること、高所作業や重機の取り扱いによる危険作業を伴うこと、肉体的な労働がつらそうといったイメージを抱いてしまいます。いわゆる3K(きつい・危険・汚い)のイメージが、建設業界への就業希望者の減少につながっているとも考えられます。
若者を雇用できないことで就業者の年齢層が徐々に高くなり、高齢化を助長させています。労働人口の高齢化により、若者に技術やノウハウを伝承できない問題も危惧されています。
給料水準が低い、雇用条件が悪い
給与水準や雇用条件も、新規雇用が減少している原因の一つです。建設業はほかの業界と比較すると、給与水準が低く雇用条件が悪い傾向にあります。
建設業の技能労働者は日給制であるケースが多く、悪天候や仕事の有無により収入が変動し不安定になりやすいのが実状です。とくに日本では建設業の技能に国家資格などのオフィシャルな資格がないため、給料が低く設定される傾向にあります。社会保険の加入や有給休暇がないなどの雇用条件が悪いなど、保障に対する不安がネックになり就職希望者が増えない理由になっています。
建設業の需要拡大
建設業の働き手は減少している一方で建設業の需要は増えており、さらに今後も需要が拡大する見込みとされています。建設業の需要拡大は、人手不足に追い打ちをかけている要因です。
国土交通省が公表している「令和5年度(2023年度) 建設投資見通し 概要」では、2023年の建設投資は70兆3,200億円となる見通しで、2022年度よりも2.2%上昇しています(※2)。建設投資は2014年度以降、上昇を続けている状況です。
※2 出典:“令和5年度(2023年度)建設投資見通し 概要”.国土交通省総合政策局 情報政策課建設経済統計調査室.2023(参照 2024-06-11)
老朽化していく建物やインフラのメンテナンス整備、自然災害による建物の復旧や対策、高齢化に伴う高齢者施設などのニーズが予想されています。また、大阪万博やリニア新幹線など大規模な建設プロジェクトも需要を広げている理由です。
建設業における人手不足対策の具体例
建設業の人手不足の原因を解消するために抜本的な見直しと改革が必須とされており、働き方改革の推進、デジタル技術の活用などを積極的に行う必要があります。ここでは人手不足対策の具体例を紹介します。
労働環境の改善と働き方の改革をする
労働環境の改善により魅力的な職場になれば、離職低減にもつながりやすく新規雇用も期待できます。これまでの建設業のイメージも払拭できるでしょう。
労働時間を管理する
働き方改革によって、時間外労働の上限規制が設けられました。そのため、意図せず上限規制を超えることがないように、従業員の勤怠状況を正確に記録し可視化しなければなりません。
時間外労働の上限は「月45時間・年360時間」、特別条項の場合でも「年間最大720時間以内・単月100時間未満」に制限されました。多くの業界では2019年4月よりすでに開始していますが、建設業界では猶予期間を経て2024年4月より施行されています。
そのため、勤怠管理システムの導入やスマートフォンで出退勤管理できるアプリケーションの活用などにより、労働時間をしっかりと管理することが重要です。
給与や待遇の見直し
働き方改革による「同一労働同一賃金」も同様に見直す必要があります。これまで非正規雇用の従業員を採用していた場合は、給与や諸手当などの処遇改善が必要です。また、各種社会保険の加入や有給などの福利厚生は守るべき最低限の基準です。
従業員の給与や社会保険、安全衛生などに関わる経費を確保できるように、見積代金を設定することが重要です。これらの環境が整っていることで従業員の離職を防ぎ、新規雇用にもつながるでしょう。
適切な工期の設定
労働環境を整えるために、工期の適正化も必要です。これまで36協定さえ締結すれば残業の上限規制がなかったため、制限のない労働によって工期に間に合わせることが常態化していました。
しかし、今後は無理なスケジュールありきの工期ではなく、適正な労働時間に見合う工期を設定する必要があり、現場で働く従業員の負担軽減にもつながるでしょう。
週休2日制の導入
建設業でも日本建設業連合会と国土交通省により、週休2日制の導入が推奨されています。とくに国が管轄する工事は、週休2日が原則化されています。
現時点では、週休2日制に関する規制や罰則はありませんが、時間外労働の上限規制に対応するためにも計画的な休日設定が必要です。週休2日制が定着することで、労働環境の改善にもつながるでしょう。
ITやDXツールの導入で省力化を進める
人材不足を補うために、建設業の生産性を向上させ従業員の負担を減らすことが重要です。DX推進は建設業だけではなく多くの企業が取り組まなければ、市場で生き残りが難しいとされています。建設業でITやDXツールを導入し、省力化および生産向上を目指せる具体例を紹介します。
資料やデータをクラウド管理
図面や工程表などの資料は、クラウドで管理するのがおすすめです。スマートフォンなどのデバイスさえあれば紙の印刷やメールの送受信なしで、関係者がいつでもどこでも閲覧や修正が可能です。資料を作成するために事務所に行く必要がある、印刷しないとデータが確認できないといった状況をなくすことで大きく作業効率が上がるでしょう。
クラウドカメラを設置
現場にクラウドカメラを設置すれば、離れた場所にいても現場のようすや工事内容をリアルタイムで確認できます。管理者が現場に移動する手間を省き、時間とコストを削減できるでしょう。危険な箇所はないか作業者の安全が確保されているかをチェックできるため、安全性の向上も期待できます。
ドローンやロボットの導入
高所の点検や測量のときにドローンを活用する、重量物の運搬やシンプルな作業はロボットに任せるといったデジタル技術を導入できれば、大きな省力化となるでしょう。危険な作業や身体の負担を低減でき、従業員の安全や健康を守ることにもつながります。体力的に不利とされる女性が活躍できる場を増やし、新たな雇用の創出も期待できます。
採用手段の幅を広げる
どこの業界も若手の人材不足は課題であり、建設業以外の業種もさまざまな方法で採用活動を行っています。従来よりも採用手段の幅を広げて、募集をかけることも対策の一つです。
求人サイトの掲載
求人サイトでの募集は、多くの求職者が閲覧・検索するため有効的な手段です。大手サイトや建設業専用サイトがあり、年齢層や経験者、新卒採用などターゲット層に絞って募集をかけられる特徴があります。
ホームページ
自社のホームページにも求人情報を掲載しましょう。求人サイトよりも自由なフォーマットで情報量も多く掲載できるため、動画や写真なども掲載して自社の魅力を存分にアピールできます。求職者の多くは応募前にホームページを確認するため、企業に対する安心感が増す材料にもなるでしょう。
SNSの発信など
SNSは若者にアプローチしやすく、ターゲット層に響きやすいツールです。コメントやメッセージのやりとりを気軽にできるため、企業と求職者とのコミュニケーションを図りやすい点がメリットです。
建設業の人手不足対策にはクラウドカメラの導入がおすすめ!
