揚重作業とは?必要な安全対策も併せて解説

安全対策

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揚重作業で必要な安全対策とは

揚重作業(ようじゅうさぎょう)とは、クレーンなどを使用し建築資材を運ぶことです。この記事では、揚重作業の仕事内容、危険が伴う理由、安全対策、およびカメラシステムの活用による安全性強化の方法を詳しく解説します。揚重作業における課題を抱える方やさらなる安全性向上を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

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「揚重」とは?意味や読み方

建築工事現場

揚重は、建設現場では重要な作業の1つです。読み方は「ようじゅう」で、「楊重(ようじゅう)」や「荷揚げ」といわれることもあります。

揚重作業は危険が伴うため、十分な安全対策を講じたうえで実施することが重要です。ここではまず、揚重作業の基本事項と、作業をするために必要となる資格を確認しましょう。

揚重とはクレーンなどを使った「荷揚げ作業」のこと

揚重とは、資材や重量物をクレーンやフォークリフトなどの重機で持ち上げて運ぶ作業のことです。揚重は建築現場で利用される用語の1つで、一般的には「荷揚げ(荷上げ)作業」を意味します。

建設現場では、建築資材はいったん1ヵ所にまとめて搬入されます。そのため、資材を使用するにあたっては必要な場所に運搬・配置をしなければなりません。

建築資材には、木材や壁材、軽量鉄骨材、セメントなど人の手で運ぶことが難しいものも多くあります。クレーンやフォークリフトなどの重機を使って建築資材を持ち上げ、目的の位置に運搬・配置する作業全体を揚重といいます。

揚重作業に必要な資格

重機を用いて重く大きな資材の運搬を行う揚重では、安全性を保つために資格保有者でなければできない作業があります。

労働安全衛生法(※1)などの定めにより、無資格者による作業が法律で禁じられています。以下の表は、必要な資格の一例をまとめたものになります。作業ごとに必要な資格の詳細は一般社団法人 日本クレーン協会のホームページなどを参考にするとよいでしょう。

つり上げ荷重・作業内容必要な資格
つり上げ荷重5トン以上のクレーン操作クレーン・デリック運転士免許
つり上げ荷重5トン以上の移動式クレーン操作移動式クレーン運転士免許
クレーン等でのつり上げ荷重1トン以上の玉掛け作業玉掛け技能講習修了
クレーン等でのつり上げ荷重1トン未満の玉掛け作業玉掛け特別教育修了
つり上げ荷重1トン以上5トン未満の移動式クレーン小型移動式クレーン運転技能講習修了
つり上げ荷重5トン以上の床上操作式クレーン床上操作式クレーン運転技能講習修了

揚重の主な仕事内容

揚重の仕事は、資材を運ぶだけではありません。揚重では、主に以下の3つの作業を実施します。

  • KY活動(危険予知活動)
  • トラック(資材運搬者)の誘導
  • 資材の搬入

ここでは、それぞれの作業内容を詳しく見ていきましょう。

KY活動(危険予知活動)

KY活動(危険予知活動)とは、職場や現場で発生する災害を未然に防ぐため、事前に行う活動のことです。

職場や現場で発生する災害は、ヒューマンエラーにより引き起こされることも少なくありません。災害の発生を防ぐために、想定される危険について事前に話し合い、対策や目標を立てて実践につなげるのが、KY活動です。

揚重作業は、重機やクレーンなどの大型機械を使用することも多く、少しのヒューマンエラーが重大事故につながる恐れがあります。そのため、安全な揚重作業を目指すには、作業前のKY活動が非常に重要です。

トラック(資材運搬車)の誘導

トラック(資材運搬車)の誘導とは、トラックの形状を把握したうえで、適切な停止位置へと誘導する作業のことです。

トラックの誘導では、空いているスペースにトラックを案内すればよいわけではありません。スムーズな作業のためには、事前に以下を確認し誘導する必要があります。

  • トラックの形と台数
  • 搬入経路における障害物や作業状況
  • 目的地と目的地までの運搬方法

トラックを誘導するには、まずはトラックの形と台数を確認しましょう。次に、トラックのどこに資材を積むのか、どの場所から資材の積み下ろしをするのかを押さえ、スムーズに作業ができるポイントに誘導します。

速やかな誘導を目指すのであれば、搬入経路に障害物や作業中のエリアがないかも事前に確認しましょう。資材の最終的な目的地と、目的地までの運搬方法も確認することで、搬入作業をスムーズに進められます。

資材の搬入

トラックの誘導が完了したら、資材の搬入になります。資材の搬入は、クレーンのような重機または手作業で実施します。重く大きな資材の搬入をトラブルなく進めるには、以下のポイントに注意しましょう。

