オフィスのセキュリティリスクと効果的な対策とは？導入事例を解説

情報漏えいや不審者の侵入、資産の盗難など、オフィスを取り巻くセキュリティリスクは年々多様化しており、「何をどう対策すればよいのかわからない」と悩む企業も少なくありません。

本記事では、オフィスで起こり得る代表的なリスクを整理し、セキュリティ対策のポイントを解説します。また、資産の把握からシステム導入まで、実践的なセキュリティ強化の方法も紹介します。

この記事を読めば、自社のオフィスセキュリティを見直し、従業員が安心して働ける環境づくりを進められるでしょう。

オフィスで起こり得る3つのセキュリティリスク

オフィスには、企業活動の基盤となる資産が集まっています。オフィスの資産を守るためには、リスクの正しい理解が大切です。

オフィスで起こり得るセキュリティリスクは、大きく「情報」「人」「物」の3つに分けられます。それぞれのリスクの種類と要因は、以下をご確認ください。

リスクの種類	具体的な要因
情報リスク（情報漏えい）	・パソコン・スマートフォンの紛失 ・不正アクセス、ハッキング ・内部関係者による情報持ち出し ・パスワード管理の不備　等
人的リスク（従業員に関わるリスク）	・不審者侵入による危害 ・個人情報漏えいによる二次被害　等
物的リスク（資産の盗難・破損）	・オフィス機器や備品の盗難 ・侵入防止策の不備 ・施錠忘れ ・警備体制の弱さ　等

これらのリスクは相互に関連しており、一つの対策だけでは不十分です。たとえば、入退室管理の甘さ（物的リスク）が原因で不審者が侵入し、社員のパソコンから情報が漏れる（情報リスク）といったケースもあります。

オフィスのセキュリティ対策では、防犯カメラの設置やセキュリティソフトの導入など、さまざまな対策方法がありますが、大きく二つに分けられます。

1. 情報セキュリティ対策

IT技術を活用してデジタルデータや情報資産を守る対策（例：セキュリティソフト導入、アクセス権限管理、暗号化　等）

2. 空間セキュリティ対策

物理的なエリアや空間への出入りを管理する対策（例：入退室管理システム、防犯カメラ、セキュリティゲート　等）

効果的なオフィスセキュリティを実現するには、両方の対策をバランスよく組み合わせることが重要です。セーフィー担当者にヒアリングしたところ、多くの企業は防犯カメラ以外にも「入退室管理システム」「警備システム」「人感センサー」「カードリーダー」を同時に検討していることが分かりました。このように、現場では複数のセキュリティ対策を組み合わせた「面」での防御が主流になっています。

オフィスセキュリティ対策のポイント

効果的なオフィスセキュリティ対策は、思いつきではなく、体系的に進めるのがポイントです。ここでは、ゼロから対策する場合や既存の体制を見直す際に押さえておきたい、5つのポイントを紹介します。

• 資産の把握、可視化をする
• ゾーニングごとにセキュリティを検討する
• セキュリティシステム、ツールを導入する
• 運用・保守ルールを策定する
• 従業員へのセキュリティ教育をおこなう

順を追って検討していけば、オフィス事情に即したセキュリティ対策が可能です。

資産の把握、可視化をする

オフィスセキュリティ対策の第一歩は、守るべきものを正しく把握することです。何を守るべきかが曖昧なままでは、効果的な対策を立てることはできません。

まずは、自社に存在する資産をすべて洗い出し、それぞれの性質に応じて「情報セキュリティ」で守る情報資産と、「空間セキュリティ」で守る実物資産に分類するのがおすすめです。具体的な分類の例は以下のとおりです。

区分	資産の例
情報セキュリティ対策が必要な資産	・従業員の人事データ ・顧客や取引先の情報 ・新商品 ・サービスの開発データ ・企業の財務データや経営計画
空間セキュリティ対策が必要な資産	・現金、小切手、金庫などの貴重品 ・契約書、名簿などの紙資料 ・パソコンやOA機器、オフィス家具などの備品

資産を「情報」と「空間」に分けて整理すると、どのようなものをどのように守ればよいのかが自然と見えてきます。

ゾーンごとにセキュリティ対策をする

ゾーニングとは、オフィスのエリアを用途や重要度に応じて区分けすることです。

一見どのスペースも同じように見えますが、「誰でも入れる場所」と「限られた人しか入れない場所」が混在しています。たとえば、以下の区分が考えられます。

ゾーンの種類	具体例
誰でも入室できるエリア	受付、エントランス、ロビー　等
一般従業員が利用するエリア	執務室、会議室、休憩室　等
一部の担当者のみが入室できるエリア	サーバールーム、書類保管庫、役員室　等