建設業の人手不足解消するための対策はさまざまで、生産性を向上させるためのツールも多数あり何から導入すればよいか悩んでしまいます。そこでコストを抑えながら簡単に導入できる「クラウドカメラの導入」からスタートしてみてはいかがでしょうか。
「Safie(セーフィー)」のクラウドカメラには、建設現場で有効活用できる機能が備わっています。固定タイプ「Safie GO(セーフィーゴー)シリーズ」と、ウェアラブルタイプ「Safie Pocket(セーフィー ポケット)シリーズ」を紹介します。
Safie GOシリーズ
Safie GOシリーズはLTE搭載で、電源接続だけで使える設置作業がシンプルな固定タイプのクラウドカメラです。現場全体を俯瞰でキレイに撮影できるため、工事の進捗管理がスムーズです。
広角カメラのモデルも充実しており「Safie GO 360(セーフィー ゴー サンビャクロクジュウ)」カメラであれば見落としなく現場を確認できます。視聴するパソコン画面をスクロールすることで、360°広角映像をすみずみ確認できるようになります。
たとえば住宅工事の現場に「Safie GO 360」を導入すると、基礎工事から地上建物工事を行う間、1台のカメラで設置場所を変えることなく工事進捗を確認できます。
タイムラプスでの撮影もできるため、作業工程を記録し社員教育に活用する方法も有効です。複数のカメラを1つのモニターで確認できるダッシュボード機能もあり、リアルタイムでいくつものシーンをチェックできます。
モデル | 画像 | 特長 | 防水防塵 |
---|---|---|---|
Safie GO 180 | 180度の広角レンズ | IP66 | |
Safie GO 360 | 360度全方位を撮影 | IP66 | |
Safie GO PTZ | PTZ操作が可能 | IP66 | |
Safie GO PTZ Plus | GPS搭載で設置位置を確認 | IP66 | |
Safie GO PTZ AI | エッジAI搭載で人物検出可能 | IP66 |
「Safie GO PTZ(セーフィー ゴー ピーティーゼット)」は遠隔からカメラの首振りを制御でき、水平・垂直・ズームで見たい位置を調節できます。
さらにGPSを搭載した「Safie GO PTZ Plus(セーフィー ゴー ピーティーゼット プラス)」は、マップ上で位置情報を確認できるため、複数台のカメラを管理している場合に便利な機能です。
また、「Safie GO PTZ AI(セーフィー ゴー ピーティーゼット エーアイ)」はAI搭載で人物を検知できます。危険エリアの侵入などをアラートで知らせてくれて、安全性や防犯性が向上し、人の流動などの調査にも活用できます。
Safie Pocketシリーズ
Safie Pocketシリーズは、体に装着して撮影できるウェアラブルカメラです。コンパクト設計で手ぶれ補正機能も備わっているため、移動しながらの撮影がスムーズに行えます。
Safie Pocketシリーズのカメラは通話機能も備わっているため、現場状況の報告や遠隔から作業を指示できるなど、建設現場での遠隔点検や遠隔臨場にも活躍します。
バッテリー搭載、通信機能内蔵、防塵防水機能といった現場で使えるあらゆる機能があり、屋外でも安心して使用可能です。三脚やアタッチメントに装着すると、定点撮影もできます。
モデル | 画像 | 特長 | 防水防塵 |
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Safie Pocket2 | シンプルな機能構成のエントリーモデル | IP67 | |
Safie Pocket2 Plus | 遠隔業務に必要な機能をフルパッケージ | IP67 |
撮影方法の操作性や利便性も兼ね備えています。本体カバーを下ろせば録画を開始し、背面ディスプレイで映像を確認しながら撮影できます。撮影中にフルHDのキレイな静止画を記録する機能もあるため、現場の状況をさまざまな方法での記録と共有が可能です。
まとめ
建設業の人手不足はさまざまな対策で解決を図り、若手の労働力を確保する必要があります。少ない労働力で生産性を向上させるためにも、ツールの有効活用は欠かせない取り組みになるでしょう。今回紹介したSafieのクラウドカメラの導入も、ぜひ検討してみてください。
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