  • 現場や資材によっては、資材の養生や保護を行う
  • 死角がある場合は、確認と周知を怠らない
  • 2人以上で作業するときは声を掛け合う

資材の搬入時は、作業員がお互いに声を掛け合うことで、安全に作業を進められます。死角がある場合には周知を徹底し、事故の発生を未然に防ぎます。

搬入後はゴミの片付けのほか、資材の仕分けなども行います。

揚重作業に危険が伴う理由

先述のとおり、揚重作業は危険が大きい作業の1つといわれます。ここでは、揚重作業に危険が伴う理由として考えられる要因を、以下の2つの観点からさらに詳しく見ていきましょう。

  • 特殊環境での作業が多い
  • 安全対策の徹底が難しい

作業現場で災害が発生する要因を知り、より効果的な安全対策の実施につなげてください。

特殊環境での作業が多い

揚重作業に危険が伴う理由としては、特殊環境での作業が多い点があげられます。特殊環境の一例は、以下のとおりです。

  • 高所
  • 狭所
  • 足場が悪い場所
  • 雨天

揚重作業は、高所や狭所での作業が多くあります。加えて、仮設の足場で作業することも多いため、ちょっとしたミスが大きな事故や災害につながる恐れがあります。

また、揚重作業は天候に関わらず実施されることもあります。雨や風を受けながらの作業は、細心の注意を払っていたとしても事故や災害が発生する可能性が高くなることは覚えておきましょう。

安全対策の徹底が難しい

安全対策の徹底が難しい点も、揚重作業の問題の1つです。安全対策が難しい要因には、以下があげられます。

  • 作業場所や作業内容が現場によって変わる
  • 複数の会社が同じ現場で働く
  • 作業担当者が頻繁に入れ替わる

揚重作業は、作業場所や建築条件によって手順や対応が変わるケースが少なくありません。そのため、ルールの標準化が難しいのです。

建築現場は、複数の会社が同時に作業をすることも多くあります。いくら自社内で安全対策を徹底していても、現場で同時に作業する他社からの「もらい事故」が発生する可能性があることは覚えておきましょう。

また、建設業界は作業担当者の入れ替わりが激しいといった特徴があります。それにより、安全教育の継続やノウハウの積み上げが難しいことも、作業の危険性が上がる要因の1つです。

揚重作業で必要な安全対策

クレーン作業現場

大規模な重機を使用することの多い揚重作業は、作業中にミスなどあれば重大な事故につながる危険な作業です。そのため安全には十分注意を払う必要があります。

ここでは、重機を使った揚重作業において必要な安全対策の代表例を5つ確認しましょう。

アウトリガーを最大長まで伸ばす

ラフテレーンクレーン(ラフタークレーン)や搭載型トラッククレーン(ユニック車)を使用する際は、地盤を安定させるため、アウトリガーを最大長まで伸ばすことが推奨されています。

クレーンを使用する際は、アウトリガーの状態を必ず作業前に確認しましょう。

敷鉄板の設置

地盤を安定させるため、アウトリガーは十分な強度のある地盤に据付ける必要があります。そのため、アウトリガーの下に敷鉄板や敷板、木製ブロックを設置して地盤を補強しているか、作業前に確認しましょう。

残置物の確認

揚重作業を行う作業場所に余計な資材などが置かれてると危険です。放置されている資材がないか確認し、あれば作業前に撤去しましょう。

吊荷下に侵入しない

クレーンのフックへの玉掛け不良などで吊り荷が落下する危険性があるため、吊り荷の下は立ち入り禁止です。安全に作業を行うため揚重作業時には警笛による周知と人払いを徹底する必要があります。

「333運動」を実施する

安全に作業を行うため、声出し・指差呼称による「333運動」を実施することが重要です。

【333運動】

  1. 地切り30cm(荷に傾きがないか確認)
  2. 3秒以上停止(荷崩れしないか確認)
  3. 3m荷から離れる(安全範囲の確保)

揚重作業の安全対策はカメラシステムの導入が効果的

揚重作業の安全対策を徹底するために、クラウドカメラをはじめとしたカメラシステムを導入する現場が増えています。

巡回での安全パトロールにカメラシステムを併用することで、効率的に安全管理業務の実施が可能です。また、現場担当者以外の方など複数の眼で確認することで、事故につながる不安全行動の検出率を高め、作業者の安全意識の向上・不安全行動の削減に役立てます。

安全対策のためのカメラシステムを選ぶ際のポイント

揚重作業の安全対策のためのシステムには、いくつか検討すべきポイントがあります。導入自体が手軽で、現場の作業者の負担をできるだけ軽減しつつ、建設現場などでは撤去も簡易であることが大切です。

ポイント1:設置の手軽さ

コンセントとソーラーパネル

カメラの設置など、導入のために新たな施工が必要なものは工期に影響を与える恐れがあります。できるだけ手軽に設置できる機器を選択すると、設置や移動の際の手間の軽減が可能です

ポイント2:防水・防塵性能

Safie GOの防水性能イメージ

揚重作業は建設現場などの屋外において実施されるだけでなく、倉庫などの室内においても環境によっては機器への負荷が大きくなる可能性があります。そのような環境下で問題なく撮影を続けるには、防水・防塵性能を備えた機材の導入が必要です。