セキュリティの強度に差をつければ、限られたコストでも効果的にリスクを抑えられます。

セキュリティシステム、ツールを導入する

ゾーニングによってオフィスの各エリアで必要なセキュリティレベルが明確になったら、適切なセキュリティシステムやツールを選定します。

主なセキュリティシステムとしては、以下のようなものがあります。

• 入退室管理システム：IDカードや生体認証による入室制限
• 防犯カメラシステム：リアルタイム確認や録画による抑止と証拠確保
• セキュリティゲート：物理的な侵入防止
• アラームシステム：異常を検知して警告や通報を行う

選定の際には、自社の規模や予算、運用体制に合わせて、導入効果の高いものから優先的に検討するとよいでしょう。システムの相互連携や拡張性も重要な検討ポイントです。

なお、クラウド型のセキュリティシステムは初期投資を抑えられるだけでなく、リモートでの確認や管理が可能なため、管理負担の軽減に役立ちます。

運用・保守ルールを策定する

適切なセキュリティシステムやツールを選定したら、それらを効果的に活用するための運用・保守ルールを策定しましょう。システムを導入しただけでは十分な効果は得られません。日常的な運用方法を明確にすることで、セキュリティ対策の実効性が高まります。

運用ルールでは、以下のような点を明確にしておくことが重要です。

・各セキュリティシステムの利用者とその責任範囲

・日常的な運用手順と定期的な点検方法

・セキュリティインシデント発生時の対応フロー

・ログや録画データの保存期間と管理方法　等

特に、入退室管理システムやカメラシステムについては、誰がどの情報にアクセスできるのか、取得したデータをどのように管理・保存するのかを明確にしておくことが重要です。

また、セキュリティシステムの運用状況を定期的に確認し、必要に応じてルールの見直しや改善を行うPDCAサイクルを確立しましょう。担当者が変わっても同じ水準のセキュリティを維持できるよう、マニュアルの整備も忘れずに行ってください。

運用ルールの作成にあたっては、現場の意見を取り入れることも大切です。過度に厳しいルールは業務効率を低下させ、ルール違反を誘発する可能性があります。セキュリティと業務効率のバランスを考慮した実効性のあるルール作りを心がけましょう。

従業員へのセキュリティ教育をおこなう

オフィスセキュリティを確実に機能させるには、従業員一人ひとりの意識と行動が欠かせません。どんなに設備やシステムを整えても、使う人の知識や行動が伴わなければ、セキュリティ対策の効果は限定的です。

効果的なセキュリティ教育として、以下の内容を盛り込むと良いでしょう。

• 離席する際はパソコンにロックをかける
• USBメモリや外部クラウドサービスの利用ルール
• 紙資料の取り扱いや廃棄ルールを守る
• 不審者、不審物への対応方法
• セキュリティインシデント発生時の報告手順

教育は一度だけでなく、定期的な研修やeラーニングを取り入れ、従業員のセキュリティ意識を定期的に高めることが重要です。また、セキュリティポリシーの変更や新たなリスクが発生した際には、迅速な情報共有も必要です。

オフィスの場所別セキュリティ対策ガイド

オフィスのセキュリティ構築には、場所に応じた適切な対策を組み合わせた総合的なアプローチが重要です。オフィス全体のセキュリティ管理に加え、各エリアに適した効果的なセキュリティ対策と防犯カメラの設置ポイントについて解説します。

• オフィス全体のセキュリティ管理
• オフィスのエントランス・受付
• 廊下・共有スペース
• 執務エリア
• サーバールーム・機密情報保管エリア

なお、従業員など人が写り込む画角での防犯カメラの設置・運用開始には、個人情報保護法等の関係法令の遵守に加え、写り込む人々、写り込む可能性のある人々のプライバシーへの配慮が求められます。防犯カメラとプライバシーの関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。

オフィス全体のセキュリティ管理

オフィス全体の安全を守るには、総合的な警備システムの導入が基本です。個別のエリア対策に先立ち、オフィス全体を包括的に守る仕組みを整えることが重要です。

警備システムは、建物全体を24時間監視し、異常を検知した際にすぐに警備会社へ通報します。ドアや窓の開閉センサー、動体検知センサー、防犯カメラなどを連携させ、不法侵入や夜間のトラブルにも迅速に対応可能です。