建設現場の場合、「IP66」以上の防水・防塵性能があることが推奨されます。

ポイント3:映像の画質

建築現場に設置されたSafie GO PTZ

揚重作業の安全対策のために、クレーンなどにカメラを設置して死角を確認する際など、高さのある位置から作業場所を確認することになります。カメラから被写体までの距離を考慮し、100万画素・30fps程度の画質があるカメラを選びましょう

ポイント4:通信機能

撮影した映像を効果的に活用するために、通信環境は不可欠です。現地だけでなく、遠隔からもカメラ映像を確認できると活用の幅が広がります。そのため、通信環境が整っていない場所での使用を考慮し、通信機能付きのカメラを選択することがおすすめです。

ポイント5:邪魔にならないカメラサイズ

ウェアラブルカメラやポータブルカメラを導入する場合は、作業の邪魔にならないような本体サイズのカメラを選びましょう。ヘルメットや作業着に装着できるカメラを選べば手を使わずに撮影ができ、撮影時の安全対策もできます。

また、通信機器などとコードで接続するタイプのカメラだと、コード類がひっかかり転倒の原因になるので、極力シンプルな構成のカメラを選びましょう。

揚重作業の安全対策にはセーフィーのクラウドカメラがおすすめ

現場と本部をつなぐSafiePocket

揚重作業の安全対策には、セーフィーのクラウドカメラがおすすめです。カメラ本体にインターネット通信(LTE)機能を搭載、防水・防塵設計で建設現場に適した機種も提供しています。

ここでは、揚重作業の安全対策にも利用できる「Safie GO(セーフィー ゴー)シリーズ」と「Safie Pocket(セーフィー ポケット)シリーズ」を詳しく見ていきましょう。

用途で選べる固定設置型カメラ「Safie GO シリーズ」

「Safie GOシリーズ」は建設現場や屋外での使用に適したLTE搭載のクラウドカメラです。PTZカメラ、広角カメラ、360°カメラ、AI機能搭載カメラなどラインナップも充実しているので用途に合ったカメラを導入することができます。

インターネット通信機能搭載のため電源をさすだけで利用開始でき、IP66の防水・防塵設計なので重機が行き交う工事現場でも安心して使用可能です

モデル画像特長防水防塵
Safie GO 180Safie GO 180180度の広角レンズIP66
Safie GO 360Safie GO 360360度全方位を撮影IP66
Safie GO PTZSafie GO PTZPTZ操作が可能IP66
Safie GO PTZ PlusSafie GO PTZ PlusGPS搭載で設置位置を確認IP66
Safie GO PTZ AISafie GO PTZ AIエッジAI搭載で人物検出可能IP66
※レンタル料金はお問い合わせください

巡回での利用におすすめのウェアラブルカメラ「Safie Pocket シリーズ」

「Safie Pocketシリーズ」は作業者の手元など近距離の撮影に適したウェアラブルカメラです。カメラ単体でLTE通信ができるため、高解像度の映像をリアルタイムで確認・クラウド保存できるだけでなく、双方向での通話も可能です。IP67の防水・防塵設計により過酷な環境にも対応可能です。

モデル画像特長防水防塵
Safie Pocket2Safie Pocket2シンプルな機能構成のエントリーモデルIP67
Safie Pocket2 PlusSafie Pocket2 Plus遠隔業務に必要な機能をフルパッケージIP67
※レンタル料金はお問い合わせください

大手ゼネコンの建設現場でも安全対策のためにカメラを導入

株式会社竹中工務店の広島支社は、建設現場の安全対策として、クラウドカメラ「Safie Pocket シリーズ」と「Safie Go シリーズ」を導入しています。

揚重作業の死角確認や安全対策には「Safie GO」を使用し、さらに作業者が身につけられるコンパクトな「Safie Pocket2」も併用しています。これらのカメラは、現場の事故防止だけでなく、若手作業者への熟練者による遠隔教育など、幅広い用途で役立っています。

揚重作業における安全対策の強化にはクラウドカメラの活用を

揚重作業を行う現場では、安全対策として作業現場の状況をリアルタイムで確認し、トラブル発生時には迅速に対応することが求められます。クラウドカメラによる安全対策の強化では、目的にあったカメラを使用することが重要です。

広範囲を撮影できる固定カメラと作業者の周辺を撮影できるウェアラブルカメラを組み合わせることで、面と点をカバーし作業現場の安全対策を強化することができます。

揚重作業の安全対策にツール導入をお考えの場合は、「Safie GO シリーズ」や「Safie Pocket シリーズ」をご検討ください。

マンガでわかる!現場カメラでできる安全管理のススメ
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現場カメラを使った遠隔からの安全管理の方法やメリット、活用シーンをマンガでわかりやすく解説します。

※1 出典:“労働安全衛生法 クレーン等安全規則(昭和四十七年労働省令第三十四号)”.厚生労働省.(参照2025-4-24)

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