オフィス全体をカバーする警備システムを導入すれば、安全管理だけでなく、従業員が安心して働ける環境づくりにもつながります。これを基盤として、次に各エリアの特性に応じた個別のセキュリティ対策を検討していきましょう。

オフィスのエントランス・受付

オフィスの顔ともいえるエントランスは、外部との接点が多い場所です。不審者の侵入を防ぎつつ、来訪者を適切に管理することが求められます。

鍵管理や警備システムを導入して、不審者の侵入を未然に防ぐとよいでしょう。電子錠やスマートロックを活用すれば、鍵の紛失や合鍵のリスクを減らし、入退室の履歴を自動で記録可能です。警備システムと連携させれば、ドアのこじ開けや窓の破損といった異常を即座に検知し、警備員が駆けつける仕組みを整えられます。

セーフィー担当者のヒアリングでも、お客様がカメラ設置を希望する場所として、全回答者がエントランス/入口を最優先エリアとして挙げていました。エントランス・受付は、セキュリティ対策の第一歩として重視されていることが分かります。

廊下・共有スペース

オフィスの廊下・共有スペースは、人の移動が多く、オフィス内の導線を把握する上で重要なエリアです。特に夜間や休日など無人になる時間帯のセキュリティに注意が必要です。

人感センサーを導入すれば、夜間や休日などに無人になる時間帯でもいち早く侵入者を発見できます。人感センサーは、人の体温や動きを赤外線などで検知する仕組みです。

人感センサーとカメラを併せて導入すれば、オフィスの防犯対策をより堅実にできます。

人感センサーに関しては以下の記事で詳細に解説しているので、参考にしてみてください。

執務エリア

執務室の入口には、カードリーダーの導入が効果的です。従業員が持つICカードや社員証を使って「誰が・いつ・どのエリアに入ったか」を記録できます。特に総務・営業・開発など、部署ごとに扱う情報の機密性が異なる場合は、アクセス権を分けておくのが重要です。

執務室は機密情報・個人情報・社内情報などの漏洩といったトラブルが起こりやすいエリアです。カメラの設置を検討する際は、次の点に注意しましょう。

• 執務室全体を俯瞰できる位置への設置を行う
• 従業員のプライバシーに十分配慮し、モニター画面が映り込まない角度に調整する
• 事前に設置目的や運用ルールを明確に説明し、従業員の理解を得る

セーフィー担当者のヒアリングでも、執務エリアはエントランスに次いで防犯カメラ設置ニーズが高いことが分かりました。情報漏洩対策の重要性が実務担当者にも認識されていると考えられます。

サーバールーム・機密情報保管エリア

サーバールームや役員室、重要書類の保管庫など、機密性の高いエリアには、入退室管理システムの導入が欠かせません。

このシステムは、指紋認証や顔認証、ICカード、暗証番号などを組みあわせて入室を制限し、「誰が・いつ・どの部屋に入ったか」を正確に記録します。通常の鍵管理では把握しきれない出入りの履歴をデータで残せるため、不正アクセスや情報漏えいの抑止にもつながります。

また、カメラの設置も有効です。入退室管理システムとカメラを連携させることで、「誰が・いつ・何をしたか」を正確に記録できます。こうした記録は内部不正の抑止だけでなく、万一のトラブル発生時の原因究明にも役立ちます。

入退室管理システムの導入事例を以下の記事で紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。

オフィスセキュリティにカメラを導入するならSafieがおすすめ

オフィスの安全対策としてカメラを導入するなら、クラウド防犯カメラの「Safie（セーフィー）」がおすすめです。

Safieは、防犯カメラの映像をクラウド上で管理できるシステムで、録画データの保存・閲覧・共有をすべてオンラインで完結できます。録画機器（レコーダー）を設置する必要がなく、初期コストを抑えながら高いセキュリティを実現可能です。

オフィス向けには、広範囲を高画質で撮影できるSafie One（セーフィーワン）がおすすめです。双方向での通話（トークバック機能）や、AIによる人検知にも対応しており、オフィス内のさまざまなシーンで活用できます。

また、Safie Oneは「Safie Security Alert（セーフィー セキュリティ アラート）」に対応しています。Safie Security Alertとは、AIで侵入者を検知するとサイレンで威嚇し、管理者へ即時通知するサービスです。スマートフォンで簡単に警戒モードを切り替えられ、不在時のオフィスセキュリティを手軽に強化できます。

Safie Security Alertについてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。

オフィスにSafieを導入している事例

オフィスのセキュリティを強化するため、Safieを導入している企業があります。ここでは、実際にSafieを活用してオフィスの安全性と運用効率を高めている3社の事例を紹介します。

• 株式会社タイミー
• Sansan株式会社
• 富士通コミュニケーションサービス株式会社

※事例内容は取材当時のものです。

株式会社タイミー

スポットワークサービス「タイミー」を運営する株式会社タイミーは、社内のセキュリティやガバナンスの強化に向けて、Safie Oneを導入しました。

カメラを設置した目的は、オフィスの防犯やトラブル時の事実確認、労働安全衛生向上などです。夜間は消灯後の暗闇の映像でも鮮明なため、セキュリティ的にも心強いと感じています。

今後の映像活用として、カメラの人検知機能を使い、最後にオフィスを出る社員へ自動で注意喚起できる仕組みも検討しています。総務の負担を軽くし、セキュリティ管理の効率化を目指しています。

株式会社タイミーの詳細な導入事例は以下のページを参照してください。

Sansan株式会社

営業DXサービス「Sansan」をはじめとするDXソリューションを提供するSansan株式会社は、クライアント情報を安全に管理し、信頼性を高めるためにSafieを導入しました。

同社では、執務エリアや、クライアントの情報を扱うエリアは「セキュリティエリア」とし、このエリアではすべてドアセキュリティシステムを導入しています。そのため、建物の構造上、外部の人がセキュリティエリアの近くまで入れる間取りになっています。

Safieを選んだ理由は、セキュリティエリアの出入口付近を撮影するためです。Sansanではクライアントの個人情報や重要データを扱うことも多いため、インシデント発生時に迅速な対応をおこなう必要があります。

同社はクライアントの重要な情報を預かるという特性から、セキュリティを強化するクラウドカメラを多数設置したことは、クライアントからも非常に好評です。クライアントにさらなる安心を提供でき、非常に良かったと思っています。

Sansan株式会社の詳細な導入事例は以下のページを参照してください。

富士通コミュニケーションサービス株式会社

富士通コミュニケーションサービス株式会社は、企業の業務をサポートするBPO（ビジネス・プロセス・アウトソーシング）サービスを提供している会社です。

執務エリアのセキュリティ対策に際し、カメラの操作性の良さや顔認証システムによるリスクの低さに魅力を感じ、Safieを導入しました。Safie Oneを執務エリアに設置し、確認の必要がある際はクラウド録画映像を振り返る運用をしています。

BPO案件のエリアには顔認証入退室サービスを設置し、高いセキュリティとスムーズな認証を実現しています。かつて運用していたICカードキーよりも管理負担が少なく、セキュリティ強化と業務効率化の両面で役立っています。

Safie導入により、セキュリティが社内の規定を満たせた点や、セキュリティ管理の効率が上がった点を評価しています。

富士通コミュニケーションサービス株式会社の詳細な導入事例は以下のページを参照してください。

オフィスセキュリティ対策で安全・安心な職場をつくろう

オフィスのセキュリティは、情報・人・物の3つのリスクを総合的に対策することで効果が高まります。

資産を可視化して適切なゾーニングを行い、場所ごとに最適なセキュリティツールを選びましょう。エントランスから機密エリアまで、それぞれの特性に合わせた対策が重要です。

防犯カメラの活用は不正抑止と状況把握に効果的で、クラウド型システムなら管理負担も軽減できます。ただし、運用ルールの策定と従業員への教育も忘れずに行いましょう。自社の事情にあわせてセキュリティ対策の優先順位を決め、安心して働ける環境作りを少しずつ進めてみてください。

セーフィーでは、オフィスセキュリティに有用なカメラの導入から活用までの支援が可能です。カメラに関するご相談は、以下よりお気軽にお問い合わせください。
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※顧客や従業員、その他の生活者など人が写り込む画角での防犯カメラの設置・運用開始には、個人情報保護法等の関係法令の遵守に加え、写り込む人々、写り込む可能性のある人々のプライバシーへの配慮が求められます。防犯カメラとプライバシーの関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。
  ▶「防犯カメラとプライバシーの関係。事業者が注意すべき設置のポイント」
※カメラの設置に際しては、利用目的の通知を適切に行うとともに、映像の目的外利用を決して行わないことが求められます。適切なデータの取り扱いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
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